有床義歯の点数と算定で損しない正しい知識

有床義歯の点数算定は、歯数カウントの落とし穴や6か月ルールの例外など、知らないと減算・返戻につながるリスクが潜んでいます。正しい算定知識を身につけるためのポイントとは?

有床義歯の点数を正しく算定するために知っておくべきこと

装着から6か月以内に修理すると、修理料が自動的に半額になるのに、それを知らずに満額請求して返戻が来るケースがあります。


📋 この記事の3つのポイント
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歯数カウントは「欠損歯数」ではなく「人工歯数」

欠損が4歯でも、排列上5歯になれば「5歯」として算定します。この違いが点数区分に直結します。

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6か月以内の修理は所定点数の50%で算定

新製有床義歯の装着日から6か月以内に修理した場合は、260点ではなく130点での算定となります。

⚠️
6か月ルールには「例外」がある

認知症・要介護・災害・転居等の理由があれば、6か月未満でも新製義歯の印象採得から算定可能です。


有床義歯の点数区分と人工歯数の正しい数え方


有床義歯の点数は「欠損歯数」ではなく、実際に排列する「人工歯数」に基づいて算定します。この違いを見落とすと、算定区分を誤るリスクがあります。


令和8年度現在の有床義歯(M018)の点数は以下の通りです。 shirobon(https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r08_shika/r08s_ch2/r08s2_pa12/r08s2c_sec1/r08s2c1_cls3/r08s2c13_M018.html)










区分 人工歯数 点数
局部義歯 1〜4歯 624点
局部義歯 ロ 5〜8歯 767点
局部義歯 ハ 9〜11歯 1,042点
局部義歯 ニ 12〜14歯 1,502点
総義歯 1顎につき 2,500点


たとえば欠損が4歯であっても、スペース確保のために排列が5歯になれば「5歯=ロ(767点)」での算定になります。 これは一読すると「おや?」と思う方もいるかもしれません。意外ですね。 shirobon(https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r08_shika/r08s_ch2/r08s2_pa12/r08s2c_sec1/r08s2c1_cls3/r08s2c13_M018.html)


人工歯料は別途算定可能で、この点数には装着料・材料料(人工歯料を除く)が含まれます。 人工歯を使用した場合は、修理・床裏装時も人工歯料を別算定することができます。 ishiyaku.co(https://www.ishiyaku.co.jp/shikashinryo/information/20240730_02.pdf)


有床義歯補強加算の算定条件と注意点

「ハ(9〜11歯)」「ニ(12〜14歯)」「総義歯」に対して、歯科用金属芯を埋入した場合は150点の補強加算を算定できます。 これは歯科技工士が行う処理に紐づく加算です。 shirobon(https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r08_shika/r08s_ch2/r08s2_pa12/r08s2c_sec1/r08s2c1_cls3/r08s2c13_M018.html)


加算の条件が結構細かいです。具体的には「幅2.0mm以上、厚さ1.0mm以上の歯科用金属芯」を、「アルミナ・サンドブラスト処理および金属接着性プライマー処理等を行った上で埋入」することが必要です。 これらの要件を満たしていなければ加算は算定できません。 shirobon(https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r08_shika/r08s_ch2/r08s2_pa12/r08s2c_sec1/r08s2c1_cls3/r08s2c13_M018.html)


さらに見落とされがちなのが、歯科技工士の氏名または歯科技工所の名称を診療録に記載する義務があるという点です。 カルテへの記載忘れが返戻につながります。記録が条件です。 shirobon(https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r08_shika/r08s_ch2/r08s2_pa12/r08s2c_sec1/r08s2c1_cls3/r08s2c13_M018.html)


6か月ルールの例外と新製義歯を再製作できるケース

有床義歯の新製は、原則として前回の印象採得から「6か月経過後」でないと算定できません。 しかし、以下の場合は例外として6か月未満でも新製が認められます。 shirobon(https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r08_shika/r08s_ch2/r08s2_pa12/r08s2c_sec1/r08s2c1_cls3/r08s2c13_M018.html)


- 🏥 他院での製作がないと患者から確認が取れた場合
- 🚚 遠隔地への転居で通院が不可能になった場合
- 🦷 急性疾患により喪失歯数が変わった場合
- 🧠 認知症・要介護状態で義歯管理が困難になった場合(破折を含む)
- 🌊 災害・事故などその他特別な場合


認知症・要介護の患者さんが義歯を使えなくなるケースは臨床でもよくある話です。これは使えそうです。この場合、診療報酬明細書の摘要欄に「該当する記号と具体的内容」を記載する義務があります。 shirobon(https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r08_shika/r08s_ch2/r08s2_pa12/r08s2c_sec1/r08s2c1_cls3/r08s2c13_M018.html)


「6か月以内は絶対に新製できない」と思い込んでいる歯科従事者も一定数いますが、実は要件を満たせば再製作が可能です。正しく把握することで、患者さんへの適切な対応と算定漏れを防げます。


有床義歯修理の点数と「6か月以内50%算定」の落とし穴

有床義歯修理(M029)は1床につき260点が所定点数ですが、新製義歯の装着日から6か月以内に修理を行った場合は所定点数の100分の50、つまり130点での算定になります。 満額請求すると査定・返戻につながります。 shirobon(https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r08_shika/r08s_ch2/r08s2_pa12/r08s2c_sec1/r08s2c1_cls5/r08s2c15_M029.html)


6か月以内は半額が原則です。ただし例外もあります。 3tei(https://3tei.jp/news/LLUGne7p)


- 🔧 修理時に鉤(クラスプ)を新製した場合:鉤の所定点数を別途算定できる
- 🦷 修理・床裏装の際に人工歯を使用した場合:人工歯料を別算定できる
- ✅ 人工歯数に関係なく所定点数で算定(1歯でも5歯でも同一点数)


また、施設基準の届出がある保険医療機関において、患者の求めで破損義歯を「預かり当日に修理・装着」した場合は、歯科技工加算1として55点を加算できます。 迅速対応の実績として届出をしている医療機関は積極的に加算を確認しましょう。 shirobon(https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r06_shika/r06s_ch2/r06s2_pa12/r06s2c_sec1/r06s2c1_cls5/r06s2c15_M029.html)


新製有床義歯管理料(義管)の算定タイミングと独自視点:返戻を防ぐカルテ記載術

新製有床義歯管理料(義管)は、新しい義歯を装着した後に生体との調和を目的とした管理を行った際に算定します。 装着した日以降、装着同月に算定するのが基本です。 shien.co(https://www.shien.co.jp/media/sample/s1/BK00137/pageindices/index6.html)


令和6年6月の改定で、義管の算定可能期間が変わりました。以前は「製作から1年間は算定不可」でしたが、現在は6か月経過後から再度算定可能になっています。 これは重要な変更点です。 shirobon(http://shirobon.net/qabbs_detail.php?bbs_id=52287)


義管の算定に際しては、患者または家族への文書提供が必須で、その写しをカルテに添付する義務があります。 カルテ記載が条件です。記載すべき内容は以下の通りです。 shien.co(https://www.shien.co.jp/media/sample/s1/BK00137/pageindices/index6.html)


| 記載項目 | 具体例 |
|:---|:---|
| 義歯の形態・性状 | クラスプの形状、義歯床の材質など |
| 削合調整の内容 | 使用した検査材料名(フィットチェッカー等)、削合部位 |
| 義歯の着脱指導 | クラスプの操作方法、着脱方向の説明 |
| 保管・清掃方法 | 夜間の保存方法、義歯ブラシの使用推奨 |


「咬合の回復が困難な場合(総義歯または9歯以上の局部義歯)」は加算点数での算定になりますが、この区分は対顎の義歯歯数は関係なく、あくまで「装着した義歯の歯数」のみで判断します。 厳しいところですね。 showa-d-dousou(https://www.showa-d-dousou.jp/infomation/wp-content/uploads/2021/04/v25.pdf)


電話再診での義管は算定できません。 また、義管算定後に新たに義歯製作した場合は「義管」ではなく「歯科口腔リハビリテーション料1(歯リハ1)」で算定します。 ただし、新たに初診を算定した場合は再度「義管」が算定できます。この切り替えを誤るとレセプト返戻の原因になりますので、算定の流れを整理しておくことをおすすめします。 showa-d-dousou(https://www.showa-d-dousou.jp/infomation/wp-content/uploads/2021/04/v25.pdf)


有床義歯の算定に関する詳細なルールは厚生労働省の通知や診療報酬点数表で随時確認することが大切です。改定のたびに条件が変わる項目もあるため、信頼性の高い情報源を日常的に参照する習慣をつけておくと、査定・返戻リスクを大きく下げられます。


しろぼんねっとのM018有床義歯点数表(令和8年度版)は、通知・注釈を含め詳細に確認できます。
令和8年 M018 有床義歯 - 歯科診療報酬点数表(しろぼんねっと)


有床義歯修理(M029)の6か月ルールや加算の詳細はこちらで確認できます。
有床義歯修理とは?保険点数や算定要件を分かりやすく解説!(3tei.jp)


以下が記事コンテンツです。






有床義歯技工学[本/雑誌] (最新歯科技工士教本) / 全国歯科技工士教育協議会/編集 鈴木哲也/ほか著