重度の鼻咽腔閉鎖不全の患者にブローイングをしても、鼻咽腔閉鎖機能はかえって改善しないことが研究で示されています。 dysarthrias(https://www.dysarthrias.com/wp/wp-content/uploads/2023/08/Vol.3-No.1-pp021-025_compressed.pdf)
ブローイング訓練は、摂食嚥下リハビリテーションにおける間接訓練のひとつです。 主な目的は、鼻咽腔閉鎖不全の改善、呼吸機能の向上、口唇閉鎖機能の改善の3つです。 もともとは言語聴覚療法において開鼻声や構音障害に対して用いられてきた手技ですが、嚥下リハビリへの応用も広く行われています。 co-medical.mynavi(https://co-medical.mynavi.jp/contents/therapistplus/kokushi/drill/1752/)
嚥下時、食塊が鼻腔へ逆流しないよう軟口蓋が挙上して鼻咽腔を閉鎖します。 この機能が低下すると食物の鼻腔逆流・誤嚥のリスクが高まります。 つまり、ブローイング訓練は「食べること」の安全性に直結した訓練です。 enjoyeatlife(https://www.enjoyeatlife.com/post/%E9%BC%BB%E5%92%BD%E8%85%94%E9%96%89%E9%8E%96%E8%A8%93%E7%B7%B4)
また、ブローイング訓練は口唇閉鎖機能の改善効果も期待できます。 高齢患者で口唇閉鎖力が低下している場合、食事中の食べこぼしを防ぐ訓練としても機能します。 これは使えそうです。 kitakyushu-med.or(https://www.kitakyushu-med.or.jp/pdf/20041120-3.pdf)
具体的な実施方法は、コップまたはペットボトルに水を入れ、ストローを介してブクブクと泡立てるように息を吐くものです。 強さの調節にはペットボトルのキャップの締め加減を利用すると、抵抗を段階的に上げることができ、訓練効果アップにつながります。 houmonshika(https://houmonshika.net/oralcare/63/)
すべての嚥下障害患者に一律に行えばよいわけではありません。 ブローイング訓練の効果が発揮されやすいのは、軽症から中等症の鼻咽腔閉鎖不全の症例です。 dysarthrias(https://www.dysarthrias.com/wp/wp-content/uploads/2023/08/Vol.3-No.1-pp021-025_compressed.pdf)
特に重要なのが「口腔内圧の維持」ができるかどうかです。 ストローを口唇でしっかり保持でき、一定の呼気圧をかけられる患者さんであれば、訓練への参加が成立します。 口唇閉鎖が著しく不良な場合は、ストロー保持自体を先に練習する段階的アプローチが有効です。 dysarthrias(https://www.dysarthrias.com/wp/wp-content/uploads/2023/08/Vol.3-No.1-pp021-025_compressed.pdf)
日本摂食嚥下リハビリテーション学会がまとめた「訓練法のまとめ(2014年版)」では、ブローイング訓練はソフトブローイング(弱い呼気)が軟口蓋の挙上促進に有効とされています。 力任せの強い呼気は必ずしも有効ではない点は見落とされがちです。 ソフトが原則です。 kaken.nii.ac(https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-23650328/23650328seika.pdf)
脳血管障害や神経疾患による後天性鼻咽腔閉鎖不全でも対象になり得ます。 長寿社会においてこの病態は増加傾向にあり、歯科従事者が早期に関与できる場面は今後さらに増えると考えられます。 kaken.nii.ac(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-20K19440)
参考:日本摂食嚥下リハビリテーション学会による訓練法エビデンスの詳細はこちらで確認できます(鼻咽腔閉鎖訓練の適応と方法の解説あり)
日本摂食嚥下リハビリテーション学会「訓練法のまとめ(2014年版)」PDF
「ブローイング=万能」という認識は危険です。 重度の鼻咽腔閉鎖不全では、ブローイング時の口腔内圧と口蓋帆挙筋の活動が相関せず、ブローイングによって鼻咽腔閉鎖機能が賦活されないどころか、効果がないとする指摘が研究で示されています。 dysarthrias(https://www.dysarthrias.com/wp/wp-content/uploads/2023/08/Vol.3-No.1-pp021-025_compressed.pdf)
これは見逃すと訓練時間を無駄にする重大な落とし穴です。 効果が出ていない状況を見抜くには、訓練前後のブローイング検査(鼻息鏡など)で鼻からの空気漏れを確認することが有効です。 enjoyeatlife(https://www.enjoyeatlife.com/post/%E9%BC%BB%E5%92%BD%E8%85%94%E9%96%89%E9%8E%96%E8%A8%93%E7%B7%B4)
また、やりすぎによる過呼吸も注意が必要です。 特に高齢者や体力が低下した患者では、短時間・少回数から始めて様子を確認しながら進めます。 回数より質が条件です。 houmonshika(https://houmonshika.net/oralcare/63/)
さらに、ブローイング訓練は嚥下の「喉頭挙上」や「声門閉鎖」には直接作用しません。 誤嚥リスクの高い症例には、ブローイング単独ではなく、複数の訓練を組み合わせたプログラムが求められます。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1552202131)
ペットボトルブローイングは、通常のストロー吹きにひと手間加えることで段階的な負荷調整が可能です。 キャップを緩めると呼気の抵抗が弱くなり、締めると抵抗が強まります。 これを使えばリハ段階に応じた調整ができます。 youtube(https://www.youtube.com/watch?v=8fkF57t38_k)
具体的な改良方法は、ペットボトルの側面にストローが通る程度の小さな穴を開け、飲み口部分にはキャップを残しておく方法です。 キャップの締め加減でブクブクの難易度を調節できます。 抵抗の強さは患者の状態に合わせて設定します。 youtube(https://www.youtube.com/watch?v=8fkF57t38_k)
この「調節式ペットボトルブローイング」のメリットは、患者本人が自宅でも継続しやすいことです。 特別な機器を必要とせず、日常的に入手できるペットボトルとストローだけで実施できるため、在宅でのセルフケアとして指導しやすい点は歯科衛生士にとっても実践的です。 これは使えそうです。 youtube(https://www.youtube.com/watch?v=8fkF57t38_k)
日本摂食嚥下リハビリテーション学会の「訓練法のまとめ」でもペットボトルブローイングは取り上げられており、呼気圧の視覚的フィードバック効果も利点のひとつとされています。 泡立ちで「今どのくらい吹けているか」が患者自身に分かる点は、モチベーション維持にも役立ちます。 kaken.nii.ac(https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-23650328/23650328seika.pdf)
ブローイング訓練の効果は単独よりも他の訓練との組み合わせで最大化されます。 特に有効な組み合わせとして、以下が挙げられます。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1552202131)
enjoyeatlife(https://www.enjoyeatlife.com/post/%E9%BC%BB%E5%92%BD%E8%85%94%E9%96%89%E9%8E%96%E8%A8%93%E7%B7%B4)
enjoyeatlife(https://www.enjoyeatlife.com/post/%E9%BC%BB%E5%92%BD%E8%85%94%E9%96%89%E9%8E%96%E8%A8%93%E7%B7%B4)
jibika.or(https://www.jibika.or.jp/owned/healthy-aging/swallowing.html)
natalie-dental-support(https://www.natalie-dental-support.com/remedy.html)
また、近年の研究では吸気(息を吸う動作)を用いた鼻咽腔閉鎖機能の訓練がブローイング等の呼気訓練よりも軟口蓋の挙上が高いという結果が示されています。 鼻咽腔閉鎖機能は「吹く」よりも「吸う」ほうが強く関係するというのは、多くの臨床家にとって意外な事実です。 意外ですね。 kaken.nii.ac(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-20K19440)
歯科従事者が摂食嚥下リハビリに関与する機会は、訪問歯科・口腔ケアの現場において非常に多いです。 ブローイング訓練を含む間接訓練の正しい知識を持ち、適応をアセスメントできることは、チーム医療における歯科の貢献度を高める直接的な要素となります。 houmonshika(https://houmonshika.net/oralcare/63/)
参考:摂食嚥下障害の治療・訓練の概要(適応別の訓練法一覧含む)
摂食嚥下障害の治療とリハビリ概要 – Natalie Dental Support
参考:嚥下障害予防のための訓練法(日本耳鼻咽喉科学会)
嚥下障害の予防とケアで健康長寿を – 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会