実は、嚥下食を通販で購入した患者が誤った食形態を選び、誤嚥性肺炎で入院するケースが年間数万件報告されています。
嚥下食の通販市場は近年急速に拡大しており、楽天市場だけで「嚥下食」の検索結果が1,000件を超える商品数となっています 。冷凍タイプのやわらか食や嚥下調整食を自宅に届けるサービスが普及し、患者が医療機関を経由せずに自己判断で購入するケースが増えています。歯科医従事者にとってこの流れは無視できません。 search.rakuten.co(https://search.rakuten.co.jp/search/mall/%E5%9A%A5%E4%B8%8B%E9%A3%9F/)
口腔状態を専門的に評価できる立場として、歯科医・歯科衛生士は嚥下食選定に深く関与できます。患者から「どの食品を買えばいいですか」と相談される場面は確実に増えています。それは歯科の専門性を活かせるチャンスです。
通販で購入できる嚥下食には、「あいーと(イーエヌ大塚製薬)」「ウェルネスダイニング」「口福膳かんさい」など複数のメーカーが参入しています 。価格帯や食形態レベル、原材料が異なるため、患者に合ったものを選ぶには基礎知識が必要です。 ieat-onlineshop(https://www.ieat-onlineshop.jp)
嚥下食には複数の分類体系が混在しており、通販商品のラベルや説明文も表記がまちまちです。つまり「舌でつぶせる」という表記一つをとっても、複数の基準が混在しているということですね。
日本摂食嚥下リハビリテーション学会が策定した学会分類2021は、コード0j(ゼリー状)からコード4(形のある普通食に近い軟食)まで5段階に分類されます 。医療・介護施設での食事提供基準として活用されており、嚥下評価と直結した分類です。 jsdr.or(https://www.jsdr.or.jp/news/news_20210907.html)
一方、日本介護食品協議会が2002年に策定したユニバーサルデザインフード(UDF)は、「容易にかめる(区分1)」「歯ぐきでつぶせる(区分2)」「舌でつぶせる(区分3)」「かまなくてよい(区分4)」の4区分で表示されます 。通販商品のほとんどはこのUDF表示を採用しています。 healthscienceshop.nestle(https://healthscienceshop.nestle.jp/blogs/isocal/knowledge-carefood-005-index)
| 分類 | 区分数 | 主な使用場面 | 通販表示 |
|---|---|---|---|
| 学会分類2021 | 5段階(コード0〜4) | 医療・介護施設の食事処方 | ほぼ使われない |
| UDF(ユニバーサルデザインフード) | 4区分 | 市販・通販商品のラベル | 主流の表示方法 |
| 嚥下食ピラミッド | 6段階(L0〜L5) | リハビリ・教育現場 | 一部商品に記載あり |
参考:嚥下調整食の分類体系について専門的な解説があります。
歯科医従事者が通販商品を評価する際に確認すべきポイントは3つあります。これが基本です。
① 食形態と口腔機能の一致確認
義歯の適合度・残存歯数・舌圧・開口量など、口腔機能評価の結果と食形態レベルを照合します。たとえばUDF区分3(舌でつぶせる)の商品は、舌圧が30kPa以上あることが目安とされています。義歯不適合で咬合力が著しく低下している患者には区分4が適しています。歯科には這を評価する道具がそろっています。
② とろみの要否と粘度設定
嚥下食と並んでとろみ調整が重要です。通販では「やわらか食」のおかずのみ販売していて液体のとろみは別途対応が必要な場合がほとんどです。水分でむせやすい患者の場合は、とろみ剤(例:「つるりんこQuickly」「ネオハイトロミールNEXT」など)の使用指導と組み合わせる必要があります。これは使えそうです。
③ 栄養密度と1食あたりのエネルギー量
低栄養リスクがある在宅高齢者の場合、1食あたりのエネルギー量と主要栄養素のバランスが重要です。凍結含浸法(特許技術)を用いた商品では、通常の軟食より1食あたり250〜300kcal程度確保しやすくなっています 。患者の体重・BMI・食事回数などを考慮して商品を提案します。 store.shopping.yahoo.co(https://store.shopping.yahoo.co.jp/shokutakunomeii/bo-07ge.html)
通販で入手しやすく品質が安定しているブランドを歯科従事者として把握しておくと、患者への説明がスムーズになります。主要ブランドは把握するのが原則です。
🥇 あいーと(イーエヌ大塚製薬):見た目を通常食と同様に保ちながら舌でつぶせるやわらかさを実現した高機能食品です 。食欲低下を防ぐ「見た目の維持」という点で患者の食へのモチベーション維持に寄与します。公式オンラインショップで直接購入が可能です。 ieat(https://www.ieat.jp)
🥈 ウェルネスダイニング:専門家が選ぶやわらか食ランキングで1位を獲得しており、3段階のやわらかさ設定から選べる点が患者のニーズに対応しやすいです 。定期配送にも対応しており、在宅療養者への継続支援に向いています。 zaitaku-st(https://zaitaku-st.com/meal/yawaraka-rank/)
🥉 口福膳かんさい(愛知県犬山市):昭和47年創業の日本料理店が手がける嚥下食で、和食の見栄えにこだわった商品が揃います 。食事を楽しむ「美しさ」を重視する患者やその家族に支持されています。 kofukuzen(https://www.kofukuzen.com)
参考:複数のやわらか食・嚥下食メーカーを実食比較した専門家のランキング情報があります。
2024年度の介護報酬改定で新設された口腔連携強化加算は、歯科医療機関が訪問介護・訪問看護などの介護サービス事業所と連携して利用者の口腔状態を早期把握・対応する仕組みを評価するものです 。この加算の算定プロセスで「食形態の見直し」が明示されており、嚥下食の選定が歯科業務と公式に結びつきました。 net-dental.co(https://net-dental.co.jp/dn_patient_post/%E3%83%AA%E3%83%8F%E3%83%93%E3%83%AA%E3%83%86%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB%E5%80%8B%E5%88%A5%E6%A9%9F%E8%83%BD%E8%A8%93%E7%B7%B4%E3%80%81%E6%A0%84%E9%A4%8A%E3%80%81%E5%8F%A3%E8%85%94-2/)
これは歯科にとって大きなチャンスです。
連携の具体的な流れとして、①介護事業所スタッフが口腔スクリーニング → ②歯科医師・歯科衛生士が評価 → ③食形態変更が必要な場合に通販嚥下食の種別を提案、という連携サイクルが構築できます 。食形態の提案時に通販商品のUDF区分と学会分類の対応表を手元に持っておくと指導の説得力が増します。 net-dental.co(https://net-dental.co.jp/dn_patient_post/%E3%83%AA%E3%83%8F%E3%83%93%E3%83%AA%E3%83%86%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB%E5%80%8B%E5%88%A5%E6%A9%9F%E8%83%BD%E8%A8%93%E7%B7%B4%E3%80%81%E6%A0%84%E9%A4%8A%E3%80%81%E5%8F%A3%E8%85%94-2/)
参考:医科・歯科連携と口腔ケアに関する実践的なマニュアルが公開されています。
実際に嚥下食を通販で注文した患者の「食べてみたら思ったより食べにくかった」というクレームは、歯科従事者がUDF区分と口腔機能の照合を行っていなかったことに起因するケースが多いです。厳しいところですね。口腔連携強化加算の枠組みを活用することで、このミスマッチを制度的に防ぐ仕組みが整いつつあります。
参考:口腔連携強化加算の制度概要と歯科医療機関の関わり方の詳細解説があります。