あなたが薬価で滅菌精製水を買うと年間30万円の損です。
歯科医院ではオートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)やユニットの給水など、毎日の診療で極めて大量の水を消費し続けています。一般的に500ミリリットルボトルの滅菌精製水の薬価は100円前後で推移しており、決して安価なものではありません。チェアーが5台ある一般的なクリニックの場合、1日に消費する精製水は約5リットルにも上ると言われています。滅菌精製水は高いということですね。
これは500ミリリットルのペットボトルに換算すると、毎日10本分もの滅菌精製水を開封して使い捨てている計算になります。1ヶ月の診療日数を20日と仮定した場合、月に100リットル、年間で1,200リットルもの膨大な量の精製水が必要です。お風呂の浴槽が約200リットルですから、年間でお風呂6杯分もの滅菌精製水を購入している状態になります。その出費は痛いですね。
保険医療機関において、日々消費される薬剤の購入価格は医院の経営に直結する非常に重要な要素となります。薬価基準に収載されている滅菌精製水は品質が保証されていますが、すべての用途において必須というわけではありません。単なる器具の一次洗浄と高度な滅菌を必要とするオートクレーブ用とでは、求められる水質レベルが完全に異なるからです。コストの削減が基本です。
ただ闇雲にコストを下げるために水道水をそのまま使うことは、機器の故障や配管の詰まりといった重大なトラブルを引き起こすリスクがあります。日本の水道水には塩素やカルシウムなどの不純物が含まれており、これがヒーター部分に固着すると数十万円の修理費が発生してしまいます。(高額な機器の故障リスク)→(安全にコストを下げる)→(メーカーの指定水質を確認する)という手順を踏んで、取扱説明書をアプリで調べることをお勧めします。水質管理は必須です。
滅菌精製水を大量に使用した場合、その費用を材料費として保険請求で賄えるのではないかと考える方が多いかもしれません。しかし、基本診療料や処置料のなかに特定保険医療材料以外の材料費はすでに包括されているという厳格なルールが存在します。つまり、日常的な器具の洗浄やうがい用の水として使った分を、個別に薬価として算定することは不可能な仕組みなのです。非常に意外ですね。
厚生労働省のガイドラインにおいても、医療機関における衛生管理にかかる費用は基本的に技術料に含まれると明確に解釈されています。もし誤ってレセプトで過剰な請求を行ってしまうと、個別指導の対象となり、最悪の場合は返還請求や保険医の取り消し処分といったペナルティを受ける危険性すらあります。知らなかったでは済まされないのが、保険診療における算定ルールの最も恐ろしい部分だと言えるでしょう。算定要件に注意すれば大丈夫です。
ただし、一部の特殊な手術や処置において、明確に薬剤として使用した記録がある場合に限り、例外的に算定が認められるケースも存在します。例えば、特定の薬剤を溶解するためだけの専用の滅菌水として使用したとカルテに記載されている場合などがこれに該当することがあります。とはいえ、歯科診療の現場で毎日消費される滅菌精製水の大部分は、医院側の完全な持ち出しとなるのが現実の厳しいところです。注射用水だけは例外です。
保険請求のルールは非常に細かく、毎年のように改定が行われるため、常に最新の情報をキャッチアップして院内に周知しておかなければなりません。過去の常識が現在のルール違反になることも珍しくないため、定期的な情報のアップデートが医院の身を助けます。(個別指導での返還リスク)→(正しい算定ルールの把握)→(厚生労働省の最新の告示を確認する)という流れで、定期的に公式ページをブックマークして確認してください。保険適用外だけ覚えておけばOKです。
厚生労働省による基本診療料の包括範囲や特定保険医療材料の算定ルールの詳細が記載された参考ページです。
ボトルの滅菌精製水を薬価で買い続ける代わりに、院内に専用の「純水器」や「RO水生成器」を新しく導入する歯科医院が近年急増しています。初期費用として10万円から20万円程度の機器代金はかかりますが、ランニングコストは水道代と定期的なフィルター交換代のみに抑えることが可能です。水道の蛇口をひねるだけで、必要な時に必要な量だけ精製水を作り出せる利便性は、一度経験すると手放せなくなります。結論は純水器の導入です。
先ほどの例で計算した年間1,200リットル(お風呂6杯分)の消費量で比較すると、ボトル購入と純水器の維持費の差は歴然としたものになります。薬価ベースでボトルを購入すると年間約24万円かかりますが、純水器のランニングコストは年間わずか1万5千円程度に収まり、22万円以上の差額が生まれます。約22万円といえば、スタッフ1名分の月給や、最新の小型機器を導入できるほどの非常に大きな金額に相当します。純水器は使えそうです。
オートクレーブのような高温高圧で滅菌を行う機器には、水に含まれるミネラル分を徹底的に除去した純度が極めて高い「純水」が必要不可欠です。高性能な純水器を通した水であれば、薬局で購入する滅菌精製水と同等レベルの不純物のないクリアな水を作り出すことができます。厳しいヨーロッパの滅菌基準であるクラスB規格のオートクレーブであっても、適切な純水を使用することで故障のリスクを最小限に抑えられます。水質基準を満たせば問題ありません。
導入に際しては、医院の1日あたりの水使用量に合わせて、適切な処理能力を持つ機種を選定することが投資に失敗しないための最大のコツとなります。処理能力が不足していると診療のボトルネックになり、逆に過剰なスペックは無駄な設備投資となってしまいます。(ランニングコストの増大リスク)→(最適な純水器の選定)→(歯科専門の機器メーカーのカタログを取り寄せる)といった行動を取り、まずは実際のランニングコストをシミュレーションしてください。つまりコストの見直しです。
滅菌精製水を薬価で購入し続けることのデメリットは、単純な金銭的コストの流出だけにとどまらず、現場で働くスタッフの肉体的負担にも直結します。月に100リットルの水を消費するということは、重量にして100キログラムもの段ボール箱を、毎月誰かが手作業