ラジオ波焼灼術適応と保険適用対象を解説

ラジオ波焼灼術の適応基準や保険適用範囲、禁忌事項について医療従事者向けに詳しく解説します。肝がんだけでなく肺・腎・骨・乳がんにも拡大した最新の適応情報を知っていますか?

ラジオ波焼灼術の適応と保険適用

ペースメーカー植込み患者へのモノポーラ針RFAは電磁波障害リスクで原則禁忌です。


関連)https://www.hosp.kagoshima-u.ac.jp/wp-od/wp-content/uploads/2019/07/28-152_kannshikkann-baipola-pe-sume-ka-ukekomigo.pdf


📌 この記事のポイント
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保険適用が大幅拡大

2022年9月から肝がんだけでなく肺・腎・骨・骨盤内腫瘍にも保険適用が広がり、2023年12月には早期乳がんも追加されました

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適応基準の明確化

臓器ごとに異なる適応条件があり、肝がんは3cm・3個以内、早期乳がんは1.5cm以下が原則です

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禁忌事項の把握

凝固異常、大量腹水、ペースメーカー植込み例など、見落としやすい禁忌条件を正確に理解する必要があります


ラジオ波焼灼術の基本的な適応条件

ラジオ波焼灼術(RFA)は腫瘍に電極針を挿入し、約450kHzの高周波で腫瘍を60〜100℃に加熱して凝固壊死させる治療法です。1995年頃に欧米で開発され、日本では1999年頃から臨床使用が始まりました。2004年4月には肝がんに対して保険適用となり、現在では標準的な治療として位置づけられています。


関連)https://www.lab.toho-u.ac.jp/med/ohashi/gastroenterology/patient/liver/cancer_of_liver/radiofrequency_ablation.html


適応の基本は、手術困難な症例や低侵襲治療が望ましい症例です。つまり治療選択の幅が広がったということですね。ただし、すべての悪性腫瘍に適用できるわけではなく、腫瘍の大きさ・個数・位置・患者の全身状態によって適応が判断されます。


関連)https://gastro.m.u-tokyo.ac.jp/department/diseases/detail/id=163


肝臓の予備力が保たれていることも重要な条件です。肝機能が著しく低下している場合、治療後の合併症リスクが高まるため、適応外となることがあります。


関連)https://jasanoko.or.jp/departments/radiofrequency.html


ラジオ波焼灼術の臓器別適応基準

肝がんに対する適応は、腫瘍径3cm以下・3個以内が一般的です。腫瘍数が1個の場合は5cm以下まで適応可能とされています。これらの基準は「日本肝癌研究会編集『肝癌診療ガイドライン』」に基づいています。治療を完全に行うことができ、合併症を伴う確率も低くなるという理由からです。


関連)https://note.com/rabiwing01/n/ne099f3ad5748


早期乳がんへの適応は2023年12月に保険適用となりました。対象は腫瘍径1.5cm以下、単発病変、腋窩リンパ節転移および遠隔転移を認めない限局性早期乳がんに限定されます。針生検で組織学的に通常型の原発性乳管癌であることが証明されている必要があります。


関連)https://www.jbcs.gr.jp/modules/info/index.php?content_id=157


患者は術後放射線治療が実施可能であることも条件です。RFA単独ではなく、放射線治療との併用が前提となっています。


関連)https://www.jbcs.gr.jp/uploads/files/citizens/RFA10252023.pdf


肺・腎・骨・骨盤内腫瘍に対しては、2022年9月から保険適用が拡大されました。標準治療不適応または不応の症例に対して、症状緩和を含む治療目的で実施できます。類骨骨腫という良性腫瘍の一部も保険適用の対象です。


関連)https://www.jsir.or.jp/info/rfaindex/rfa_guideline/


小径腎悪性腫瘍については、肝腫瘍と同様に経皮・腹腔鏡下・開腹術での組織凝固および焼灼に使用可能です。ただし、関係学会の定める指針を遵守して実施した場合に限り算定できます。


関連)https://clinicalsup.jp/jpoc/shinryou.aspx?file=ika_2_10_1_2_2%2Fk053-2.html


ラジオ波焼灼術の禁忌事項と除外基準

凝固異常は重大な禁忌です。一般的に血小板数50,000/μL以下、PT-INR 1.5以上の場合は治療を避けるべきとされています。抗血小板薬ワーファリンを服用している患者は、治療前に薬剤を中断する必要があります。


関連)https://www.igaku-shoin.co.jp/paperplus/archive/y2024/ivrmn_03


大量腹水の存在も禁忌の一つです。腹水が多いと穿刺により肝臓が移動するため、出血や誤穿刺の原因となります。コントロール不能の腹水がある場合、出血のリスクが高いと考えられるため適応外です。


関連)https://park.itc.u-tokyo.ac.jp/livercancer/care/index.html


胆道系手術の既往がある患者は、肝膿瘍の危険性が高まるため注意が必要です。胆管手術後の症例は一般的に禁忌とされます。穿刺時の息こらえができない場合もリスクが大きいため適応となりません。


関連)https://jasanoko.or.jp/departments/radiofrequency.html


心臓ペースメーカーまたは植込み型除細動器を留置している症例は、従来のモノポーラ針では電磁波障害によるペースメーカー不全を起こす危険性があるため原則禁忌です。これは電磁波障害ということですね。人工骨等のインプラントにより対極板を貼付できず、RFAが適切でない症例も除外されます。


関連)https://www.tmhp.jp/komagome/section/geka/gekanyusen/sinryo/nyusen_radio_shoshaku.html


妊娠中または妊娠している可能性がある症例、局所の活動性の炎症や感染を合併している症例も適応除外です。画像上広範囲の乳管内病変の存在や多発病変の存在が疑われる早期乳がん症例も除外されます。


関連)https://www.jbcs.gr.jp/uploads/files/shikaku%20elearning/RFA/rfa.20231117.pdf


ラジオ波焼灼術の保険適用範囲と点数

肝悪性腫瘍に対するラジオ波焼灼療法は、K697-3として保険収載されています。2cm以内のものと、それ以外のもので点数が異なり、経皮的と腹腔鏡下・開腹・開胸でも算定方法が分かれます。


関連)https://gemmed.ghc-j.com/?p=54432


末梢神経ラジオ波焼灼療法も2023年に新たに保険適用となりました。整形外科的な外科的治療の対象とならない変形性膝関節症に伴う慢性疼痛を有する患者のうち、既存の保存療法で奏効しない患者が対象です。算定点数は1万5000点で、K697-3「肝悪性腫瘍ラジオ波焼灼療法」の「1」2cm以内のものの「ロ」その他のものを準用しています。


関連)https://gemmed.ghc-j.com/?p=54432


早期乳がんに対するラジオ波焼灼療法が保険適用となったことで、乳房の切除を伴わない治療が経済的な負担を抑えて受けることができるようになりました。他の保険適用の治療とラジオ波焼灼療法を比較し、経済的な負担をそれほど考慮することなく、より適した治療を選択できることが可能です。


関連)https://micin-insurance.jp/media/illness/illness-13/


骨悪性腫瘍、類骨骨腫及び四肢軟部腫瘍ラジオ波焼灼療法は、K053-2として一連として算定されます。標準治療不適応又は不応の症例に対して、関係学会の定める指針を遵守して実施した場合に限り算定できます。


関連)https://clinicalsup.jp/jpoc/shinryou.aspx?file=ika_2_10_1_2_2%2Fk053-2.html


保険適用の条件として、施設基準や術者の経験症例数が求められることがあります。早期乳がんRFAでは、自由診療での手技も含めてRFAの手技を熟知した施設に限定されています。これが原則です。


関連)https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002r7i6-att/2r9852000002r7zr.pdf


ラジオ波焼灼術のリスク管理と合併症対策

主な偶発症には出血、肝膿瘍、消化管穿孔が挙げられ、一般的な頻度は約3〜5%です。これらの合併症を予防するため、術前の画像評価と適切な穿刺ルートの選択が重要となります。


関連)https://jasanoko.or.jp/departments/radiofrequency.html


消化管と胆管を直接熱損傷するリスクがある位置の腫瘍は適応外となります。他臓器に近い場合や脈管に近く穿刺困難な場合も適応外です。つまり解剖学的な位置関係の評価が必須ということですね。


関連)https://park.itc.u-tokyo.ac.jp/livercancer/care/index.html


術後の観察項目として、バイタルサイン測定、発熱の有無、腹痛・疼痛の有無、穿刺部の出血の有無を確認する必要があります。焼灼療法後は入浴不可となり、3日後から発熱がなければシャワー浴が可能になります。


関連)https://www.ims-itabashi.jp/about/criticalpath/shoukaki_05.pdf


早期乳がんRFAでは、術後針生検と画像診断にて不十分な焼灼が確認された場合は早期に標準治療に切り替える対応が求められます。適応症例を絞り込むことが重要です。


関連)https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002r7i6-att/2r9852000002r7zr.pdf


出血リスクを軽減するため、抗凝固療法や抗血小板療法を受けている患者では治療前の休薬期間を設ける必要があります。止血困難が予想される症例は適応除外となります。安全性の確保が第一です。


関連)https://www.jbcs.gr.jp/uploads/files/citizens/RFA10252023.pdf


日本IVR学会が公開する「ラジオ波焼灼術(RFA)適応拡大の適正使用指針」には、各臓器別の詳細な適応基準と手技のポイントが記載されており、実施前の確認資料として有用です。


関連)https://www.jsir.or.jp/info/rfaindex/rfa_guideline/


日本乳癌学会の早期乳がんRFA適正使用指針では、患者選択規準と適応除外基準が詳細に定められており、早期乳がんへのRFA実施時の必須確認事項となっています。


関連)https://www.jbcs.gr.jp/modules/info/index.php?content_id=157