「30分前に貼れば十分」と思っていると、患者の痛みコントロールが失敗して穿刺部位の変更を余儀なくされることがあります。
リドカインテープ(ペンレス、リドカインテープ18mg など)は、皮膚表面からリドカインを浸透させて局所麻酔効果を得る貼付薬です。 添付文書の用法・用量には、適応によって明確な貼付時間が規定されており、これを守ることが安全な使用の大前提です。
関連)https://med.nipro.co.jp/servlet/servlet.FileDownload?file=01510000001MK7xAAG
適応ごとの基本貼付時間は以下のとおりです。
関連)https://med.nipro.co.jp/servlet/servlet.FileDownload?file=01510000001MK7xAAG
| 適応 | 推奨貼付時間 | 最大枚数 |
|---|---|---|
| 静脈留置針穿刺時の疼痛緩和 | 約30分間 | 1枚 |
| 伝染性軟属腫摘除時の疼痛緩和(小児) | 約1時間 | 2枚まで |
| 皮膚レーザー照射療法時(成人) | 約1時間 | 6枚まで |
「30分で十分」が基本です。ただし静脈穿刺以外の処置では、同じリドカインテープでも1時間貼付が推奨されている点に注意が必要です。
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現場では「30分前に貼る=正解」という認識が広まっていますが、処置の種類を確認せずに一律30分で対応すると、麻酔が不十分になるケースがあります。特にレーザー照射や軟属腫摘除では1時間貼付が必要であり、処置10分前に気づいても手遅れになります。
リドカインテープの麻酔効果は、リドカインが角質層を透過して真皮の神経終末に達することで発現します。 この透過には最低でも30分が必要とされていますが、皮膚の状態や個人の角質の厚みによって効果の発現に差が出ます。
関連)https://mamanurs.com/?p=2995
透析患者の経験談をまとめると、「30分前で十分な人」「1時間前がちょうどよい人」「2時間前でようやく効く人」と、体感の差は大きいです。 これは皮膚のバリア機能の個人差によるものであり、一概に全員が同じ時間で効くわけではありません。
関連)https://www.jinlab.jp/support/basic_4shunt_aspect48.html
透析シャント穿刺の場面では、穿刺の30分前を基本としつつ、患者から「以前は効かなかった」という訴えがある場合は1〜1.5時間前に変更する対応が現場では行われています。 つまり個人差への対応が必要です。
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一方、貼付時間が長くなるほど効果が上がり続けるわけではありません。血中濃度のピークは貼付から6時間前後とされており、そこまで長く貼るのは副作用リスクと見合いません。 「長く貼れば効く」は誤りです。
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効果を高めようと必要以上に長く貼り続けることは、かえってリスクを生みます。これは臨床現場でも見落とされがちなポイントです。
報告されている副作用の内訳は以下のとおりです。
関連)https://www.jshp.or.jp/content/2013/0626-1-2.pdf
- 🔴 発赤:全症例6,316例中101件(1.60%)
- 😣 そう痒(かゆみ):34件(0.54%)
- 🩹 接触皮膚炎:10件(0.32%)
- 🌑 色素沈着:頻度0.1%未満
- 🩺 皮膚剥離:テープ除去時に発生
副作用の多くは局所反応です。 ただし頻度不明ながら、ショック・アナフィラキシーという重篤な反応も報告されており、貼付後の観察は必須です。
関連)https://medical.itp.ne.jp/kusuri/shohou-20120000003652/
エムラパッチ(同系統の貼付局所麻酔薬)の添付文書では、「最大120分を超えないこと」と明記されています。 リドカインテープも同様の考え方で、長時間の使用は避けることが原則です。
関連)https://www.carenet.com/drugs/materials/pdf/300089_1219800S1027_1_02.pdf
汗をかいた状態で長時間貼り続けると、皮膚刺激が増すだけでなく、テープが剥がれて麻酔効果自体も消失します。 皮膚トラブルに注意が必要です。
関連)https://www.jinlab.jp/support/basic_4shunt_aspect48.html
正確な時間管理と貼付手順を守ることが、効果を最大化し副作用を防ぐ鍵です。現場で使える手順を以下にまとめます。
貼付前の準備
1. 穿刺予定部位を清潔なガーゼまたはウエットティッシュで拭き、完全に乾燥させる
2. 油分・汗・消毒液の残りがある状態では密着度が落ちるため、乾燥確認は必須
3. 貼付時刻を記録し、処置開始時間から逆算して剥がすタイミングも明確にする
貼付〜除去の流れ
1. テープを穿刺予定部位に隙間なく密着させる(端の浮きがあると麻酔効果が低下)
2. 静脈穿刺なら30分前、軟属腫摘除・レーザー照射なら1時間前が目安
関連)https://med.nipro.co.jp/servlet/servlet.FileDownload?file=01510000001MK7xAAG
3. 処置直前にテープを除去し、除去後すぐに穿刺・処置を開始する
関連)https://imedica.jp/%E3%80%90%E8%A8%BA%E7%99%82tips%E3%80%91%E6%B3%A8%E5%B0%84%E3%81%8C%E7%97%9B%E3%81%8F%E3%81%AA%E3%81%84%E3%83%9A%E3%83%B3%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%BC%E3%83%97%EF%BC%88%E8%B2%BC%E4%BB%98/
4. 除去後も1〜2時間は麻酔効果が持続するため、その間の観察を継続する
テープ除去後の観察も必須です。 除去後であっても皮膚反応やアナフィラキシー症状が起きる可能性があるため、処置後もバイタルと皮膚状態の確認を怠らないようにする必要があります。
関連)https://medical-tribune.co.jp/service/ndb/detail.php?blogid=ndb&entryid=1214701S1060
複数部位に貼付する場合は、1回あたりの最大枚数(成人レーザー照射で6枚まで)を超えないようにしてください。 枚数制限が条件です。
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添付文書には記載されていないものの、透析現場で実践されているユニークな工夫があります。それが「温熱との組み合わせ」です。
関連)https://www.jinlab.jp/support/basic_4shunt_aspect48.html
リドカインテープを貼った部位に温めたタオルを30分ほど当てることで、皮膚温度が上昇し、リドカインの皮膚透過速度が高まるという報告があります。 皮膚温が上がると角質層のバリア機能がわずかに低下し、脂溶性のリドカインが浸透しやすくなる可能性があります。
関連)https://www.jinlab.jp/support/basic_4shunt_aspect48.html
これは透析患者自身が経験から見つけた方法ですが、同様の原理は薬物動態学的にも一定の根拠があります。これは使えそうです。ただし、低温やけどのリスクがあるため、温度管理(40〜42℃程度が目安)と時間管理が必要です。
慢性的な穿刺によって皮膚が硬化している長期透析患者では、リドカインの浸透効率が下がる可能性があります。 そのような患者には、早めの貼付(1〜1.5時間前)に加えて、貼付前の皮膚を清潔かつ軽くマッサージしてから貼るという対応が、現場での工夫として取り入れられています。
関連)https://www.jinlab.jp/support/basic_4shunt_aspect48.html
皮膚トラブルが繰り返す患者には、毎回同じ部位への貼付を避けてローテーションすることが、接触皮膚炎や色素沈着を防ぐ実践的な対策になります。 貼付部位の記録管理が原則です。
関連)https://www.jshp.or.jp/content/2013/0626-1-2.pdf
以下のリンクは、添付文書の詳細確認と副作用情報の根拠として参考にしてください。
薬剤師・看護師が確認すべきリドカインテープ18mg「NP」の添付文書全文(日本医薬品インタビューフォーム)。
リドカインテープ18mg 医薬品インタビューフォーム(NIPRO)
透析患者への穿刺疼痛緩和の実践的な情報(日本透析医学会系サイト)。
患者・家族のお役立ち情報【第48回】穿刺!麻酔テープ剤(じんラボ)
副作用発現頻度の統計データ(日本病院薬剤師会 貼付用局所麻酔剤の使用実態調査)。
貼付用局所麻酔剤の副作用データ(日本病院薬剤師会)