IgE検査で陰性でも、あなたの患者がアナフィラキシーを起こすことがあります。
即時型アレルギーの第一選択として広く使われているのが、特異的IgE抗体検査(VIEW39)です。 1回の採血で39種類のアレルゲンを一度に測定できる利便性から、アレルギー疾患のスクリーニングとして多くの医療機関で採用されています。費用は3割負担で約4,400円、1割負担で約1,500円(別途診察料あり)と保険診療内で対応可能です。 soujinkai.or(https://soujinkai.or.jp/himawariNaiHifu/view39-rast/)
検査対象には食物・吸入系の両方が含まれます。食物系では卵白・オボムコイド・ミルク・小麦・ソバ・米・大豆・ピーナッツ・ゴマ・エビ・カニ・サバ・マグロ・サケなど、吸入系ではスギ・ヒノキ・カモガヤ・ハウスダスト・ダニ・ネコ・イヌ・カビ類などが含まれます。つまり、食物と環境両面から患者の感作状況を一括で把握できるのが強みです。 afew-clinic(https://www.afew-clinic.jp/allergy/)
ただし保険適用には条件があります。アナフィラキシーの既往があってエピペン®またはネフィー®の処方を希望する場合が保険の主な適用条件となり、無症状での多項目スクリーニングは自費扱いになることが多い点に注意が必要です。「症状があること」が保険適用の前提です。 ys-med(https://www.ys-med.com/allergy/test/)
「IgE検査で陰性なら安心」という判断が、臨床上の最大の落とし穴の一つです。アレルギー症状があり、問診・臨床症状から原因アレルゲンと疑われる症例でも、特異的IgE検査が陰性になる割合は約1割あると報告されています。これはおよそ10人中1人が見落とされる可能性があるということです。 crc-group.co(https://www.crc-group.co.jp/crc/q_and_a/185.html)
偽陰性になりやすいケースは主に3パターンあります。 med.suzuya-auto(https://med.suzuya-auto.com/sokujigataareruierabikatawokaisetsu.html)
逆に、偽陽性の問題も深刻です。食物系の特異的IgE検査では、陽性と判定された項目の50〜60%は実際には症状が出ない偽陽性とも言われています。これはほぼコイントスに近い確率です。IgE陽性=食物アレルギーという等式は成立しません。 med.suzuya-auto(https://med.suzuya-auto.com/sokujigataareruierabikatawokaisetsu.html)
偽陽性に基づいて食物除去を指示してしまうと、患者の栄養バランスや生活の質(QOL)を不必要に損なうリスクがあります。これは注意が必要です。アレルギー診断において最重要なのは「検査の数値」ではなく「実際の臨床症状」であり、問診・症状歴との照合を必ず行うことが鉄則です。 kagayaki-cl(https://kagayaki-cl.jp/column/%E9%A3%9F%E7%89%A9%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC%E6%A4%9C%E6%9F%BB%EF%BC%9A%E3%80%8C%E9%99%BD%E6%80%A7%EF%BC%9D%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC%E3%80%8D%E3%81%AE%E8%AA%A4/)
参考:IgE陰性でも症状が出るケースについての詳細な解説(CRCグループ医療Q&A)
https://www.crc-group.co.jp/crc/q_and_a/185.html
血液検査と並んで重要な検査法が、皮膚プリックテストです。プリックテストは日本アレルギー学会でも欧米でも推奨されている検査法で、プリック針でアレルゲンを少量皮膚内に入れ、15分後に出現した膨疹径で陽性・陰性を判定します。血液を採取する必要がなく、即時に結果が出る点が特徴です。 jsaweb(https://www.jsaweb.jp/modules/stwn/index.php?content_id=18)
しかし安全管理を怠ると重大なリスクがあります。皮膚試験は、オープンテスト→プリックテスト→スクラッチテスト→prick to prickテスト→皮内テストの順で、体内に吸収されるアレルゲン量が増加します。抗原量が多くなるほどアナフィラキシーを誘発するリスクが高まります。 kango-roo(https://www.kango-roo.com/learning/8729/)
参考:日本アレルギー学会によるプリックテストの実施方法と安全管理の解説
https://www.jsaweb.jp/modules/stwn/index.php?content_id=18
通常のVIEW39だけでは拾えないアレルゲンを特定するために有効なのが、アレルゲンコンポーネント特異的IgE検査です。単一のタンパク質(コンポーネント)を抗原として使う検査で、複数のアレルゲンに共通するタンパク質への感作を切り分けることができ、偽陰性を減らす効果が確認されています。 sakura-hihuka(https://sakura-hihuka.com/contents/allergie/allergie_09.html)
たとえばピーナッツアレルギーを疑う場合、通常の特異的IgE検査では「ピーナッツ」として一括で測定されます。しかしコンポーネント検査(Ara h 2など)を加えることで、交差反応性によるノイズを除き、真の感作かどうかをより精密に判断できます。これは使えそうです。
また、アニサキスの問題も見落とされがちです。サバやイカ、タラなどを食べた後に蕁麻疹や即時型アレルギー症状が出た場合、魚介類そのものではなくアニサキス特異的IgEが原因であることがあります。この場合、魚介類のIgE検査だけを調べても陰性となる可能性があり、アニサキス特異的IgEを同時に測定することが推奨されます。 crc-group.co(https://www.crc-group.co.jp/crc/q_and_a/185.html)
参考:偽陰性・偽陽性リスクとコンポーネント検査の活用に関する皮フ科医の解説
https://sakura-hihuka.com/contents/allergie/allergie_09.html
血液検査・皮膚テストが揃っても、確定診断には食物経口負荷試験(OFC:Oral Food Challenge)が必要なケースがあります。特異的IgE検査で陽性が出ても実際に症状が出るかどうかは不明なことが多く、食物除去の判断を精緻化するためにOFCは有力な選択肢です。 sakura-hihuka(https://sakura-hihuka.com/contents/allergie/allergie_09.html)
OFCの適応として代表的なのは以下のような状況です。
OFCを実施する際は安全管理体制の整備が前提です。アドレナリン投与と急変対応が即時に行える環境下でのみ実施します。皮膚試験と同様、アナフィラキシーのリスクがあるため、点滴・アドレナリン製剤・救急カートの準備は必須です。OFCを外来で行う場合、設備面の要件を事前に確認することが条件です。 kango-roo(https://www.kango-roo.com/learning/8729/)
OFCの結果が食物アレルギー診療の質を大きく左右します。数値だけで食物除去を長期継続させると、経口免疫寛解の機会を失うことにもつながります。検査項目の選択→症状確認→OFCの流れを体系的に組み立てることが、即時型アレルギー診療における標準的なアプローチです。 kagayaki-cl(https://kagayaki-cl.jp/column/%E9%A3%9F%E7%89%A9%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC%E6%A4%9C%E6%9F%BB%EF%BC%9A%E3%80%8C%E9%99%BD%E6%80%A7%EF%BC%9D%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC%E3%80%8D%E3%81%AE%E8%AA%A4/)
参考:食物アレルギーの診断における食物経口負荷試験の位置づけ(厚生労働省関連資料)
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/02/dl/s0225-5n_3.pdf