あなたの紹介状、2025年以降は旧版表記だと話がズレます。
歯科医従事者にとって、肺癌のTNM分類は一見すると呼吸器内科や呼吸器外科だけの話に見えるかもしれません。ですが、抜歯前の全身状態確認、周術期口腔機能管理、がん治療中の口腔有害事象対応では、病期の理解が治療連携の速度と精度を左右します。
kanehara-shuppan.co(https://www.kanehara-shuppan.co.jp/_data/ebooks/20485T/pageindices/index2.html)
特に第9版では、T分類は変更なしなのに、N分類とM分類の細分化によって病期の受け止め方が少し変わりました。ここを知らないまま紹介状や診療情報提供書を読むと、同じ「肺癌」でも重症度のイメージがずれてしまいます。
ebiotrade(https://www.ebiotrade.com/newsf/2025-8/20250816002739595.htm)
今回の記事では、歯科外来で本当に使う観点に絞って、第9版の変更点、病期の読み方、患者説明への落とし込み、そして上位記事では触れられにくい歯科連携の実務まで整理します。つまり連携のための知識です。

まず全体像です。第9版で大きく変わったのはT分類ではありません。変更の中心は、N2がN2aとN2bに分かれたこと、M1cがM1c1とM1c2に分かれたことです。
hokuto(https://hokuto.app/post/mbPnPEbsbdxm8yEGgZri)
N2aは単一ステーションのN2転移、N2bは複数ステーションのN2転移です。M1c1は胸腔外1臓器への多発転移、M1c2は胸腔外多臓器への多発転移を指します。結論は細分化です。
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ここで意外なのは、読者が「第9版ならT分類も大きく変わったはず」と想像しやすい点です。しかし実際には、第8版で大きく改訂されたT分類は第9版で変更なしと案内されています。これは意外ですね。
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歯科医従事者が押さえるべき意味はシンプルです。同じN2でも転移の広がりが1か所なのか、複数か所なのかで病期の扱いが変わりうる、ということです。つまりN2の中身確認です。
病期表だけ暗記しようとすると混乱します。そこで、まずは「第9版はTをいじらず、N2とM1cを細かく分けた」と覚えると、紹介状を読むスピードがかなり上がります。ここだけ覚えておけばOKです。
参考リンク:日本肺癌学会の告知で、第9版の要点、TNM概要、病期表までまとめて確認できます。
日本肺癌学会|肺癌取扱い規約第9版の改訂に関する件
第9版では、N2の細分化に伴って一部の病期が動きます。代表例として、第8版のT1N1M0はIIB期でしたが、第9版ではIIA期に変わります。またT1N2M0は、第9版ではN2aならIIB期、N2bならIIIA期です。
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さらにT2N2M0は、第9版ではN2aならIIIA期、N2bならIIIB期です。T3N2M0もN2aならIIIA期、N2bならIIIB期となり、同じN2でも単一か複数かで病期が分かれます。
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ここが臨床連携の山場です。病期が1段ずれるだけでも、患者さんや家族の受け止め方は大きく変わります。病期の言い換えに注意すれば大丈夫です。
一方、M1cはM1c1とM1c2に分かれても、病期としてはどちらもIVB期のままです。つまり、転移の広がりは細かく書かれるのに、ステージの大枠は同じという点が、第9版の見落としやすいポイントです。
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歯科の現場では、病期だけ見て「どちらもIVBなら同じ」と扱うと危険です。多発転移が1臓器なのか、多臓器なのかで全身状態、治療強度、通院負担、口腔ケア介入のタイミングが変わりやすいからです。つまり病期だけでは不足です。
患者説明でも同様です。「ステージ4です」だけでは情報が粗すぎます。紹介状や主治医連絡票にM1c1・M1c2まで記載があれば、歯科側も治療スケジュールを読みやすくなります。詳細表記が基本です。
参考リンク:日本呼吸器学会のお知らせでは、第8版から第9版への主な変更点と病期変更表が見やすく整理されています。
日本呼吸器学会|訂正:肺癌取扱い規約第9版の改訂に関する件
歯科医従事者がこの分類を知って得をする場面は、抜歯や侵襲的処置の前です。肺癌患者では、化学療法、分子標的薬、放射線治療、免疫療法、手術前後のどこにいるかで、感染リスクや創傷治癒、通院可能性が大きく変わります。これは実務です。
例えばN2bやM1c2という表記が見えたら、局所病変というより広がりのある病勢をまず想定できます。もちろんTNMだけで全身状態は決まりませんが、歯科治療の優先順位を考える入り口としては十分に有用です。
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ここでのメリットは時間です。紹介先へ確認すべき内容が最初から絞れます。確認項目を減らせます。
具体的には、歯科側で先に確認したいのは、現在の治療ライン、次回抗がん治療日、骨修飾薬の有無、好中球減少の既往、口腔粘膜炎の有無です。TNM第9版が読めると、単なる「肺癌あり」ではなく、病勢を踏まえた問い合わせに変わります。
その結果、主治医照会の往復回数を減らしやすくなります。1回の電話や文書で要点を押さえやすいので、患者さんの来院日変更や再予約の手間も減ります。連携効率が上がるということですね。
対策を一つに絞るなら、術前問診票か院内メモに「肺癌は第8版/第9版どちらの表記か」「N2a/N2b、M1c1/M1c2の記載有無」を確認欄として追加する方法が現実的です。確認漏れの対策という場面で、狙いは情報の取り違え防止、その候補が問診票の一行追加です。
第9版でT分類は変更なしですが、ここを軽く見てはいけません。なぜなら、病期の読み違いはNやMだけでなく、そもそものTのサイズ感を誤解したところから始まることが多いからです。
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T1は充実成分径3cm以下、T2aは3cm超4cm以下、T2bは4cm超5cm以下、T3は5cm超7cm以下、T4は7cm超または重要臓器浸潤などです。長さの感覚にすると、3cmは500円玉より少し大きい程度、5cmは一般的な付箋の短辺に近い大きさ、7cmは成人の指4本分くらいを思い浮かべると把握しやすいです。
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サイズだけではありません。臓側胸膜浸潤、主気管支への進展、無気肺、胸壁や縦隔への浸潤、同一葉内や異なる肺葉内の副腫瘍結節もT分類に関わります。つまり大きさだけではないです。
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歯科側に直接必要なのは、細かなT亜分類の暗記ではなく、局所進展が強いほど呼吸状態や全身予備能、治療侵襲が重くなりやすいという見方です。T4や広範浸潤が示されている患者さんでは、長時間の歯科治療体位や処置ストレスが負担になりやすい場面もあります。
ここで便利なのが、病期を見たら必ずT・N・Mの原文に一度戻る習慣です。ステージIIIだけ読むより、T3N2bM0のように分解して読んだほうが、診療イメージが立ちやすいからです。原文確認が原則です。
この読み方は、若手スタッフ教育にも向いています。表を丸暗記させるより、「Tは局所、Nはリンパ節、Mは遠隔転移」と整理してから症例に当てはめたほうが定着します。これは使えそうです。
検索上位の記事の多くは、呼吸器内科・外科向けに病期変更を説明しています。ですが歯科医従事者にとって本当に大事なのは、病期を診断することではなく、口腔処置の前に「どこまで確認を深くする患者か」を見分けることです。ここが独自視点です。
たとえば、同じIVBでもM1c1とM1c2では、通院継続性や栄養状態、疼痛管理、在宅移行の可能性の見え方が変わります。M1c2と読めた時点で、歯科処置を一回でまとめる発想や、口腔清掃指導を家族同席で短く確実に行う発想が出てきます。
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先回りが大切です。これが時短になります。
さらに、2025年1月から第9版適用と学会が案内しているため、旧版の病期感覚で他科文書を読むと、患者説明が微妙に食い違う恐れがあります。患者さんが「前の病院ではこう聞いた」と混乱し、説明のやり直しに時間を取られる場面もありえます。
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そのデメリットは小さくありません。説明の食い違いは、信頼低下やクレームの入口にもなります。表記年次の確認は必須です。
場面を一つ挙げるなら、術前口腔管理の依頼書に病期だけが書かれているケースです。そのときの狙いは、病勢と治療予定のズレを減らすこと、候補としては依頼元に「第9版表記か」「次回治療日」を電話で一度だけ確認する方法が現実的です。確認だけで十分です。
最後に整理すると、歯科で必要なのは肺癌TNM第9版を専門医並みに暗記することではありません。2025年以降は第9版運用が基本であり、N2a/N2b、M1c1/M1c2、病期変更の代表例を知っておけば、紹介状の理解、患者説明、処置計画がかなり安定します。結論は連携精度です。

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