
バイクのグリップヒーターが故障すると、冬のツーリングが一気に厳しいものになります。グリップヒーターの故障は、様々な症状として現れますが、最も一般的なのは「温まらない」という症状です。
主な故障の症状と原因は以下のとおりです。
特に注目すべきは、グリップヒーターの故障は単体の問題だけでなく、バイク全体の電気系統と関連している場合もあるという点です。例えば、BMW F800STのグリップヒーターでは、「中」設定時にオンオフを繰り返す仕様になっていることがあります。これは故障ではなく、バッテリーからの電流を左右のグリップに交互に振り分けるシステムによるものです。
また、経年劣化による断線は目視では確認しづらいことがあります。グリップヒーターの内部配線は迷路のように複雑に折れ曲がっているため、テスターを使用して断線箇所を特定する必要があることもあります。
グリップヒーターの断線は、最も一般的な故障原因の一つです。断線箇所を見つけるためには、以下の手順を踏むと効果的です。
BMW F800STのグリップヒーター修理例では、グリップラバーを慎重に外し、内部の断線箇所をテスターで特定した後、ハンダで修理することに成功しています。この際、使用する接着剤はゴム用のものを選ぶことで、後日グリップを再度外す必要が生じた場合にも対応しやすくなります。
断線修理の際の注意点として、基盤に針の穴を開けてテスターで確認する方法は、基盤の強度を弱め、次の断線を招く原因となる可能性があります。可能な限り、非破壊的な方法で断線箇所を特定することをお勧めします。
BMW F800STのグリップヒーター修理の詳細手順と写真付き解説
グリップヒーターのスイッチ故障は、システム全体が機能しなくなる主要な原因の一つです。スイッチが故障すると、グリップヒーター全体が動作しなくなることがほとんどです。
スイッチ故障の診断方法。
PCX125で9年使用したグリップヒーターの故障事例では、スイッチユニットを分解した際にホコリっぽさや白い腐食が見られ、スイッチユニットの故障が原因と診断されました。このケースでは、グリップ部分は問題なく、スイッチ部分だけを交換することで修理が可能でした。
スイッチ交換の利点は、グリップ本体を交換する必要がないため、作業が比較的簡単で、アクセルスロットルの樹脂パーツを破損するリスクを避けられることです。特に同じメーカーの同じモデルのスイッチが入手できれば、交換作業はさらに容易になります。
ただし、9年経過すると同じ製品が販売されていないことも多いため、互換性のある後継品を探す必要があるかもしれません。
グリップヒーターは消費電力が大きい電装品の一つで、バイクの電気系統に負荷をかけることがあります。特に電圧の問題は、グリップヒーターの性能低下や故障の原因となるだけでなく、バイク全体の電気系統にも影響を与える可能性があります。
グリップヒーター使用時の電圧問題。
電圧問題を改善する方法としては、以下のような対策が考えられます。
また、電源取得の方法も重要です。KOSO グリップヒーターの故障事例では、FUSEボックスからの電源取得が原因で正常に動作しなかったケースがありました。この場合、ストップランプから電源を取ることで問題が解決しました。
バイクの電圧問題とグリップヒーター使用時の影響についての詳細解説
グリップヒーターの故障に直面した際、DIYで修理するか専門店に依頼するか迷うことがあります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、状況に応じた最適な選択をすることが重要です。
DIY修理のメリット:
DIY修理のデメリット:
専門店依頼のメリット:
専門店依頼のデメリット:
DIY修理を選択する場合、作業の難易度を事前に評価することが重要です。例えば、スイッチの交換は比較的簡単ですが、グリップ本体の交換はハンドルからの取り外しや接着など技術を要する作業です。また、配線が苦手な場合は、最初からUSBの巻き付け式グリップヒーターを選ぶなど、自分のスキルに合った選択をすることも一つの方法です。
専門店に依頼する場合は、症状を詳しく伝え、購入履歴や保証書を用意しておくとスムーズに対応してもらえます。また、信頼できるバイク屋を選ぶことも重要です。
最終的には、故障の状況、自分の技術レベル、予算、時間的制約などを総合的に考慮して判断することをお勧めします。
グリップヒーターの故障を未然に防ぎ、長期間快適に使用するためには、適切な予防メンテナンスが欠かせません。以下に、グリップヒーターを長持ちさせるためのコツをご紹介します。
定期的な点検と清掃
適切な配線管理
電気系統への配慮
使用上の注意点
これらの予防メンテナンスを定期的に行うことで、グリップヒーターの寿命を延ばし、突然の故障を防ぐことができます。特に冬場の長距離ツーリングを控えている場合は、事前にグリップヒーターの点検を行うことで、快適なライディングを楽しむことができるでしょう。
また、グリップヒーターを購入する際は、バイクの発電能力に合った消費電力のモデルを選ぶことも重要です。発電能力を超える消費電力のグリップヒーターを使用すると、電圧低下やバッテリー上がりの原因となることがあります。