バイク イグニッション コイル 故障
![バイク イグニッション コイル 故障]()
イグニッションコイルとは
🔌
電圧を増幅する装置
バッテリーの12Vを数万Vに昇圧し、スパークプラグで火花を発生させる
⚡
点火の要
エンジン始動と安定した走行に不可欠な部品
🔧
故障の主な症状
エンジン始動不良、アイドリング不安定、パワー不足など
バイク イグニッション コイルの基本的な仕組みと役割
![]()
デイトナ(Daytona) バイク ゲルパンツ 二重構造 ハニカムゲル お尻の痛み軽減 DI-009 ブラック Lサイズ 32498
イグニッションコイルは、バイクのエンジンを動かすために欠かせない重要な部品です。基本的には変圧器の一種で、バッテリーやジェネレーターから供給される12Vの低電圧を、スパークプラグが火花を飛ばすのに必要な20,000〜35,000Vもの高電圧に昇圧する役割を担っています。
イグニッションコイルの内部構造は、鉄の芯(センターコア)に2種類のコイルが巻かれています。
- 1次コイル:0.5〜1mm程度の銅線を200〜300回巻いたもの
- 2次コイル:0.05〜0.1mm程度の銅線を20,000〜30,000回巻いたもの
この2つのコイルの巻数の差によって電圧の増幅が行われます。1次コイルに電流が流れると鉄芯に磁界が発生し、この電流を遮断すると「自己誘導作用」により高い電圧が発生します。同時に「相互誘導作用」によって2次コイルにも高電圧が誘導され、これがスパークプラグに送られて火花を発生させるのです。
最近のバイクでは、プラグキャップとイグニッションコイルが一体化した「ダイレクトイグニッションコイル」も増えてきています。これはプラグコードが無いため電気抵抗による電圧低下が抑えられ、より強い火花を発生させることができるという利点があります。
バイク イグニッション コイル故障の主な原因と経年劣化
イグニッションコイルが故障する原因はいくつかありますが、最も一般的なのは経年劣化です。長期間の使用によってコイル線が劣化し、絶縁体が損傷したり、断線したりすることがあります。特に古いバイクや絶版車は要注意です。
イグニッションコイルの故障原因を詳しく見ていきましょう。
- 経年劣化。
- 長期間の使用によるコイル線の劣化
- 絶縁体の損傷や断線
- 熱膨張と収縮の繰り返しによる配線の損傷
- 高温や湿気による劣化。
- エンジンルーム内の高温環境がコイルの寿命を縮める
- 湿度の高い環境ではコイル内部の絶縁体が劣化しやすい
- 水濡れによる錆や腐食(洗車、雨、冬の凍結解けなど)
- 電圧不足や過電流。
- バッテリーの弱りやオルタネーターの故障による電圧不足
- バッテリーの過充電や配線のショートによる過電流
- 電気的ストレスによる内部焼き付き
- 振動によるダメージ。
- バイク走行時の継続的な振動
- 取り付け部の緩みによる接触不良
これらの原因が重なることで、イグニッションコイルの故障リスクは高まります。特に10年以上経過した古いバイクでは、経年劣化と高温環境の影響で故障する可能性が高くなります。
定期的な点検を行い、取り付け部の緩みや配線の状態をチェックすることで、早期に問題を発見し対処することが重要です。
バイク イグニッション コイル故障時に現れる典型的な症状
イグニッションコイルが故障すると、バイクにはいくつかの特徴的な症状が現れます。これらの症状を早期に発見することで、大きなトラブルを未然に防ぐことができます。
エンジン始動に関する症状
- エンジンがかかりにくい、またはまったくかからない
- セルを回しても始動しない
- キックスターターを何度踏んでも反応がない
アイドリング時の症状
- アイドリングが不安定になる
- エンジンが突然止まる(エンスト)
- 不規則なエンジン音や振動
走行中の症状
- 加速時にパワーが出ない
- 走行中の急なエンスト
- 特定の回転域でエンジンが息継ぎをしたような挙動
- 燃費の悪化
特徴的な現象
- エンジンが暖まると症状が出やすくなる(冷えているときは正常に動作する)
- 特定の気筒だけ不調(複数気筒のバイクの場合)
- 雨天時や湿度の高い日に症状が悪化する
イグニッションコイルの故障の特徴として、「エンジンが暖まると症状が出やすい」という点が挙げられます。これは配線を流れる電気抵抗が温度によって変化するためです。朝は問題なく始動し走行できても、エンジンが温まってくると突然調子が悪くなるような場合は、イグニッションコイルの不調を疑ってみる価値があります。
ただし、これらの症状はイグニッションコイル以外の原因(スパークプラグの劣化、燃料系統の問題、バッテリー不良など)でも起こり得るため、確実な診断にはテスターを使用してコイルの抵抗値を測定するなど、専門的な点検が必要です。
バイク イグニッション コイルの交換方法と必要な工具
イグニッションコイルの故障が確認されたら、交換作業が必要になります。基本的な手順と必要な工具をご紹介します。
必要な工具
- 適合するサイズのレンチやソケットレンチ
- プラスドライバー、マイナスドライバー
- デジタルマルチテスター(抵抗値測定用)
- ワイヤーブラシ(端子の清掃用)
- 接点グリス
- 工具セット(車種によって異なる)
交換手順
- 準備作業
- バイクを安全な場所に停め、エンジンを十分に冷やす
- バッテリーのマイナス端子を外し、電源を遮断する
- 必要に応じてガソリンタンクを取り外す(車種により異なる)
- 古いイグニッションコイルの取り外し
- イグニッションコイルのステーを固定しているボルトを外す
- プラグコードを慎重に外す
- 配線の端子を外す(この時、配線の接続位置をメモするか写真を撮っておくと良い)
- 端子の清掃と点検
- 端子部分に錆びや汚れがあれば、ワイヤーブラシなどで清掃する
- 配線に損傷がないか確認する
- 新品のイグニッションコイルの取り付け
- 新しいイグニッションコイルに配線を接続する
- 端子部分に接点グリスを塗布すると接触不良を防止できる
- プラグコードを接続する
- ステーを元の位置に固定する
- 動作確認
- バッテリーのマイナス端子を接続する
- ガソリンタンクなど取り外した部品を元に戻す
- エンジンを始動して正常に動作するか確認する
交換時の注意点
- 4気筒など複数のプラグコードやイグニッションコイルがある場合は、配線やプラグコードを取り外す前に印をつけるなどして、取り付け位置を間違えないようにする
- コイルの型番が合っているか必ず確認する
- 端子部分は確実に接続し、緩みがないようにする
- 交換後は必ず試運転を行い、症状が改善されたか確認する
イグニッションコイルの交換費用は、部品代が5,000〜8,000円程度、工賃が3,000〜5,000円程度が相場です。自分で交換する場合は工賃が不要になりますが、車種によっては作業が複雑になることもあるため、自信がない場合は専門店に依頼することをおすすめします。
バイク イグニッション コイルの性能向上と高性能品への交換効果
標準装備のイグニッションコイルから高性能品に交換することで、バイクの性能向上が期待できる場合があります。特に古いバイクや絶版車では、点火系の弱さを補うためにアフターマーケット品への交換が効果的なケースがあります。
高性能イグニッションコイルの特徴
- より高い電圧を発生させる能力
- 安定した点火性能
- 耐熱性・耐久性の向上
- 幅広い回転域での安定した性能
交換による主なメリット
- 始動性の向上。
冷間時や高温時の始動性が改善され、エンジンがかかりやすくなります。
- 燃焼効率の向上。
より強力な火花によって燃焼効率が上がり、パワーアップや燃費改善につながることがあります。
- 高回転域での安定性向上。
標準品では高回転時に電圧が不足しがちですが、高性能コイルではより安定した点火が可能になります。
- プラグの寿命延長。
適切な電圧で点火することで、スパークプラグの消耗を抑えられる場合があります。
人気の高性能イグニッションコイル
市場では様々なアフターマーケット品が販売されていますが、特に旧車バイク界隈で人気なのがウオタニ(WATANABE)のイグニッションコイルです。ウオタニのSP2やSPIIシリーズは、標準品と比較して高い電圧を発生させる能力を持ち、特に古いバイクの点火系を強化するのに効果的と言われています。
交換時の注意点
高性能イグニッションコイルに交換する際は、以下の点に注意が必要です。
- バイクの車種に適合するモデルを選ぶ
- 他の点火系部品(プラグ、プラグコード等)との相性
- 取り付けスペースの確認
- 電装系統への負荷増加の可能性
高性能イグニッションコイルへの交換は、特に以下のようなケースで効果を発揮します。
- 絶版車や旧車など、元々の点火系が弱い車種
- 高回転域でのパワー不足を感じる場合
- エンジンのチューニングを行っている場合
- 始動性の改善を求める場合
ただし、新しいバイクや既に十分な性能を持つモデルでは、交換による効果が限定的な場合もあります。交換を検討する際は、自分のバイクの状態や求める効果をよく考慮することが大切です。
「点火系が弱い絶版車」変え時?イグニッションコイル交換!- 旧車バイク向けのイグニッションコイル交換の効果について詳しく解説されています
バイク イグニッション コイル故障を予防するためのメンテナンス方法
イグニッションコイルの故障を未然に防ぐためには、定期的なメンテナンスが重要です。適切なケアを行うことで、コイルの寿命を延ばし、突然のトラブルを避けることができます。
日常的な点検項目
- 外観チェック
- イグニッションコイルに亀裂や変色がないか確認
- プラグコードの劣化や損傷をチェック
- 取り付け部の緩みがないか確認
- 電気系統の点検
- バッテリー電圧の確認(弱っているバッテリーはコイルに負担をかける)
- 配線の接続状態をチェック
- 端子部分の錆びや腐食がないか確認
- 防水対策
- 洗車後は点火系統を十分に乾燥させる
- 雨天走行後は水分を拭き取る
- 必要に応じて防水スプレーなどで保護
定期的なメンテナンス
- 端子の清掃と保護
- 6ヶ月〜1年に一度、端子部分を清掃
- 接点グリスを塗布して酸化を防止
- 端子の締め付け具合を確認
- 抵抗値の測定
- テスターを使ってコイルの抵抗値を測定(サービスマニュアルの規定値と比較)
- 異常値が出た場合は早めに交換を検討
- 関連部品のチェック
- スパークプラグの状態確認と定期交換
- プラグキャップの点検
- CDIユニットやイグナイターの動作確認
長期保管時の注意点
長期間バイクを使用しない場合は、以下の点に注意しましょう。
- バッテリーを取り外すか、充電器を接続して保管
- 湿気の少ない場所に保管
- カバーをかけて保護
イグニッションコイルの寿命を延ばすコツ
- 過度な負荷を避ける
- 適切な電装品の使用
- バイクの電装容量を超える電装品の追加は避ける
- 純正規格に合ったバッテリーを使用
- 定期的なエンジンオイル交換
![]()
ザ・バイクライダーズ