バイク 点火系 故障の症状とイグナイター修理方法

バイク 点火系 故障の症状とイグナイター修理方法

バイク 点火系 故障

バイク点火系統のトラブル対処法
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故障の主な症状

エンジン始動不良、走行中のエンスト、パワー不足などが代表的な症状です。

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点検の基本ステップ

プラグ、配線、イグナイター、イグニッションコイルの順に点検します。

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修理費用の目安

イグナイター交換で1.3〜2.5万円、イグニッションコイル交換で5,000円〜1万円程度が相場です。

バイク 点火系 故障の主な症状と原因

バイクの点火系統に問題が生じると、様々な症状が現れます。これらの症状を早期に察知することで、大きなトラブルを未然に防ぐことができます。

 

主な症状としては以下のようなものがあります。

  • エンジンがかからない、または始動しにくい
  • 走行中に突然エンストする
  • アイドリングが不安定になる
  • 加速時のパワー不足を感じる
  • 高回転時にエンジンが不調になる

これらの症状は、点火系統の主要部品である「イグナイター」「イグニッションコイル」「スパークプラグ」などの故障や劣化によって引き起こされます。特に経年劣化や熱、湿気などの環境要因によって、電装部品は徐々に性能が低下していきます。

 

古いバイクに多く搭載されている「ポイント点火装置」は、接点の汚れや摩耗によって不具合が生じやすい傾向があります。この装置はエンジンの回転に合わせて常に開閉を繰り返すため、負担が大きく故障しやすい特徴があります。

 

バイク イグナイターの故障診断と点検方法

イグナイターはバイクの点火系統において重要な役割を担う電子部品です。エンジンの回転信号を元に点火タイミングを決定し、適切なタイミングでスパークプラグに火花を飛ばすよう制御しています。このイグナイターに故障が生じると、エンジンの始動不良や走行中のトラブルの原因となります。

 

イグナイター故障の診断方法としては、以下の手順で点検を行います。

  1. まず基本的な点検として、スパークプラグを取り外し、プラグのねじ山部分をフレームにアースさせた状態でキックやセルでエンジンを回します。

     

  2. このとき、正常な火花が飛ぶかどうかを確認します。火花が弱い、または飛ばない場合は点火系統に問題がある可能性が高いです。

     

  3. プラグやプラグコード、イグニッションコイルに問題がない場合は、イグナイターの故障を疑います。

     

より詳細な点検には、検電テスターを使用してイグナイターの各リード線間の抵抗値を測定する方法があります。ただし、この点検には車種ごとのサービスマニュアルが必要となります。マニュアルには正常な抵抗値の範囲が記載されているため、測定値と比較することで故障の有無を判断できます。

 

テスターやマニュアルがない場合は、新品のイグナイターに交換して症状が改善するかどうかを確認する方法もあります。ただし、この方法は費用がかかるため、専門店での診断を先に受けることをおすすめします。

 

バイク ポイント点火装置の不具合と特徴

ポイント点火装置は、主に古いバイクに搭載されている原始的ながらも信頼性の高い点火方式です。この装置は「ポイントマグネット方式」とも呼ばれ、シンプルな構造ながら重要な役割を担っています。

 

ポイント点火装置の仕組みは、エンジンの回転に合わせて「カム」が回転し、そのカム山が「ヒール」と呼ばれる部分を押し上げることでポイント接点が開閉します。この開閉によって電流のON/OFFが制御され、適切なタイミングでスパークプラグに火花を飛ばす仕組みです。

 

この装置の特徴的な不具合としては以下のようなものがあります。

  • 接点の汚れや摩耗による点火不良
  • カムとヒールの接触部分の減りによるタイミングのずれ
  • ガバナー(回転数に応じて点火タイミングを調整する機構)の錆付きによる不具合
  • 不完全燃焼によるカーボン堆積

特に右側クランクエンドに装着されているタイプのポイント点火装置では、中央部品がクランクと一緒に回転するため、接点部分が摩耗しやすい傾向があります。また、エンジン回転数が上がったときに点火タイミングを早める「ガバナー」は、錆びによって正確に機能しなくなることがあります。

 

これらの不具合は、定期的な点検と調整によって予防することが可能です。ポイント点火装置のメンテナンスは、バイクの調子を良好に保つために欠かせない作業と言えるでしょう。

 

バイク イグニッションコイルの交換手順と費用

イグニッションコイルは、低電圧の電流を高電圧に変換してスパークプラグに送る重要な部品です。この部品が故障すると、エンジンの始動不良や走行中のパワー不足などの症状が現れます。

 

イグニッションコイルの交換は、適切な工具と知識があれば自分で行うことも可能です。基本的な交換手順は以下の通りです。

  1. バイクを安全な場所に停め、エンジンを十分に冷やします
  2. バッテリーのマイナス端子を外し、電源を遮断します
  3. イグニッションコイルの取り付け位置を特定します
  4. プラグコードやコネクターを外し、古いコイルを取り外します
  5. 新しいイグニッションコイルを取り付け、しっかりと固定します
  6. 全ての配線を元通りに接続し、バッテリーを元に戻します
  7. エンジンを始動して正常に動作するか確認します

イグニッションコイルの交換費用は、バイクの種類によって異なりますが、部品代は一般的に5,000円から10,000円程度です。専門店に依頼する場合は、工賃が追加されるため、全体での費用は1万円から1万5千円程度になることが多いです。

 

なお、イグニッションコイルは経年劣化によって性能が低下するため、バイクの年式が古い場合や走行距離が多い場合は、予防的な交換を検討することも重要です。特に、イグナイターと同時期に製造された部品であれば、同時に交換することで将来的なトラブルを防ぐことができます。

 

バイク 点火系 故障の予防メンテナンス術

バイクの点火系統のトラブルを未然に防ぐためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。以下に、点火系統を良好な状態に保つための予防メンテナンス方法をご紹介します。

 

1. スパークプラグの定期交換と点検
スパークプラグは点火系統の最前線で働く部品です。定期的な交換と点検を行うことで、多くの点火系トラブルを防ぐことができます。

 

  • 一般的に5,000km〜10,000km走行ごと、または年に1回の交換が推奨されています
  • プラグの電極の状態や汚れを定期的に確認しましょう
  • プラグの色から燃焼状態を判断できるため、エンジン全体の健康状態のチェックにもなります

2. 配線とコネクターの点検
点火系統の配線やコネクターは、振動や経年劣化によって緩みや断線が生じることがあります。

 

  • 定期的に配線の状態を目視で確認し、損傷や劣化がないかチェックしましょう
  • コネクターの接続部分に緩みがないか確認し、必要に応じて増し締めを行います
  • 配線の被覆が劣化している場合は、絶縁テープで保護するか、新品に交換することを検討しましょう

3. イグナイターとイグニッションコイルの予防交換
イグナイターやイグニッションコイルは、突然故障することがあります。特に古いバイクや長距離走行しているバイクでは、予防的な交換を検討することも重要です。

 

  • 10年以上経過したバイクでは、これらの部品の経年劣化が進んでいる可能性が高いです
  • 走行中に時々エンジンが不調になる場合は、早めの交換を検討しましょう
  • 特に入手困難な旧車の場合は、部品が手に入るうちに予備を確保しておくことも検討すべきです

4. ポイント点火装置のメンテナンス
ポイント点火装置を搭載したバイクでは、以下のメンテナンスが重要です。

  • ポイント接点の清掃(接点の汚れはエメリークロスなどで磨く)
  • ポイントの隙間(ギャップ)の調整
  • カム部分への適切な潤滑剤の塗布
  • ガバナー機構の動作確認と必要に応じた清掃

5. バッテリーの管理
点火系統はバッテリーからの電力供給に依存しているため、バッテリーの状態管理も重要です。

 

  • 定期的にバッテリー電圧を測定し、適正値(12V以上)を維持しているか確認
  • 長期間使用しない場合は、トリクル充電器などでバッテリーを管理
  • バッテリー端子の腐食や緩みがないか定期的に確認

これらの予防メンテナンスを定期的に行うことで、突然の点火系トラブルを大幅に減らすことができます。特に長距離ツーリングや重要な用事で使用する前には、点火系統の簡単なチェックを行うことをおすすめします。

 

また、バイクの取扱説明書やサービスマニュアルには、車種ごとの推奨メンテナンス間隔が記載されています。これらを参考に、適切なタイミングでメンテナンスを行うことが大切です。

 

バイク 点火系 故障時の緊急対処法

走行中や出先でバイクの点火系統に不具合が生じた場合、その場で対処できる応急処置を知っておくと非常に役立ちます。以下に、点火系トラブル発生時の緊急対処法をご紹介します。

 

1. スパークプラグの緊急処置
スパークプラグが濡れていたり、カーボンで汚れている場合の応急処置。

  • プラグを取り外し、乾いた布で水分を拭き取る
  • カーボンが付着している場合は、ワイヤーブラシや紙やすりで軽く磨く
  • 緊急時には、ライターなどでプラグ先端を加熱して水分を飛ばす方法も有効(ただし、過度の加熱は避ける)

2. 接触不良の一時的修復
配線やコネクターの接触不良が疑われる場合。

  • 各コネクターを一度外し、接点部分を乾いた布で清掃する
  • コネクター内部に水分が入っている場合は、できるだけ乾かす
  • 緩んでいるコネクターは、しっかりと差し直す
  • 応急処置として、接点復活剤があれば使用する

3. バッテリー電圧低下時の対応
バッテリー電圧の低下が原因の場合。

  • 可能であれば、ジャンプスタートで一時的にエンジンを始動させる
  • キックスターター付きのバイクであれば、キックでエンジンを始動させる
  • エンジンが始動したら、しばらく高めの回転数を維持してバッテリーを充電する

4. ポイント点火装置の緊急調整
ポイント点火装置搭載車の場合。

  • ポイントカバーを外し、接点の汚れを確認する
  • 名刺や紙幣などを使って接点を軽く磨く応急処置も可能
  • ポイントの隙間が広すぎる場合は、専用工具がなくても慎重に調整を試みる

5. 雨天走行時の対策
雨天走行で点火系統に水が入った場合。

  • 可能であれば、雨の当たらない場所に停車する
  • エンジンルームに入った水分を乾いた布で拭き取る
  • 防水スプレーがあれば、電装部品に軽く吹きかける
  • エアコンプレッサーや携帯用エアポンプがあれば、水分を飛ばすのに役立つ

6. 専門家への連絡方法
上記の応急処置でも改善しない場合。

  • ロードサービスに連絡する(加入している場合)
  • 最寄りのバイクショップに連絡し、対応可能か確認する
  • 友人や知人にレッカー車や車での搬送を依頼する

これらの緊急対処法は、あくまで一時的な応急処置です。安全に走行できる状態になったとしても、できるだけ早く専門店での点検・修理を受けることをおすすめします。また、日頃からマルチツールやスパークプラグレンチなどの基本工具、接点復活剤などを携行しておくと、万が一のトラブル時に役立ちます。

 

特に長距離ツーリングに出かける際は、事前に点火系統の点検を行い、必要に応じて予備のスパークプラグを携行するなどの準備をしておくと安心です。