バイク セルリレー 故障 原因と交換方法と症状の対処法

バイク セルリレー 故障 原因と交換方法と症状の対処法

バイク セルリレー 故障

バイクのセルリレー故障の基本知識
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セルリレーとは

バッテリーからセルモーターへ大電流を流すためのスイッチング装置。セルボタンを押すと「カチッ」という音とともに作動します。

主な故障症状

セルが回らない、カチッと音がするだけ、途中でセルが止まる、電装系統の不具合などの症状が現れます。

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故障の原因

経年劣化、端子の腐食・サビ、過電流によるコネクターの焼損などが主な原因です。

バイク セルリレー 故障の主な症状と見分け方

セルリレーが故障すると、バイクに様々な症状が現れます。最も代表的な症状は「セルが回らない」というものです。セルボタンを押しても何も反応がない、あるいは「カチッ」という音だけがして実際にセルモーターが回らないといった状態になります。

 

具体的な症状としては以下のようなものがあります。

  • セルボタンを押すと「カチッ」という音はするが、セルモーターが回らない
  • セルが途中で「ガッ」と止まる現象が発生する
  • ニュートラルでもクラッチを握らないとセルが回らない
  • 走行中にヘッドライトが明滅する
  • キーを回してもヘッドライトがつかない時がある

これらの症状が出た場合、まずバッテリーの状態を確認することが重要です。バッテリーが弱っていると、セルリレーは作動してもセルモーターを回すだけの電力が供給されないことがあります。バッテリーの電圧が正常(12V以上)であるにもかかわらず上記の症状が出る場合は、セルリレーの故障を疑うべきでしょう。

 

セルリレーの故障を見分けるには、セルボタンを押した時の音に注目します。正常であれば「カチッ」という音とともにセルモーターが回り始めますが、この音がしない場合はリレーが反応していない可能性が高いです。また、音はするがセルが回らない場合は、リレー内部の接点が劣化している可能性があります。

 

バイク セルリレーの仕組みと故障原因を解説

セルリレーはバイクの電気系統において非常に重要な役割を果たしています。その仕組みを理解することで、故障の原因や対処法も見えてきます。

 

セルリレーの基本的な仕組みは以下の通りです。

  1. バッテリーから直接セルリレーに電力が供給されています
  2. セルボタンを押すとリレー内のコイルに電流が流れ、磁気を発生させます
  3. この磁気によって誘電棒(接点)が引き寄せられ、大電流回路が閉じます
  4. バッテリーからセルモーターへ大電流が流れ、セルモーターが回転します
  5. セルボタンを離すと、バネの力で接点が元の位置に戻り、回路が遮断されます

セルリレーが故障する主な原因としては、以下のようなものが考えられます。

  • 経年劣化: 長年の使用による内部部品の摩耗や劣化
  • 端子の腐食・サビ: 赤サビが多くなると電気を通さなくなります
  • コネクターの焼損: 過電流によりコネクターが溶けたり焼けたりする
  • 内部接点の劣化: リレー内部の接点が劣化し、十分な電流が流れなくなる
  • 水分の侵入: 雨水などが入り込み、ショートを起こす

特に古いバイクでは、セルリレーの端子部分にサビが発生しやすく、これが電気の流れを妨げる大きな原因となります。また、セルモーターは大電流を必要とするため、リレーの接点に負担がかかり、劣化が進みやすいという特徴があります。

 

バイク セルリレー交換の手順と必要な工具

セルリレーの交換は、ある程度の知識と工具があれば自分でも行うことができます。以下に交換の基本的な手順と必要な工具を紹介します。

 

必要な工具:

  • プラスドライバー・マイナスドライバー
  • レンチ(バイクの種類によってサイズは異なる)
  • テスター(電圧・抵抗値の測定用)
  • ワイヤーストリッパー(配線を扱う場合)
  • 圧着ペンチ(端子を交換する場合)

交換手順:

  1. バッテリーのマイナス端子を外し、電源を遮断する
  2. セルリレーの場所を確認する(多くの場合、バッテリー近くに設置されている)
  3. リレーに接続されている配線を確認し、必要に応じて写真を撮っておく
  4. 配線を外し、リレーを固定しているボルトやナットを外す
  5. 古いリレーを取り外し、新しいリレーを取り付ける
  6. 配線を元通りに接続する(接続順を間違えないよう注意)
  7. バッテリーのマイナス端子を接続し、動作確認を行う

交換する際の注意点として、純正品と同等の性能を持つリレーを選ぶことが重要です。安価な社外品を使用する場合は、品質に注意が必要です。また、コネクターや端子が焼けている場合は、それらも同時に交換することをおすすめします。

 

交換後は必ずエンジンをかけて動作確認を行い、問題なくセルが回るかどうかを確認しましょう。また、走行中にヘッドライトの明るさが安定しているかなど、電装系全体の動作も確認することが大切です。

 

バイク セルリレー故障時のトラブルシューティング方法

セルリレーの故障が疑われる場合、交換する前に以下のトラブルシューティングを行うことで、問題の原因を特定できることがあります。

 

1. バッテリー電圧の確認
まず最初に確認すべきはバッテリーの状態です。テスターを使用して電圧を測定し、12V以上あるかを確認します。電圧が低い場合は、バッテリーの充電または交換が必要です。

 

2. ヒューズの確認
キーを入れても電気がつかない場合は、メインヒューズが切れている可能性があります。ヒューズボックスを開けて、ヒューズが切れていないか確認しましょう。

 

3. セルモーターの動作確認
セルモーターが正常に動作するかを確認するには、以下の方法が有効です。

  • バッテリーからセルモーターに直接電力を供給する(ブースターケーブル等を使用)
  • セルモーターが回れば、モーター自体は正常と判断できる

4. セルリレーの点検
セルリレーの故障を確認するには。

  • セルボタンを押した状態で、セルモーターのプラス端子に12Vの電圧が来ているか確認
  • 電圧が来ていなければ、リレーの故障と判断できる

5. 配線・コネクターの確認
配線やコネクターに問題がないか確認します。

  • コネクターの焼損や溶解がないか
  • 配線の断線や接触不良がないか
  • 端子の腐食やサビがないか

これらの確認を行っても問題が特定できない場合は、バイクの電気系統に詳しい整備士に相談することをおすすめします。特に複雑な電装系を持つ現代のバイクでは、専門知識が必要なケースもあります。

 

バイク セルリレー故障を予防するメンテナンス方法

セルリレーの故障を未然に防ぐためには、定期的なメンテナンスが重要です。以下に効果的な予防メンテナンス方法を紹介します。

 

1. バッテリーの適切な管理
セルリレーの故障を防ぐ最も基本的な方法は、バッテリーを良好な状態に保つことです。

 

  • 定期的に電圧をチェックし、12V以下になったら充電する
  • 長期間バイクに乗らない場合は、バッテリーを取り外すか充電器を接続しておく
  • バッテリー端子の腐食を防ぐため、定期的に清掃する

2. 電装系統の防水対策
水分の侵入はセルリレーを含む電装部品の故障の大きな原因となります。

 

  • 雨天走行後は、電装部品周辺をよく乾かす
  • 洗車時は電装部品に直接水をかけないよう注意する
  • 必要に応じて防水スプレーなどを使用する

3. 端子部分の定期点検
セルリレーの端子部分は特に注意が必要です。

 

  • 定期的に端子のサビや腐食がないか確認する
  • サビが見つかった場合は、接点復活剤などで清掃する
  • 端子が緩んでいないか確認し、必要に応じて締め直す

4. 電圧の監視
走行中の電圧を監視することで、充電系統の問題を早期に発見できます。

 

  • 電圧計を取り付けて、走行中の電圧を監視する(通常は14V前後が正常)
  • 電圧が不安定な場合は、レギュレーターなどの充電系統も点検する

5. 適切な使用方法
バイクの使い方もセルリレーの寿命に影響します。

 

  • エンジンをかける際は、セルボタンを長押ししすぎない
  • セルが回らない場合は、無理に何度もセルを回さず、原因を調査する
  • 寒冷地では、エンジンオイルの粘度が上がりセルモーターに負担がかかるため、適切なオイルを使用する

これらのメンテナンスを定期的に行うことで、セルリレーの故障リスクを大幅に減らすことができます。特に古いバイクや、過酷な環境で使用するバイクでは、より頻繁なチェックが推奨されます。

 

予防メンテナンスは手間がかかりますが、走行中のトラブルを避け、バイクライフを快適に楽しむための重要な投資と考えましょう。