
伊豆スカイラインは、静岡県の熱海市から伊豆市の天城高原までを結ぶ全長約40.6kmの観光道路です。伊豆半島東部の山稜に沿って走るこの道路は、標高500メートル以上の高所を通るため、晴れた日には相模湾や駿河湾、富士山、伊豆七島までを一望できる絶景スポットとして知られています。
この道路は「伊豆スカ」の愛称で親しまれ、バイクツーリングの聖地として多くのライダーから支持を集めています。その理由は、適度なカーブと緩やかなアップダウンが続くワインディングロードが、バイクの走行に最適な緊張感と爽快感をもたらすからです。特に北部区間は背の高い樹木が少なく視界が開けているため、まるで天空を駆け抜けるような開放感を味わえます。
伊豆スカイラインは6時から22時までが有料区間となっており、バイクの通行料金は区間によって110円から570円。全線往復の割引券は860円で利用できます。また、22時から翌朝6時までは無料で通行可能ですが、街灯がないため夜間走行には十分な注意が必要です。
四季折々の景色も伊豆スカイラインの魅力のひとつです。春には新緑、秋には紅葉、冬には澄んだ空気の中でくっきりとした富士山を見ることができます。年間を通して温暖な気候の伊豆半島ですが、高所を走るスカイラインは時に霧が発生したり、冬季には路面凍結の可能性もあるため、天候には常に注意が必要です。
伊豆スカイラインには、バイクを停めて絶景を楽しめる展望台が8ヶ所点在しています。それぞれの展望台からは異なる角度で伊豆の景色を堪能できるため、ツーリング中に立ち寄る価値があります。
まず特に人気が高いのが「玄岳展望台」です。ここからは伊豆半島の絶景と相模湾を一望でき、天気が良ければ遠くに伊豆七島も見えることがあります。広々としたスペースがあるため、バイクを停めて海風を感じながらゆっくりと景色を眺めることができます。
次におすすめなのが「達磨山展望台」です。ここからは駿河湾越しに富士山を望むことができ、特に夕方には沈む太陽に照らされた富士山が赤く染まる様子は圧巻です。多くのライダーがこの絶景を写真に収めるために訪れます。
「十国峠展望台」も見逃せないスポットです。晴れた日には相模湾から富士山まで見渡せる壮大なパノラマが広がります。ここにはロープウェイも設置されているので、さらに高い視点から景色を楽しむこともできます。
「滝知山園地駐車場」は、周囲の景色を一望できる休憩スポットとして人気です。特に晴れた日には素晴らしい景観が広がりますが、天候によっては霧に包まれることもあるので、訪問時の天気チェックをお忘れなく。
その他にも「仁科峠展望台」や「雲見浅間神社」周辺からの眺望も素晴らしく、バイクを停めて写真撮影するライダーも多く見られます。これらの展望台は適度な間隔で設置されているため、走行の合間に休憩を取りながら景色を楽しむことができるのも魅力です。
各展望台には駐車スペースが確保されていますが、週末や祝日は混雑することもあるため、時間に余裕を持ったツーリング計画を立てることをおすすめします。
伊豆スカイラインは美しい景色と爽快な走りが魅力ですが、事故も少なくないため、安全に楽しむための注意点を押さえておくことが重要です。
まず最も注意すべきは、スピードの出しすぎです。伊豆スカイラインはカーブが連続する山岳道路のため、速度超過によってコーナーを曲がりきれずに事故につながるケースが多く報告されています。特に下り坂のカーブでは速度が出やすいため、十分な減速と適切なギア選択を心がけましょう。
次に気をつけたいのは天候の変化です。標高が高い伊豆スカイラインでは、天候が急変することがあります。特に霧の発生は視界不良を引き起こし、安全な走行の妨げになります。霧が発生した際には速度を落とし、無理な追い越しは避けるようにしましょう。また、冬季は路面凍結の可能性もあるため、シーズンに合わせた装備と走行技術が求められます。
近年では、駐車スペースから出る際に、カーブ先から来る車両との出会い頭の事故も増加しています。展望台やパーキングから出る際は、必ず左右の安全確認を徹底しましょう。
また、伊豆スカイラインには信号や横断歩道がないため、ライダー自身の「安全運転意識」が非常に重要です。自己の運転技術を過信せず、常に前方の状況を確認しながら、余裕を持った走行を心がけることが大切です。
安全装備の面では、プロテクター入りのジャケットやパンツ、グローブ、ヘルメットなどの装備を適切に着用することも忘れないでください。転倒時の被害を最小限に抑えるためにも、装備は妥協せずに整えましょう。
伊豆スカイラインでは継続的な安全啓発活動も行われており、事故件数は全体的に減少傾向にあります。しかし、観光シーズンには交通量が増えるため、特に注意が必要です。自分のペースを守りながら、安全第一で楽しむことを心がけましょう。
伊豆スカイラインへのアクセス方法は、出発地によって異なりますが、多くのライダーが利用するルートをご紹介します。
【関東方面からのアクセス】
東京方面から訪れる場合は、東名高速道路から小田原厚木道路を経由し、小田原西ICで降りるルートが一般的です。そこからMAZDAターンパイク箱根(通行料880円)または箱根新道(無料)を通り、県道熱海箱根峠線から伊豆スカイラインの玄岳ICへと向かいます。このルートを使えば、小田原から伊豆高原までの約70kmを信号なしで走り通すことができるのが大きな魅力です。
【関西方面からのアクセス】
関西方面からは、新東名高速道路を利用して長泉沼津ICで降り、伊豆縦貫道を経由して三島塚原ICへ。そこから国道1号線、県道熱海箱根峠線を通って伊豆スカイラインの玄岳ICにアクセスするルートがおすすめです。
伊豆スカイラインを起点とした周辺のツーリングコースとしては、以下のようなルートが人気です。
このルートでは、伊豆スカイラインの絶景を楽しんだ後、歴史ある旧天城トンネルを訪れ、さらに西伊豆スカイラインの爽快なワインディングを楽しむことができます。最後に温泉地として知られる修善寺で休憩するのがおすすめです。
伊豆半島を一周するこのルートでは、伊豆スカイラインの山岳風景から、伊豆半島南部の海岸線に沿って走る絶景海道まで、変化に富んだ景色を楽しむことができます。石廊崎や堂ヶ島などの観光スポットにも立ち寄れます。
伊豆の東海岸から西海岸へと横断するこのルートでは、伊豆スカイラインの後に、美しい花々が咲き誇るマーガレットラインや芸術作品が点在する彫刻ラインを走り、仁科峠からの絶景を楽しむことができます。
これらのルートを計画する際は、季節や天候、交通状況を考慮して余裕を持ったスケジュールを立てることをおすすめします。特に週末や祝日は交通量が増えるため、早朝出発が混雑を避けるコツです。
伊豆スカイラインでのツーリングを存分に楽しむためには、適度な休憩と地元グルメを味わうことも大切です。ここでは、バイク乗りに特におすすめの休憩スポットと周辺の美味しいグルメをご紹介します。
【バイク乗りに人気の休憩スポット】
伊豆スカイラインに入る前に立ち寄りたいバイク専門のカフェです。多くのライダーが集まる人気スポットで、バイク談義に花を咲かせたり、情報交換をしたりできます。店内にはバイク関連のグッズも販売されており、ツーリングの記念に購入するのもおすすめです。
伊豆スカイライン周辺で最も充実した休憩施設のひとつです。地元の新鮮な食材を使った料理や特産品を購入できるほか、トイレや休憩スペースも完備されています。特に「伊豆のわさび」を使ったグルメは絶品で、ライダーたちに人気があります。
伊豆スカイライン上にある休憩スポットで、広々とした駐車スペースと素晴らしい眺望が魅力です。晴れた日には絶景を楽しみながら一息つけるスポットとして、多くのライダーが立ち寄ります。
【地元で味わいたいグルメ】
伊豆地域には、ツーリングの合間に味わいたい美味しいグルメがたくさんあります。
これらのグルメスポットは、主要な観光地や道の駅周辺に多く点在しています。ツーリングプランを立てる際は、食事や休憩のタイミングも考慮して、効率よく回れるようにスケジュールを組むことをおすすめします。
また、伊豆地域は温泉地としても有名です。ツーリングの疲れを癒すために、修善寺温泉や伊豆長岡温泉などで一息つくのも良いでしょう。日帰り入浴施設も多いので、バイクツーリングの合間に気軽に立ち寄ることができます。
伊豆スカイラインを含む伊豆半島全体を楽しむためには、1日だけでなく1泊2日や2泊3日の行程で訪れるのがおすすめです。宿泊することで、朝日や夕日の美しい景色も楽しめますし、より多くの観光スポットやグルメを堪能することができます。
伊豆スカイラインは年間を通して楽しめるツーリングスポットですが、特に春の新緑や秋の紅葉の時期は景色が一段と美しくなります。季節ごとの魅力を味わいながら、何度でも訪れたくなる素晴らしいバイクルートです。