
ホンダCBR250RRは、250ccクラスの軽量スポーツバイクとして長い歴史を持つモデルです。初代CBR250RRは1986年に登場し、当時としては革新的な4気筒エンジンを搭載していました。その後、一度生産が終了しましたが、2017年に現行モデルとして復活を果たしました。
現行のCBR250RRは、並列2気筒DOHC4バルブエンジンを搭載し、最高出力41馬力、最大トルク25N・mを発揮します。特に14,500rpmという高回転域まで回るエンジン特性は、同クラスのバイクの中でも際立っています。2020年にはマイナーチェンジが行われ、エンジン出力が向上するとともにクイックシフターが標準装備されるなど、さらなる進化を遂げました。
2023年モデルでは、カラーリングが一新され、グランプリレッド、マットガンパウダーブラックメタリック、そしてトリコロールの3色が用意されています。特にトリコロールカラーは、ホンダのレーシングDNAを感じさせるデザインとして人気を集めています。
CBR250RRの心臓部である並列2気筒エンジンは、その高回転型の特性が最大の魅力です。最高出力41馬力を発揮するこのエンジンは、回転数が上がるにつれてどんどんパワーが増していく特性を持ち、高回転域での伸びやかな加速感は他の250ccバイクとは一線を画しています。
エンジンの応答性を高めるスロットル・バイ・ワイヤを採用しており、アクセルを開けた瞬間からエンジンが素直に反応します。また、3段階のライディングモード(SPORT/STANDARD/COMFORT)を搭載しており、走行シーンや好みに合わせてエンジン特性を変更できるのも大きな特徴です。SPORTモードでは鋭いレスポンスと力強い加速を、COMFORTモードでは穏やかな出力特性を楽しむことができます。
実際の走行では、市街地での取り回しの良さと高速道路での安定感を両立しています。特に中高速域での安定感は250ccクラスとは思えないほどで、長距離ツーリングでも疲れにくい特性を持っています。サーキット走行においても、コーナリング時の安定感と高回転域での伸びやかなエンジンフィーリングが高く評価されています。
CBR250RRの車体は、軽量かつ高剛性のスチールパイプトラス構造のフレームを採用しています。このフレームは、エンジンを最適な位置に配置することで、優れた重量バランスと取り回しの良さを実現しています。車両重量は168kgと、装備の充実度を考えると比較的軽量に抑えられています。
足回りは、フロントに倒立式フォーク、リアにプロリンクサスペンションを採用し、スポーツ走行から日常使用まで幅広いシーンで高い性能を発揮します。特にフロントの倒立式フォークは、コーナリング時の安定感と路面からのフィードバックの良さに貢献しています。
ブレーキシステムは、フロントに296mmディスク、リアに220mmディスクを装備し、ABSを標準搭載しています。このABSは、スポーツ走行を考慮した制御プログラムを採用しており、スポーティな走りを楽しみながらも安全性を確保できる設計となっています。
メーターパネルには、フルデジタル液晶ディスプレイを採用し、速度、回転数、ギアポジション、燃料残量などの基本情報に加え、選択中のライディングモードやシフトタイミングインジケーターなど、多彩な情報を表示します。夜間でも視認性が高く、スポーティな走りをサポートする機能が充実しています。
CBR250RRを所有する上で気になるのが維持費と燃費です。まず、燃費については、メーカー公表値で約30km/Lとなっていますが、実際の使用状況では20〜25km/L程度が一般的です。高回転型エンジンの特性上、回転数を上げて走ることが多いと燃費は落ちる傾向にありますが、穏やかな走りを心がければ比較的経済的に乗ることも可能です。
維持費については、まず車両本体の価格が新車で約80万円前後と、250ccクラスとしては高価格帯に位置しています。年間の維持費としては、自賠責保険が約8,000円、任意保険が年齢や条件にもよりますが約3〜5万円程度、車検(2年に1回)が約5〜7万円、そして定期点検や消耗品交換などのメンテナンス費用が年間2〜3万円程度と見積もられます。
特に注意したいのは、高回転型エンジンの特性上、オイル交換などの基本的なメンテナンスは定期的に行うことが重要です。メーカー推奨ではエンジンオイルの交換は6,000km毎ですが、スポーツ走行が多い場合は3,000km程度での交換がおすすめされています。
タイヤの寿命は乗り方にもよりますが、フロントで約10,000km、リアで約8,000km程度が一般的です。スポーツ走行が多い場合はさらに短くなる可能性があります。タイヤ交換費用は、前後セットで工賃込みで約5〜6万円程度を見込んでおくと良いでしょう。
250ccクラスのスポーツバイク市場では、CBR250RRの他にもカワサキNinja ZX-25R、ヤマハYZF-R25、スズキGSX250Rなどが競合しています。それぞれの特徴を比較してみましょう。
まず、最大のライバルと言えるのがカワサキのNinja ZX-25Rです。ZX-25Rは4気筒エンジンを搭載し、最高出力45馬力と、CBR250RRを上回るパワーを誇ります。しかし、車両価格はCBR250RRよりもさらに高く、維持費も高めです。エンジンフィーリングは、CBR250RRが中低速トルクも重視した特性なのに対し、ZX-25Rはより高回転型の特性を持っています。
ヤマハYZF-R25は、並列2気筒エンジンを搭載し、最高出力36馬力とCBR250RRよりやや控えめですが、車両価格は約60万円台と比較的リーズナブルです。乗り心地と取り回しの良さに定評があり、初心者にも扱いやすい特性を持っています。
スズキGSX250Rは、最高出力25馬力と出力は控えめですが、低中速域でのトルク特性に優れ、街乗りでの扱いやすさが特徴です。車両価格も約60万円前後と、比較的手頃な価格設定となっています。
これらと比較したCBR250RRの最大の特徴は、高出力と先進の電子制御を備えながらも、日常使いからスポーツ走行まで幅広く対応できるバランスの良さにあります。特にライディングモードの切り替えやスロットル・バイ・ワイヤなどの電子制御は、同クラスでは最先端の技術と言えるでしょう。
以下に主要スペックの比較表を示します。
モデル | エンジン | 最高出力 | 車両重量 | 価格(新車) |
---|---|---|---|---|
ホンダ CBR250RR | 並列2気筒 | 41馬力 | 168kg | 約80万円 |
カワサキ Ninja ZX-25R | 直列4気筒 | 45馬力 | 182kg | 約90万円 |
ヤマハ YZF-R25 | 並列2気筒 | 36馬力 | 166kg | 約65万円 |
スズキ GSX250R | 並列2気筒 | 25馬力 | 178kg | 約60万円 |
CBR250RRは、そのスポーティな性能と人気から、様々なカスタマイズパーツが市販されています。カスタマイズの方向性としては、大きく分けて「見た目の変更」と「性能向上」の2つがあります。
見た目のカスタマイズとしては、まずマフラー交換が人気です。ヨシムラやアクラポビッチなどの有名メーカーから、スリップオンタイプからフルエキゾーストシステムまで様々な製品が販売されています。マフラー交換により、排気音の変化だけでなく、軽量化や若干の出力向上も期待できます。
また、カーボンパーツの装着も人気のカスタマイズです。フロントフェンダーやサイドカバー、ヒートガードなど、様々な部位をカーボン製に交換することで、軽量化と高級感のあるルックスを実現できます。
CBR250RRのカスタム例とパーツ情報 - Webike
性能向上を目指したカスタマイズとしては、まずサスペンションのセッティング変更やアップグレードが挙げられます。オーリンズやYSSなどのアフターマーケットサスペンションに交換することで、乗り心地や操縦安定性を向上させることができます。
エンジン性能向上のためには、ECUのリマッピングも効果的です。専用のECUチューニングキットを使用することで、出力特性や回転フィーリングを好みに合わせて調整することが可能です。ただし、これらの改造は保安基準に適合しない場合があるため、公道走行を前提とする場合は注意が必要です。
タイヤの交換も、走行性能に大きく影響するカスタマイズの一つです。ダンロップやピレリ、ミシュランなど各メーカーから、グリップ重視型やロングライフ型など様々な特性のタイヤが販売されています。自分の走行スタイルに合わせて選ぶことで、より快適な乗り心地を実現できます。
なお、カスタマイズを行う際は、車検や保険への影響も考慮する必要があります。特に排気音や灯火類など、保安基準に関わる部分の改造は慎重に行うべきでしょう。また、メーカー保証期間中の車両については、カスタマイズによって保証が受けられなくなる場合もあるため、事前に確認することをおすすめします。
CBR250RRを実際に所有しているライダーからは、様々な評価や長期使用における感想が寄せられています。ここでは、実際のオーナーの声をもとに、CBR250RRの実用性や長所・短所をまとめてみましょう。
多くのオーナーが評価しているのは、なんといってもそのエンジン特性です。高回転まで伸びやかに回るエンジンは、走る楽しさを存分に味わえると高評価を得ています。特に8,000rpm以上の高回転域での加速感は、250ccとは思えない爽快感があるとの声が多く聞かれます。
日常使用においては、市街地での取り回しのしやすさも評価されています。全高が低く設定されたシート高(790mm)により、身長が低めのライダーでも足つき性が良好です。また、ライディングポジションは前傾姿勢ながらも極端ではなく、長時間のツーリングでも疲れにくいとの評価があります。
一方で、いくつかの短所も指摘されています。まず、燃料タンク容量が14.5Lと比較的小さく、航続距離が限られることが挙げられます。高回転型エンジンの特性上、スポーティな走りをすると燃費が落ちるため、ツーリングでは給油計画に注意が必要です。
また、シートの硬さを指摘する声もあります。スポーツ走行時には体をホールドする硬めのシートは有効ですが、長時間乗車すると疲れを感じるライダーもいるようです。この点については、アフターマーケットのクッションシートやカスタムシートへの交換で対応しているオーナーも多いようです。
長期使用における信頼性については、概ね高評価を得ています。ホンダ車らしい作りの良さと耐久性を評価する声が多く、適切なメンテナンスを行えば大きなトラブルなく長く乗り続けられるとの意見が大半です。特に、エンジンやトランスミッションの耐久性は高く評価されています。
実際のオーナーからは、「初めての本格的なスポーツバイクとして最適」「見た目の格好良さと走りの楽しさを両立している」「250ccながらも大型バイクに引けを取らない満足感がある」といった声が聞かれます。一方で、「価格が高めなので購入を迷った」「維持費が想像以上にかかる」といった意見もあります。
CBR250RRオーナーズボイス - Honda公式サイト
総じて、スポーツ走行を楽しみたいライダーや、将来的に大型バイクへのステップアップを考えているライダーにとって、CBR250RRは非常に魅力的な選択肢と言えるでしょう。日常使用からサーキット走行まで幅広く対応できる懐の深さは、長く付き合えるバイクとしての価値を高めています。