
2025年現在、バイクの航続距離ランキングはライダーにとって重要な指標となっています。特に長距離ツーリングを楽しみたいライダーにとって、1回の給油でどれだけ走れるかは非常に重要な要素です。
最新の満タン航続距離ランキングによると、トップに立つのはBMW R1250GS アドベンチャーで、驚異の630kmもの航続距離を誇ります。この大型アドベンチャーバイクは30Lの大容量タンクと優れた燃費性能を組み合わせ、ロングツーリングに最適な一台です。1,254ccの水平対向エンジンに搭載された「シフトカム」という可変バルブタイミング機構により、低回転から高回転まで常に効率的な燃焼を実現しています。
2位にはホンダのGB350とGB350 Sが615.0kmで続きます。これらは41.0km/Lという優れた燃費と15.0Lのタンク容量を組み合わせた結果です。単気筒エンジンの効率性と、クラシックなデザインながら現代的な燃費性能を両立させた好例といえるでしょう。
3位にはスズキのジクサー150とジクサー(154cc)が612.0kmでランクイン。51.0km/Lという小排気量ならではの優れた燃費と12.0Lのタンク容量で、コスパに優れた長距離走行能力を発揮します。
このランキングから見えてくるのは、必ずしも大排気量=長い航続距離ではないという事実です。エンジン効率とタンク容量のバランスが重要であり、特に中小排気量モデルでも優れた航続距離を実現できることがわかります。
電動バイク市場は2025年に入り、航続距離の面で大きな進化を遂げています。従来の電動バイクの最大の弱点だった「航続距離の短さ」が、最新技術の導入により大幅に改善されつつあります。
イタリアのエネルジカが製造する「EXPERIA」は、市街地走行で420km、市街地・高速複合路では256kmという印象的な航続距離を実現しています。これは高エネルギーリチウムポリマー(Li-NMC)バッテリーを採用し、22.5kWhという大容量を確保したことが要因です。さらに、4種類の走行モード(エコ、アーバン、レイン、スポーツ)と回生ブレーキシステムにより、状況に応じた効率的な電力管理が可能となっています。
一方、アメリカのハーレーダビッドソンが展開するLiveWireブランドの「S3」モデルは、400kmを超える航続距離と30分で80%充電が可能という圧倒的な性能を誇ります。AIによる走行アシスト機能も搭載され、電動バイクの新たな基準を築いています。
日本国内では、ホンダの「CUV e:」が注目を集めています。WMTCモードで70km以上、社内テスト値では80.7kmの航続距離を記録。また、スズキの「e-Address(eアドレス)」は87kmの航続距離を実現し、6.7時間の充電時間で3.07kWhのバッテリー容量を確保しています。
電動バイクの航続距離は、バッテリー技術の進化とともに着実に伸びていますが、まだガソリン車には及びません。しかし、充電インフラの整備と急速充電技術の発展により、実用性は大きく向上しています。特に都市部での通勤や近距離ツーリングであれば、現在の電動バイクでも十分に実用的な選択肢となっています。
バイクの航続距離を決定する最も重要な要素は、「燃費」と「タンク容量」の掛け算です。この単純な計算式が示す通り、優れた航続距離を実現するには、高い燃費性能か大きなタンク容量、あるいはその両方が必要となります。
燃費性能はエンジンの種類や排気量によって大きく異なります。一般的に小排気量の単気筒エンジンは燃費に優れる傾向があり、スズキのジクサー150は51.0km/Lという驚異的な数値を記録しています。一方、大排気量のマルチシリンダーエンジンは出力重視の設計のため燃費は劣りますが、BMW R1250GSアドベンチャーのように洗練された技術により21km/L程度の実用的な燃費を実現しているモデルもあります。
タンク容量については、アドベンチャーモデルやツアラーが大容量タンクを搭載する傾向にあります。例えばBMW R1250GSアドベンチャーは30L、スズキのVストローム250は17L、ホンダのCRF1100L Africa-Twinシリーズは24Lのタンクを搭載しています。
興味深いのは、排気量別の航続距離傾向です。125ccクラスでは、ヤマハYZF-R125 ABSが543.4km(49.4km/L×11.0L)という優れた航続距離を実現しています。250ccクラスではスズキVストローム250が545.7km(32.1km/L×17.0L)を記録。これらの数値は、一部の大型バイクに匹敵する航続距離です。
実際の航続距離は、カタログ値(WMTCモードや定地走行テスト)と実走行では差が生じることも考慮する必要があります。特に高速走行や山岳路などでは燃費が悪化するため、安全マージンを見込んだ計画が重要です。満タン航続距離を知ることは、給油計画の立案だけでなく、自分の走行スタイルに合ったバイク選びの重要な判断材料となります。
バイクの航続距離は、実際の使用目的によって求められる水準が大きく異なります。ここでは、用途別に航続距離の実用性を考慮したおすすめモデルを紹介します。
【通勤・通学用】
日常の短距離移動が主な用途であれば、航続距離は200km程度あれば十分実用的です。この用途では、燃費の良さと取り回しの良さが重視されます。
・ホンダ CUV e:(電動):航続距離約70-80km、都市部での使用に最適
・スズキ ジクサー150:航続距離612km、燃費51.0km/Lの経済性
・ヤマハ YZF-R125 ABS:航続距離543.4km、スポーティな外観と実用性を両立
【週末ツーリング用】
週末の日帰りツーリングであれば、300-400kmの航続距離があれば安心です。燃費と走行性能のバランスが取れたミドルクラスがおすすめです。
・スズキ Vストローム650/XT:航続距離502km、多用途性に優れたアドベンチャーモデル
・ホンダ GB350/S:航続距離615km、クラシカルなデザインと現代的な性能
・スズキ Vストローム250:航続距離537.2km、扱いやすさと長距離走行能力を両立
【長距離ツーリング用】
複数日にわたる長距離ツーリングでは、500km以上の航続距離があると給油の頻度を減らせて快適です。
・BMW R1250GS アドベンチャー:航続距離630km、ツーリングの定番モデル
・ホンダ CRF1100L Africa-Twin Adventure-Sports:航続距離511.2km、オンロード・オフロード両対応
・ハーレーダビッドソン LiveWire S3(電動):航続距離400km以上、革新的な電動ツアラー
【オフロード・アドベンチャー用】
未舗装路や山岳地帯など、給油所が少ないエリアでの走行には、長い航続距離が安心感につながります。
・BMW R1250GS アドベンチャー:航続距離630km、あらゆる路面に対応
・ホンダ CRF1100L Africa-Twin:航続距離511.2km、本格的なオフロード性能
・スズキ Vストローム650XT:航続距離502km、コストパフォーマンスに優れたアドベンチャー
実用性を考える上で重要なのは、純粋な航続距離だけでなく、給油の手軽さも考慮することです。電動バイクは航続距離でガソリン車に劣りますが、自宅で充電できる利便性があります。一方、ガソリン車はどこでも数分で給油できる利点があります。自分の使用パターンに合わせた選択が重要です。
バイクの航続距離は今後どのように進化していくのでしょうか。特に電動バイク分野では急速な技術革新が期待されています。
電動バイクの航続距離向上に最も大きく貢献するのは、バッテリー技術の進化です。現在主流のリチウムイオンバッテリーは、エネルギー密度の向上により小型軽量化と大容量化が進んでいます。特に注目すべきは全固体電池の実用化で、2025年以降に市場投入が予想されています。全固体電池は現行のリチウムイオン電池と比較して、エネルギー密度が2〜3倍になる可能性があり、これが実現すれば電動バイクの航続距離は一気に500km以上に伸びる可能性があります。
また、モーター効率の向上も見逃せません。最新の永久磁石同期モーターは95%以上の効率を実現していますが、さらなる材料技術の進化により、わずかながらも効率向上の余地があります。加えて、回生ブレーキシステムの高度化により、減速時のエネルギー回収効率が向上すれば、実質的な航続距離延長につながります。
ガソリンバイクについても、エンジン技術の進化は続いています。可変バルブタイミング、筒内直接噴射、シリンダー休止システムなどの技術が小型エンジンにも応用されれば、さらなる燃費向上が期待できます。また、バイオ燃料やe-fuelなどの代替燃料への対応も進むことで、環境負荷を抑えながら長い航続距離を維持できる可能性があります。
興味深いのは、ハイブリッドバイクの可能性です。自動車では一般的になったハイブリッド技術ですが、バイクへの本格的な応用はまだ限定的です。しかし、小型軽量化が進めば、ガソリンエンジンと電気モーターを組み合わせたハイブリッドシステムにより、700km以上の航続距離と優れた環境性能を両立したバイクが登場する可能性もあります。
航続距離の向上は単なる数値競争ではなく、バイクの使い方そのものを変える可能性を秘めています。電動バイクが500km以上の航続距離を実現すれば、環境に配慮した長距離ツーリングという新しいバイクライフが広がるでしょう。また、自動運転技術やAIによる走行最適化が進めば、同じバッテリー容量やタンク容量でもより効率的な走行が可能になり、実質的な航続距離向上につながります。
2030年に向けて、バイクの航続距離技術は大きな転換点を迎えると予想されます。電動化の波は確実に押し寄せていますが、ガソリンバイクも進化を続け、当面は両者が共存する形で市場を形成していくでしょう。ライダーにとっては選択肢が広がり、自分のライディングスタイルに最適な航続距離性能を持つバイクを選べる時代が続きます。
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