国定税率とは何かを、一文で言い切ります。
暫定税率が設定されている品目では、基本税率は最初から無視されます。
国定税率とは、日本の国内法である「関税定率法」と「関税暫定措置法」によって定められた関税率の総称です。 条約ではなく国会が制定した法律に根拠を持つため「国定」と呼ばれます。 customs.go(https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1105_jr.htm)
国定税率には2種類あります。1つ目は基本税率、2つ目は暫定税率です。 tsukanboeki-shun(https://tsukanboeki-shun.com/teiritsuhou/)
| 種別 | 根拠法 | 特徴 |
|------|--------|------|
| 基本税率 | 関税定率法別表 | 国内産業の長期的保護を目的とした標準税率 |
| 暫定税率 | 関税暫定措置法 | 政策上の必要から一定期間だけ基本税率を修正 |
基本税率が「原則」なら、暫定税率は「例外的な修正版」です。 重要なのは、同一品目に暫定税率が存在する場合、基本税率ではなく暫定税率が自動的に優先適用されるという点です。 これを見落とすと、申告時の税率が変わります。 customs.go(https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1105_jr.htm)
通関業務では「実行税率」という言葉もよく登場します。実行税率とは、国定税率(特恵税率・簡易税率を除く)と協定税率のいずれか低い方を指します。 「国定税率=実行税率」ではないため、注意が必要です。 customs.go(https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1105_jr.htm)
協定税率は国定税率とは別のカテゴリです。これは条約(WTO協定や経済連携協定)に基づいて定められる税率で、国会が制定する国定税率とは法的な根拠が異なります。 customs.go(https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1105_jr.htm)
協定税率が国定税率(暫定税率 or 基本税率)よりも低い場合、協定税率が優先して適用されます。 「国定税率が法律に基づくから優先される」という思い込みは間違いです。 tsukanboeki-shun(https://tsukanboeki-shun.com/teiritsuhou/)
さらに現在、日本は20か国・地域以上とEPA(経済連携協定)を発効させており、EPA税率がある品目ではさらに低い税率が適用される場合があります。 例えばベトナム産コーヒー(煎り・カフェイン除去なし)の場合、基本税率は20%ですが、CPTPPのEPA税率では無税になります。 customs.go(https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1105_jr.htm)
つまり、一品目に対して複数の税率が並存するケースが多い。協定税率を確認せずに国定税率をそのまま使うと、本来より高い税率で申告してしまうリスクがあります。これは輸入者にとって余計なコスト負担につながります。
関税の税率には明確な適用優先順位があります。 通関士試験でも頻出テーマであり、実務でも直結する知識です。 tsukanboeki-shun(https://tsukanboeki-shun.com/teiritsuhou/)
優先順位(高い順)
- 🥇 特恵税率(開発途上国・地域からの輸入で条件を満たす場合)
- 🥈 EPA税率(経済連携協定が発効している国からの産品)
- 🥉 協定税率(WTO加盟国・地域の産品)
- 4位 暫定税率(国定税率の中で優先)
- 5位 基本税率(国定税率の原則)
ただし特恵税率は「特恵受益国の原産品であること」「原産地証明書の提出」などの条件を満たす場合に限定されます。 条件を満たさない状態で特恵税率を適用するのは違法となります。 customs.go(https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1105_jr.htm)
よくある現場の誤解として、「WTO加盟国なら自動的に協定税率」と考えがちですが、EPA税率が協定税率より低い場合にはEPA税率が優先されます。 逆に、EPA税率が特恵税率以下の場合は特恵税率の適用対象外になるというルールもあります。つまり優先順位は単純な順番ではなく、比較・条件確認が必要です。 customs.go(https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1105_jr.htm)
税関カスタムスアンサー「1105 関税率の種類」:税率の種類と適用優先順位の公式解説(税関)
暫定税率は名前の通り「暫定」ですが、実際には何十年も継続している品目が多数存在します。農産物を中心に、政策的な保護が必要とされる品目では基本税率より高く設定されているケースもあります。
一例として、精製糖の暫定税率は1kgあたり103.1円というかなり高い水準が長年維持されています。 これは国内の砂糖産業保護という政策目的が続いているためです。「暫定=すぐ終わる」ではない。この認識が実務では重要です。 mipro.or(https://www.mipro.or.jp/Document/hti0re0000000vi2-att/pdf_publications_0082.pdf)
暫定税率は毎年の予算編成・税制改正の議論の中で見直されます。そのため年度の変わり目(特に4月1日)前後は税率が変わる可能性があります。 通関申告の直前に税率を確認する習慣が、過少申告・過大申告の防止につながります。 customs.go(https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1105_jr.htm)
国定税率の変更が予定されている品目は、財務省や税関のウェブサイトで事前に公表されます。定期的に「実行関税率表」を確認することを現場では推奨しています。
「国定税率=申告時に使う税率」と思っている方は注意が必要です。
実行税率とは、国定税率(特恵税率・簡易税率を除く)と協定税率を比較して、低い方を採用した税率のことです。 つまり、協定税率の方が低ければ、国定税率は実際には使われません。 customs.go(https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1105_jr.htm)
具体的な場面を整理します。
- 国定税率 < 協定税率:国定税率が実行税率として採用される
- 国定税率 > 協定税率:協定税率が実行税率として採用される
- 両者が同じ:国定税率が採用される
さらに上に特恵税率・EPA税率がある場合はそちらが優先されるため、実際の申告では「国定税率を出発点にしてから、上位税率の適用可否を確認する」という手順が基本です。
この比較確認を怠ると、輸入者が支払うべき関税額が数十万単位で変わるケースもあります。BEFORWARDが公開している輸入関税の解説によると、実際には品目ごとに適用税率が複雑に組み合わさっているため、品目分類(HSコード)の確認と税率の両方を同時にチェックする必要があります。 corporate.beforward(https://corporate.beforward.jp/pochilogi/blog/customs-duty-2/)
ミプロ「輸入と関税Q&A 2023」:具体的な品目例を用いた税率計算の実務参考資料(独立行政法人)