展示等申告をNACCSで行う手順と注意事項

展示等申告をNACCSで行う際の業務コード・手続きの流れ・よくあるミスを解説。保税展示場での外国貨物管理をスムーズに進めるために、通関業従事者が知っておくべきポイントとは?

展示等申告のNACCS手続きと実務ポイント

展示等申告をNACCSで処理する際、「販売目的でない展示品なら自由に使用できる」と思っている通関担当者ほど、用途外使用で関税を追徴される。


展示等申告 NACCSの3つのポイント
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業務コードはIG(展示等申告)

NACCSでの展示等申告は業務コード「IG」を使用。蔵入(IS)・移入(IM)・総保入(IA)とは別扱いになる。

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有償観覧・小売販売は展示対象外

保税展示場内でも有償で観覧・使用させる貨物は展示等申告のまま展示できず、事前に輸入申告と納税が必要。

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承認後の変更はNACCSで訂正可能

展示等承認後に内容変更が生じた場合、NACCSの訂正業務から手続きできるが、税関審査が再度入る場合がある。


展示等申告とは何か:NACCSでの位置づけと関税法上の根拠

展示等申告は、外国貨物を関税・消費税を納付しないまま保税展示場総合保税地域に搬入し、展示・使用することを税関長に申告・承認を受ける手続きです 。根拠法令は関税法第62条の3で、対象となるのは「博覧会・見本市・これらに類するもの」に出品する外国貨物に限られます 。 jetro.go(https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-010816.html?_previewDate_=null&revision=0&viewForce=1)


NACCSでの業務コードは IG(展示等申告) です 。蔵入承認申請(IS)・移入承認申請(IM)・総保入承認申請(IA)とは明確に区分されており、誤ったコードで申請すると受理されません 。税関の書式としては税関様式 C 第3340号の展示等申告書を使用しますが、NACCS経由なら当該フォームと同等の情報をオンラインで入力・送信することで、書面提出なしに一連の手続きを完結できます 。 mof.go(https://www.mof.go.jp/about_mof/other/regulation_reform/gaiyou_20211018b.pdf)


つまり、IGコードが基本です。


NACCSを利用する場合の大まかな流れは次のとおりです。


  • NACCSへログインし、展示等申告(IG)業務を選択する
  • 申告事項(保税展示場の許可番号・貨物情報・展示期間など)を入力・登録する
  • 税関に申告情報が送信され、審査区分が通知される
  • 審査(区分1〜3)を経て、税関長の承認通知がNACCSに返信される
  • 承認通知を受け取った後、対象貨物を保税展示場へ搬入できる


税関審査が区分3(検査)となった場合は、開庁時間内に検査を受ける必要があります。時間外に作業する場合はNACCSから別途「時間外届出」を行わなければなりません 。これは見落としがちな手順です。 bbs.naccscenter(https://bbs.naccscenter.com/naccs/dfw/web/_files/00120364/6c_jikangaitodoke_201710.pdf)


参考:NACCSセンター掲示板(展示等申告IGの業務仕様・設計資料)
https://bbs.naccscenter.com/naccs/dfw/web/data/ref_6nac/naccs_sekkei/02-d01-02.pdf


展示等申告の対象貨物と「使用できない貨物」の落とし穴

保税展示場に搬入した全ての外国貨物が、そのまま展示・使用できるわけではありません。これが現場で最も誤解されやすいポイントです。


関税法施行令第51条の3第2項では、「有償で観覧若しくは使用に供される貨物」は保税展示場への搬入はできても、展示・使用はできないと定めています 。実費を超えない対価を徴収する場合はこの制限に該当しませんが、チケット収益を伴う体験型展示や、会場内で直接消費させる食品・飲料は要注意です。 gtconsultant(https://gtconsultant.net/hda-1/)


対象外になる貨物はどうするんでしょう?


販売・有償使用を予定している貨物は、保税展示場への搬入後も他の展示物と別管理し、陳列・配置の前に輸入(納税)申告と関税・消費税の納付を完了させなければなりません 。通関業者としては、荷主から貨物の用途・販売計画を事前に正確に把握し、搬入前に税関に確認するのが実務上のセーフラインです。 gtconsultant(https://gtconsultant.net/hda-1/)


NACCSのIG業務では申告時に「展示等の種別」を入力しますが、この区分に誤りがあると後から用途外使用等承認申請書(税関様式 T 第1140号)の提出が必要になります 。訂正の手間と税関との折衝コストを考えると、最初の申告段階での確認が何より大切です。 kxxr.hatenablog(https://kxxr.hatenablog.com/entry/2020/08/24/%E5%B1%95%E7%A4%BA%E5%93%81%E3%81%AE%E8%BC%B8%E5%85%A5%E6%89%8B%E7%B6%9A%E3%81%8D%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E3%80%82)


貨物の種別 保税展示場への搬入 展示・使用 必要な手続き
通常展示品(無償・非販売) ✅ 可 ✅ 可 展示等申告(IG)のみ
有償観覧・体験型展示品 ✅ 可 ❌ 不可 事前に輸入(納税)申告が必要
会場内で直接販売・消費する貨物 ✅ 可(蔵置等のみ) ❌ 不可 販売前に輸入申告・納税が必要


NACCSでの展示等申告に必要な入力項目と準備書類

NACCS入力前に準備しておくべき情報を整理しておくと、申告作業がスムーズになります。これは使えそうです。


入力に必要な主な項目は以下のとおりです。


  • 🏢 保税展示場の許可番号:税関長が許可した保税展示場ごとに付番される。搬入先が決まっていない状態では申告できない
  • 📦 品名・数量・価格:インボイスに基づき正確に入力する。貨物が複数品目にわたる場合は品目ごとに登録が必要
  • 🗓️ 展示期間(搬入日・搬出予定日):会期の開始・終了日を入力する。期間延長が生じた場合はNACCSから別途訂正手続きが必要
  • bbs.naccscenter(https://bbs.naccscenter.com/data/customs/jimu/pdf/tetsu/sea/tsukan/tst_010_010_040.pdf)

  • 🚢 搬入手段・船(機)名・B/L番号:貨物の到着情報と紐づけるために必須
  • 👤 申請者情報:保税地域事業者、通関業者、輸入者のいずれかを明示する
  • mof.go(https://www.mof.go.jp/about_mof/other/regulation_reform/kuraire_20241021_plan.pdf)


展示等申告(IG)は蔵入承認申請(IS)と異なり、NACCS申告に合わせて関連書類を電子的に添付することも求められます。具体的には展示会・見本市の開催概要を証する書類(招待状・主催者発行の書面等)が審査で求められるケースがあります。


申告内容が正確なら問題ありません。逆に情報が不足していると区分3(検査・審査)に割り振られる可能性が高くなるため、一次情報の精度を高めることが通関業者のコスト管理に直結します。


参考:財務省「外国貨物の蔵入れ、展示等及び総保入れの承認手続きのデジタル化について」
https://www.mof.go.jp/about_mof/other/regulation_reform/gaiyou_20211018b.pdf


展示等申告後の搬出・積戻し:NACCSでの展示等積戻し申告

展示等申告で搬入した外国貨物は、会期終了後に原則として再輸出(積戻し)する必要があります。この積戻し手続きにもNACCSが使えます。


NACCSでは展示等積戻し申告が独立した業務として用意されており、通常の輸出申告データの一覧にも「展示等積戻し申告」として区分されています 。搬入時の展示等申告(IG)の申告番号と紐づける形で申告するため、搬入時の番号管理を確実に行っておくことが前提です。 naccs(https://naccs.jp/archives/7g_naccs/wg/20211125/07godowg_shiryo08_attachment.xlsx)


積戻しは条件が基本です。


再輸出せず国内に留め置く場合は、輸入(納税)申告を行い、正規の関税・消費税を納付した上で輸入許可を受けなければなりません 。ATAカルネを使用して搬入した場合は、カルネ手帳保持者がカルネ発給機関(日本商事仲裁協会)に納税証明を添付して返却手続きを行います 。 jetro.go(https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-010816.html?_previewDate_=null&revision=0&viewForce=1)


また、展示会の会期中に一部の貨物を保税展示場から他の保税地域へ移動させる場合は、関税法第63条に基づく保税運送の手続きが別途必要です 。この場合はNACCSから保税運送申告業務を使って申告します。会期中の移動が予想される場合は事前に手続きルートを確認しておくと安心です。 jetro.go(https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-010816.html?_previewDate_=null&revision=0&viewForce=1)


通関業者が見落としやすい展示等申告の3つのリスクポイント

実務経験が長い通関業者でも、展示等申告では独自の落とし穴に気づきにくいことがあります。以下は現場でよく発生するリスクです。


① 展示品が「使用」扱いとなる瞬間を見誤る


関税法第2条第3項では、外国貨物を輸入許可前に「使用・消費」した時点で輸入とみなすと規定しています 。展示場のデモ機として来場者に触らせる・動かすだけなら「展示」の範囲内ですが、展示品を分解したり、一部を消耗させる使い方をした段階で「消費」と判断されるリスクがあります。厳しいところですね。 gtconsultant(https://gtconsultant.net/hda-1/)


② 保税展示場ではない会場への搬入


展示会場が保税展示場の許可を受けていない場合、IG申告は使えません 。その場合は関税定率法第17条第1項第9号に基づく再輸出免税制度を使うか、ATAカルネを活用するルートになります。搬入先の法的ステータスを事前に確認することは通関業者の基本責務です。 jetro.go(https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-010816.html?_previewDate_=null&revision=0&viewForce=1)


③ NACCSの特例申告制度との混同


NACCSには輸入申告の一類型として「特例委託輸入申告(P)」がありますが、展示等申告(G)はこの制度の対象外です 。AEO通関業者であっても、展示等申告を特例申告制度の枠内で処理することはできません。業務コードの体系を正確に理解することがリスク回避の第一歩です。 naccs(https://www.naccs.jp/archives/7g_naccs/wg/20231027/23godowg_shiryo05_2.pdf)


参考:JETRO「展示品を保税・免税扱いで搬入・輸入するための手続き(日本)」
https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-010816.html


参考:GTConsultant.net「保税展示場では万博以外に何ができるか」(展示等申告の対象・非対象の詳細解説)
https://gtconsultant.net/hda-1/