
イチネンTASCO TA122G R410A/R32ボールバルブ式ゲージマニホールド
マニホールドゲージは、エアコンや冷蔵庫などの冷媒ガス(フロンガス)を扱う際に必要不可欠な道具です。圧力計、連成計、台座、ホースセットなどで構成されており、圧力計と連成計を並列に取り付けた分岐管タイプになっているため「マニホールド」という名称が付けられています。この工具は冷媒の気化状況のチェック、ガス移充填作業、真空引き作業など、エアコンメンテナンスの中核を担う重要な役割を果たしています。
参考)ゲージマニホールド
低圧バルブ(青)と高圧バルブ(赤)の2種類のメーターがあり、本体の下側にはチャージングホースが接続できる構造になっています。メーターの下にはバルブがあり、これを開くと中央のチャージングホースとの通路が開いて真空引きや冷媒充填が行える仕組みです。カーエアコンとルームエアコンでは接続口の規格が異なるため、用途に応じた適切なマニホールドゲージを選ぶ必要があります。
参考)マニホールドゲージ
冷媒の種類によってマニホールドゲージの接続口を使い分ける必要があります。接続口の種類は1/4と5/16があり、1/4はR22、R407C、R134aなどの冷媒に使用でき、5/16はR410A、R32などの冷媒に使用できます。R134aはカーエアコンに多く使用されており、専用のクイックカプラーやアダプターが必要になることがあります。
参考)エアコンガスチャージ マニホールドゲージ 対応冷媒 R134…
マニホールドゲージの種類と選び方に関する詳細情報(MonotaRO)
R410AやR32は家庭用ルームエアコンや業務用パッケージエアコンで広く使用されており、専用のマニホールドキットが販売されています。R404Aは冷凍冷蔵ユニット専用として使用されることが多く、各冷媒の特性に合わせたゲージの選択が重要です。異なる冷媒を同じマニホールドで扱う場合は、冷媒の混合を防ぐため十分な注意が必要であり、専用工具の使用が推奨されます。
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マニホールドゲージにはアナログ式とデジタル式の2種類があり、それぞれに特徴があります。アナログ式は昔からあるタイプで、針の動きで圧力を確認しますが、わずかなガス圧変化では針の動きが分からず、正確に把握することが難しいという欠点があります。特に圧力0MPa以下のメモリが小さいため、真空状態になっているか判断が難しく、わずかな漏れがあっても発見しにくいのが弱点です。
参考)【エアコン屋が教える】マニホールドの選び方
デジタル式はガス圧が数字として表示されるため、些細なガス圧の変化もすぐに把握できます。デジタルゲージは0MPa以下であっても正確にガス圧を測定できるので、真空ゲージとしても使用可能な汎用性の高さが魅力です。バックライト付きのデジタルゲージもあり、暗所や夜間の作業でも視認性が高く、老眼の進んだ方でも見やすいというメリットがあります。価格はアナログ式の約2倍になりますが、正確性と汎用性を考慮すると、デジタルメータが推奨されます。
ガスの経路を開け閉めするバルブには、ボールバルブ式とニードルバルブ式の2種類があります。ボールバルブ式はレバーを90°操作するだけでガス経路の開閉ができるため、作業効率が非常に高いのが特徴です。手元での開閉操作が簡単で、冷媒を外に漏らさない構造になっており、エアコン作業には最適な方式とされています。
参考)https://www.haikanbuhin.com/top/item/asp/cate.asp?s_cate4=40156
マニホールドゲージの使い方とメンテナンス情報(プロステップ)
ニードルバルブ式はねじ込み式のため開閉に時間がかかりますが、ガス圧を微妙に調整する必要がある場合には優れた性能を発揮します。エアコンだけで使用するのであればボールバルブ式が断然便利ですが、冷蔵機や冷凍機を扱う専門業者はニードルバルブ式を選択することが多いです。BBKの2バルブデジタルマニホールドDM-100は、デジタルゲージとボールバルブ式を組み合わせた製品で、マグネット付きフックという独自機能も備えており、エアコン作業者から高い評価を得ています。
マニホールドゲージは主に3つの作業場面で活躍します。まず真空引き作業では、エアコン室外機にマニホールドを接続し、真空ポンプと連結して配管内を真空状態(-0.1MPa)にします。マニホールドのゲージを見て、ちゃんと真空状態になっているかを確認することが重要で、取付工事時には必ず行う作業です。
参考)プロが教えるエアコン取り付け真空引きの手順
冷媒充填・回収作業では、フロンガスを追加充填したり回収したりする際に、マニホールドのゲージでガス圧力を確認しながら作業を進めます。ガス圧が上がりすぎていないか、適切にガス圧が変化しているかをマニホールドで監視することで、安全で正確な作業が可能になります。圧力測定では、低圧側と高圧側の圧力を測定し、エアコンの動作状態や不具合の診断を行います。R410Aの場合、低圧側は0.9~1.6MPa、高圧側は1.8~2.6MPaが通常範囲とされており、この数値から逸脱している場合は何らかの不具合が疑われます。
参考)エアコンのマニホールドゲージの正しい使い方とガス圧の診断方法…
マニホールドに標準で付属するチャージングホースは90cm前後が多いですが、実際の作業では短いと感じることが少なくありません。特に室外機が架台に載せられている場合や、真空ポンプやマニホールドの設置場所によっては届かないというケースがよくあります。エアコン専門業者の多くは90cmではなく、150cmの長めのチャージホースを使用しており、余裕を持った作業環境を整えることを推奨しています。
参考)https://www.monotaro.com/k/store/%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%9E%E3%83%8B%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%89%20%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%82%B9/
チャージングホースは赤(高圧側)、青(低圧側)、黄(真空ポンプ・ガスボンベ接続用)の3色セットで販売されていることが多く、用途に応じて色分けされています。ホースの内部構造は内管NBR(冷媒ガス対応特殊ゴム)+ナイロン+外管NBRの3層構造になっており、高圧に耐えられる設計になっています。長めのホースは作業の自由度を高めるだけでなく、安全面でも余裕を持った作業が可能になるため、初期投資として長めのホースを購入することが賢明です。
参考)https://www.monotaro.com/k/store/%E3%83%9E%E3%83%8B%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%89%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%82%B8%20%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%82%B9/
マニホールドゲージを使用したエアコンの不具合診断は、低圧側と高圧側の圧力値から異常を特定します。エアコンガス不足の場合、低圧側は0.5~1.0kg/cm²、高圧側は7~10kg/cm²程度まで低下するのが典型的な症状です。エアコンガスが漏れている場合は、ガス漏れを修理してからでないと、いくらエアコンガスを入れてもすぐに冷たい風が出なくなります。
参考)https://seibii.co.jp/blog/contents/car-air-conditioner-coolair-trouble
エアコンの詰まりが発生している場合や、コンプレッサーの圧縮不良、コンデンサー冷却不足など、各不具合によってマニホールドゲージの圧力変化のパターンが異なります。高圧側の針が激しく振動して数値が読み取れない場合は、コンプレッサーやエキスパンションバルブの不具合が疑われます。マニホールドゲージでの診断は経験と知識が必要であり、圧力と気温の関係、過熱度と過冷却度の理解が重要になってきます。カーエアコン簡易診断一覧表などを参考にしながら、症状とゲージメーターの読みを照らし合わせることで、より正確な診断が可能になります。
参考)車のエアコン修理でマニホールドを接続したところ、低圧がちょい…
youtube
真空引き作業は、エアコン取り付けで最も重要な工程の一つです。まず真空ポンプとゲージマニホールドをチャージングホースで接続し、ゲージマニホールドやチャージングホースのバルブは閉じた状態にしておきます。チャージングホースの一方にあるチャージバルブを、室外機の側面にあるサービスポートに接続し、チャージングホースのバルブとチャージバルブ側のツマミを順に開いて、室外機と真空ポンプの間で空気が流れるようにします。youtube
参考)https://pro-step.co.jp/wp/wp-content/uploads/2023/03/mani_riyo.pdf
真空ポンプの電源を入れて真空引きを開始し、連成計が-0.1MPaを指すまでおよそ15~20分ほど作業を行います。配管の長さが4m程度であれば30秒程度でほぼ真空状態に到達しますが、その時点からさらに10分程度この状態を維持して真空引きを続けることが推奨されます。配管の長さが10mくらいある場合には、10分は追加で回し続けた方が確実です。目盛りが-0.1MPaになったら、チャージングホースの真空ポンプ側のバルブを閉めてしばらく放置し、目盛りの値が保たれるかを確認します。もし数値が変化するようであれば空気が入り込んでいますので、真空引き作業をやり直す必要があります。youtube
エアコンのガス圧を正しく測定するには、適切な手順でマニホールドゲージを接続する必要があります。まず室外機の側面カバーを取り外し、バルブキャップを外します。サービスポートのムシにゲージマニホールドを取り付け、ゲージマニホールドと真空ポンプを接続します。真空ポンプのスイッチを入れて、真空ポンプからゲージマニホールドまでのホースを真空にし、さらにサービスポートまでのホースも真空にします。
参考)業務用エアコンのガス圧測定方法を解説|適正値の目安・マニホー…
真空ポンプ側のホースに冷媒がいかないようにチャージバルブを締め、真空ポンプを取り外します。チャージバルブでサービスポートのムシを押すと、ゲージマニホールドのメモリで冷媒ガスのガス圧を計測できます。測定は低圧側のみで行うことが一般的で、R410Aの場合は低圧側が0.9~1.6MPa程度が目安となります。測定後はゲージのバルブを閉じ、チャージホースをゆっくりと取り外し、サービスポートのキャップを確実に閉めることで作業が完了します。冷房運転時のガス圧力確認は、外気温や設置環境によって若干の変動があるため、メーカーのマニュアルでの基準値と比較しながら確認するのが確実です。
マニホールドゲージを長く使用するためには、適切なメンテナンスと保管が重要です。使用後はホース内に残った冷媒を適切に処理し、バルブをすべて閉じた状態で保管することが基本となります。ゲージの圧力計や連成計は精密機器であるため、落下や強い衝撃を避け、専用ケースに入れて保管することで精度を維持できます。
参考)https://www.monotaro.com/k/store/%E3%83%9E%E3%83%8B%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%89%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%82%B8/
チャージングホースは経年劣化により硬化やひび割れが発生する可能性があるため、定期的に目視点検を行い、異常があれば交換することが推奨されます。ボールバルブやニードルバルブの動作も定期的に確認し、固着や漏れがないかチェックする必要があります。デジタル式のマニホールドは電池で動作するため、長期間使用しない場合は電池を取り外して保管することでバッテリーの液漏れを防ぐことができます。真空ポンプは電磁弁付き、または真空ポンプアダプタの使用が推奨されており、これにより真空ポンプの逆流を防ぐことができます。専門工具としての価値を維持するためには、日々の丁寧な取り扱いと定期的なメンテナンスが欠かせません。