
免許不携帯とは、有効な運転免許証を取得しているにもかかわらず、その免許証を携帯せずに車両を運転する行為を指します。道路交通法第95条第1項では「免許を受けた者は、自動車等を運転するときは、当該自動車等に係る免許証を携帯していなければならない」と明確に定められています。例えば、免許証を自宅や職場に置き忘れたことに気づかずバイクを運転してしまい、警察の検問で提示を求められた際に提示できなかった場合が該当します。
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令和4年の交通安全白書によると、免許証不携帯の取締り件数は46,724件となっており、決して珍しい違反ではないことがわかります。バイクライダーにとって、ツーリング前の免許証確認は必須のチェック項目と言えるでしょう。免許不携帯は道路交通法違反として扱われますが、無免許運転とは全く異なる違反であり、罰則の重さも大きく異なります。
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免許不携帯で警察に取り締まられた場合、反則金として一律3,000円が科されます。この反則金は普通自動車、大型車、二輪車、原付など、すべての車両区分で同額です。反則金は交付された納付書を使用して、指定期限内に銀行・信用金庫・郵便局などで支払う必要があります。
参考)https://www.menkyo-school.jp/lesson/licence/detail.html?ls=28
注目すべき点は、免許不携帯では違反点数の加算が一切ないということです。違反点数が0点のため、ゴールド免許保持者が免許不携帯で捕まっても、次回の免許更新時にブルー免許へ格下げされることはありません。また、自動車保険についても免許不携帯の状態で事故を起こした場合でも、通常と同じように保険が適用されます。比較的軽い違反として扱われていることが、これらの罰則内容からも理解できます。
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免許不携帯と無免許運転は、名前が似ているため混同されがちですが、全く異なる違反行為です。免許不携帯は運転免許を取得しているが携帯せずに運転した場合を指すのに対し、無免許運転は運転免許を取得していない状態で運転した場合を指します。両者の違いは罰則の重さにも明確に現れています。
無免許運転の場合、刑事処分として「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」が科され、行政処分では違反点数25点が一度に加算されます。前歴のない運転者でも即座に免許取り消し処分となり、2年間の欠格期間が設けられます。さらに、無免許運転者に車両を提供したり、無免許と知りながら同乗したりする行為も「無免許運転ほう助」として処罰の対象となります。免許不携帯が反則金3,000円で済むのに対し、無免許運転は前科として記録が残る重大な違反であることがわかります。
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免許不携帯で警察官に取り締まられた際には、素直に申告することが最も重要です。道路交通法第67条の規定により、警察官はドライバーに運転免許証の提示を求めることができます。この提示要求を拒否すると、免許提示義務違反として5万円以下の罰金を科せられるため、反則金よりも重い処分になってしまいます。
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取り締まり後の運転については、警察官の裁量によりますが、そのまま車両を運転して帰宅することが認められるケースが多いようです。「車を置いて公共交通機関で免許証を取りに帰りなさい」と厳しいことを言われることは稀です。ただし、反抗的な態度をとると逮捕される可能性もあるため、丁寧な対応を心がける必要があります。バイクの場合も同様で、警察官の判断により免許不携帯のまま帰宅が許可されることがあります。
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走行中に免許証を携帯していないことに気づいた場合、できるだけ早く取りに帰ることが推奨されます。もし帰る途中で警察に止められ免許不携帯を指摘されても、取りに帰る途中であることを説明すれば見逃してくれることもあるようです。ただし、これは警察官の裁量に寄るところが大きいため、運転前に必ず免許証の携帯を確認することが最も大切です。
よくある質問として、免許証のコピーやスマートフォンで撮影した写真で代用できるかという疑問がありますが、答えは「できません」です。道路交通法第95条第1項では「当該自動車等に係る免許証を携帯していなければならない」と規定されており、これは運転免許証そのものを指しています。コピーやデジタル画像では運転免許証を所持しているとは認められないため、必ず原本を携帯する必要があります。バイクライダーの場合、ウェアのポケットや車載バッグに免許証を常備しておく習慣をつけることが、免許不携帯を防ぐ最善の方法です。
免許不携帯による違反を未然に防ぐためには、日常的な習慣づくりが重要です。バイクライダーの場合、ライディングジャケットの内ポケットや、専用の免許証ケースをバイクに常備しておくと効果的です。財布とは別に免許証専用のカードケースを用意し、バイク用のバッグに固定しておけば、財布を変えても免許証の持ち忘れを防げます。
また、出発前のチェックリストを作成することも有効な対策です。「免許証・鍵・スマートフォン・財布」といった必須アイテムを玄関に掲示しておき、バイクに乗る前に必ず確認する習慣をつけましょう。最近では免許証を収納できる機能付きのスマートフォンケースも販売されており、スマートフォンと一緒に管理することで持ち忘れのリスクを減らせます。ツーリング前夜に荷物を準備する際、免許証の確認を最優先事項とすることで、翌日の慌ただしい出発時にも安心です。
運転免許証不携帯の詳細な法的根拠と統計データについて - チューリッヒ保険会社
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