
日本二輪車普及安全協会(日本二普協)は、二輪車ユーザーが安全かつ快適に過ごせる環境づくりを目指す一般社団法人です。1971年に二輪車安全運転協議会として設立され、国内4メーカーによって1997年に設立された日本二輪車協会と2013年に統合し、現在の形となりました。
参考)「より安全で快適なバイクライフを過ごせる社会に!」日本二普協…
同協会の活動は大きく3つの柱から構成されています。第一に「安全防犯事業」として、原付免許取得者向けの学科試験問題シミュレーション「ゲンチャレ!」を提供し、受験前の学習をサポートしています。第二に「環境整備事業」では、二輪車を取り巻く社会環境の改善に取り組んでいます。第三に「普及事業」として、二輪車の適正な販売や利用環境の改善を推進しています。
参考)ゲンチャレ!原付免許試験問題にチャレンジ - 日本二輪車普及…
原付免許試験は、16歳以上で視力が両眼で0.5以上あれば受験可能です。試験内容は文章問題46問(1問1点)とイラスト問題2問(1問2点)の合計50点満点で、45点以上(90%以上)の正解が合格基準となっています。試験時間は30分と短いですが、合格率は平均50~60%程度で、しっかりとした準備が必要です。
参考)原付学科試験問題に挑戦してみよう
日本二輪車普及安全協会関東ブロック「原付バイクと原付免許」では、受験資格や取得方法の詳細が確認できます
原付免許の取得にかかる総額は約8,050円です。内訳は受験費用1,500円、原付講習手数料4,500円、交付手数料2,050円となっており、都道府県によって若干の違いがある場合があります。
参考)https://www.zurich.co.jp/motorbike/guide/cc-moped-license-cost/
取得の流れは以下の通りです。まず住民票のある運転免許試験場または運転免許センターで申請書を記入し、証紙を購入して手数料を支払います。その後、視力検査などの適性検査を受け、問題がなければ学科試験を受験します。学科試験に合格したら、免許証用の写真撮影や暗証番号登録などの手続きを行い、原付講習を受講します。
参考)原付免許とは?取り方とかかる費用、試験当日に必要なもの、問題…
原付講習の内容は、講義1時間と技能2時間の合計3時間で構成されています。講義では安全運転の知識を学び、技能では実際に原動機付自転車に乗車して基本操作・走行、応用走行を実践します。受講時は長袖・長ズボン、運動靴など、バイクの運転に適した服装が必要です。ヘルメット・グローブ・カッパ(雨天時)を用意する必要がある施設もあります。
参考)原付免許とは。1日で取得できる?取り方や費用、原付免許試験を…
学科試験と原付講習を同じ日に受けられれば、最短1日で免許取得が可能です。ただし、高校の休み期間中など受験者数が多いときは、原付講習の受講が後日になる場合もあります。
参考)原付免許/大阪府警本部
チューリッヒ保険「原付免許の費用(値段)と取得に必要な持ち物」では、必要書類の詳細情報が確認できます
原付免許の学科試験は、交通法規、マナー、安全運転に関する知識から出題されます。文章問題46問とイラスト問題2問の合計48問で、50点満点中45点以上が合格ラインです。問題形式は○×(正誤)選択式で、マークシート形式での回答となります。
参考)原付免許模擬試験にチャレンジ │ 二輪車免許を取ろう │ H…
合格のためのポイントとして、まず問題文は最後の一字まで読むことが重要です。「以上」「以下」「未満」や「必ず」「限る」など、言葉の意味に注意を払う必要があります。また、駐車禁止・駐停車禁止場所、追越し禁止場所、合図の時期、進路変更の時期、積載の高さ・長さ・幅などの数字をしっかり覚えることが大切です。
用語の意味を正確に理解することも重要で、「追越し」と「追抜き」の違い、「駐車」と「停車」の意味などを区別して覚える必要があります。イラスト問題は完全解答で1問2点の配点があるため、落とさないようにしっかり予習しましょう。
効果的な勉強方法として、必要な勉強時間は一般的に5~10時間が平均的です。初めて交通ルールを学ぶ場合は10時間以上かけてじっくり学習することをおすすめします。書店やインターネットで原付免許用の問題集を購入し、繰り返し解くことで試験の形式や出題傾向に慣れることができます。日本二輪車普及安全協会の「ゲンチャレ!」やHONDAの模擬試験など、無料のオンライン学習ツールも活用できます。
参考)原付免許の勉強時間はどれくらい必要?合格するための効率的な勉…
項目 | 内容 |
---|---|
試験時間 | 30分 |
問題数 | 文章問題46問+イラスト問題2問=計48問 |
配点 | 文章1問1点、イラスト1問2点、合計50点満点 |
合格基準 | 45点以上(90%以上) |
合格率 | 平均50~60% |
日本二輪車普及安全協会「ゲンチャレ!」では、実際の試験問題を完全シミュレートした練習ができます
日本二輪車普及安全協会は、免許取得後の継続的な安全運転教育にも力を入れています。「Basic Riding Lesson」と名を改めた二輪車安全運転講習会では、初心者ライダーや運転に不安があるライダーを対象に、安全運転技術の向上と交通法規・マナー遵守を目的とした体験型講習を実施しています。
参考)Basic Riding Lesson(安全運転講習)
各地域では「原付バイク安全運転スキルアップ講習会」も開催されています。例えば熊本県では、原付バイクで通学している高校生や運転に不安のある方を対象に、基本から法規走行、技能走行を二輪車指導員の指導により学ぶ講習会を無料で実施しています。この講習会には昼食も付き、運転者の交通安全意識と安全運転技能の向上を図っています。
参考)「2025年 原付バイク安全運転スキルアップ講習会」は参加人…
二輪車安全運転指導員は、二輪車安全運転推進委員会(略称:二推)に所属し、各種講習会等で指導にあたっています。これらの指導員による専門的な指導を受けることで、免許取得時の原付講習だけでは不十分な実践的な運転技術を身につけることができます。
参考)安全運転講習
原付運転実技講習「原付スクーターSafety Riding」という動画コンテンツも提供されており、原付スクーターの正しい乗り方を動画で学べます。これから原付に乗ろうと思っている方も、既に乗っている方も活用できる教材となっています。
参考)原付運転実技講習「原付スクーターSafety Riding」…
💡 独自視点:原付免許取得後の「3ヶ月フォローアップ」の重要性
原付免許は最短1日で取得できる手軽さが魅力ですが、実はここに大きな落とし穴があります。一般的な普通自動車免許では教習所で数十時間の実技教習を受けるのに対し、原付免許はわずか3時間の講習のみです。
統計で見ると、50cc以下の原付バイクは負傷事故の40.6%、死亡事故の32.6%を占めており、最も高い事故率を示しています。これは日常的な短距離移動に使われることが多く、慣れによる油断が生じやすいためです。
参考)【バイク事故率】初心者ライダーが知るべき統計データと7つの対…
そこで推奨したいのが、免許取得後3ヶ月以内に日本二輪車普及安全協会などが主催する安全運転講習会に参加することです。取得時の原付講習では学びきれない危険予測や実践的な運転技術を習得することで、事故リスクを大幅に低減できます。特に通学・通勤で毎日使う予定の方は、最初の数ヶ月が最も事故リスクが高い期間となるため、早期のスキルアップが重要です。
原付バイクを購入したら、二輪車防犯登録(旧グッドライダー・防犯登録)への加入を強く推奨します。この登録制度は、二輪車の盗難防止及び被害の早期回復を図ることを目的としています。
参考)各種お手続き
登録方法は、日本二輪車普及安全協会加盟の二輪車防犯登録取扱販売店で手続きを行います。登録料金は参考価格で1,870円(税込)ですが、一般的には1,100円程度で10年間(新制度では15年間)有効です。新車購入時に加入することが多いですが、中古車購入時や譲り受けた際にも加入可能です。
参考)原付バイクの防犯登録とは。値段?メリット?意味あるの?など
二輪車防犯登録のメリットは複数あります。第一に、登録ステッカーを車体に貼ることで盗難抑止効果があります。第二に、所有者情報が警察庁のデータベースに登録されるため、盗難車の早期発見につながります。第三に、職務質問を受けた時にユーザーカードの提示によって真の所有者であることを証明できます。
参考)バイクに貼っている青色のステッカー「グッドライダー」はどんな…
登録される情報には、所有者名・登録番号・ナンバープレート番号・車体番号などが含まれ、全国ネットで24時間いつでも照会可能です。夜間や休日においても所有者を照会することができるため、盗難車の早期発見に大きく貢献しています。
参考)二輪車防犯登録制度(旧グッドライダー・防犯登録制度)/大阪府…
登録項目 | 詳細 |
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登録料金 | 1,100~1,870円(税込) |
有効期間 | 15年間(旧制度は10年) |
登録場所 | 二輪車防犯登録取扱販売店 |
対象車両 | 原付・軽二輪・小型二輪 |
日本二輪車普及安全協会「二輪車防犯登録」ページでは、取扱店舗の検索や詳細な手続き方法が確認できます
原付免許を取得することで得られるメリットは多岐にわたります。第一に、日本で最強の身分証明書である運転免許証を最短1日で取得できる点です。第二に、免許証交付までの費用が約8,050円と比較的安価で、教習所に通い詰める必要がありません。
参考)【完全版】一発合格した私が原付免許の取り方とメリットを解説
原付バイクは自動車に比べて非常に経済的です。排気量50cc以下、あるいはモーター出力で0.6kW以下の原付バイクを公道で運転することができ、燃費が良く維持費も抑えられます。駅やスーパーマーケット、娯楽施設がある繁華街には原付を停められる駐輪場や駐輪スペースが多く確保されているため、駐輪に困ることがほとんどありません。
参考)そういえば自動車免許で原付に乗れる!基礎知識と広がるライフス…
原付ならではの機動力で街を走ることができ、スクータータイプであれば自転車同様に両手によるブレーキ操作ができるので、初めての運転でも操作がしやすいというメリットがあります。車体も比較的軽量に作られているため、気軽に乗っていけます。
実技試験がなく、すべての免許に共通する学科試験を受講できていれば自動的に付与されるため、普通自動車免許をお持ちの方は改めて原付免許を取得する必要はありません。また、自家用車を保有している方なら「ファミリーバイク特約」という費用負担の軽い車の付帯保険があるため、契約者本人あるいは家族であれば原付の付帯保険契約が可能です。
レンタルやシェアリングサービスも広まっており、原付免許や普通自動車免許をお持ちの方なら利用できます。お目当てのモデルがあれば、少しのあいだオーナー気分を味わうこともできるため、購入前の試乗としても活用できます。
原付バイクで走ると、操作する楽しさに加えてバイク特有の疾走感や四季折々の風と薫りを体全体で感じられます。排気量の大きなバイクで感じるものとはまた違った、ロースピードな原付ならではの流れゆく街の景色や気持ちいい風を楽しめます。
⚠️ 原付バイクの事故率と安全対策の必要性
原付バイクの利便性は高い一方で、安全面での注意も必要です。2022年の統計によると、原付乗車中(125cc以下)の致死率は0.57%で、自動車乗車中の0.41%よりも高くなっています。また、2022年東京都(警視庁)の統計では、バイク事故死者の損傷部位は1位が頭部45.0%、2位が胸部25.0%と、全体の70%が頭部・胸部となっています。
参考)https://www.zurich.co.jp/motorbike/guide/cc-bike-accident-ratesn/
そのため、原付バイクに乗る際は必ずヘルメットを正しく着用し、胸部プロテクターなどの防護具の使用も検討することが重要です。また、日本二輪車普及安全協会が提供する安全運転講習会に参加することで、危険予測能力を高め、事故リスクを低減することができます。
原付免許は取得が容易ですが、その分実践的な運転技術を身につける時間が少ないという側面があります。免許取得後も継続的に学習し、安全運転の意識を高く保つことが、快適なバイクライフの実現につながります。