
タミヤ ホップアップオプションズ No.1541 OP.1541 CC-01 アルミオイルダンパー (4本) 54541
オイルダンパーのキャップに穴を開けて大気開放にすると、ダイアフラム上部の空気が外部と繋がるため、走行時の振動や衝撃によってオイルが穴から漏れ出す可能性が高まります。特に激しい走行や長時間の使用では、ダンパー内部の圧力変動が大きくなり、微量ずつではありますがオイルが飛散してしまうケースが報告されています。密閉式ダンパーと比較すると、オイルの補充や交換サイクルが短くなる傾向があり、定期的なメンテナンスが欠かせません。
参考)https://blog.goo.ne.jp/alaingarden/e/2ad0172ddb06d3105f6d805961e9012e
大気開放ダンパーでは通常1mm程度の穴を開けますが、この穴のサイズや位置によってもオイル漏れの度合いが変わります。穴が大きすぎると漏れやすく、小さすぎると大気開放の効果が得られないため、適切なサイズ選びが重要です。また、ダンパーキャップとダイアフラムの間にスポンジを挟む構造の場合、スポンジが穴を塞いでしまい大気開放の意味がなくなることもあるため注意が必要です。
参考)BD9大気開放ダンパーを製作
オイル漏れを最小限に抑えるには、ダンパーの取り付け角度や車体の姿勢管理も考慮する必要があります。穴の位置が下向きになる取り付けでは重力の影響でオイルが漏れやすくなるため、可能な限り上向きまたは水平に近い角度で設置することが推奨されます。
参考)ダンパーの組み方の違い! : Uecky Racing
大気開放ダンパーでは、密閉式ダンパーで得られていたエア圧による反発力がなくなるため、減衰特性が大きく変化します。密閉式では、ダンパーシャフトを押し込むとダイアフラム上部の空気が圧縮されて空気バネのような効果が生まれ、これが復元力として作用していました。しかし大気開放にすると、この空気バネ効果が失われ、減衰力はダイアフラムの弾性とオイルの粘性のみに依存する形になります。
参考)https://ameblo.jp/rintaro00/entry-12779804231.html
この変化に対応するため、バネレートの見直しが必要になるケースが多くあります。空気バネ効果がなくなった分、物理的なスプリングを硬くしたり、イニシャルを強めに設定したりする調整が求められます。また、オイルの粘度選択も重要で、大気開放では350番から500番程度の比較的高粘度なオイルが使用されることが多いですが、路面状況や気温によって最適な粘度が変わるため、細かな調整が必要です。
参考)https://blog.goo.ne.jp/alaingarden/e/b3e45bdde5a509f0d4363585f46e8f7b
さらに、大気開放ダンパーは動き出しがスムーズになる反面、ロール量が増加したり車体の安定性が変化したりするため、サスペンションジオメトリー全体のバランスを取り直す必要が生じます。フロントとリヤで大気開放の有無を変えるセッティングもあり、組み合わせのパターンが増えることで初心者には調整の難易度が高くなります。
大気開放ダンパーの最大のデメリットの一つが、キャップの穴を通じて外部から異物が混入するリスクです。走行中には路面から巻き上げられた砂埃や泥、小さなゴミなどが空気と共にダンパー内部に侵入する可能性があります。これらの異物がダンパーオイルに混ざると、オイルの粘度が変化したり、ピストンやシール部分を傷つけたりする原因となります。
特に未舗装路やダート走行では、異物混入のリスクが格段に高まります。微細な砂粒がダンパー内部に入り込むと、Oリングやシール部分に噛み込んで傷をつけ、そこからオイル漏れが発生するという悪循環に陥ることもあります。また、ダイアフラムの表面に異物が付着すると、ダイアフラムの滑らかな動きが阻害され、減衰特性が不安定になる場合もあります。
異物混入を防ぐには、定期的なダンパーの分解清掃とオイル交換が不可欠です。理想的には走行5~10回ごとにダンパーを開けて内部を点検し、オイルの状態や異物の有無を確認することが推奨されます。また、一部のユーザーは穴の部分に極薄のメッシュフィルターを装着するなどの工夫を施していますが、これも目詰まりによって大気開放の効果が薄れる可能性があるため一長一短です。
参考)https://ameblo.jp/gunma-green/entry-12899544052.html
大気開放ダンパーは密閉式と比べて外気温の影響を受けやすい特性があります。ダンパーオイルは温度によって粘度が変化する性質を持っており、気温が高い夏場ではオイルが柔らかくなって減衰力が低下し、逆に気温が低い冬場では硬くなって減衰力が増加します。密閉式ダンパーでもこの現象は起こりますが、大気開放では外気と直接繋がっているため、温度変化の影響をより直接的に受けます。
夏場と冬場でダンパーオイルの番手を変える必要が生じることも珍しくありません。例えば、夏場には500番の高粘度オイルを使用していても、冬場には同じセッティングでは硬すぎて路面追従性が悪化するため、400番程度に下げる調整が必要になります。この季節ごとのオイル交換は手間とコストの両面で負担となります。
また、走行中のダンパー温度上昇も考慮する必要があります。連続走行によってダンパーオイルは発熱し、走行開始時と後半では減衰特性が変わってきます。大気開放ダンパーは外気との接触があるため放熱性は多少良いものの、安定した減衰力を維持するには走行時間や休憩のタイミングも管理しなければなりません。
参考)ÖHLINS が良いと感じる根幹① TTXテクノロジーについ…
レース環境では気温と路面温度を常にモニタリングし、予選と決勝でオイル粘度を変えるといった細かな対応が求められることもあります。このような温度管理の複雑さは、大気開放ダンパーのデメリットとして認識しておく必要があります。
大気開放ダンパーを自作する際、キャップに開ける穴の精度が性能に大きく影響します。一般的には1mm程度の穴を開けますが、穴の位置やエッジの処理が不適切だと、期待した効果が得られないばかりか、かえって性能が悪化することもあります。ピンバイスやドリルを使って穴を開ける際、バリが残ったり穴の形状が歪んだりすると、空気の流れが不均一になり減衰特性が乱れます。
参考)大気開放ダンパー - Self Satisfaction B…
特に樹脂製のダンパーキャップは柔らかい材質のためバリが取れにくく、きれいな穴を開けるには熟練の技術が必要です。バリが残った状態で使用すると、ダイアフラムを傷つけたり、空気の流れを妨げたりする原因となります。カーボン混合材のキャップの方が加工しやすいという意見もありますが、材質によって最適な工具や加工方法が異なるため、経験が浅いユーザーにはハードルが高い作業です。
また、穴の位置も重要な要素です。ダイアフラムの直上に穴を開けるのが基本ですが、内部構造によっては最適な位置が異なる場合があります。穴の位置が悪いとエア室の空気が効率的に逃げず、大気開放の効果が半減してしまいます。さらに、左右のダンパーで穴のサイズや位置にばらつきがあると、左右の減衰特性が揃わず、車体の挙動が不安定になるリスクもあります。
こうした工作精度の問題から、市販の大気開放対応ダンパーを購入する方が確実だという意見もありますが、コスト面では自作よりも高額になります。自作する場合は、複数のダンパーキャップを用意して練習するなど、十分な準備と技術習得が求められます。
大気開放ダンパーの製作方法と減衰特性の詳細について参考になる情報があります
バイクのサスペンション構造とダンパーの基本原理について解説されています
正圧・負圧・大気開放の各ダンパー組み方の違いと走行フィーリングの比較が詳しく説明されています