離型剤 種類と選び方 成形材料 用途 特徴

離型剤 種類と選び方 成形材料 用途 特徴

離型剤 種類と特徴

離型剤の主な種類と特徴
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フッ素系離型剤

薄膜塗布で高い離型性を発揮。金型汚れが少なく連続成形に最適

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シリコーン系離型剤

優れた潤滑性と作業性。広範囲な樹脂・ゴム成形に対応可能

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ワックス系離型剤

安価で塗りやすい固形状。金属加工やコンクリート成形に使用

離型剤は、成形工程で金型から成形品をスムーズに取り出すために使用される薬剤です。型と素材の癒着を防ぎ、生産性の向上と製品品質の維持に欠かせない役割を果たしています。離型剤には複数の種類があり、成形材料や加工温度、求められる離型性能に応じて適切な選択が必要です。
参考)【離型剤とは】種類ごとの成分やメリット・使用例を紹介

樹脂成形では主にフッ素系、シリコーン系、ワックス系の3種類が使い分けられており、工業用途ではフッ素系とシリコーン系が主流となっています。それぞれの離型剤は異なる特性を持ち、使用場面によってメリットとデメリットが存在するため、成形条件に合わせた選定が重要です。
参考)離型剤とは?その種類や特徴をご紹介!使用用途も確認|岡畑興産…

離型剤 フッ素系の特徴と用途


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フッ素系離型剤は、フッ素化合物の低表面張力による非粘着性を利用した離型剤です。薄く塗布するだけで優れた離型性を発揮し、使用量が少なくて済むのが最大の特徴となっています。耐薬品性や耐熱性が高く、特に高温環境下での成形に適しており、200〜250℃の温度範囲で安定した性能を発揮します。
参考)https://bbnet.shop/blogs/column/%E9%9B%A2%E5%9E%8B%E5%89%A4%E3%81%A8%E3%81%AF-%E3%81%9D%E3%81%AE%E7%A8%AE%E9%A1%9E%E3%82%84%E7%94%A8%E9%80%94-%E5%89%A5%E9%9B%A2%E5%89%A4%E3%81%A8%E3%81%AE%E9%81%95%E3%81%84%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E8%A9%B3%E3%81%97%E3%81%8F%E8%A7%A3%E8%AA%AC

ダイキン工業のフッ素系離型剤 - フッ素系離型剤の持続性と生産性向上効果
金型への汚れが少ないため連続成形が可能で、金型洗浄の回数を大幅に低減できます。成形品への転写が少なく、成形後に塗装やメッキなどの二次加工を行う場合にも適しています。一方で、潤滑性がやや劣る点がデメリットとして挙げられます。
参考)離型剤について

離型剤 シリコーン系の性能と適用範囲

シリコーン系離型剤は、シリコーンオイルの優れた潤滑性をベースとした離型剤で、最も広く使用されている種類です。撥水性や離型性、作業性に優れており、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂、ゴム成形品など幅広い材料に対応できます。200〜250℃の耐熱温度を持ち、熱安定性にも優れています。
参考)https://www.ichinen-chem.co.jp/pdf/pdf_temp/20130626162611_740747.pdf

表面エネルギーの低いメチル基が表面に出やすい構造となっており、高い剥離性能を有しています。官能基を変えることで様々な特徴を付与できるため、カスタマイズ性が高いのも特徴です。ただし、成形物への転写が多い傾向にあり、塗装や接着不良が起こる可能性がある点には注意が必要です。洗浄に手間がかかり、成形後に加工を必要とする場合には不向きとされています。
参考)https://electronics.zacros.co.jp/column/cat/column/223

シリコーン離型剤の機能性と安全性 - 食品包装容器への応用

離型剤 ワックス系と界面活性剤系の特性

ワックス系離型剤は、オイル状またはワックス状の固形タイプで、塗りやすく安価なため大量使用に適しています。液状のため広範囲に簡単に塗布でき、良好な離型性を持っていますが、金型表面と成形物の間に離型剤が存在する層間剝離による離型性を発揮するため、厚く塗布する必要があり使用量が多くなります。
参考)真空成形で使用される離型剤について

離型性能が長続きしないため、1〜数ショットごとに塗布が必要で、成形物への転写が多いため洗浄が必要となる場合もあります。金型汚れが激しく転写が多い上、離型性に劣るため、主に半導体などの一部の分野や金属加工、コンクリート成形で使用されています。​
界面活性剤系離型剤は、主にシリコーンゴムやタイヤの内側に使われる離型剤で、安価なのがメリットですが、離型性は良くないため、簡単に外しやすい用途の場合に限定して使用されています。​

離型剤 水性タイプと環境配慮型の進化

水性離型剤は、環境にやさしく揮発性有機化合物(VOC)の排出を抑えられるため、食品加工や医療機器の製造にも利用されています。近年では環境規制の強化に伴い、PFASフリーでフッ素不使用の環境配慮型離型剤の開発も進んでいます。
参考)シリコーン離型剤スプレー|PFASフリーで環境配慮と高性能を…

フッ素含有シリコーン系離型剤は、シリコーン系粘着剤専用グレードとして開発されており、フッ素を添加することでシリコーン同士が結合しづらくなり、スムーズに離型しやすくします。対応するシリコーン粘着剤の種類に大きく影響を受けるため、用途を限定した使用が推奨されています。​
離型剤の種類別成分とメリット - フッ素系離型剤の詳細解説

離型剤 選定時の重要ポイント

離型剤を選定する際には、成形材料の種類、加工温度、二次加工の有無、連続成形の必要性などを総合的に判断する必要があります。金属の場合は300℃以上の加工温度になるため離型剤の使用自体が難しくなりますが、樹脂であれば成形条件に合わせて各種離型剤を使い分けられます。​
成形品に塗装やメッキなどの二次加工を施す場合は、転写の少ないフッ素系離型剤が適しています。一方、高い潤滑性が求められる場合や作業性を重視する場合は、シリコーン系離型剤が選択肢となります。コスト重視で簡易な離型作業の場合は、ワックス系や界面活性剤系も検討できます。
参考)シリコーン離型剤とは?機能・性能や用途を紹介

離型剤の形態にも、水型、溶剤型、オイル型、ペースト型、水希釈(エマルジョン)型などがあり、スプレータイプや焼付型タイプなど使用方法の種類も豊富です。作業環境や塗布方法に応じて、最適な形態を選択することで、作業効率の向上と安定した品質確保が可能になります。
参考)ゴム製品の品質向上を目指す!離型剤の塗布方法と不良原因、対策…

 

 


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