
圧着端子は電線と電線、または電線と電気機器を接続するための重要な部材で、バイクの配線作業においても必須のパーツです。適正な工具で圧着端子と電線を塑性変形させることで、変形された電線が元の状態に復元しようとする弾性と端子の残留応力によって強固な接続を実現します。無ハンダ・非加熱で接続できるため、安全面でも優れており、電力機器から自動車、バイクまで幅広く使用されています。
参考)接続端子の種類と特長 【通販モノタロウ】
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圧着端子にはその形状によって大きく4つの種類に分類されます。丸形圧着端子は舌部が丸く、ねじ固定用の取り付け穴が開いているタイプで、抜けにくいことから危険性・重要性の高い電線に適しています。Y型圧着端子(先開形)は舌部の取り付け穴の一方が開いており、ねじを完全に外さなくても少し緩めるだけで電線を接続できるため配線作業がしやすい特徴があります。ただし、ねじボルトが緩むと電線が抜けてしまう可能性があるため注意が必要です。
参考)https://jp.rs-online.com/web/content/discovery/ideas-and-advice/crimp-terminal-guide
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棒形圧着端子は舌部が棒状になっており、差し込み型器具に接続する用途で使用されます。閉端接続子は機器内配線において複数電線を重ね合わせて接続する際に用いられ、合わせた電線の「心線部」だけをカシメます。さらにCB形と呼ばれる低圧開閉器(ブレーカー)用裸端子も存在します。
バイクの配線では、キボシ端子も頻繁に使用されますが、圧着端子とは異なり脱着が可能な点が大きな違いです。圧着端子は一度圧着すると脱着できませんが、その分配線が抜けにくく確実な接続が得られます。
参考)圧着端子・ギボシ端子の違いと作業毎に役立つそれぞれの便利な活…
圧着端子を大別すると、裸圧着端子と絶縁被覆付圧着端子の2種類があります。裸圧着端子は一般に電線が単線のときに使用され、端子接続部分の形状が丸形のものや、先が開いた先開形のものなどがあります。適正工具で凹凸歯口で一ヵ所をカシメて接続します。
参考)計装豆知識|圧着端子
絶縁被覆付圧着端子は電線が多芯のより線のときに使用されることが多く、電線の心線部と被覆部の二ヵ所をカシメます。絶縁体の形と素材の違いで直管形と拡管形に分けられ、さらに硬質ビニル樹脂系とポリアミド樹脂系の材質があります。絶縁被覆付タイプは別途絶縁の手間が要らないというメリットがあり、感電防止効果も期待できます。
参考)「絶縁被覆付き」圧着端子は、裸圧着端子と違って、どういう所で…
また、絶縁被覆付圧着端子では対応するケーブルの公称断面積で色分けされており、太い方から黄>青>赤となっています。細い電線に対しては、接続端で線が急角度に曲がるのを防ぐ効果も期待できます。ただし、端子圧着時の強度の関係から大型の端子では絶縁被覆付きのものはなく、大型の端子で絶縁が必要な場合は圧着後に絶縁カバーをかぶせる必要があります。
圧着端子は使用する線材とネジの組み合わせによって多くの品種があり、これらを識別するために統一された呼び方が決まっています。例えばR5.5-6という品番は、断面積が5.5平方ミリ(mm²)の電線を直径6ミリのネジに接続する丸形圧着端子であることを意味します。
参考)圧着端子の種類と使い分け:作業性とメンテナンス性の向上
具体的には、品番のアルファベットに続く数字が電線の断面積を、ハイフン以降の数字がねじの径を示しています。代表的な端子メーカーであるニチフの「丸形裸圧着端子(品番:R1.25-3)」では、電線の断面積が1.25mm²、そしてねじの径が直径3㎜であることがわかります。
ただし、全ての端子がこの命名規則に従っているわけではないため、選定の際はメーカーのカタログやデータシートも参照することが推奨されます。端子に適合する電線の範囲は、単線の場合はmm、より線の場合はmm²、そしてAWG(American Wire Gauge)という主にアメリカで用いられる表示法でも示されています。AWGは数字が大きいほど導体は細くなるという特徴があり、日本のSQ(スケア)とは逆の関係になる点に注意が必要です。
圧着端子を選ぶ際には、端子ねじの大きさと電線の種類・サイズがポイントです。接続したい端子ねじの大きさや、電線の種類・サイズに適合していない圧着端子を使用すると、接続不良が起きる原因となるため適合する製品を選ぶようにしてください。
一般的な圧着端子には使用できる電線サイズの範囲が決まっています。例えばR1.25-3という品番の場合、AWGでは22~16、単線では0.57~1.44mm、より線では0.25~1.65mm²の電線に対応しています。端子に取り付けるねじサイズを確認し、電線サイズに合わせて端子を選んでください。
形状による違いも把握しておくことがポイントのひとつです。丸形圧着端子は抜けにくいことから危険性・重要性の高い電線に適し、Y型圧着端子は抜けやすいものの施工が簡単で危険性の低い電線に適します。バイクの配線では、電気的な負荷や配線の重要度、メンテナンス頻度などを考慮して適切な形状を選択することが大切です。
参考)[脱失敗!]バイクの配線方法「基本の3パターン」を解説します…
意外と知られていない選定ポイントとして、バイクの配線では振動や熱による影響を考慮する必要があります。動力機械では機器の振動で接続部が弛むことの無いように電線を固定するといった対策が必要となります。
バイクの配線作業では、250型コネクタや平型端子、キボシ端子などが一般的に使用されますが、圧着端子も重要な役割を果たします。特にバッテリーからの電源取り出し(バッ直)では丸型端子がよく使われ、適合コードと流せる電流容量も考慮して選ぶのが肝要です。
参考)バイクの配線などで250型コネクタを使用するのですが、端子の…
バイクのカスタムやLED取り付けなどの配線作業では、キボシ端子を使用した接続が基本となります。配線の被膜を取る際は専用のツールもありますが、大体の電工ペンチには被膜取りの部分がついているので、それを使えば大丈夫です。中の銅線が出てくればOKで、銅線が毛羽立たないようにネジってまとめることが推奨されます。
注意ポイントとして、端子は金属なので車両の金属部分にふれると電気が流れてショートし、ヒューズが飛ぶことがあります。カシメる前に端子を保護するスリーブを通しておくことが重要です。また、配線作業で中途半端に動くときと動いてくれないときがある場合は、接続不良の可能性が高いため再度確認が必要です。
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LEDスクールで圧着接続端子のかしめ方や太さの変換方法などの基本技術が学べます。
バイク配線の基本3パターン解説記事
キボシ端子の取り付け方やバイク配線での失敗を防ぐ方法が詳しく紹介されています。
正しい圧着の第一条件は、使用する電線とネジ(ボルト)に適合した圧着端子を選択することと、その圧着端子に指定された圧着工具を使うことです。圧着に際しては圧着端子毎に指定された専用の圧着工具を使用し、端子と工具でワンセットと考えてください。電工ペンチの先端にあるダイスと呼ばれる溝が刻まれた部分で、スリーブやギボシ端子の根元の爪をカシメて電線を接続します。
参考)圧着ペンチの種類と使い方
作業上では、線材の被覆をむく長さ(剥ぎ寸法)を端子に合わせることが大切です。剥ぎ寸法は端子によって推奨値が決められており、線材を端子にしっかり押し込む必要があります。圧着工具をバレルの中心に当てることができれば誰にでも上手な仕上がりが得られます。
絶縁被覆付きの端子に単線を接続するのは、引張強度が不足する可能性がありますので奨められません。また、接続後に電線を強く引いたり曲げたりすることの無いようにしなければなりません。接続後に舌部と圧着部(バレル)を軽く折り曲げる場合は10度以内程度に留め、曲げは一度だけとし元に戻すことは避けてください。
圧着工具を使わずにペンチでカシメることや、圧着せずにハンダ付けしようとすることは論外です。圧着前に線材をハンダメッキする例も見受けられますが、圧着は端子と線材が一体化することで成り立っているため、ハンダはせずに裸銅線のまま圧着してください。圧着後にハンダを流すのも意味がありません。
忘れがちなのが圧着工具のメンテナンスで、ガタや緩みはないかといった日頃の点検の他に、品質管理の一環として定期点検に出すといった体制が望まれます。正しく管理された専用工具を使うことで、初めて信頼性が確保されます。
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