アウト・イン・アウトとはコーナリング走行ライン取りの基本技術

アウト・イン・アウトとはコーナリング走行ライン取りの基本技術

アウト・イン・アウトとは

アウト・イン・アウトの基本構造
🏍️
コーナー進入(アウト)

コース外側から進入し、旋回半径を大きく確保

🎯
コーナー中間(イン)

クリッピングポイントでコース内側に最接近

コーナー脱出(アウト)

コース外側へ向けて加速しながら立ち上がり

アウト・イン・アウトのコーナリング基本原理

アウト・イン・アウトとは、バイクやクルマでコーナーを走行する際の基本的なライン取り技術のことです。コーナーの外側(アウト)から進入し、コーナーの頂点付近で内側(イン)に最接近し、再び外側(アウト)に向かって立ち上がるという走行ラインを指します。この技術は主にサーキット走行において、コーナリングスピードを最大化するために用いられる基本テクニックです。
参考)アウトインアウトとは?【バイク用語辞典】

アウト・イン・アウトの最大の特徴は、コース幅を最大限に活用することで、実際のコーナーよりも緩やかな曲線を描いて走行できる点にあります。道路の真ん中を走るラインと比較すると、アウト・イン・アウトのラインは明らかに直線に近い軌跡を描きます。この直線的な走行ラインによって、コーナーでの減速量を最小限に抑え、より高い速度を維持したまま通過することが可能になります。
参考)アウト・イン・アウトとは?

コーナーを曲がるためには通常、速度を落とす必要がありますが、コーナーの曲率(R)が緩ければ緩いほど、減速の必要性は低くなります。アウト・イン・アウトは、限られた道幅の中で最も緩い曲率を実現する走行ラインであり、結果として最も速くコーナーを通過できる理論的な走行軌跡となります。
参考)コーナーの基本はアウトインアウト!ライン取りの基本を見直そう…

アウト・イン・アウトとクリッピングポイントの関係

アウト・イン・アウトのライン取りにおいて、最も重要な概念が「クリッピングポイント」です。クリッピングポイントとは、コーナリング中にバイクがコースの内側(イン側)に最も近づく地点のことを指します。このポイントは、コーナー脱出時にアクセルを開けることができる場所でもあり、結果的にバイクが最も深くバンクしているポイントでもあります。
参考)クリッピングポイントとは?

クリッピングポイントの設定位置によって、コーナーの走り方や速度は大きく変わります。一般的には、コーナーの物理的な頂点(エイペックス)をクリッピングポイントとするアウト・イン・アウトのラインが、最も旋回半径が大きく、高速で通過できるラインとなります。クリッピングポイントを通過する際、バイクがすでにコーナーの出口方向を向いていることが理想的で、そこからスムーズに加速していくことができます。
参考)クリッピングポイント

サーキット走行では、各コーナーにベストなコーナリングラインを正確にトレースするため、このクリッピングポイントを正確に捉えることが極めて重要とされています。クリッピングポイントを点として捉えるか、ゾーン(エリア)として捉えるかによっても、走り方やコーナーに対する意識が変わってきます。​

アウト・イン・アウトがコーナリング速度を高める理由

アウト・イン・アウトのライン取りが速い理由は、物理的な原理に基づいています。最も重要なのは、このラインが「最も直線に近いコーナリングライン」を実現できるという点です。コーナーを曲がるためには速度を落とす必要があり、コーナーが急であればあるほど、より大きな減速が必要になります。​
アウト・イン・アウトは、コース幅を利用してなるべく緩い走行ラインを通過することで、速度低下を最小限に抑える技術なのです。バイクの場合、より直線的なラインを走ることで、バンク角を浅く保つことができます。バンク角が浅ければ、コーナーの早い段階からスロットルを開けることができ、結果として立ち上がり速度が向上します。
参考)【意外と知らないバイクのこと】アウト・イン・アウトで走ると速…

具体的には、高い速度を維持したままコーナーを通過できることが最大のメリットです。一見減速が必要そうなコーナーでも、アウト・イン・アウトを実践することで、アクセル全開で抜けられるコーナーに変わるケースが多々あります。道幅を有効活用してアウト・イン・アウトを意識すれば、より直線的なライン取りとなり、高い速度を維持したままコーナーを抜けることができるのです。​

アウト・イン・アウト実践時の注意点と危険性

アウト・イン・アウトは「速く走るためのライン取り」の基本ですが、これは公道走行には適さない技術であることを理解しておく必要があります。公道でのライン取りはキープレフトが大原則であり、左側通行を維持できないようならオーバースピードと考えるべきです。​
公道でアウト・イン・アウトが危険とされる最大の理由は、対向車との衝突リスクが高まるからです。特に左コーナーでアウト・イン・アウトを実践すると、立ち上がりでセンターラインに近づくか、場合によっては超えてしまう可能性があります。対向車も同様にアウト側に膨らんでいる可能性が高く、両者が立ち上がりで接触する危険性が極めて高くなります。
参考)アウトインアウトをしてはいけない

さらに、公道には対向車のはみ出し、路面の不均一、浮き砂、落石、落ち葉、マンホールなどが常に存在する可能性があります。アウト・イン・アウトでは、クリッピングポイントまで先の路面状況が見えないため、突然現れる障害物に対処することが困難です。見通しの良い緩いRのコーナーほど、速度が出ているため被害も大きくなります。
参考)ワインディングでよくある誤解(その1・ライン取り)

アウト・イン・アウト以外のライン取り選択肢

公道走行では、アウト・イン・アウト以外のライン取りを選択することが安全性の観点から重要です。特に推奨されるのが「ミドル・アウト・イン」というライン取りです。この方法は、コーナー進入時に車線中央を通過し、向き変えポイントを車線外側に設定して車体を立てた状態でしっかり減速します。​
ミドル・アウト・インの最大のメリットは、向き変えポイントで既に先の路面状況を確認できている点です。立ち上がりは車線内側を直線的に加速していくため、対向車線に車両が向かってきても、安全に通過できます。このライン取りは、アウト・イン・アウトと比較してスピード的に大差がない一方で、安全性が格段に向上します。​
また、ストリートでのライン取りの基本は「ミドルキープ」、つまり直線でもコーナーでも車線の真ん中を走ることです。これが最も安全な走行方法とされています。複数のコーナーが連続するS字コーナーなどでは、最初のコーナーをアウト・インとライン取りすると、次のコーナーの出口がきつくなり、スロットルを開けられない場合があります。状況に応じて柔軟にライン取りを変更することが、実際の走行では重要です。​
クシタニのライディングメソッド記事では、アウト・イン・アウトの危険性について詳しく解説されています
バイク乗り方ライテク情報サイトでは、公道でアウトインアウトをしてはいけない理由が具体的に説明されています