バイク リア ブレーキ 故障について
リアブレーキの主な故障症状
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ブレーキの効きが悪い
レバーやペダルを操作しても十分な制動力が得られない状態
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ブレーキの引きずり・固着
ブレーキを解放しても完全に戻らず、常に軽くブレーキがかかった状態
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スカスカ感
ブレーキレバーやペダルを操作した際に抵抗が少なく、踏みしろが深くなる現象
バイクのリアブレーキに不具合が生じると、安全な走行に大きな影響を及ぼします。リアブレーキは前輪と比べて制動力は劣りますが、バイクの安定性を保つために重要な役割を果たしています。特に雨天時や下り坂では、フロントブレーキだけに頼ると危険な状況に陥る可能性があります。
リアブレーキの故障は、単なる不便さだけでなく、重大な事故につながるリスクがあります。本記事では、バイクのリアブレーキに起こりがちな故障の原因と対策方法について詳しく解説します。
バイク リア ブレーキがスカスカになる原因と症状
リアブレーキがスカスカになる現象は、多くのライダーが経験する不具合です。この症状は、ブレーキペダルを踏んだ際に通常よりも踏みしろが深くなり、ブレーキの効きが遅れたり弱くなったりする状態を指します。
主な原因としては以下が挙げられます。
- ブレーキフルードの劣化:ブレーキ液は吸湿性があり、時間の経過とともに水分を含むことで性能が低下します。フルードが劣化すると、ブレーキの油圧が正しく伝わらなくなり、スカスカ感の原因となります。
- エア噛み(空気混入):ブレーキライン内に空気が入ると、レバーやペダルを操作しても、まず空気が圧縮されるため、ブレーキの効きが遅れます。この場合、ブレーキレバーを何度も握り直さないとブレーキが効かない症状が現れます。
- マスターシリンダーのピストンシール劣化:シールが劣化すると、油圧が逃げてしまい、ブレーキの効きが悪くなります。
- ブレーキパッドの摩耗:パッドが極端に摩耗すると、ディスクローターとの接触が不十分になり、ペダルを深く踏み込む必要が生じます。
これらの症状を放置すると、緊急時にブレーキが効かないという危険な状況に陥る可能性があります。特にエア噛みの症状がある場合は、早急にエア抜き作業を行う必要があります。
バイク リア ブレーキの固着と引きずりの原因と対策
ブレーキの固着や引きずりは、ブレーキを解放しても完全に戻らず、常に軽くブレーキがかかった状態を指します。この状態で走行を続けると、以下のような問題が発生します。
- 燃費の悪化
- ブレーキパッドやディスクローターの異常摩耗
- ブレーキの過熱によるフェード現象(ブレーキの効きが低下する現象)
- ペーパーロック現象(ブレーキフルードが沸騰し、ブレーキが効かなくなる現象)
固着や引きずりの主な原因は以下の通りです。
- ブレーキキャリパーのピストン固着:長期間使用していないバイクや、メンテナンス不足のバイクでは、キャリパー内のピストンが錆びや汚れで固着することがあります。これにより、ブレーキを解放してもピストンが完全に戻らず、パッドがディスクローターに接触したままになります。
- マスターシリンダーの不具合:マスターシリンダー内に異物が混入して詰まりを起こすと、常にブレーキに圧力が加わったままとなり、キャリパーピストンが戻らなくなります。
- ブレーキフルードの劣化:劣化したフルードはピストンシールの劣化やフルード内の気泡発生につながり、ブレーキの正常な動作を妨げます。
- ディスクローターの歪み:事故や転倒などで大きな衝撃が加わると、ディスクローターが歪むことがあります。歪んだローターはブレーキパッドに当たりやすくなり、引きずりの原因となります。
対策としては、以下の方法が効果的です。
- キャリパーの清掃とオーバーホール:ピストンの固着が原因の場合は、キャリパーを分解して清掃し、必要に応じてシールを交換します。
- ブレーキフルードの交換:2年に1回程度の定期的な交換が推奨されます。
- マスターシリンダーのオーバーホール:内部の清掃と必要に応じてシール類の交換を行います。
- ディスクローターの点検と必要に応じた交換:歪みが大きい場合は交換が必要です。
バイク リア ドラムブレーキの故障と修理方法
古いバイクや小型バイクに多く採用されているドラムブレーキは、構造がシンプルで耐久性に優れていますが、独自の故障パターンがあります。
ドラムブレーキの主な故障と修理方法は以下の通りです。
- ブレーキカムの固着:ブレーキカムシャフト部分が錆びや汚れで固着すると、ブレーキが効かなくなったり、逆に解放されなくなったりします。
- 修理方法:ブレーキカムシャフト部分を分解し、汚れやサビを除去して適切に給油します。
- ブレーキワイヤーの固着や伸び:長年使用しているとワイヤーが伸びたり、内部の油切れにより動きが悪くなったりします。
- 修理方法:調整ナットで遊びを調整するか、症状が改善しない場合はワイヤーを交換します。ワイヤー交換の費用は、部品代が2,800円〜4,000円程度、工賃が8,000円〜12,000円程度です。
- ブレーキシューの摩耗や汚れ:ブレーキシューが摩耗したり、ドラム内にブレーキダストが溜まったりすると、ブレーキの効きが悪くなります。
- 修理方法:ドラム内の清掃、ブレーキシューの交換、または表面を整えて当たりを良くします。
- ドラム内への水の侵入:大きな水たまりを走行した後などに、ドラム内に水が入り込むとブレーキの効きが一時的に低下します。
- 対処方法:乾燥させるか、軽くブレーキを掛けながら低速で走行して水分を蒸発させます。
ドラムブレーキは定期的な調整が重要です。ブレーキレバーやペダルの遊びが大きくなったと感じたら、調整ナットで適切に調整しましょう。また、2年に1回程度はドラム内の清掃とカム部分のグリスアップを行うことをお勧めします。
バイク リア ブレーキのフルード交換と効果
ブレーキフルード(ブレーキ液)は、バイクの制動システムにおいて重要な役割を果たしています。しかし、その特性上、定期的な交換が必要です。
ブレーキフルードが劣化する主な理由は以下の通りです。
- 吸湿性:ブレーキフルードは吸湿性があり、時間の経過とともに空気中の水分を吸収します。水分を含んだフルードは沸点が低下し、ブレーキの過熱時に気泡が発生しやすくなります。
- 熱による劣化:ブレーキを頻繁に使用すると、摩擦熱によってフルードが高温になり、劣化が進みます。
劣化したフルードは以下のような問題を引き起こします。
- ペーパーロック現象:フルードの温度が上がり沸騰すると、ブレーキ配管内に気泡が生じ、ブレーキが効かなくなる危険な状態になります。
- ブレーキの効きの低下:水分を含んだフルードは油圧の伝達効率が低下し、ブレーキの効きが悪くなります。
- 内部部品の腐食:水分を含んだフルードは金属部品を腐食させ、シール類の劣化を早めます。
フルード交換の効果と推奨頻度。
- 効果:新しいフルードに交換することで、ブレーキの効きが回復し、ペーパーロック現象のリスクが低減します。また、内部部品の腐食を防ぎ、ブレーキシステムの寿命を延ばす効果があります。
- 推奨頻度:一般的には2年に1回、または走行距離20,000km毎の交換が推奨されています。ただし、スポーツ走行が多いバイクや、雨天走行が多い場合はより頻繁な交換が望ましいでしょう。
フルード交換の際には、エア抜き作業も同時に行います。これにより、ブレーキライン内の空気を除去し、確実な制動力を確保します。
バイク リア ブレーキの自己診断と専門店に依頼すべき症状
バイクのリアブレーキに不具合を感じた場合、自分で対処できる範囲と専門店に依頼すべき症状を見極めることが重要です。
自己診断できる症状と対処法。
- ブレーキの遊びが大きい。
- ドラムブレーキの場合:調整ナットで遊びを調整
- ディスクブレーキの場合:ブレーキフルードのレベル確認と必要に応じた補充
- ブレーキの効きが徐々に悪くなっている。
- ブレーキパッドやシューの摩耗状態を確認
- ディスクローターやドラムの状態確認
- ブレーキフルードの色確認(茶色く濁っていれば交換時期)
- 軽度のブレーキ鳴き。
- ブレーキパッドの表面を軽く研磨
- パッド裏へのグリス塗布
- ディスクローターの清掃
専門店に依頼すべき症状。
- 急なブレーキの効きの低下。
- 油圧系統の故障が疑われる場合
- ブレーキフルードの漏れがある場合
- ブレーキの引きずりや固着が解消しない。
- キャリパーピストンの固着が疑われる場合
- マスターシリンダーの不具合が疑われる場合
- ブレーキペダルがスカスカで底付きする。
- エア噛みが疑われる場合
- マスターシリンダーのシール劣化が疑われる場合
- 異常な振動や音。
- ディスクローターの歪みが大きい場合
- キャリパーマウントの緩みや破損が疑われる場合
- ブレーキフルードの漏れ。
専門店に依頼する際の目安となる修理費用。
- ブレーキフルード交換:3,000円〜5,000円程度
- キャリパーOH:8,000円〜15,000円程度
- マスターシリンダーOH:10,000円〜20,000円程度
- ブレーキホース交換:5,000円〜10,000円程度(部品代別)
- ドラムブレーキ関連の修理:4,000円〜12,000円程度
バイクのブレーキは安全に直結する重要な部分です。自己診断と対処ができる範囲を超える症状が見られる場合は、無理せず専門店に相談することをお勧めします。特に、ブレーキの効きに不安を感じる状態での走行は非常に危険ですので、必ず修理してから乗るようにしましょう。
バイクのリアブレーキは、適切なメンテナンスと定期的な点検によって、多くの故障を未然に防ぐことができます。日常的な点検と、2年に1回程度の定期的なブレーキフルード交換を心がけることで、安全な走行を維持しましょう。
また、自分でのメンテナンスに不安がある場合は、定期点検の際にプロの目でチェックしてもらうことも重要です。ブレーキは命を守る最後の砦です。その重要性を理解し、適切なケアを行いましょう。