
バネ下重量とは、サスペンションのスプリングより下に装備されているパーツの総重量を指します。具体的には、ホイール、タイヤ、ブレーキキャリパー、ディスクローター、スイングアーム、フロントフェンダー、車軸などが該当します。厳密には「スプリングの下」なので、フロントフォークやリアショックユニットのスプリング下部で可動する部品の重量も含まれます。
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バイクの場合、これらのパーツはサスペンションとともに路面の凹凸に合わせて常に上下動しているため、その重量が走行性能に大きな影響を与えます。バネ下重量に対して、スプリングより上にあるエンジンやフレーム、タンクなどは「バネ上重量」と呼ばれ、これらは区別して考えられています。
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バネ下重量の軽量化は、バネ上の軽量化と比較して同じ質量あたり4~15倍の効果があると言われており、走行性能向上において非常に重要な要素となっています。ただし、この数値に明確な学術的根拠はなく、体感的な効果の大きさを表現したものです。
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バネ下重量を軽くすることで、ハンドリング性能が顕著に向上します。まず、サスペンションの応答スピードが向上し、路面の凹凸に対してサスペンションが素早く伸縮できるようになります。これにより、タイヤが路面に接地している時間が長くなり、グリップ力が安定します。
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ステアリング操作に対する反応も機敏になります。バネ下重量が軽いほど、コーナリング時の荷重移動がスムーズになり、バイクの向きを変える際の軽快感が生まれます。特にワインディングロードなどで連続するコーナーを走行する際に、その効果を実感しやすくなります。
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また、荷重がぬけた際のサスペンションの動きがスムーズになるため、バネやショックアブソーバーが効率的に働き、車体の安定性も向上します。4輪あたり5kg軽量化できれば、明確に体感できるレベルの変化があるとされています。
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路面追従性とは、タイヤが路面の形状に追従して接地し続ける能力のことで、バネ下重量の軽量化はこの性能を大きく向上させます。バネ下が軽くなることで、サスペンションが路面の細かな凹凸にも素早く反応できるようになり、タイヤが路面から浮き上がりにくくなります。
参考)テクニック:バネ下質量の重要性 - パドックGP
荒れた路面を走行する際、バネ下重量が重いとタイヤが路面から離れやすく、一時的にグリップを失う可能性が高まります。しかし、バネ下が軽量化されていると、タイヤを浮かせるためにより多くの速度が必要となり、結果的にタイヤが路面に接地している時間が長くなります。
参考)MXA 技術仕様: バネ下重量がなぜ重要なのか? - モトク…
この効果は、不整地や凹凸の多い路面での走行安定性に直結します。サスペンションが効率的に機能することで、乗り心地の向上にも寄与し、長距離走行時の疲労軽減にもつながります。路面追従性の向上は、安全性の面でも重要な要素となっています。
参考)「ばね下重量」軽量化のメリット/デメリット - NBロードス…
バネ下重量の軽量化は、加速性能の向上に直接的な効果をもたらします。ホイールやタイヤなどの回転部分の慣性力が減少するため、エンジンのパワーが効率的に路面に伝わり、出足がスムーズになります。特に発進時や低速からの加速時に、その軽快さを体感できます。youtube
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ブレーキ性能も向上します。車両が軽くなることで慣性力が小さくなり、ブレーキの効きが良くなるだけでなく、制動距離の短縮にもつながります。さらに、ブレーキパッドやローターへの負荷が減るため、パーツの寿命延長効果も期待できます。
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燃費への効果も見逃せません。車重に対してバネ下重量は約5%程度ですが、このうち1%(例:16kgのタイヤ・ホイールで約3.2kg)を軽量化できれば、0.1km/L程度の燃費改善が期待できます。わずかな効果ではありますが、長期的に見れば経済的なメリットとなります。
バネ下重量の軽量化には多くのメリットがありますが、デメリットや注意点も存在します。路面追従性が向上することで、路面状態がダイレクトに伝わるようになり、荒れた路面では振動や衝撃を感じやすくなる場合があります。快適性を重視するライダーにとっては、逆効果となる可能性もあります。
参考)https://www.goobike.com/magazine/maintenance/custom/30/
また、軽量化パーツは一般的に高価であり、コストパフォーマンスを考慮する必要があります。軽量ホイールやカーボン製パーツなどは、純正品の数倍の価格となることも珍しくありません。さらに、軽量化によって強度が不足する場合もあるため、信頼性のあるメーカーの製品を選ぶことが重要です。
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バランスの問題にも注意が必要です。重量バランスが崩れると、走行安定性や乗り心地が悪化することもあります。そのため、バネ下重量の軽量化を行う際は、フロントとリアのバランスを考慮し、トータルでの性能向上を目指すことが大切です。適切なカスタムを行えば、バネ下重量軽量化の効果を最大限に引き出すことができます。
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