

2025年4月25日に公布された電波法及び放送法の一部を改正する法律により、日本の電波利用環境が大きく変わります。この改正は2025年10月1日から施行され、バイクライダーが日常的に使用するインカムやドライブレコーダーなどの無線機器にも影響を与える可能性があります。
参考)【2025年10月施行】電波オークション制度とは?電波法改正…
主な改正内容は3つあります。1つ目は無線局免許状のデジタル化です。従来の紙の免許状が廃止され、総務省の電波利用電子申請サイトから電子免許状を閲覧・ダウンロードできるようになります。2つ目は電波オークション制度の創設で、6GHz超の高周波数帯において価額競争による周波数割当が開始されます。3つ目は電波利用料制度の見直しで、手数料が改定されます。
参考)電波政策の動向に関する説明会を開催 (2025年7月31日 …
これらの改正は、電波という有限資源をより効率的に活用し、5Gや次世代通信技術の普及を促進することを目的としています。バイクライダーにとっては、特に無線機器の技適マーク確認の重要性が増しています。
参考)「技適マーク」15年ぶり制度改正へ 無線機器の認証、遠隔更新…
電波法改正の施行日は2025年10月1日です。この日から無線局の紙の免許状が原則として交付されなくなり、すべて電子免許状に移行します。ただし、施行日前にすでに交付されている紙の免許状は引き続き有効です。
参考)【速報】無線局免許状のデジタル化で「ハムライフ」はどう変わる…
適用範囲については、電波オークション制度は主に6GHz超の高周波数帯が対象となり、既存のテレビ放送やラジオ放送の周波数帯は対象外です。バイクライダーが使用するBluetooth通信(2.4GHz帯)やWi-Fi通信機器は直接的な影響を受けませんが、今後の技術進展により新しい周波数帯の機器が登場する可能性があります。
参考)X
無線従事者免許の申請手数料は、2025年10月1日から1,750円から2,050円へと300円値上げされます。アマチュア無線局を開設しているライダーや、業務用無線機を使用する方は注意が必要です。
参考)https://www.jard.or.jp/eln-center/20250815_ryokinkaitei-202509.pdf
バイクライダーが使用する無線機器への直接的な影響は限定的ですが、注意すべき点がいくつかあります。まず、技適マークの確認がこれまで以上に重要になります。技適マークとは、電波法令で定められた技術基準に適合している無線機であることを証明するマークです。
参考)https://www.bds.co.jp/bdsreport/detail967.html
バイク用インカムやスマートモニター、ドライブレコーダーなど、無線通信機能を持つ製品は必ず技適マークを取得している必要があります。特に海外製品や中華製品の中には技適マークを取得していないものも多く、それらを使用すると電波法違反となり、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。
参考)バイク用スマートモニターを売っている業者に物申したい|Tar…
また、5.2GHz帯のWi-Fiを使用するスマートモニターは屋内利用のみに限定されており、バイクなどの屋外での使用は違法となる場合があります。購入時には必ず技適マークの有無と、屋外利用が可能な周波数帯を使用しているかを確認しましょう。
参考)違法スマートモニターに注意!使用するリスクや見分け方について…
総務省は2025年1月に電波利用に関する電子申請のページをリニューアルし、技適未取得機器を用いた実験等の特例制度の申請方法も変更されました。研究開発や実験目的で技適未取得機器を使用する場合は、必ず届出を行う必要があります。
参考)【2025年1月リニューアル対応版】技適未取得機器を用いた実…
2025年の電波法改正を踏まえたバイク用通信機器の選び方について解説します。最も重要なのは技適マークの確認です。インカム、ドライブレコーダー、スマートモニターなど、無線通信機能を持つすべての製品で技適マークの有無を必ずチェックしてください。
参考)TEITO~open up a new era.~
技適マークは通常、製品本体の裏面やバッテリー収納部、取扱説明書などに記載されています。バイク用インカムを使用している人なら、インカム本体の裏を見れば技適マークが付いているのが分かるでしょう。技適マークがない製品を使用した場合、電波法第110条違反となり、罰則の対象となります。
参考)さらに便利でコンパクトに!インカムはどこまで進化する?
Bluetooth通信を使用するインカムは2.4GHz帯を使用しており、通信距離は見通しで約1km、市街地で約100m程度です。この帯域は技適を取得していれば屋外でも問題なく使用できます。一方、5.2GHz帯のWi-Fiを使用する製品は、屋外利用が認められていない場合があるため注意が必要です。
参考)インカムの種類と通信距離の目安
購入時のチェックポイントは以下の通りです。
✅ 技適マークの表示があること
✅ 使用周波数帯が屋外利用可能であること
✅ 送信出力が電波法の基準内であること
✅ 日本国内の正規販売店から購入すること
Amazonなどで販売されている海外製品の中には、技適マークを取得していないものや、屋内専用の周波数帯しか使えないものが多数存在します。価格が安いからといって安易に購入せず、必ず技適マークと使用条件を確認しましょう。
2025年10月1日から無線局免許状が完全デジタル化されます。これにより、従来の紙の免許状は新規発行されなくなり、すべて電子免許状に移行します。アマチュア無線局を開設しているバイクライダーにとって、これは大きな変更点です。
参考)【速報】<画像公開>無線局の「電子免許状」きょう10月1日か…
電子免許状は総務省の「電波利用電子申請」サイトから閲覧・ダウンロードできます。免許人は自分のパソコンやスマートフォンから、いつでも免許内容を確認し、必要に応じて印刷することが可能です。施行日以降に新規免許、再免許、変更申請を行う場合は、紙の免許状は交付されません。
参考)<10月1日から「紙の免許状」等を廃止し完全デジタル化、申請…
既に交付されている紙の免許状は、免許記録の内容に変更がない限り引き続き有効です。ただし、次回の更新時には電子免許状に移行することになります。電子免許状への移行に伴い、免許手続きの手数料も変更されます。
具体的な手数料変更は以下の通りです。
💴 無線従事者免許申請:1,750円 → 2,050円(300円値上げ)
💴 電子申請を利用した場合:一部手数料が軽減
💴 書面申請の場合:従来より高額に設定
電子申請を利用することで手数料を抑えることができるため、デジタル化への移行が促進されます。アマチュア無線局を運用しているライダーは、電子申請の方法を事前に確認しておくとよいでしょう。
参考)無線従事者免許申請手数料が 1,750円 → 2,050円に…
総務省の電波利用電子申請サイトを利用するには、まず新規ユーザー登録が必要です。個人の場合はマイナポータル連携、電子証明書、ログインID・パスワードのいずれかの方法でログインできます。登録後は、マイページから免許内容の閲覧、申請手続き、免許状のダウンロードなどが可能になります。
バイクライダー特有の注意点として、ツーリング中の無線機器使用に関する規制理解があります。2024年12月1日から、350MHz帯・400MHz帯のアナログ簡易無線機の使用が禁止されています。これは2025年の改正とは別の規制ですが、古い業務用無線機を流用している場合は注意が必要です。
参考)2024年12月から無線機やトランシーバーが使えなくなる?~…
バイクのスマートモニターやドライブレコーダーには、無線通信機能が搭載されている製品が多くあります。これらの製品を選ぶ際は、必ず日本の電波法に適合した技適マーク付きの製品を選びましょう。特に中華製の安価な製品には技適マークがないものが多く、使用すると違法となります。
ツーリング仲間とのコミュニケーションに便利なインカムも、技適マークの確認が必須です。Bluetooth規格のインカムであっても、技適を取得していない製品を使用すると電波法違反になります。インカム本体の裏面や取扱説明書で技適マークを確認してください。
意外と知られていない重要なポイントとして、技適未取得機器の特例制度があります。実験や試験目的であれば、総務省への届出により180日以内の期間限定で技適未取得機器を使用できます。新しい通信機器を試したい場合や、海外製品のテストを行いたい場合は、この特例制度を活用することができます。
さらに、バイク用品として販売されていても、すべてが適法とは限りません。販売することと使用することは別の問題であり、電波法違反の責任は使用者に課せられます。購入前に必ず技適マークの有無を確認し、不明な点があれば販売店や総務省に問い合わせることをおすすめします。
ライダーコミュニティでの情報共有も重要です。違法な無線機器を使用していると、他の無線機器に妨害を与えたり、緊急通信に影響を及ぼす可能性があります。船舶の無線機や消防・救急の通信に障害を引き起こせば、人命に関わる事態にもなりかねません。適法な機器を使用することは、社会的責任でもあります。
2025年の電波法改正により、電波利用環境はより厳格に管理されるようになります。バイクライダーとして、法令を遵守しながら快適なツーリングライフを楽しむために、使用する無線機器の適法性を今一度確認しておきましょう。
総務省の無線局免許状デジタル化に関する公式情報はこちら - 2025年10月施行の詳細な制度説明
技適未取得機器の特例制度について - 総務省公式サイトで届出方法を確認
技適マークの基礎知識 - 電波法を正しく理解するための詳細解説