
100%エチレングリコール500ml
2018年に放送された石原さとみ主演のTBSドラマ「アンナチュラル」は、不自然死究明研究所(UDI)を舞台とした法医学ミステリーです。このドラマの最終回(第10話)では、エチレングリコールが重要な物質として登場し、主人公の法医解剖医・三澄ミコトたちが甘い味に気づくことで死因を突き止めるという展開が描かれました。
参考)アンナチュラル最終回 感想|意外に身近なエチレングリコールの…
ドラマの内容は現実とリンクしており、2024年には東京・浅草で実際にエチレングリコールを使用した殺人事件が発生しています。事件発生の5年前に放送されたこのドラマが、捜査関係者の間で話題となったことからも、作品の社会的影響力と法医学的な正確性が伺えます。
参考)100グラム摂取で死の恐れ、ドラマにも登場 台東区殺人〝凶器…
エチレングリコールは甘い味がするため大量に飲むことができてしまい、久部が作中で指摘したように「甘い味」が危険性を高める要因となっています。ドラマではフグ毒(テトロドトキシン)とエチレングリコールを第1話と最終話で登場させるという巧みな伏線が張られており、視聴者に強い印象を残しました。
参考)アンナチュラル解説 番外編|必ず知っておくべき危険な薬物中毒…
バイクの水冷エンジンにおいて、エチレングリコールはクーラント液(LLC:ロングライフクーラント)の主成分として使用されています。その濃度は通常47〜50重量%程度で、凍結温度を-30℃〜-40℃まで下げる効果があります。
参考)https://www.monotaro.com/k/store/%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%88%E6%B6%B2/
クーラント液には以下の重要な役割があります。
参考)https://2rinkan.blog.jp/fujioka-2rinkan/2148372
📌 主要な4つの機能
エチレングリコールを高濃度に配合することで、通常の水では対応できない極寒地でもエンジンの冷却機能を維持できます。水は0℃で凍結すると体積が膨張し、エンジンやラジエーターの破損を引き起こす可能性があるため、不凍液の使用は車両保護に不可欠です。
参考)LLC(クーラント)とは 【通販モノタロウ】
クーラント液には赤や緑などの色が付けられていますが、これは性能の違いではなく誤飲防止のための着色です。しかし、この対策があってもなお、甘い味という特性が誤飲の危険性を高めています。
参考)https://www.goobike.com/magazine/maintenance/cost/80/
グーバイク公式サイト - バイクのクーラント交換方法の詳細な解説記事
エチレングリコールは人体に対して強い毒性を持つ物質です。その危険量は体重1kgあたり1mlとされており、体重60kgの成人であれば約60mlが致死量となります。バイクのクーラント液に含まれる量を考えると、一般的な容量のボトルでほぼ致死量に達することになります。
参考)https://www.cerij.or.jp/evaluation_document/hazard/F97_24.pdf
エチレングリコール中毒の症状
参考)エチレングリコール中毒 - Wikipedia
⚕️ 初期症状(摂取後数時間)
⚕️ 後期症状(代謝後)
エチレングリコールの毒性には種差があり、人間では実験動物よりも強く影響が現れます。体内に入ると代謝されて有毒化し、最終的にシュウ酸カルシウムの結晶が尿中に形成されることで腎臓障害をもたらします。
参考)エチレングリコールについて
ペットへの危険性も深刻で、犬や猫が屋外で不凍液を舐めてしまう事故が報告されています。エチレングリコールは甘い味がするため動物も誤食しやすく、腎障害や神経症状を引き起こして命にかかわることが多い非常に危険な中毒です。
参考)http://www.anicom-sompo.co.jp/doubutsu_pedia/node/1463
化学物質評価研究機構 - エチレングリコールの毒性評価に関する公式資料(PDF)
バイクのクーラント液交換は2〜3年に一度が推奨されていますが、新しい車種では3〜5年に延びることもあります。定期的な交換を怠ると、防錆効果や冷却効果が低下し、エンジントラブルの原因となります。
参考)バイクのクーラント(エンジン冷却水)交換は2~3年に一度が目…
クーラント液の点検と交換のポイント
参考)https://www.goobike.com/magazine/maintenance/maintenance/555/
🔍 点検項目
🛠️ 交換時の注意事項
エチレングリコールを含むクーラント液を扱う際は、以下の安全対策が必須です。
🔐 保管と廃棄の安全対策
バイク用と車用のクーラント液に性能的な大きな違いはありませんが、バイクの冷却システムに適した製品を選ぶことが推奨されます。最近の長寿命クーラントは有機酸系防錆剤(ノンアミン)を主成分とし、通常使用で5年間または10万kmの長期間使用が可能です。
参考)https://www.goobike.com/magazine/maintenance/cost/54/
ナップス公式マガジン - バイククーラント液の補充・交換方法の実践ガイド
エチレングリコールの毒性の高さから、より安全な代替物質の開発や使用が求められています。ドラマ「アンナチュラル」が示したように、法医学的な知識の普及も重要な安全対策となります。
参考)「アンナチュラル」とは何だったのか? 最終話で描かれたもの、…
安全性向上のための取り組み
🧪 技術的対策
📚 教育と啓発
ドラマ「アンナチュラル」の脚本家・野木亜紀子氏は、社会問題を織り込んだストーリーテリングで知られており、エチレングリコールの危険性を広く知らしめることに成功しました。こうしたメディアの役割は、専門知識を一般市民に伝える重要な手段となっています。
参考)「浅草4歳次女殺害」5年前の不審死直前に放送された、石原さと…
バイク愛好家としては、クーラント液の正しい知識を持ち、定期的なメンテナンスと安全な保管を心がけることが、自身と周囲の安全を守る第一歩となります。エチレングリコールは身近な存在だからこそ、その危険性を正しく理解し、適切に管理することが求められています。
参考)バイクのクーラント液(冷却水)の補充や交換のタイミング・方法…