

ファイナルベントは、仮面ライダー龍騎シリーズにおける最強の必殺技カードです。全てのライダーが所持しており、契約モンスターと連携して強力な攻撃を繰り出します。カードを召喚機にベントインすると「FINAL VENT」という電子音が響き渡り、これは以後の平成仮面ライダーシリーズで音声システムが積極的に採用されるきっかけとなりました。
参考)https://dic.pixiv.net/a/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%83%AB%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%88
バイクに乗る方にとって、龍騎のライダーマシンは特別な存在です。ドラグランザーはホンダX4 TYPE LD、ダークレイダーはホンダシャドウスラッシャーをベースに製作されており、実在するバイクをカスタマイズして特撮用マシンとして活用しています。サイコローダーはスズキRMX250Sがベース車両となっています。
参考)https://ameblo.jp/b7r11138/entry-12709670654.html
龍騎の世界観では、ミラーワールドに生息するミラーモンスターと契約することで仮面ライダーへと変身します。この契約関係は単純なギブアンドテイクであり、ライダーは定期的にモンスターへ餌を与えなければ捕食対象となってしまいます。カードデッキが破損すると契約は破棄され、即座に命の危険が訪れる緊張感が作品の魅力となっています。
参考)https://dic.pixiv.net/a/%E3%83%9F%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC
ファイナルベントには「AP(アタックポイント)」という破壊力の数値が設定されており、技の威力を客観的に比較できます。最強はオーディンのエターナルカオスで10000AP、次いで龍騎サバイブのドラゴンファイヤーストームが9000APです。
| ライダー名 | 必殺技名 | AP値 | 契約モンスター |
|---|---|---|---|
| オーディン | エターナルカオス | 10000AP | ゴルトフェニックス |
| 龍騎サバイブ | ドラゴンファイヤーストーム | 9000AP | ドラグランザー |
| オルタナティブ | デッドエンド | 8000AP | サイコローグ |
| ナイトサバイブ | 疾風断 | 8000AP | ダークレイダー |
| 王蛇(ユナイト) | ドゥームズデイ | 8000AP | ジェノサイダー |
| ゾルダ | エンドオブワールド | 7000AP | マグナギガ |
| リュウガ | ドラゴンライダーキック | 7000AP | ドラグブラッカー |
| アビス | アビスダイブ | 7000AP | アビソドン |
興味深いのは、AP値が高いからといって必ずしも勝てるわけではない点です。リュウガは龍騎よりAPで上回っていたにもかかわらず、ドラゴンライダーキック対決で敗北しています。また、ナイトサバイブの疾風断をオルタナティブ・ゼロのデッドエンドが相殺した例もあり、戦術や状況次第で結果が変わります。
最弱のファイナルベントはシザースのシザースアタックで4000APです。しかし、中身の須藤雅史は現役刑事として戦闘経験が豊富で、低スペックのデッキでありながらナイトを終始圧倒する実力を見せました。デッキに傷が付いて契約破棄されるまでは完勝ペースだったため、中の人の能力が重要であることを示しています。
参考)仮面ライダー龍騎、強さランク付けするとしたら?
ファイナルベントの中でも、バイクを使った必殺技は特に人気があります。龍騎サバイブのドラゴンファイヤーストームは、バイク形態のドラグランザーに乗り、火炎と共に突撃する豪快な技です。ベース車両のホンダX4は、4気筒エンジンを搭載したアメリカンクルーザーで、当時のホンダを代表する名車でした。
参考)https://ameblo.jp/b7r11138/entry-12710256715.html
ナイトサバイブの疾風断も、バイク形態のダークレイダーに騎乗し、マントをドリル状に変化させて突撃する技です。ベース車両のホンダシャドウスラッシャーは、重厚なアメリカンスタイルのバイクで、秋山蓮が変身前にも乗っていたバイクと同じ系統です。作中では蓮の愛車としても登場しており、ライダーマシンとの一体感が演出されています。
参考)ファイナルベント - 仮面ライダーディケイドまとめ@ Wik…
オルタナティブのデッドエンドは、サイコローダーに乗って独楽のように車体を回転させながら突撃する独特の技です。ベース車両はスズキRMX250Sというオフロードバイクで、他のライダーマシンとは異なるスポーティーな外観が特徴的です。この技は8000APと高威力でありながら、疑似ライダーという立場の特殊性を表現しています。
ドラグランザーやダークレイダーは、通常時は契約モンスター形態ですが、ファイナルベント発動時にバイク形態へと変形します。実在のバイクをベースにしながらも、モンスターとバイクを融合させる発想は当時としては画期的で、バイク好きの特撮ファンに強い印象を残しました。
参考)ドラグランザー
ファイナルベントの威力は数値化されていますが、ライダーファンの間では「実際の強さランキング」が長年議論されてきました。AP値だけでは測れない要素として、カードデッキの構成、契約モンスターの特性、そして変身者本人の戦闘能力が挙げられます。
ファンコミュニティでの典型的な強さ評価は以下の通りです:
Sランク: オーディン - 10000APの必殺技と時間逆行能力を持つ最強のライダー
Aランク: サバイブ体、オルタナティブ - 高スペックデッキと中身の能力が高水準
Bランク: 龍騎、王蛇、ゾルダ、リュウガ - バランスの取れた戦闘力
Cランク: ナイト、シザース、ベルデ - 中堅の実力
Dランク: タイガ、ライア、ガイ、インペラー - 一芸に特化したタイプ
Eランク: ファム - 最も戦闘力が低いとされる
興味深いのは、シザースが低APにもかかわらずCランクに位置づけられている点です。変身者の須藤雅史が現役刑事であり、凶悪犯の浅倉尚を逮捕した実績を持つため、戦闘技術で劣悪なデッキを補っています。逆にゾルダは高威力のファイナルベントを持ちながらも、発動の隙が大きく命中精度が低いため、タイマン性能では評価が分かれます。
オルタナティブ(教授)は準サバイブ級の性能に加え、完全記憶能力により一度見た技は通用しないという特殊能力を持ち、退場するまでほぼ無敗でした。中身の能力とデッキ性能の両方が揃った理想的なケースと言えます。
ファイナルベントは最強技ですが、決して無敵ではありません。作中では様々な防御手段や対策が示されており、それが戦闘の戦略性を高めています。
防御カードによる対抗: タイガがオルタナティブ・ゼロのファイナルベントをガードベントで防いだ例があります。また、龍騎サバイブはファイヤーウォールで王蛇のヘビープレッシャーを防御しました。
発動中の妨害: コンファインベントで発動を無効化したり、フリーズベントでモンスターを凍結させる方法があります。ガイが持つコンファインベント3枚は非常に強力なカードとされています。リュウガはアドベントカードでジェノサイダーを横転させ、ドゥームズデイを不発に終わらせた例もあります。
ファイナルベント同士のぶつかり合い: 飛翔斬とシザースアタック、ドラゴンライダーキック同士の激突など、必殺技で相殺する最終手段があります。ただしAP差があると一方的に敗北するリスクがあり、リュウガが龍騎に敗れたケースが有名です。
興味深いのは、ゾルダがクリスタルブレイクを受けた際、仰向けの姿勢だったためにマグナバイザーで反撃して脱出した例です。また、オーディンは疾風断の発動中にナイトサバイブを直接攻撃して妨害しました。ファイナルベントは演出上の決定力がありながら、戦術次第で覆せる絶妙なバランスとなっています。
ファイナルベントの撃破率が最も高いのは龍騎のドラゴンライダーキックで、ほぼ100%の成功率を誇ります。逆にゾルダのエンドオブワールドは威力こそ7000APありますが、乱戦以外では命中させることが困難で、作中で誰も倒せていません。
ファイナルベントは単なる必殺技ではなく、仮面ライダーシリーズの演出文化に大きな影響を与えました。「FINAL VENT」という明確な音声が流れることで、視聴者に必殺技の発動を直感的に伝える手法は画期的でした。
この演出は「ヒーローが決め技を撃つ前フリのようにも、登場人物が葬られる際の死刑宣告のようにも捉えられる」と評されています。龍騎が持つダークな作風において、ファイナルベントは単なるカッコいい必殺技ではなく、生死を分ける緊張感のある演出装置として機能しました。
以後の平成仮面ライダーやスーパー戦隊では、言葉として認識できる必殺技の専用電子音が標準的に用いられるようになり、龍騎が特撮ヒーロー番組の演出文化に与えた影響は計り知れません。ディケイドの「KAMEN RIDE」、ダブルの「CYCLONE! JOKER!」など、その系譜は現在まで続いています。
バイク文化との関連では、龍騎に登場した実在のバイクが特撮ファンの間で注目されました。ホンダX4やシャドウスラッシャー、スズキRMX250Sといった当時の現行車種が使用されたことで、バイク好きの視聴者は親近感を覚えました。変身前のキャラクターが乗るバイクも、ホンダズーマー、CB400スーパーフォア、GSX400インパルスなど多様で、龍騎は歴代で最もバイクの種類が多い作品とも言われています。
一部のファンからはファイナルベントを「ファイナル弁当」とネタにする文化も生まれ、犬飼貴丈をはじめライダー俳優の間でも認知されています。こうしたユーモアを交えた愛され方も、龍騎が20年以上経った今も色褪せない理由の一つです。
東映公式の仮面ライダー図鑑 - ファイナルベント(龍騎)の詳細データと画像が掲載されています
仮面ライダー龍騎に登場したマシンたち - 各ライダーマシンのベース車両と詳細な解説
仮面ライダー龍騎アドベントカードの使用とミラーモンスター召喚の仕組み - カードバトルシステムの詳細解説