

アクスルシャフトを感覚で締めてませんか?
フロントアクスルは、ホイール中央を貫通するシャフト状のパーツです。車輪と車体を固定する役割を持ち、主に溶接構造用の熱間圧延鋼板(SM材)で作られています。
参考)フロントアクスル
サイズは一般的に1000mm~2000mmの範囲で、車種によって異なります。バイク用では直径12mm前後が主流で、中空タイプと中実タイプの2種類が存在します。中空タイプは曲がりに強く、中実タイプはねじれ応力に優れるという特性があります。
参考)https://ameblo.jp/nob-ride/entry-12425334738.html
アクスルシャフトは単なる固定軸ではありません。車体の荷重を受け止め、路面からの衝撃を適切に分散させる構造的な要となっています。
フロントアクスルには、走行安全性に直結する複数の機能が集約されています。第一に、左右2本が独立して動くフロントフォークを連結する役割です。これによりフォーク全体が一体となって動作します。
参考)https://www.goobike.com/magazine/maintenance/maintenance/518/
第二に、フリクションを最小限に抑えるベアリング固定機能です。第三に、ホイール周辺パーツが性能を発揮するための位置決め機能があります。位置がずれると制動力やハンドリングに悪影響が出ます。
第四に、ホイールとサスペンションの間で力の伝達を行う荷重支持機能です。車両荷重を分担し、かじを取る役割も持っています。全輪駆動車では駆動力を車輪に伝える機能も加わります。
つまり走行の基本が詰まっています。
フロントフォークの構造には大きく分けて3種類あり、それぞれでアクスルシャフトの取り付け方式が異なります。片側締め付け式は、アクスルシャフトとアクスルナットのみでホイールを固定するタイプで、ホンダNS-1やカブなどの小排気量車両に多く採用されています。
参考)フロントフォークの種類の違いによる、フロントホイール脱着注意…
両側締め付け式やボルトオン式も存在し、車種によって最適な構造が選択されています。取り付け時の注意点はタイプごとに異なるため、自分のバイクがどの方式か確認することが重要です。
フロントフォーク自体も正立式と倒立式があり、アクスルシャフトの固定方法に影響します。倒立式は剛性が高く、スポーツバイクで多く採用されています。
構造の違いを理解すれば作業も安全です。
アクスルシャフトの締め付けトルクは、感覚だけで管理するのが難しい箇所です。フロントアクスルシャフトの規定トルクは一般的に59N・m(約6.0kgf・m)前後に設定されています。これはボルトの呼び径に対して極端に大きな力で締め付ける必要があるためです。
参考)締め付けトルクでバイクの乗り味は変わる?【エイプのトルク一覧…
規定トルクより弱いと締結力による剛性不足が発生し、走行中に緩む危険性があります。逆に強すぎるとフロントフォークの動きが悪くなったり、アルミ製フォークアウターのネジ山を損傷する恐れがあります。実際に規定トルク59N・mに対して20N・m程度で締めたケースでは、フォークの動きが極端に悪化した事例もあります。
参考)足回りを巡る探検~アクスルシャフト編 : A Life Wi…
トルクレンチを使った正確な管理が必須です。サスペンションリンク周辺はグリスが付着しているとトルク過大になりがちなので注意が必要です。
規定値を守れば安心して走れます。
アクスルシャフトは適切に管理しないと破断や変形のリスクがあります。中空シャフトは特に、約10%のトルクオーバーでネジ山から破断する事例が報告されています。滑るからと強く締めすぎた結果、中空構造による強度不足で破損するケースです。
参考)https://rilassaru.blog.jp/archives/2016925.html
転倒によってアクスルシャフトの頭部が削れて変形し、工具がかからなくなる事例も多く見られます。この状態では整備ができず、修正または交換が必要になります。転倒時は同じ角度の部品すべてを点検し、削れや亀裂がないか確認することが大切です。
またグリスアップを怠ると錆が発生し、シャフトが固着してタイヤ交換時に全く緩まない事態に陥ることもあります。最悪の場合、アクスルシャフトを破壊して作業を進めるしかありません。
参考)https://imanishimt1948.amebaownd.com/posts/6720783/
予防には定期的な点検が欠かせません。
アクスルシャフトは定期的なグリスアップが必要です。グリスを塗っていないと錆が発生し、スムーズにタイヤを動かせなくなります。無理に引き抜くと傷ができる可能性があるため、定期的なケアが重要です。
参考)https://www.goobike.com/magazine/maintenance/cost/60/
使用するグリスは「リチウムグリス」または「ウレアグリス」が適しています。モリブデングリスは研磨作用があるため、アクスルシャフトには適しません。マルチパーパス(万能)グリスでも対応可能です。
参考)https://ameblo.jp/kouwa-2013/entry-12752440716.html
タイヤの軸部分となるアクスルシャフトは、エンジン内に次いで摩擦によるダメージが大きいパーツです。ベアリングを介してタイヤの回転を支えていますが、車体から引き抜いたシャフトに傷があることからも高負荷にさらされていることがわかります。
新車でも中古車でも定期点検が推奨されます。グリスアップは潤滑やサビ防止の効果があり、長期的な性能維持につながります。
数ヶ月に一度のケアで十分です。
フロントアクスルシャフトを緩めたり締めたりする際は、フロントタイヤを浮かせた状態で作業するとフロントフォークに一方向の力が加わり、歪みの原因になります。作業時はタイヤを地面に接地させた状態で行うことが推奨されます。
参考)バイクのフロントアクスルシャフトを緩める、あるいは締める際に…
アクスルシャフトを締め付ける際は、ホイールが正しい位置にあることを確認してください。位置がずれたまま締めるとブレーキディスクとキャリパーの干渉やハンドリングの悪化を招きます。また締め付け後は必ずフロントフォークの動作を確認し、スムーズに動くかチェックしましょう。
転倒歴のあるバイクでは、アクスルシャフトだけでなくホイール、フロントサスペンションも同時に点検することが必要です。シャフトが曲がるような衝撃は、まずタイヤ・ホイールにダメージを与え、フロントフォークなどにも影響が及んでいる可能性があります。
参考)https://blog.reira-sports.com/?p=19489
正しい工具で正しく施工することが絶対条件です。サービスマニュアル通りの手順を守れば、走行中のトラブルを防げます。
安全確認を怠らないでください。
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