
プラグコードにリークが発生すると、バイクのエンジンには様々な不調が現れます。最も顕著な症状は、走行中に突然発生するミスファイアで、特に3000回転以下の低回転域で「パンパン」という異音が顕著に聞こえるようになります。このミスファイアは点火不良が原因で、プラグコードからの電気リークによって正常な火花が飛ばなくなっているためです。
参考)エンジン不調の原因探求の顛末記① - 自分だけのカタナをつく…
エンジンの始動性も大きく影響を受け、セルを回してもエンジンがかからない、またはかかりにくい状態になることがあります。さらに、走行中にアクセルを開けても回転数が上がらず、パワーが明らかに低下していると感じられるようになります。
参考)車のプラグコードが故障したらどうするといい?その症状や対処法…
特に雨天時や湿気の多い環境では症状が悪化しやすく、プラグホールに水が溜まっている場合はプラグキャップが水没してリークが起きやすくなります。エキパイの温度を確認すると、リークが起きている気筒のエキパイは温度が低くなり、水の蒸発が弱くなっているのが確認できます。
参考)https://ameblo.jp/akibamc/entry-12211015156.html
プラグコードの劣化によってアイドリングが不安定になる理由は、電気抵抗が増加して火花が綺麗に飛ばなくなるためです。エンジンの回転数を一定に保つことができなくなり、停止時にエンジンが不規則に回転してしまいます。
参考)https://www.goobike.com/magazine/maintenance/maintenance/368/
加速不良については、プラグコードが劣化すると火花が弱くなり、エンジンの回転数が上がりにくくなることが原因です。アクセルを開けてもあまり加速しないという症状は、電気抵抗の増加によって点火エネルギーが不足している証拠です。このような状態では、電気抵抗が増して加速もスムーズにできないため、燃費も低下してしまいます。
完全に故障する直前の状態では、アクセルを踏み込んでもエンジンの回転が上がらず、パワーも感じられなくなり、発進時や坂道での走行時に特にその影響が強く感じられます。暗い場所でコードの亀裂から青白い火花が飛び散るのが見えたり、エンジンルームから「パチパチ」という音が聞こえることもあります。
プラグコードからの漏電は、イグニッションコイルから発生した高電圧の二次電圧(約15000V以上、最大で3万V程度)がスパークプラグに到達せず、途中でリークしてしまう現象です。この高電圧は、高温・高圧縮のタイミングで特にリークしやすく、プラグコードが少し濡れている状態だとさらに起きやすくなります。
電気の通りやすい物をプラグキャップに近付けると、テキメンで漏電が確認できます(ただし触れれば当然感電します)。漏電が発生すると上手く点火できずに失火してしまい、バイクの調子が悪くなります。
プラグコードの劣化による漏電トラブルは、コードの亀裂から電気が外部に漏れ出すことで発生します。バイクカバーと車体の間に「パチパチパチッ」と火花が走ることもあり、アイドリングも少しブレるようになります。プラグキャップのコードの付け根部分から水が侵入してリークが起きるケースも多く、コードの差込が甘くなっていると簡単に抜けてしまう状態になります。
参考)プラグキャップのリークでトラブル - 自分だけのカタナをつく…
プラグコードの劣化原因は、大きく分けて経年劣化と整備時の不手際の2つに分類されます。経年劣化によってプラグコードの導線に亀裂が生じ、断線や絶縁不良(リーク)が発生します。
一般的にプラグコードの交換目安は約3年とされており、車検のタイミングが来たらそろそろ交換が近いと考えるべきです。しかし、プラグコードの劣化は運転していて体感しやすいものではないため、交換を忘れてしまいがちです。
参考)愛車のハーレー プラグワイヤー交換してますか?
湿気による劣化も重要な原因の一つです。屋外の砂利駐車場でバイクにシートカバーを掛けている場合、砂利から上がってくる湿気がシートカバーの中で溜まって繰り返され、バイクが蒸される状態になります。この湿気がイグニッションコイルの端子の腐食やプラグコードの劣化を引き起こします。
参考)オートバイのプラグコードが抜ける? イグニッションコイルに元…
プラグコードは振動で抜けてきたり、経年劣化で断線してしまうこともあり、古い車両(発売から10年程度経過したモデル)ではプラグコードがカチカチになっていることが多いです。
参考)プラグコードを変えて簡単パワーアップ!オススメのプラグコード…
プラグコードの点検方法としては、サーキットテスターを使った抵抗測定が教科書的な方法です。サーキットテスターを抵抗レンジ(10KΩレンジ)にして、プラグコードの抵抗を測定します。抵抗が無限大に針が振り切れるとプラグコードは断線しており、きちんとした抵抗があれば正常です。
参考)プラグコードの点検方法 - MHO ENGINEERING
より実践的な点検方法は、プラグコードに霧吹きなどを使って水をかける方法です。それで走行性能が落ちていたり、暗い場所でコードの亀裂から青白い火花が飛び散るのが見えた場合は、故障していると判断できます。
参考)リークするプラグコードを換えようと思ったが・・・XR100 …
最も確実な点検方法は、エンジンをかけている状態で絶縁手袋をはめて、一本一本プラグコードを抜いていく方法です。コードを抜いて調子が悪くなる気筒は正常で、コードを抜いても調子が変わらない気筒は、プラグコードに何らかの不良を抱えていることが多いです。
応急処置としては、プラグコードの亀裂部分に電気テープやビニールテープを巻く方法があります。コードは劣化が始まっているので交換した方が良いですが、亀裂から水が入らなければとりあえずエンジンが止まることはありません。プラグキャップからコードを抜いて先端を1cmくらいカットして挿し直すことで、一時的に改善することもあります。
プラグコードを交換すると、加速や燃費などにおいて走りが良くなります。新しいプラグコードに交換することで、電気がスパークプラグまで確実に届くようになり、点火エネルギーが向上します。
社外品の強化プラグコード(NGKパワーケーブルやノロジーのホットワイヤーなど)を使用すると、さらなるパワーアップとドレスアップが簡単かつお安くできる可能性があります。これらの強化プラグコードは、電気抵抗が低く設計されており、より強力な火花を発生させることができます。
参考)プラグコードの改良
ただし、プラグコードの交換は約3年ごとに行うのがおすすめで、古いプラグコードをそのまま使用し続けると、燃費の低下、アイドリングの不安定化、加速がスムーズでなくなるなどの症状が現れます。特に古い車両では、プラグコードがカチカチになっており、調子が悪い原因がプラグコードにある可能性が高いため、定期的な交換が重要です。
参考)誰でもできる、バイクのプラグコードの交換方法を解説します[簡…
グーバイクマガジン - プラグコード交換の詳細な効果と手順
うらのうらはおもてです - 火花のリーク詳細解説
2りんかん - バイクが動かない時の原因別対処法