ラジオペンチとペンチの違い、バイク整備における選び方と使い分け

ラジオペンチとペンチの違い、バイク整備における選び方と使い分け

ラジオペンチとペンチの違い

📌 ラジオペンチとペンチの主な違い
✂️
先端の形状

ラジオペンチは先端が細長く、ペンチは先端が幅広い構造になっています

🔧
得意な作業

ラジオペンチは精密作業、ペンチは太い線材の切断や強力な挟み込み作業に向いています

切断能力

ペンチは銅線φ4mm程度、ラジオペンチはφ2mm前後の線材切断が可能です

ラジオペンチの特徴と形状


トネ(TONE) ラジオペンチ(マスターグリップタイプ) RP-150G レッド 全長162mm
ラジオペンチは、電子工作用に開発された工具で、昭和時代のラジオ組み立て作業から名前が付けられました。最大の特徴は先端が細長く設計されていることで、この形状により通常のペンチでは難しい精密な作業が可能になります。
参考)【2025年】ラジオペンチのおすすめ4選!細かい作業に向いた…

先端が細くなっているため、狭所作業に向いており、線材を切る・曲げる・つかむ・引っぱるなどの用途で電子工作以外にも様々な場面で活躍します。くわえ部には滑り止めの溝や切断機能が付いているのが標準的な仕様です。バイク整備では、狭い箇所の部品取り外しや細い配線の処理に特に重宝されます。
参考)ラジオペンチについて その1 href="https://tsunochoku.com/blogs/column/radio-pliers-01" target="_blank">https://tsunochoku.com/blogs/column/radio-pliers-01amp;ndash; ツノチョク

JIS規格のラジオペンチは150mmのみですが、実際には125mmから200mmまで多様なサイズが販売されており、用途に合わせて使い分けることができます。バネ付きタイプを選ぶと、連続作業での開閉がスムーズになり作業効率が向上します。
参考)ラジオペンチの使い方 【通販モノタロウ】

ラジオペンチと一般的なペンチの構造的違い

ペンチとラジオペンチの最も顕著な違いは、くわえ部の形状と切断能力にあります。標準ペンチは針金や配線コードをしっかり切断できるよう開口部がやや狭く設計されており、銅線φ3.5mm、鉄線φ3.0mm程度の切断能力を持っています。
参考)301 Moved Permanently

一方、ラジオペンチは先端が細長いため、細かい作業に特化していますが、切断能力は標準ペンチよりも劣ります。刃部硬度はHRC60前後と高く設計されているものの、支点から刃先までの距離が長いため、太い線材の切断には不向きです。
参考)LESSON12 ペンチ・ラジオペンチ類|KTC 工具の基礎…

ペンチには「掴む・曲げる」機能があり、ラジオペンチも同様ですが、ラジオペンチは特に「線材などのパーツを曲げる・切る・小さなパーツを掴む」作業に適しています。バイク整備では、作業内容に応じてこれらの特性を理解して使い分けることが重要です。
参考)ラジオペンチにはどんな種類があるの?使い方や一般的なペンチと…

強力級のペンチ(パワーペンチ)は、JIS規格でH記号で表され、普通級のペンチよりも切断能力が優れており、太い線材の切断作業に対応できます。偏芯パワーペンチなら、テコの原理により従来品より約20%楽に切断できる設計になっています。
参考)偏芯パワーペンチ

ラジオペンチを使った精密作業のコツ

ラジオペンチを使った精密作業では、持ち方が重要になります。片方の柄の外側に人差し指と中指を、ほかの指を内側にかけ、もう片方には親指をかけることで、安定した操作が可能になります。​
バイク整備における精密作業では、配線の処理や小型部品の取り扱いが頻繁に発生します。タイヤに刺さった異物を引き抜く、ブレーキシューの固定ピンを抜く、変速機のワイヤーを固定するといった場面で、ラジオペンチの細い先端が活躍します。
参考)【ペンチ編】バイク整備に使う工具を初心者にもわかりやすく解説…

先曲がりタイプ(ベントノーズタイプ)を選ぶと、狭い場所での作業がさらに容易になり、線が密集している箇所でも作業対象が見やすく失敗しにくくなります。IC基盤のような細かい作業にも対応でき、バイクの電装系作業では特に重宝します。​
🛠️ 精密作業のポイント:

  • 先端部分を使って小さなパーツを確実につかむ
  • 中央部のカッター部分で線材を切断する
  • バネ付きタイプで作業効率を向上させる
  • 狭所作業では先曲がりタイプを活用する

ラジオペンチとペンチの切断能力比較

切断能力は工具選びで最も重要な要素の一つです。標準ペンチの切断能力は、メーカーや製品によって異なりますが、一般的に硬線φ2.0mm、軟線φ2.6mm、鉄線φ1.6~3.0mm、銅線φ3.5mm程度となっています。​
ラジオペンチの切断能力は、標準ペンチよりも低く設定されており、主に細い線材の切断に適しています。先端が細長い構造上、支点からの距離が長いため、テコの原理による切断力が弱くなるのが理由です。​

工具の種類 銅線切断能力 鉄線切断能力 ピアノ線切断能力
標準ペンチ φ3.5mm程度 φ3.0mm程度 φ1.2mm程度
強力ペンチ φ4.0mm程度 φ4.0mm程度 φ2.0mm程度
ラジオペンチ φ2.0mm前後 φ1.5mm前後 切断不可が多い

バイク整備で太い配線を切断する必要がある場合は、パワーペンチや偏芯パワーペンチを選ぶことで、より楽に作業ができます。一方、電装系の細い配線処理にはラジオペンチが最適です。​

ラジオペンチとペンチのバイク整備での使い分け

バイク整備において、ラジオペンチとペンチを適切に使い分けることで、作業効率と仕上がりの質が大きく向上します。ラジオペンチは先端が細いため、狭い場所の部品取り外しや細かい配線作業に特化しています。​
具体的には、カウル内部の狭いスペースでのクリップ取り外し、電装品の端子処理、小型ナットの保持、ワイヤー類の調整などにラジオペンチが活躍します。一方、標準ペンチは配線の切断、太めの針金加工、部品の強力な挟み込みなど、力を要する作業に向いています。
参考)工具の基礎 7【プライヤー・ラジオペンチ・ニッパー】

🏍️ バイク整備での使い分け例:

  • 電装系作業: ラジオペンチ(端子処理、細線切断)
  • 配線の切断: 標準ペンチまたは強力ペンチ
  • ブレーキワイヤー調整: ラジオペンチ(引っ張りながら固定)
  • 太い針金加工: 標準ペンチ
  • クリップ類の取り外し: ラジオペンチ(先細タイプ)

プロの整備士は、作業内容に応じて複数のペンチ類を使い分けており、工具箱には標準ペンチとラジオペンチの両方を常備しています。チェーンのミッシングリンク取り外しなど、特殊な作業ではラジオペンチの細い先端が必須となる場面もあります。
参考)【掴み物編】バイク整備のために購入するおすすめ工具!!【初め…

ラジオペンチ選びで重視すべきメーカーと品質

ラジオペンチを選ぶ際、メーカー選びは品質と使い勝手に直結する重要な要素です。フジ矢(Fujiya)は1923年創業の老舗メーカーで、「クォリティーファースト」を信条に、量産品でありながら重要な作業は職人が手作業で行っています。
参考)ラジオペンチのおすすめ人気ランキング17選【最強をご紹介!】…

フジ矢のマイクロラジオペンチ(MP6-150)は、先端まで強靭に仕上がっており、折れにくく曲がりにくい特性があります。バネ付きタイプなので作業効率も向上し、細かい作業に最適です。ステンレス製のラジオペンチ(350H-150)は錆びに強く、バイク整備での水回り作業にも対応できます。
参考)便利なラジオペンチの使い道。なくても困らないけど、あれば作業…

KNIPEX(クニペックス)は140年以上の歴史を持つドイツの工具メーカーで、プロ向けの高品質なラジオペンチを提供しています。バナジウム鋼を使用し、入念な焼き入れ処理により刃部硬度はHRC61と高く、スリムな先端にもかかわらず強力な作業に対応できます。
参考)https://www.monotaro.com/k/store/%E7%B2%BE%E5%AF%86%E3%83%A9%E3%82%B8%E3%82%AA%E3%83%9A%E3%83%B3%E3%83%81/

KTC(京都機械工具)のラジオペンチPSL150は、滑り止めの凸面が付いたソフトグリップで手にフィットしやすく、形状見直しにより切断荷重が15%軽減されています。エンジニア(ENGINEER)のPR-36は、ナット回しやストリップ穴付きの多機能タイプで、バイク整備の様々な場面で活躍します。​
⚙️ メーカー別の特徴:

  • フジ矢: 職人の手仕事による高品質、バネ付きモデルが豊富
  • KNIPEX: プロ向けの高強度、バナジウム鋼使用
  • KTC: ソフトグリップで疲れにくい設計
  • エンジニア: 多機能タイプで作業の幅が広がる

バイク整備では、作業頻度と予算に応じて選ぶことが重要です。頻繁に使用するなら高品質なフジ矢やKNIPEXを、趣味の範囲ならコストパフォーマンスに優れたKTCやエンジニアがおすすめです。
参考)自動車整備士がオススメするラジオペンチ5選

ラジオペンチとペンチの正しい取り扱いと注意点

ラジオペンチやペンチを長く使うためには、正しい取り扱いと保管が欠かせません。切断作業では、刃の中央部で切断することが基本で、先端部分での切断は刃を痛める原因になります。最大切断能力を超える太さのケーブルを無理に切断すると、工具の寿命を大幅に縮めます。
参考)ニッパーについて 刃形状その2 href="https://tsunochoku.com/blogs/column/nipper_blade_2" target="_blank">https://tsunochoku.com/blogs/column/nipper_blade_2amp;ndash; ツノチョク

ラジオペンチのくわえ部に隙間があるのは、刃が切れることを優先しているためです。刃付け後に先端を曲げる矯正加工が施されており、これが正常な状態です。先端の内側は2mm以上密着していれば規格内なので、薄い板材をつかめなくても不良品ではありません。​
🔴 使用時の注意点:

  • 切断は刃の中央部で行う(先端部での切断は避ける)
  • 最大切断能力を超える線材は切らない
  • 無理な力を加えて刃を破損させない
  • 使用後は汚れを拭き取り、乾燥した場所に保管
  • 定期的に支点部分に注油する

バイク整備では、グリースや油汚れがペンチに付着しやすいため、使用後は必ず清掃することが重要です。特にグリップ部分は滑りやすくなるため、作業用ウエスで拭き取る習慣をつけましょう。ステンレス製以外のラジオペンチは錆びやすいので、防錆スプレーを使用すると長持ちします。​
落下防止穴が付いているモデルを選ぶと、高所作業でも安心です。バイクのメンテナンス中に工具を落とすと、車体に傷をつけるだけでなく、狭い場所に落ちた工具を探すのに時間がかかります。工具ストラップを活用することで、作業効率と安全性が向上します。
参考)https://www.monotaro.com/k/store/%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%91%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%9A%E3%83%B3%E3%83%81/

 

 


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