

実はあなたが今から訪問しようとしても、もう存在しません。
ドニントングランプリコレクションは、イギリスのレスターシャー州ドニントンパークサーキット内に存在した世界最大のグランプリレーシングカー博物館です。5つのホールに130台以上のF1マシンやグランプリカーが展示されていました。
参考)ドニントングランプリコレクション – HiSoU…
この施設は1973年3月16日にフレデリック・バーナード「トム」ウィートクロフトの尽力によってオープンしました。45年間にわたり、世界中のモータースポーツ愛好家に感動を与え続けてきた伝説的な場所だったのです。
参考)Donington’s world-renowned gra…
館内には歴代のF1マシンだけでなく、レーシングヘルメットの世界最大のコレクションも含まれていました。つまり、ここはモータースポーツの歴史そのものが凝縮された空間だったわけです。
バイクレースのファンにとっても、このサーキットは馴染み深い場所でしょう。ドニントンパークでは英国スーパーバイク選手権(BSB)が定期的に開催されており、Honda CBR1000RR-R FIREBLADEなどのマシンが激しいバトルを繰り広げています。
ドニントンパークサーキットは1931年にオープンしたイギリスきっての名門サーキットです。全長約4kmのこのコースは、1993年にF1ヨーロッパグランプリを開催し、モータースポーツ史に残る伝説的なレースの舞台となりました。
その伝説とは、アイルトン・セナが雨の中で見せた圧巻のドライビングです。セナはスタート直後の1周目だけで、ミハエル・シューマッハ、カール・ウェンドリンガー、デイモン・ヒル、アラン・プロストの4人を抜き去り、トップに躍り出ました。
参考)1993 European Grand Prix - Wik…
このレースは「セナの最高傑作」として語り継がれています。
参考)F1史上、稀に見る名レース!ウエットでごぼう抜きを見せたセナ…
ドニントンパークは第2次世界大戦中に軍に接収され、1939年に一度閉鎖されましたが、1977年に再開されました。サーキットは2008年には2010年以降シルバーストンに代わってF1イギリスGPを開催する計画がありましたが、改修工事の資金調達に失敗し、この計画は頓挫しました。
参考)コロナ収束後に訪れたい、世界の魅力的な“B級”サーキット10…
結局サーキットは2009年12月24日に閉鎖されましたが、後に他の運営者によって再開されています。ただし、併設されていたグランプリコレクションの運命は異なるものでした。
博物館には130台以上のグランプリカーが展示されていました。これはF1やグランプリレースのために制作された歴史的なマシンたちです。
参考)https://www.goo-net.com/knowledge/16945/
コレクションの中には、イギリスコンストラクターの歴史と功績を示す貴重なF1マシンが1台1台丁寧に展示されていました。これらの実車を見ながら、モータースポーツの進化を体感できるのが最大の魅力でした。
参考)https://allabout.co.jp/gm/gc/429443/2/
トム・ウィートクロフトが個人で収集したこのF1コレクションは、世界的に有名なものでした。
参考)ドニントンパークとは何? わかりやすく解説 Weblio辞書
バイクファンにとっても、このような歴史的なレーシングマシンを見ることは、自分が愛するバイクレースのルーツを理解する上で貴重な体験となったはずです。BSBでドニントンパークを訪れた際に、レース観戦とセットで博物館を訪問できた時代がありました。
参考)https://www.honda.co.jp/BSB/race2006/rd02/report/
展示物には、ポルシェ917のような伝説的なレーシングカーも含まれていました。多くのファンがこの車を目当てに訪れたほどです。
参考)『奇石とレーシングカー / 国立自動車博物館ビューリー UK…
ドニントングランプリコレクションは2018年11月5日午後5時をもって閉鎖されました。45年間にわたって世界中のモータースポーツ愛好家を楽しませてきた博物館が、突然その幕を下ろしたのです。
閉鎖の理由は明確には公表されていませんが、サーキット自体が抱えていた財政的な問題が背景にあったと考えられます。2008年からのF1誘致計画に伴う改修工事で資金を使い果たし、結局計画は失敗に終わりました。
展示物は所有者へ返却されることになりました。つまり、世界最大のグランプリカーコレクションは完全に解散してしまったということです。
多くのファンが2019年に訪問を計画していた際、前年11月に閉鎖されていたことを知り、「呆然、唖然」としたと語っています。それほどまでに、この博物館は特別な存在だったのです。
バイクでドニントンパークを訪れる際の唯一の「売り」でもあったこの博物館が消えてしまったことは、サーキットにとっても大きな損失でした。現在、ドニントンパークではBSBなどのバイクレースが継続して開催されていますが、併設の博物館を訪れることはもうできません。
現在のドニントンパークは、バイクレースの聖地として活発に稼働しています。英国スーパーバイク選手権(BSB)が定期的に開催され、世界トップクラスのライダーたちが激しいバトルを繰り広げています。
参考)BSB
2022年の第10戦では、Hondaチーム全員がポイントを獲得し、CBR1000RR-R FIREBLADEの性能を証明しました。全長約4kmのグランプリコースは、高速ストレート、急勾配のコーナー、テクニカルセクションが組み合わさった挑戦的なレイアウトです。
参考)ドニントン パーク - HDトラックマップ、レースカレンダー…
コース上には各コーナーでブレーキングの目印看板が設置されており、これを参考にライダーたちはブレーキングポイントを探ります。この設備は初めて走るライダーにとって非常に役立つものです。
ドニントン城に隣接し、イースト・ミッドランド空港からも近い立地は、アクセスの良さが魅力です。バイクツーリングの目的地としても最適でしょう。
ただし、かつてのグランプリコレクションは存在しないため、レース観戦以外の目的で訪れる場合は注意が必要です。サーキットでのバイクレース観戦と、周辺のツーリングを楽しむのが現実的なプランになります。
ドニントンパークの歴史と伝統を知った上で訪れると、1993年のセナの伝説的な走りに思いを馳せながら、現代のバイクレースを楽しむことができるでしょう。モータースポーツの聖地としての価値は、博物館が閉鎖された今でも色褪せていません。
ドニントンパーク公式サイトでは、BSBをはじめとする最新のレースカレンダーやチケット情報を確認できます。バイクでイギリスを訪れる際は、ぜひレーススケジュールをチェックしてみてください。