
日本では交通違反を犯すと点数制度に基づいて処分が科されます。この制度は減点方式ではなく累積点数方式を採用しており、過去3年間の違反点数が合計されて一定の基準点数を超えると行政処分が下されます。バイクの場合、車両の種類によって反則金額が異なり、二輪車として扱われるため、普通車や大型車とは異なる金額が設定されています。
参考)バイクでの交通違反と違反点数・反則金について - NAPS-…
警告 車間距離不保持 道路交通法違反 カー マグネットステッカー
交通違反の処分には刑事処分と行政処分の2種類があり、それぞれ目的と手続きが異なります。刑事処分は過去の行為に対する制裁として罰金などが科される処分で、裁判を経て有罪判決が下された場合に適用されます。一方、行政処分は将来における道路交通上の危険を防止する目的で行われ、警察の判断により免許停止や取り消し、反則金などが科されます。
参考)交通違反・事故に伴う「刑事処分」と「行政処分」について - …
点数制度における累積期間は原則として過去3年間で、処分翌日から1年以上無事故・無違反であれば前歴がリセットされます。違反点数は車両の種類によって差はありませんが、反則金額は大型車、普通車、二輪車、原付車の順に設定されており、バイクは二輪車に該当します。過去3年間に行政処分を受けていない場合、累積点数が6点から14点までは免許停止処分、15点以上になると免許取り消し処分の対象となります。
参考)https://www.goobike.com/magazine/knowledge/licence/8/
スピード違反は速度超過の程度によって処分内容が大きく異なります。15km未満の速度超過の場合、二輪車の反則金は7,000円、原付は6,000円で違反点数は1点です。15km以上20km未満では二輪車が9,000円、原付が7,000円で違反点数は1点となります。
20km以上25km未満になると二輪車の反則金は12,000円、原付は10,000円で違反点数は2点に上がります。25km以上30km未満では二輪車が15,000円、原付が12,000円で違反点数は3点となり、15km未満のケースと比べると2倍以上の反則金額です。一般道で30km以上、高速道路で40km以上の速度超過をすると赤切符の対象となり、青切符のような反則金制度は適用されず、6か月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金という刑事罰が科されます。
参考)道路交通法違反の一覧!人身事故の違反点数や反則金・罰則・免停…
速度超過 | 二輪車反則金 | 原付反則金 | 違反点数 |
---|---|---|---|
15km未満 | 7,000円 | 6,000円 | 1点 |
15km以上20km未満 | 9,000円 | 7,000円 | 1点 |
20km以上25km未満 | 12,000円 | 10,000円 | 2点 |
25km以上30km未満 | 15,000円 | 12,000円 | 3点 |
30km以上50km未満 | 30,000円 | 20,000円 | 6点 |
高速道路では速度超過の基準が異なり、35km以上40km未満で二輪車の反則金は30,000円、30km以上35km未満で20,000円となっています。速度超過は日常的に起こりやすい違反のため、制限速度を常に意識した運転を心がけることが重要です。
信号無視は重大な交通違反の一つで、赤色等の信号無視の場合、二輪車の反則金は7,000円、原付は6,000円で違反点数は2点です。点滅信号の無視では二輪車が6,000円、原付が5,000円の反則金となります。信号無視は事故につながりやすい危険な違反行為であり、特に交差点での注意が必要です。
指定場所一時不停止等違反は一時停止標識のある場所で完全に停止しなかった場合に適用され、二輪車の反則金は6,000円、原付は5,000円で違反点数は2点となります。この違反は交差点や見通しの悪い場所で頻繁に取り締まりが行われています。一時停止違反も信号無視と同様に重大な事故を引き起こす可能性があるため、標識を見落とさないよう慎重な運転が求められます。
通行区分違反は決められた通行区分を守らない行為で、直線レーンから右折するといった違反が該当します。バイク運転中に右折レーンが渋滞していると、交差点の直前まで直線レーンを進みながら車を追い越すようなことをする方も多いですが、これは通行区分違反という交通違反になります。二輪車の反則金は7,000円、原付は6,000円で違反点数は1点です。
飲酒運転は道路交通法違反の中でも最も厳しい罰則が科される違反の一つです。飲酒運転には酒酔い運転と酒気帯び運転の2種類があり、酒酔い運転は検知されたアルコール値にかかわらず、アルコールの影響で正常な運転ができない状態で運転することを指します。酒酔い運転で赤切符を切られた場合、刑事処分として5年以下の懲役または100万円以下の罰金、行政処分として違反点数35点と欠格期間3年の免許取り消しが科されます。
参考)赤切符と青切符の違いとは?処分の違いや違反事例を紹介
酒気帯び運転は呼気1Lに0.15mg以上または血液1mlに0.3mg以上のアルコールが体内に残っている状態で運転することで、刑事処分として3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。呼気1L中のアルコール量が0.15mg~0.25mgであれば違反点数13点と90日間の免許停止、0.25mg以上の場合は違反点数25点と欠格期間2年の免許取り消しが行政処分として科されます。飲酒運転は一度の違反で免許取り消しになる可能性が高い重大な違反です。
参考)知っておきたい バイク免許取り消しと停止の条件とは?
無免許運転は免許を持たずに運転する行為で、2年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。免許停止や免許取り消し中に運転した場合も無免許運転となり、同様の罰則が適用されます。さらに、無免許運転の同乗者に対しても、運転者が無免許だったことを知っていた場合は2年以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。
参考)バイクの違反で「免許停止」「免許取消」!! クルマや原付の運…
警視庁ホームページの交通違反点数一覧表では、すべての違反行為の点数を確認できます
バイクには四輪車とは異なる特有の違反行為が存在します。大型自動二輪車等乗車方法違反は、条件を満たさない状態でバイクの二人乗りをした場合に該当し、二輪車の反則金は12,000円です。基本的に51cc以上のバイクでは二人乗りが可能ですが、免許取得から1年未満の場合や原付一種での二人乗りは禁止されています。
参考)【バイクの二人乗りの基礎知識】条件や罰則、必要な装備を徹底解…
高速道路での二人乗りには、さらに厳しい条件が設けられており、運転者が20歳以上で免許取得から3年以上経過していることが必要です。また、一部の高速道路では二人乗りが禁止されている区間もあるため、二人乗り通行禁止の標識に注意する必要があります。
乗車用ヘルメット着用義務違反は、ヘルメットを着用せずに運転した場合や、同乗者がヘルメットを着用していなかった場合に適用されます。二人乗り時に同乗者がノーヘルの場合、責任は運転者にあり、違反点数は1点ですが反則金はありません。ヘルメットは事故時に命を守る重要な装備であり、必ず着用する必要があります。運転者と同乗者の両方に着用義務があり、排気量に応じた適切な規格のヘルメットを使用しなければなりません。
参考)二人乗りで同乗者がノーヘルの場合、責任はどちらに?
🏍️ バイク特有の違反には以下のようなものがあります。
バイクならではの機動性を活かした運転は便利ですが、違反行為として取り締まりの対象になることも多いため、道路交通法を正しく理解して安全運転を心がけることが重要です。
免許停止と免許取り消しは累積違反点数によって決定される行政処分です。免許停止は免許の効力を一定期間失う処分で、免許取り消しは運転免許を取得する以前の状態に戻ってしまう非常に重い処分です。一般的に、過去3年以内に行政処分がない状態で累積点数が6点から14点になると免許停止、15点以上で免許取り消しとなります。
免許停止の期間は最短30日から最長180日の期間であるのに対し、免許取り消しの欠格期間は最短1年から最長10年と非常に長く設定されています。欠格期間中は運転免許自体を取得することができないため、バイクに乗ることはもちろん、運転免許が必要なあらゆる車両の運転に関われなくなります。
⚠️ 一度で免許取り消しになる重大違反。
過去3年間の免許停止処分の回数が前歴としてカウントされ、前歴がある場合は処分基準がより厳しくなります。処分翌日から1年以上無事故・無違反であれば前歴はリセットされますが、累積点数をゼロに戻すためには最終違反日の翌日から1年間無事故無違反の期間が必要です。免許停止や取り消しを避けるためには、日頃から交通ルールを守り、安全運転を心がけることが何より重要です。
参考)運転免許証の取消・停止
警視庁の反則行為の種別及び反則金一覧表で詳細な罰則内容を確認できます