

観戦料が1000円台でトップライダーを間近に見られる
英国エクストリームエンデューロ選手権(ACU British Extreme Enduro Championship)は、2026年シーズンで全5ラウンドを開催する英国の国内選手権です。1月のBallbreaker Extreme(ハプトン)から始まり、2月にTong、3月にHelmsley、4月にSpaunton、6月のSummit Extremeまで、イングランド北部を中心に各地で開催されます。
参考)https://www.acu.org.uk/news/2024/10/2025-acu-british-extreme-enduro-championship/
開催地は主にランカシャー州やヨークシャー州などの丘陵地帯です。第1戦のハプトンはバーンリーとブラックバーンの間の広大な湿地帯にあり、中心部を貫く渓谷を活用したコース設定が特徴です。こうした自然地形を最大限に活かすコースレイアウトが英国エクストリームエンデューロの魅力となっています。
参考)2026 British Extreme Enduro Ch…
2026年シーズンからはWayne BraybrookeとRAW Enduroが新たに運営を担当し、スーパーエンデューロスタイルの観戦エリアを新設するなど、観客にとってより楽しめる環境づくりが進められています。これにより、レース観戦の利便性が大幅に向上しました。
各ラウンドは日曜日に午前と午後の2レースに分かれており、午前レースは9時30分から、メインレースは13時からスタートします。それぞれ2時間のレース時間が設定され、制限時間到達後は30分以内にゴールラインを越える必要があります。
参考)2025 British Extreme Enduro Ch…
英国エクストリームエンデューロのコースは「極めて完走が困難」という点で世界的にも知られています。渓谷、岩場、湿地帯、急斜面といった自然の障害物を組み合わせたコース設定は、スピードだけでなくバイクコントロール技術が求められます。
参考)https://botti-bk.com/2018-05-16-220000/
参考までに、世界最高峰のハードエンデューロレースであるエルズベルグロデオの完走率は約1%と言われています。英国選手権はそこまで過酷ではないものの、300名規模の参加者のうち完走できるのは一部のライダーに限られます。つまり、多くのライダーが途中リタイアするということですね。
コースには人工的なスーパーエンデューロ風のセクションも設けられており、観客が間近で技術的な走りを観戦できるよう工夫されています。特にハプトンでは丘の上に新設された観戦エリアから、渓谷での激しいバトルを俯瞰できるレイアウトになっています。
難易度の高さは装備にも影響を与えます。多くのトップライダーは2ストロークエンジンのファクトリーサポートマシンを使用しますが、2025年のエルズベルグロデオではジョニー・ウォーカーがほぼノーマルの4ストローク市販車(Triumph TF 250-E、約115万円)で6位入賞を果たし、市販車の性能向上を証明しました。
2026年シーズンの注目は、スペインのトップライダーであるマリオ・ロマン(Mario Roman)が新設のMR74レーシングチームで初参戦することです。マリオ・ロマンは世界的に知られるハードエンデューロのスペシャリストで、新型マシンでの英国デビューが大きな話題となっています。
英国勢では5度の世界チャンピオンであるデビッド・ナイト(David Knight MBE)、前年度チャンピオンのダン・ピース(Dan Peace)、BECチャンピオンのダン・ムンデル(Dan Mundell)など実力者が名を連ねます。この顔ぶれを見れば、英国選手権のレベルの高さが分かります。
参考)Britain's Biggest-selling Moto…
他にもジャック・プライス(Jack Price)、ジャック・スペンサー(Jack Spencer)、チャーリー・フロスト(Charlie Frost)、ラドフォード・チャグ(Radford Chugg)といった有力ライダーが毎戦約300名規模でエントリーしています。国内選手権でありながら、世界レベルのライダーが集結するのが英国エクストリームエンデューロの特徴です。
日本人ライダーの参戦例は現時点で確認できませんが、海外からの参戦も可能なオープンな選手権形式となっています。観戦だけでなく、腕に自信のある日本人ライダーが挑戦する価値は十分にあるでしょう。
英国エクストリームエンデューロ選手権は観戦のしやすさも魅力の一つです。観戦料は大人10ポンド(約2,000円)、子供と高齢者は5ポンド(約1,000円)で、現金のみの支払いとなります。この価格で世界トップクラスのライダーの走りを間近で見られるのは大きなメリットです。
観戦は日曜日のみで、ゲートオープンは朝8時(会場によっては7時30分)です。土曜日は選手のみの練習走行日となっており、一般観戦は受け付けていません。午前レースと午後のメインレースがあるため、丸一日レース観戦を楽しめます。
会場へのアクセスは車が基本となります。第1戦ハプトンの場合、M65高速道路のジャンクション8と9の間、A679沿いのインド料理店近くに会場があり、郵便番号はBB11 5QJです。会場には駐車場が用意されており、ケータリングやコーヒースタンドも営業しています。
観戦エリアは2026年から改善され、丘の上の観戦ゾーンから渓谷のバトルを見渡せる設計になっています。スーパーエンデューロスタイルの人工セクションも観戦しやすい位置に配置されているため、写真撮影や動画撮影にも適した環境です。
日本でもCGCハードエンデューロ選手権やSE-Eなどのハードエンデューロイベントが開催されていますが、英国選手権とはいくつかの違いがあります。最も大きな違いは「選手権としての体系化」です。英国はACU(英国自動車連盟)が公認する正式な国内選手権として運営されています。
日本のハードエンデューロは「お祭り感覚」が強く、完走できないような超ハードなセクションも含まれることが特徴です。一方、英国選手権は競技性とエンターテインメント性のバランスを重視し、観戦環境の整備にも力を入れています。
参考)エンデューロ大解説
参加費用の面でも違いがあります。世界的なハードエンデューロレースでは、パドックサービス(燃料、スペアパーツ交換50%OFF、工具使用、ケータリング込み)が約25万円かかる例もあります。英国選手権の参加費は公表されていませんが、国内選手権レベルとしては比較的手頃な設定と推測されます。
参考)エンデューロ - Off1.jp(オフワン・ドット・ジェイピ…
日本でエンデューロレースに参加するには、MFJライセンスが必要です。全日本・エリア選手権に出場する場合はエンデューロ国内B級(9,500円)、承認クラスはエンジョイライセンス(1,000円)が必要になります。これに対し英国では、ACUライセンスの取得が必要ですが、海外からの参戦者向けの一時ライセンスも用意されている可能性があります。
ACU公式サイトでは、英国エクストリームエンデューロ選手権の最新情報や各ラウンドの詳細スケジュールを確認できます。観戦や参戦を検討している方は、こちらで最新の日程や会場情報をチェックすると良いでしょう。
また、ACU British Extreme Enduro Championship Facebookページでは、リアルタイムの大会情報や写真、動画が頻繁に更新されており、レースの雰囲気を事前に知るのに役立ちます。参戦を考えている方は、こちらでコミュニティの様子も把握できます。
英国エクストリームエンデューロを観戦することで、日本のライダーも多くの技術を学べます。特に渓谷や湿地帯での走行技術は、日本の林道やトレールライディングにも応用可能です。トップライダーの走りを観察することで、バイクコントロールの基本が理解できます。
エクストリームエンデューロで重要なのは「スピードよりも正確性」です。急斜面や岩場では、勢いだけでクリアしようとすると転倒やスタックのリスクが高まります。ライダーは的確なライン取りとスロットル操作、クラッチワークを駆使して難所を攻略しています。
YouTubeなどの動画プラットフォームでは、英国エクストリームエンデューロのヘルメットカメラ映像が公開されています。これらの映像から、ライダーの目線でのライン選択やブレーキングポイント、リズムの取り方を学ぶことができます。特にマリオ・ロマンの公式YouTubeチャンネルは技術習得に有用です。
日本で同様の技術を磨くには、ハードエンデューロイベントへの参加が効果的です。CGCハードエンデューロ選手権では信州大町や夜のエンデューロなど、様々なロケーションでイベントが開催されています。初心者向けクラスも設定されているため、段階的にスキルアップできる環境が整っています。
トレーニング方法としては、トライアルバイクでの基礎練習も推奨されます。トライアルで培われるバランス感覚とスロットルコントロールは、エクストリームエンデューロに直結するスキルです。英国のトップライダーの多くもトライアル経験者であり、その技術がハードセクションの攻略に活かされています。
また、フィジカルトレーニングも欠かせません。2時間のレースを完走するには、持久力と瞬発力の両方が必要です。有酸素運動で基礎体力を養い、筋力トレーニングでバイクを支える体幹と腕の筋肉を鍛えることが重要になります。世界トップレベルのライダーは、オフシーズンにも継続的なフィジカルトレーニングを行っています。
英国エクストリームエンデューロ選手権は、観戦するだけでも十分に楽しめますが、そこから学んだ技術を日本のフィールドで実践することで、あなたのライディングスキルは確実に向上するでしょう。過酷な環境に挑戦するライダーの姿勢から、バイクに乗る楽しさの本質を再発見できるはずです。