

あなたが街で乗るバイクと同じモデルが、実はレースでは回転数を制限されている。
スーパーバイク世界選手権(SBK、またはWorldSBK・WSBK)は、FIM(国際モーターサイクリズム連盟)が統括する市販車バイクレースの世界最高峰です。参戦可能な車両は、4ストローク2気筒850cc~1200cc、3・4気筒750cc~1000ccのエンジンを搭載した市販車ベースのマシンと定められています。ヨーロッパを中心に世界を転戦し、2025年シーズンは12戦を開催予定です。
市販車をチューニングして競うため、メーカーの技術力をかけて激しいバトルが繰り広げられます。
つまり街で買えるバイクが基本です。
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車体最低重量は燃料タンク含めて168kgに規定されており、レース専用プロトタイプマシンで争うMotoGPとは異なるアプローチのレースとなっています。
2025年シーズンから1戦3レース制が採用されており、土曜午後に第1レース、日曜午前にスプリントレース、日曜午後に第2レースが行われます。スプリントレースは第2レースのスタート順を決める役割を持ち、上位9名の順位が第2レースのスターティンググリッドに反映され、追加ポイントも付与されます。
参考)スーパーバイク世界選手権
年間トータル獲得ポイントによりチャンピオンが決定される仕組みです。
これは基本です。
各レースで着実にポイントを積み重ねることが、年間タイトル獲得への鍵となります。
ベースとする市販バイクにチューニングを加えることができる項目は限られており、車体フレームについてもベース車両に多少の補強ができる程度です。エンジン部品はカムシャフトの変更が認められ、クランク及びバランスシャフトは加工が認可されています。
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2015年からのレギュレーション変更により、ピストン、コンロッド、クランクシャフトといった重要な部品の全面交換が制限され、市販状態に近いマシンでの競技となりました。電子制御システムもファクトリーチームによる専用コンポーネント所有はNGです。
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使用可能なエンジン数も、ラウンド数の半数までと定められています。各チームはシーズン開幕時に1種類の電子制御システムを明示し、同じソフトウェアをプライベートチームにも提供する事がルールとして加えられました。これにより、ファクトリーとプライベートの技術格差が縮まりました。
この選手権の最大の特色として、特定メーカーの車両の成績が突出することを抑制するためシーズン中の性能調整が行われる事が挙げられます。具体的には、2018年から車種ごとにエンジン回転数の上限制限(レブリミット)が設定されるようになりました。
例えば2023年のレギュレーションでは、Ducatiの最高回転数は16,100rpm、対してカワサキは14,600rpm、ヤマハ14,950rpmと、メーカーによって1,500rpm以上の差が設定されました。どういうことでしょうか?
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カワサキは3連覇中のジョナサン・レイの戦力が突出していると判断され、ZX-10RRの最高回転数は本来の数値より600rpm低い14,100rpmと定められたにもかかわらず、2020年まで6連覇を達成しています。スーパーバイクコミッションによってハンディキャップ制度の見直しはいかなる時点でも可能で、回転数の調整範囲は250rpmずつとなります。
さらに、成績が低迷していたBMWとホンダを救済する目的で、本来レギュレーションで禁止されている切削や穴開けによる加工、スイングアームピボットやステアリングステムの大幅な位置変更を認める「スーパーコンセッションパーツ」制度も導入されました。
回転数制限を受けているバイクに乗っている場合、同じ市販モデルでもレース仕様は本来のポテンシャルを発揮できていない可能性があります。自分のバイクがSBKで活躍しているかチェックすれば、メーカーの実力が分かります。
2025年シーズンは6メーカー23台が参戦し、全12レースで争われます。内訳はDucati パニガーレV4 Rが単独最多の8台、ヤマハYZF-R1が6台、ホンダCBR1000RR-Rが4台、BMW M1000RRとビモータKB998 Riminiがそれぞれ2台、カワサキZX-10RRが1台となっています。
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BMWは2024年王者のトプラク・ラズガットリオグルが2年ぶりにチャンピオンナンバー1を選択し、マイケル・ファン・デル・マークと盤石な体制で連覇を狙います。
これは注目ですね。
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Kawasaki Puccetti Racingは2025年からKawasaki WorldSBK Teamにチーム名を変え、ファクトリー仕様のカワサキZX-10RRで参戦します。
2017年にスペイン・へレスサーキットで実施されたMotoGPとSBKの合同テストでは、SBKのジョナサン・レイがMotoGP勢に肉薄するタイムを記録し、大きな話題となりました。市販車ベースのSBKマシンが、レース専用プロトタイプのMotoGPマシンに迫る速さを見せたのです。
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この背景には、ベースとなる市販スーパースポーツモデルの性能が飛躍的に高まってきたことがあります。トラクションコントロールやパワーモード、エンジンブレーキ制御など、元々MotoGP由来のデバイスが市販モデルに常識として搭載されるようになりました。
SBKは市販車をベースにレース用に改造したマシンで争われますが、実際はエンジンの中身やフレーム構成、特に近年重要性を増している電子制御システムなども市販車とはだいぶ異なります。それでもベース車両の高性能化により、プロトタイプとの差が縮まっています。
街で購入できるスーパースポーツバイクに乗っている場合、そのバイクはMotoGPマシンに迫る技術が詰まっていることを意味します。メーカーの公式サイトやレース専門メディア「J SPORTS」で、自分のバイクのSBK参戦情報を確認してみましょう。
J SPORTS スーパーバイク世界選手権公式ページ
上記リンクでは、最新の開催スケジュールや参戦チーム、ライダー情報が詳しく掲載されています。
2025年シーズンでは、ドゥカティが8台と圧倒的な台数で参戦している一方、日本メーカーはヤマハ6台、ホンダ4台、カワサキ1台となっています。近年、イタリアンメーカーのドゥカティが圧倒的な強さを見せており、日本メーカーは苦戦を強いられています。
ドゥカティには最高回転数16,100rpmが許されている一方、カワサキは14,600rpm、ヤマハは14,950rpmと、1,500rpm近い差がハンディキャップとして課せられています。
つまり同じ土俵ではないということです。
現行のレギュレーションを加味すると、カワサキ、ヤマハが全く上位で結果を残せない状況が続かない限り、回転数への変更が行われる可能性は低く、それは日本メーカーとしても本意ではありません。
ホンダは2020年にCBR1000RR-R FIREBLADE SPで参戦を開始し、アルバロ・バウティスタが第4戦アラゴンのレース2で今季初表彰台となる3位を獲得しました。しかし、ドゥカティの牙城を崩すにはまだ時間がかかりそうです。
参考)HRC
日本人ライダーでは、スーパースポーツ世界選手権(WorldSSP)に鳥羽海渡がPETRONAS MIE Honda Racingから継続参戦し、2024年全日本ロードJSB1000チャンピオンを獲得した岡本裕生がPata Yamaha Ten Kate Racingから参戦します。下位カテゴリーから日本人ライダーが活躍することで、将来的にSBKトップカテゴリーでの日本人王者誕生も期待されます。
SBKの最大の魅力は、街で購入できる市販バイクがベースになっている点です。自分が乗っているバイク、または購入を検討しているバイクがレースで活躍する姿を見ることで、そのモデルへの愛着が深まります。
1戦3レース制により、1つのレースウイークで3回も勝負の行方を楽しめるのは大きな魅力です。土曜の第1レースで上位に入れなかったライダーが、日曜のスプリントレースで挽回し、第2レースのスタート位置を改善する展開など、戦略的な面白さもあります。
日本では「J SPORTS」がスーパーバイク世界選手権を放送しており、オンデマンド配信も行っています。
厳しいですね。
参考)スーパーバイク世界選手権
J SPORTS スーパーバイク世界選手権
上記リンクから、最新の開催スケジュールや放送予定を確認できます。
市販車ベースだからこそ、レースで培われた技術が直接市販モデルにフィードバックされます。SBKで勝利したメーカーのバイクを選べば、レースで実証された性能と信頼性を手に入れることができるのです。

スーパーバイク世界選手権2007ダイジェスト3 [DVD] 2007 FIM SBK World Championship ()