ハングオフ ステップワーク コーナリング上達の基本姿勢とタンクホールド

ハングオフ ステップワーク コーナリング上達の基本姿勢とタンクホールド

ハングオフ ステップワークの基本

この記事でわかること
🏍️
外足荷重の正しい使い方

母指球を使った効率的なステップワーク技術

💪
下半身ホールドの重要性

タンクホールドとニーグリップの使い分け

📈
段階的な練習方法

初心者から上級者まで実践できるトレーニング

ハングオフにおけるステップワークの役割とバンク角の関係

ハングオフでのステップワークは、コーナリング時にライダーの重心を内側に移動させることで、バイク本体のバンク角を浅く保ちながら高速旋回を可能にする技術です。バイクを深く倒すほど転倒リスクが高まるため、ライダーが体を内側に落とすことでバンク角のマージンを確保し、より速い速度でも安定してコーナリングできるようになります。
参考)中野真矢に学ぶ「ステップワーク」バイクを鋭く、軽く操作する …

ステップワークの本質は、足の裏で地面を蹴るような動作ではなく、下半身全体を使ってバイクとの一体感を作り出すことにあります。特に倒し込みの際には、イン側のステップに瞬間的に荷重を加えることで、バイクをリーンさせるきっかけを掴みやすくなります。この動作により、上半身だけで無理に寝かせようとするよりも、はるかにスムーズかつ軽快に旋回へ入れるのです。
参考)ロゴ

コーナリング中のステップワークは状況によって使い分ける必要があります。倒し込み時にはイン側ステップへの荷重が有効ですが、旋回中はシートに全体重を預けるイメージの方が、サスペンションの動きやタイヤのグリップ感を感じ取りやすくなります。立ち上がりではアウト側ステップを踏んで車体を起こしていくなど、コーナリングの各フェーズで最適なステップワークが異なるのです。
参考)https://www.zennichi.net/b/touyoko/index.asp?id=176622amp;act_lst=detail

ハングオフでの外足荷重と母指球を使った正しいフットワーク

外足荷重は、ハングオフフォームを安定させるための最重要ポイントです。外足一本で50kg以上の体重を支える必要があるため、股関節が開いた状態では十分な力を発揮できません。骨盤をバイクに対して斜め前向きに保ち、外足の股関節を閉じた状態にすることで、大きな力でバイクをホールドできるようになります。
参考)【ハングオフ】ケツの荷重移動の正しいフォーム - ほおじろ通…
​youtube​
母指球(足の親指の付け根部分)でステップを踏むことが、効率的なステップワークの鍵となります。土踏まずではなく母指球あたりでステップバーを踏むことで、足首の屈伸が使えるようになり、体格やマシンに合わせた柔軟なホールドが可能になります。母指球荷重により地面からの反発力を最大限に活用でき、動きがスムーズになるとともに瞬発性も増すのです。
参考)スポーツにおける母指球荷重の重要性 - きし接骨院 扶桑ひな…

中野真矢氏によるステップワークの詳しい解説 - ライダースクラブ
外足のカカトの内側をヒールプレートに密着させる意識も、ホールド性を向上させる有効なテクニックです。この踏み方により、外足全体でバイクをしっかりとホールドでき、コーナリング中の安定性が格段に向上します。イン側の足は、爪先をバーに載せて内側に向けることで、ステップワークをやりやすくするとともに、倒し込みで自然とステップを踏み込んでいけるフォームになります。
参考)ロゴ

ハングオフ時のタンクホールドと下半身ホールドの違い

ハングオフでは、外足のヒザに近い内腿あたりで燃料タンクをホールドすることが重要です。この下半身ホールドにより、上半身の力を抜いてハンドルに余計な入力をせず、セルフステアを妨げない理想的なフォームが実現できます。下半身でしっかり車体をホールドしていれば、両手をハンドルから放しても上半身を保持できるほどの一体感が生まれます。
参考)ライテクをマナボウ「下半身ホールドとニーグリップって 何が違…

従来のニーグリップとは異なり、ハングオフ時の下半身ホールドは外足のホールド力が中心となります。ニーグリップが膝や太もも全体でタンクを挟むのに対し、ハングオフでは外足一本で体を吊り下げるようなイメージで、よりダイナミックな荷重移動を行います。この外足ホールドにより、頭や上体の重さを間接的に前輪にかけていくことができ、旋回力を最大限に引き出せるのです。​
下半身ホールドを正しく機能させるには、骨盤の向きと股関節の使い方が鍵になります。股が開いた状態では大きな力を発揮できませんが、股を閉じた状態であれば手の力を余裕で上回る強力なホールドが可能です。この原理を理解し、外足の股関節を閉じる意識を持つことで、安定したハングオフフォームを維持できます。​

ハングオフ ステップワークの段階的な練習方法

ステップワークの練習は、段階を踏んで習得することが効果的です。まず最初の段階として、ストレートエンドに待つコーナーへの進入時に、マシンを少しアウト側に振ってからイン側にリーンさせる練習から始めます。この際、アウト側ステップに荷重して微妙なリーンアウトの状態を作り、マシンをわずかに外に振ります。ステップを踏んだ反力で身体がイン側に荷重移動しやすくなるため、マシンを起こしながらハングオフの姿勢にチェンジします。​

練習ステップ 内容 目的
基本姿勢の確認 停車状態でステップの踏み方と下半身ホールドを確認 母指球荷重と外足ホールドの感覚を掴む
低速スラローム シート上で腰を左右交互にずらしながらスラローム練習 体重移動とステップワークの連動を習得
倒し込み練習 イン側ステップへの瞬間的な荷重で倒し込み バンキングのきっかけ作りをマスター
旋回中のフォーム シートに全体重を預けてサスペンションの動きを感じる タイヤのグリップ感とインフォメーション収集

ステップワークの完成形として、マシンをバンクさせるところから旋回を終えるまで、全てのコントロールをステップ荷重で行う練習も有効です。最初は不安に感じるかもしれませんが、この練習を通じてステップワークの精度が飛躍的に向上します。シートの上でお尻を滑らせるようにフォームを入れ替えたり、重心を移動するのがステップワークの極意といえるでしょう。
参考)ライテクをマナボウ〈サーキットで遊ぼう!〉「バイクの上で積極…

サーキット走行でのコーナリング技術 - バイクブロス
反復練習により、無意識に自在なステップワークができるレベルまで習熟することが理想です。正しいスタンスを維持し、重心を適切に保持しながら、小さいステップと大きいステップを使い分けられるよう練習を重ねましょう。リズム感を持って行うことで、実戦的なステップワークが身についていきます。
参考)止まらないコツは重心にあり!効果的な歩行とステップワーク練習…

ハングオフとコーナリング性能を最大化する体重移動テクニック

効率的な体重移動は、ハングオフの効果を最大限に引き出すための重要な要素です。腰をずらす際は、ただ横にずらすだけでなく、脇腹を緩めて尻の位置を下げ、さらにイン側斜め前方にスイングさせていくイメージで動かすことが推奨されています。自分ではずらしているつもりでも、実際に走り出すとどうしてもアクションが小さくなってしまう場合がほとんどなため、意識的に大きく腰をずらすことが基本です。
参考)膝擦りに必要なのは正しいハングオフフォームの習得だった!【ス…

お尻を落とすことで、ライダーの重心をバイクの内側(コーナーの内側)に効果的に移動させることができます。この動作により、バイク本体を過度に傾けることなく、遠心力とのバランスを取りながら旋回できるようになります。頭の位置はセンターが基本とされており、無理に頭をイン側に入れすぎると、かえってバランスを崩す原因となります。
参考)【コラム】ハングオフのヒント

コーナリングの各フェーズで体重移動の方法を変えることも重要です。倒し込みでは予め腰をイン側にずらして準備した状態から、下半身のホールドを解くようにヒザを開いていきます。旋回中はシートにどっかりと座り、立ち上がりでは上体を多少イン側に入れつつ、アウト側ステップを踏んで車体を起こしていくという流れです。この一連の動作をスムーズに連携させることで、コーナリング性能が飛躍的に向上します。
参考)ロゴ

上級テクニックとして、前輪荷重を意識的にコントロールする方法があります。旋回中もしっかり外足ホールドすることで、頭や上体の重さを間接的に前輪にかけていくことができ、バイクの旋回力を生み出す源であるセルフステアを最大限に活用できます。逆に腕を突っ張ってしまうと、上体の重さがすべてハンドルにかかり、セルフステアを阻害してしまうため注意が必要です。​

初心者が陥りやすいハングオフ ステップワークの失敗例と改善策

多くの初心者が犯す最も大きな間違いは、ヒザ擦りを目的としてしまうことです。ヒザスライダーは別名「バンクセンサー」と呼ばれ、バイクの傾き加減をライダー自身で知るための道具であり、本来の使い方としては最大バンク時に一瞬サッと軽く路面に当てて安心できたら引っ込めてしまっていいものです。体重をかけてグリグリ押し付けるのは誤った使い方といえます。​
アマリング(タイヤの未使用部分)を消すことを最優先目標にするのも危険です。むやみにバンク角を増やすと安全マージンがなくなり、急に負荷がかかったらスパーンと転倒してしまうリスクが高まります。まずはアマリングのことは忘れて、ハングオフの練習をする方が安全で効率的であり、コーナリング速度を上げれば自然とアマリングは消えていきます。​

  • ❌ 上半身だけで無理に寝かせようとする → ○ ステップワークと下半身を使った倒し込み
  • ❌ 土踏まずでステップを踏む → ○ 母指球でステップを踏んで足首を活用
  • ❌ 旋回中もステップ荷重を維持する → ○ シートに全体重を預けてインフォメーション収集
  • ❌ 腕を突っ張ってハンドルで体を支える → ○ 下半身ホールドで上半身の力を抜く
  • ❌ 股関節が開いた状態での外足荷重 → ○ 股を閉じて骨盤を斜め前向きに

フォームが正しく機能しているかを確認する方法として、走行中に一時的に両手をハンドルから放してみる練習も有効です。下半身で車体をしっかりホールドできていれば、上半身を保持していられるはずです。もし体が不安定になる場合は、下半身ホールドが不十分である証拠といえます。​
また、勢いだけでバンクさせてムリにヒザを当てようとする行為は、なかなか擦れないどころか転倒のリスクが増えるだけです。ハングオフの完成形としてヒザ擦りがあると考え、まずは正しいフォームと体重移動を習得することに集中すべきです。段階を踏んで練習することで、自然とヒザが擦れるレベルまで到達できます。​