

バイクに乗る人が一酸化炭素(CO)を意識すべき最大の理由は、「排気ガス=身近な発生源」だからです。ホンダの二輪車オーナーズマニュアルでも、排気ガスに一酸化炭素などの有害成分が含まれること、無用の空ぶかしや長時間の暖機運転をしないことが注意として書かれています。
特に冬場は、エンジンをかけたまま装備を整えたり、グローブを探したり、スマホを固定したりしているうちに、暖機運転が「想定より長く」なりがちです。屋外でも、壁や車両に囲まれて排気が拡散しにくい環境だと、局所的に濃度が上がることがあります(両側に大型車両が並ぶ状況で拡散が妨げられ、濃度が数倍になりうる旨の指摘が記載されています)。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/giiij/84/2/84_161/_pdf/-char/ja
「バイクは車より開放的だから大丈夫」と思われがちですが、危険は“走行中”より“停車中”に寄ります。たとえば、狭い場所でアイドリングしながら整備する、排気が風下に回り込む、周囲の車の排気も混ざる、といった条件が重なると、体感では分かりません。さらに厄介なのは、一酸化炭素が無色無臭で、刺激も少なく、気づいた時には判断力が落ちているケースがある点です。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2823102/
ここで一つ、意外に見落とされる視点を入れておきます。CO中毒は「酸素が薄い場所(酸素欠乏)」と同じ感覚で語られがちですが、COは酸素濃度そのものが十分でも起きます。理由は、COが血液中のヘモグロビンに非常に強く結合し、酸素運搬能を低下させるからです(酸素の約250倍の親和性という説明があります)。
参考)https://www.pharm.or.jp/words/post-144.html
バイク乗りにとって最も危ない典型パターンが、「ガレージ・車庫内での始動」です。自動車向けの注意ですが、マツダの取扱説明系コンテンツでも、ガレージや積雪した場所など換気の悪い場所でエンジンをかけたままにしないこと、排気ガスが車内へ入りやすく一酸化炭素中毒のおそれがあることが明確に書かれています。
この注意はバイクにもそのまま当てはまります。バイクは車内がないぶん「車内に流入」はしませんが、作業者本人がその場に立って吸い込むからです。実際、バイク系のガレージ運用に関する記事でも、ガレージ内での暖機運転や、エンジンをかけての整備、定期的なアイドリングによって一酸化炭素が充満して非常に危険になる、という主旨が述べられています。
参考)ガレージで暮らす? – バイク神社
換気のポイントは「空気の入口と出口をセットで作る」ことです。シャッターを少し開けるだけだと、風向き次第で排気が戻ってくることがあります。理想は、シャッター全開+反対側の扉や窓も開けて、通り道(風の通路)を作ることです。
また、積雪時は別のリスクが増えます。車の例として、大雪で立ち往生した際にマフラー(排気口)が雪で埋もれると排気が滞留し、車体の隙間などから室内に入り込む可能性が高まる、という説明があります。
参考)車が大雪で立ち往生したときに注意すべき一酸化炭素中毒とは?
バイクでも同様に、マフラー周辺が雪壁・泥・落ち葉などで“塞がれた状態”になると、排気の逃げ方が変わり、周辺に溜まりやすくなるので要注意です。
ガレージ作業での現実的な運用ルールを、バイク向けに落とすなら次です。
一酸化炭素中毒が怖いのは、初期症状が“よくある不調”に似ていることです。プレメディ(医師監修の医療情報)では、軽症の症状として頭痛・めまい・はき気・嘔吐・眠気・ふらつきなどが挙げられ、重症では判断力低下、反応が悪い、けいれん、血圧低下などから死に至る可能性があると説明されています。
済生会の解説でも、軽度で頭痛や吐き気、重度でけいれんや意識障害、最悪の場合は死に至ることが示されています。
バイク乗り目線で特に注意したいのは、「走行前の準備中に症状が始まる」ケースです。ヘルメットを被ってしまうと、顔周りの風通しが変わり、体調変化に鈍くなる人もいます。さらに、COはヘモグロビンと強く結合して酸素を運べなくさせるため、脳が酸素不足になり、判断が遅れます。
応急手当の原則はシンプルで、“その場から離す・換気・救急要請”です。公的医療機関そのものではないものの、応急手当として「現場から搬出」「ドアと窓を開け換気」「条件があれば酸素」「通報」を行う、という流れが明記されています。
参考)毎週救急話題:一酸化炭素中毒になったとき、どんな応急手当をと…
バイクの現場では酸素投与が難しいため、現実的には「すぐ屋外の風通しの良い場所へ移動」「仲間がいれば単独行動させない」「意識がぼんやりしているなら迷わず119」が最優先になります。
セルフチェックとして、次の状態があれば「疲れ」扱いせずCOを疑ってください。
参考)https://www2.mazda.co.jp/carlife/owner/manual/mx-30/dr/ede/contents/22010404.html
一酸化炭素は見えないので、対策の完成度を上げるなら「警報器で見える化」が強力です。mybestでも、携帯型アラームなどの一酸化炭素チェッカーがアウトドアや車中泊の中毒対策として作られていること、また火災とガスの両方に備えるなら一酸化炭素も検知できる住宅用火災警報器を選ぶのも効果的、という主旨が書かれています。
そして、バイク領域で“意外に面白い(かつ実務的)”のが、ヘルメット装着型の一酸化炭素モニターという発想です。光明理化学工業の資料には、ヘルメットのつばに一酸化炭素警報器を設置できるタイプの製品紹介が掲載されています。
参考)https://www.komyokk.co.jp/pdata/hpdf/hope_123.pdf
走行中に常時鳴らす用途というより、整備場・工場・閉鎖空間での作業を想定したカテゴリですが、「バイクに近い位置で作業する」人には刺さる選択肢です。
設置場所の考え方としては、まず“発生源から少し離す”が基本になります(極端に近いと誤作動や局所値に振り回されやすく、離しすぎると検知が遅れます)。一般的な設置ガイドでは、潜在的なガス発生源から少なくとも1〜3m離す、といった目安が示されています。
参考)ニュース - 一酸化炭素検知器はどこに設置すればいいですか?
ただしガレージの広さや換気状態で最適解は変わるので、「バイクのマフラー真横」ではなく「人が呼吸する位置(作業する位置)に近いところ」で鳴るように調整するのが現実的です。
また、COは空気よりわずかに軽い程度で、対流で混ざるため「床だけ」「天井だけ」を過信しない方が安全です(生活帯域の高さが無難、などの考え方が語られています)。
参考)一酸化炭素警報機を設置します。どの高さに設置すればいいでしょ…
つまり、ガレージで使うなら「自分の頭の高さ〜胸の高さ」近辺で反応する場所に置く、携帯型なら「胸ポケットや作業台上」に置く、が運用しやすいです。
最後に、チェック項目を「買って終わり」にしないための運用も書いておきます。
ガレージ内の暖機運転は危険(ガレージでの暖機運転・整備が危ない話の参考)
ガレージで暮らす? – バイク神社
換気の悪い場所でエンジンをかけたままにしない(メーカー注意喚起の参考)
https://www2.mazda.co.jp/carlife/owner/manual/mx-30/dr/ede/contents/22010404.html
一酸化炭素中毒の症状(頭痛・吐き気等)と重症化リスクの参考
一酸化炭素中毒 (いっさんかたんそちゅうどく)とは
COがヘモグロビンに強く結合する(約250倍)という機序の参考
https://www.pharm.or.jp/words/post-144.html

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