

バネを強くすれば乗り心地が良くなると思っていませんか?
バネ定数とは、バネを1mm縮めるのに必要な力を表す数値で、単位はN/mm(ニュートン毎ミリメートル)で示されます。例えばバネ定数が100N/mmのスプリングなら、1mm縮めるには100Nの力が必要ということですね。
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この値は、バネの巻き数が少ないほど、巻き径が小さいほど、線が太いほど高くなります。
つまり硬いバネです。
バイクのサスペンションでは、この物理特性が直接ライダーの体感する乗り心地や安全性に影響を及ぼします。計算式は k =(Gd⁴)/(8NaD³)で表され、G は横弾性係数、d は線径、Na は有効巻数、D は平均コイル径を意味します。バネ定数を理解すれば、サスペンションの硬さを数値で把握できるということです。
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興味深いのは、一様なバネではバネ定数がその長さに反比例するという性質です。同じバネを2本つなぐと長さが2倍になり、バネ定数は半分になります。ストローク量を変更したいライダーは、この原理を知っておくと応用が効きますね。
サスペンションのバネには2つの基本任務があります。1つ目は緩衝で、路面入力を蓄勢して放出することで加速度をやわらげ、衝撃吸収と路面追従を実現します。2つ目は荷重支持で、車両とライダーの重量を支え、狙った車高とジオメトリを作り出すのです。
参考)サスペンションセッティングやローダウンにおけるバネの必須知識…
バネ定数の選定は、車重と用途からベースレートを決定することから始まります。次にプリロード設定で静止サグを25~35%に合わせて可動ストロークを確保し、最後に残ストロークと減衰をマッチングさせるという流れです。
セッティングの順番が重要ですね。
実際のレースシーンでは、リアストローク21mmで路面のグリップと釣り合うようバネ定数とプリロードを調整します。例えば100N/mmのバネでプリロード14mmの設定から、プリロードを10mmに減らすとリアサスペンションで-4mm、シート高で約8mm高くなるという計算ができるのです。
数字で予測できるのが強みです。
参考)YOSHIMURA BLOG: WSBK&鈴鹿八耐挑戦記 バ…
多段バネと呼ばれる不等ピッチスプリングや不等巻き径スプリングも存在します。バネのピッチ(隙間)や巻き径を一本のスプリングで途中から変えることで、ストロークによってバネ定数を変化させられます。ストローク初期は柔らかく、深く沈むと硬くなる特性を実現したいライダーに適していますね。
バネ下重量とは、サスペンションより下にある部品の質量を指し、バイクではホイール、タイヤ、ディスクが該当します。この重量がサスペンションの性能に大きく影響するのです。
具体的な数字で見ると、バネ下重量が12.5kgの場合、段差を乗り越えた後にホイールが浮いたときに地面に戻すには10Gの加速度が必要です。しかしバネ下重量が20kgに増えると、必要な加速度は25Gと2.5倍になります。つまり重いホイールほど路面復帰が遅くなるということですね。
路面追従性はサスペンションとタイヤの性能に加え、バネ下重量が大きく関係しています。バネ下質量が大きいと車輪は路面のうねりに追従しづらくなり、ショックアブソーバーが吸収する間にうねりが発生します。慣性がショックアブソーバーの吸収能力を超えると、路面の凹凸ごとに車輪が離陸したり振動が持続したりするのです。
バネ下重量を軽くすることで、荒れた路面で「タイヤを浮かせる」ためにより多くの速度が必要となり、タイヤが一時的に路面から離れたときにより早く接地に戻ります。軽量ホイールへの交換は、見た目だけでなく物理的メリットがあるということです。
プリロード調整とは、サスペンションのスプリングにあらかじめ負荷をかけておき、サスのストローク量を調整することです。
別名「イニシャル調整」とも呼ばれます。
参考)サスペンションのプリロード調整でもっと乗り心地の良いバイクへ…
重要なのは、プリロード調整はバネ定数自体を変えるのではなく、作動開始点を変えるという点です。数式が示す硬さはバネ定数で決まりますが、ライダーが感じる硬さはプリロードと作動域で変わります。つまり同じバネでも調整次第で体感が変わるということですね。
体重が軽いライダーは、サスペンションが設計通りに縮んでいないため足着き性が悪いと感じることがあります。プリロード調整をして適正にスプリングを縮めることで、足着き性も少し良くなるのです。具体的には、プリロードを抜く(バネが伸びる調整)とバイクのお尻が下がり、足つき性が若干良くなります。
体重に合わせた調整が基本です。
参考)ライテクをマナボウ ♯34 サスペンションの調整はプリロード…
大型バイクや海外メーカーのバイクは、プリロードが硬めにセッティングされているモデルもあります。街乗り程度でも路面の衝撃が気になったり、すぐにお尻が痛くなったりする場合は、プリロードを弱めに調整すると快適で疲れにくい走行ができるようになります。
快適性重視なら柔らかめが正解です。
ツインショックのバイクでは、必ず左右のプリロードを同じ設定にしてください。左右差があるとバイクの挙動が不安定になります。調整後は必ず近場を走行して乗り心地を確認し、違和感があれば微調整を繰り返すのが正しい手順ですね。
サグとは、ライダーが乗車した状態でサスペンションが沈む量を指します。リアサスペンションの場合、サスペンションメーカーから25%~30%が適正サグとアナウンスされている場合が多いです。
参考)MTBのサグの測り方【サグメーター追加でメジャーなしで測る方…
サグの測定方法は、まずストロークしていない状態のリアサスの軸間距離を測ります。これを"アイ・ツー・アイ"測定方法と呼びます。次にフル装備の状態で壁に手を添えながら倒れないように自転車に跨って、サグを確認するのです。フル装備が面倒な場合、普段着に2kg~3kg背負えば大体OKです。
参考)サグの測定方法
適正サグになるストローク量は計算で求められます。例えばリアサスのストロークが60mmなら、25%サグでは60×0.25=15mm、30%サグでは60×0.30=18mmとなります。
計算が基本です。
サグが適正範囲外の場合、バネ定数そのものが体重に合っていない可能性があります。プリロードで調整しきれない場合は、バネレート(バネ定数)の変更を検討する必要があるのです。セッティングの順番は、レート選定→プリロード設定→残ストロークと減衰マッチという流れが基本ですね。
フレームメーカーからサグが指定されている場合は、そちらの値に従うのがセオリーです。メーカー推奨値は車体設計と密接に関わっているため、無視すると本来の性能が発揮できません。
指定値を守るのが原則です。
クシタニ公式サイトのプリロード調整ガイドでは、初心者向けにサスペンション調整の基本手順が詳しく解説されています。プリロード調整から始めるセッティングの参考リンクです。