代替燃料種類とバイクの将来性

代替燃料種類とバイクの将来性

代替燃料の種類とバイク活用

代替燃料の主な種類
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バイオ燃料

植物由来の燃料でバイオエタノールとバイオディーゼルが代表的。既存エンジンでも使用可能

合成燃料(e-fuel)

CO2と水素から生成される液体燃料。既存インフラをそのまま利用できる次世代燃料

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水素燃料

燃焼時に水しか排出しないクリーンエネルギー。燃料電池と水素エンジンの2方式がある

代替燃料とは、石油由来のガソリンや軽油に代わる燃料の総称で、環境負荷の低減と持続可能な社会の実現に向けて注目されています。バイクにおいても電動化だけでなく、様々な代替燃料の活用が検討されており、日本の二輪メーカーは「明日からでも」対応できる技術を持っていると言われています。代替燃料は原料によって分類され、それぞれ特性や用途が異なるため、バイクの使用形態に合わせた選択が重要です。
参考)代替燃料 - Wikipedia

代替燃料バイオエタノールの特徴

バイオエタノールは、サトウキビやトウモロコシなどの植物を発酵させて作られる液体燃料で、理論上カーボンニュートラルな燃料です。植物の成長過程で光合成により二酸化炭素を吸収するため、燃焼時に排出されるCO2はプラスマイナスゼロになると定義されています。ブラジルではガソリンと混合して多くのバイクに使用されており、バイオエタノール100%でも走行には支障がありません。
参考)2022年はバイクのカーボンニュートラル元年! 日本の4メー…

日本の二輪メーカーは、バイオエタノール使用に関する技術を長年蓄積しています。燃焼時に水が発生するため、ゴムやシール類の改善が必要でしたが、すでに対応済みで「明日からでも替えられる」状態にあります。スズキは2025年1月にインド市場でE85燃料(エタノール85%混合燃料)対応の「ジクサーSF250」を発表し、従来より高出力を実現しました。
参考)日本の二輪エンジンは「明日から」でも代替燃料に対応できる:日…

現在の課題は、バイオエタノールが通常のガソリンよりも3割ほど燃費が劣り、単価も高いことです。そのため、ガソリンとの混合使用が主流となっており、100%バイオエタノールだけを使用するケースは少ないのが現状です。​

代替燃料合成燃料の仕組み

合成燃料(e-fuel)は、大気中や工場から回収したCO2と、再生可能エネルギーで製造した水素を合成して作られる液体燃料です。化学構造が従来の石油由来燃料と同様のため、既存のガソリンスタンドやエンジンをそのまま使用できる点が大きな特徴です。エネルギー密度も化石燃料と同等で、少量で大きなエネルギーを供給できます。
参考)https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/what_is_gosei_nenryo.html

合成燃料の最大のメリットは、既存インフラを活用できることです。新たな設備投資を最小限にしつつ脱炭素化が進められるため、航空機や大型船舶など電動化が困難な分野でも有望視されています。災害時や緊急事態でも従来の燃料と同様に迅速な輸送・配給が可能で、水素のように高圧または極低温での貯蔵が不要です。
参考)e-fuelとは?注目の理由や活用のメリット・デメリットにつ…

ただし、現在の最大の課題は製造コストの高さです。将来的なコストカットが必要不可欠で、大規模生産による量産効果や技術革新によるコスト低減が期待されています。
参考)合成燃料とは? メリット・デメリットや実用化への取り組みを解…

代替燃料水素エンジンの可能性

水素エンジンは、従来のガソリンエンジンの燃料を水素に置き換えた内燃機関で、走行時にほとんどCO2を排出しません。水素は燃焼すると空気中の酸素と反応して水になるという性質があり、従来のエンジンよりもCO2排出量を大幅に削減できます。再生可能エネルギーから水を分解して生成された水素を使えば、枯渇の心配もありません。
参考)https://www.yanmar.com/jp/about/ymedia/article/hydrogen.html

カワサキは水素エンジンの開発に積極的で、2010年から次世代エネルギーとして着目し、二輪車用水素燃料エンジンの開発を進めています。2018年には世界で初めて市街地での水素100%を燃料とするガスタービン発電技術を成功させており、その技術を陸・海・空のモビリティ向けに応用しています。​
水素燃料の特徴として、使用時にCO2を排出しない点が挙げられますが、二次エネルギーであるため製造時のCO2排出に注意が必要です。発生したCO2を回収したり、風力発電や太陽光発電などを利用したりすることでCO2排出を抑えることができます。
参考)水素燃料とは|特徴や利用方法、水素社会に向けての課題などを詳…

代替燃料CNGとバイク実用化

CNG(圧縮天然ガス)は化石燃料の中で最もCO2排出量が少なく、窒素酸化物(Nox)や炭化水素(HC)もほとんど排出されないクリーンな燃料です。インドでは自動車から3輪のリキシャまで幅広く使われており、2024年にバジャージ・オートが世界初のCNGバイク「フリーダム125」を市販しました。
参考)世界初のCNG=圧縮天然ガスバイク「フリーダム125」登場!…

フリーダム125の大きな特徴は維持費の節約で、ガソリン車の半分の燃料コストで走行できます。1日50km走行した場合、ガソリンが月額5741円に対し、CNGは1618円と約4123円の節約になります。CNGとガソリンの両方を燃料として使える仕様で、状況に応じて使い分けが可能です。
参考)bajajがCNG(天然ガス)href="https://kojintekibikematomeblog.com/archives/bajaj%E3%81%8Ccng%E5%A4%A9%E7%84%B6%E3%82%AC%E3%82%B9%E3%82%AC%E3%82%BD%E3%83%AA%E3%83%B3%E8%BB%8A%E3%81%AEfreedom%E3%82%92%E7%99%BA%E5%A3%B2.html" target="_blank">https://kojintekibikematomeblog.com/archives/bajaj%E3%81%8Ccng%E5%A4%A9%E7%84%B6%E3%82%AC%E3%82%B9%E3%82%AC%E3%82%BD%E3%83%AA%E3%83%B3%E8%BB%8A%E3%81%AEfreedom%E3%82%92%E7%99%BA%E5%A3%B2.htmlamp;#038;ガソリン車のFre…

日本では燃料にガスを利用した乗り物としてはタクシーが一般的ですが、圧縮天然ガス車は現在路線バスなどで一部使われているのみです。しかし、環境性能とコストパフォーマンスの両立という観点から、日本でも有効な選択肢になる可能性があります。​

代替燃料バイクライダーの選択基準

バイクライダーが代替燃料を選ぶ際には、走行性能、燃料コスト、環境性能、そして供給インフラの4つの要素を総合的に判断することが重要です。バイオ燃料は既存エンジンでも使用可能で、ガソリンスタンドのインフラをそのまま活用できる利点があります。合成燃料も同様に既存インフラを利用でき、エネルギー密度が高いため長距離ツーリングにも適しています。
参考)【完全解説】カーボンニュートラル燃料とは?基礎知識からメリッ…

意外な選択肢として、台湾のGogoroというメーカーが提供する電動スクーターバッテリー交換システムが注目されています。ガソリンスタンドだけでなくコンビニにも交換スタンドを設置し、基本は2個のバッテリーを積んでいるため立ち往生の心配がありません。2015年からスタートし、政府の後押しもあり瞬く間に浸透しました。
参考)Q. 電動バイクにしか乗れない日がくるんでしょうか?【教えて…

レース界では、CNフューエル(カーボンニュートラル燃料)の使用が始まっています。MFJ全日本ロードレース選手権や四輪のスーパーフォーミュラ、スーパーGTでバイオ燃料やCNフューエルが採用され、F1やMotoGPも将来的に100%非化石燃料を使用する計画です。レースでの実績は市販車への技術フィードバックにつながり、ライダーにとっての選択肢を広げる要因となります。
参考)世界初!二輪レースにカーボンニュートラル燃料 - JAMA …

バイクメーカー各社は多角的にカーボンニュートラルへの対応を進めており、電動化、HEV、水素、e-fuel、バイオ燃料など内燃機関を含めた幅広い選択肢を提供しています。スズキは「カーボンニュートラル社会の実現に向け、BEV、合成燃料、水素エンジン、バイオ燃料などの選択肢を提供し、社会とお客様の期待に応える」とコメントしており、ライダーの使用環境や好みに応じた選択が可能になっています。
参考)スズキ href="https://kuruma-news.jp/post/866302" target="_blank">https://kuruma-news.jp/post/866302quot;バイオ燃料href="https://kuruma-news.jp/post/866302" target="_blank">https://kuruma-news.jp/post/866302quot;対応「ジクサー250SF」発表! href="https://kuruma-news.jp/post/866302" target="_blank">https://kuruma-news.jp/post/866302quot;高…

代替燃料の種類 メリット 課題 バイクでの実用化状況
バイオエタノール 既存エンジンで使用可能、カーボンニュートラル​ 燃費が3割劣る、価格が高い​ スズキがE85対応モデルを発表​
合成燃料 既存インフラ活用可能、高エネルギー密度​ 製造コストが高い​ レースでのテスト段階​
水素エンジン CO2排出ほぼゼロ、枯渇の心配なし​ 製造時のCO2排出、特殊な貯蔵設備必要​ カワサキが開発中​
CNG 維持費が半分、クリーン​ 日本では供給インフラ未整備​ インドで実用化済み​

化石燃料からの転換期にあるバイク業界では、電動化だけでなく多様な代替燃料の選択肢が用意されつつあります。ライダー一人ひとりの使用環境や走行スタイルに合わせて、最適な燃料を選択できる時代が近づいています。​
日経ビジネス:日本の二輪エンジンは「明日から」でも代替燃料に対応できる
日本の二輪メーカーの代替燃料への対応状況と技術的な準備状況について詳しく解説されています。

 

ForR:2022年はバイクのカーボンニュートラル元年!日本のバイクメーカーの取り組み
バイオエタノール燃料、水素エンジン、CNフューエルなど各メーカーの具体的な取り組みが紹介されています。

 

資源エネルギー庁:ガソリンに代わる新燃料の原料は、なんとCO2!?
合成燃料(e-fuel)の製造方法と特徴について、わかりやすく説明されています。