道路運送車両法保安基準とバイク車検改造カスタムの基礎知識

道路運送車両法保安基準とバイク車検改造カスタムの基礎知識

道路運送車両法保安基準とバイク

保安基準の重要ポイント
⚖️
法律の目的

バイクの安全確保と公害防止のため、車両の技術基準を規定

🔧
カスタムの制限

保安基準に適合しないと車検に通らず公道走行不可

⚠️
違反の罰則

不正改造は6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金

道路運送車両法は、バイクを含む自動車や原動機付自転車の登録、点検、整備、検査について定めた法律で、1951年に制定されました。この法律に基づき、バイクの安全確保と公害防止などの観点から、設計製造のための各種技術基準を定めているのが「保安基準」です。保安基準に適合しないと、メーカーは車両を製造できず、ユーザーがカスタム化や改造した場合も車検に通らず公道を走行できません。
参考)カスタム化と保安基準の概説:部品交換やカスタム化は保安基準に…

バイクに関する保安基準は、車両の長さ、幅、高さ、最低地上高、車両総重量、車輪数、エンジンの総排気量などが細目告示によって詳細に規定されています。また、安全確保のための情報伝達装置(ホーンや制動灯など)、運転特性(操縦安定性)、事故発生時の被害軽減対策(車体強度)、火災発生防止(燃料タンク強度)、排出ガス規制、騒音規制(マフラーの技術基準)なども保安基準の対象です。
参考)道路運送車両法の概要と保安基準:日本の自動車法律に関する情報

道路運送車両法では、排気量によってバイクの区分が定められており、125cc以下を「原付」として扱います。排気量50cc以下が「第一種原動機付自転車」、125cc以下が「第二種原動機付自転車」とされ、250cc以下は「二輪の軽自動車」、251cc以上は「二輪の小型自動車」として区分されます。車検が必要なのは251cc以上のバイクで、これらは保安基準への適合を定期的に確認する必要があります。
参考)https://www.tossnet.or.jp/portals/0/resouce/staticContents/public_html/u_qanda/bike01.html

道路運送車両法における二輪車の分類と車検対象

道路運送車両法におけるバイクの分類は、排気量に基づいて明確に区分されています。原動機付自転車(125cc以下)は、道路運送車両法上「検査対象外軽自動車」とされ、車検を受ける必要はありません。一方、排気量251cc以上のバイクは「二輪の小型自動車」として車検が義務付けられ、新車登録から3年後、以降は2年ごとに継続検査を受ける必要があります。
参考)https://www.goobike.com/magazine/ride/rule/14/

125ccから250cc以下のバイクは「二輪の軽自動車(軽二輪)」に分類され、車検は不要ですが、保安基準は適用されます。つまり、車検がない排気量でも保安基準を満たさない違法改造をすれば取り締まりの対象となります。車検制度は、道路運送車両の保安基準に適合しているかを検査する制度であり、定められた基準に適合していないと車検に通らないバイク(車検不適合車)となります。
参考)バイクの車検とは?費用や検査項目について解説!

保安基準に違反した不正改造車を運転した場合、道路運送車両法第99条の2により、6ヶ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科せられます。さらに、カスタムによって不正改造を行ったショップなどの業者に関しても、同様の罰則が適用されます。車検切れのまま公道を走行すると、違反点数6点、30日間の免許停止、6ヶ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金という重い罰則があります。
参考)カスタムしたバイクはバイク保険に入れる?加入後に改造した場合…

道路運送車両法で定められた保安基準の具体的内容

保安基準はバイク全般の技術基準を規定しており、非常に多くの項目があります。車両のサイズに関しては、全長・全幅・全高について基準が定められており、カスタム化によってこれらの寸法が変更される場合は注意が必要です。軽微な変更として許容される範囲は、全長±3cm、車幅±2cm、全高±4cm、車両重量±50kgとされています。​
灯火類については詳細な規定があります。ヘッドライトは白色で、1灯式の場合15000カンデラ以上の光量が必要で、平成10年3月31日以降に製作された車両は走行中に消灯できない仕組みであることが義務付けられています。ウインカーは橙色のみで、10W以上60W以下、発光面積70cm²以上が必要で、毎分60回から120回の一定周期で点滅する必要があります。
参考)https://www.tossnet.or.jp/tabid/93/Default.aspx?itemid=4894amp;dispmid=452

ブレーキランプは赤色で、尾灯の5倍以上の光度が必要とされ、発光面積は20cm²以上、個数は2個以下と定められています。尾灯は5W以上30W以下で赤色、発光面積15cm²以上が基準です。これらの灯火類について、前方へ赤色灯火、後方へ橙色灯火や白色灯火の使用は禁止されており、ウインカー等を除く点滅灯火も禁止されています。
参考)保安基準要項(抜粋) /メンテナンス / MOTO PALA…

道路運送車両法保安基準とマフラー騒音規制の変遷

マフラーの騒音規制は、道路運送車両法の保安基準において重要な項目の一つです。騒音に関する基準は時代とともに変遷しており、かつては排気量ごとに一律のデシベル値が定められていましたが、平成28年(2016年)の法改正によって、現在は車種別に基準が定められるようになりました。
参考)バイク車検に通るためのマフラー音量対策と注意点

年式別の騒音規制基準は次のようになっています。1985年以前に製造されたバイクには音量規制がありませんが、1986年から2000年に製造されたバイク(250cc以上)は99デシベル以下、2001年以降に製造されたバイク(250cc以上)は94デシベル以下とされています。2014年4月以降に製造されたバイクは、車種の基準値+5デシベル以内(基準値が79デシベル以下ならば84デシベル)という規制になっています。​
騒音測定は近接排気騒音法という方法で行われ、マフラー排気口から後ろ斜め45度、距離50cmの位置で測定します。測定時の回転数はエンジン最高出力発生回転数の75%(原動機付自転車のうち最高出力時の回転数が毎分5000回転を超えるものは50%)でスロットルを急速に戻した際の最大騒音値となります。2016年10月以降に製造されたバイクの場合、音量が基準をクリアしていても、JMCAマーク、Eマーク、自マークなどの認証マークがあるマフラーでないと車検に通らないため注意が必要です。
参考)バイクの騒音問題の対処法やライダーが注意するべき点を解説

道路運送車両法保安基準に適合するナンバープレート表示方法

ナンバープレートの表示に関する保安基準は、2016年4月1日以降に明確化され、2021年10月1日からさらに厳格化されました。かつては「見やすい箇所に取り付けること」のみが規定されていましたが、現在は取り付けの方向、角度、位置について具体的な規定が存在します。
参考)【厳しくなったバイクのナンバープレートに関する法律】法改正で…

現在の基準では、取り付け角度は上向き40度から下向き15度以内で固定することが必要で、左右の角度は0度とし、後方から見て判読できる位置でなければなりません。ナンバープレートを折り曲げたり、回転させて縦向きにすること、赤外線を遮断するカバーを取り付けること、シール等を貼り付けることは禁止されています。また、夜間でも白色ライトで番号を照らすナンバー灯の設置が必須です。
参考)バイクのナンバーの保安基準を知ろう!合法カスタム&おすすめア…

ナンバープレートの新基準に違反した場合、道路運送車両法上の「番号表示義務違反」となり、違反点数2点、50万円以下の罰金が科せられます。125cc以下のバイクの場合は「公安委員会遵守事項違反」で、反則金6000円(原付5000円)となります。ナンバーを読み取れにくくすると(汚損したままの場合も含む)、同様の違反に問われ、刑事処分の対象となる可能性があります。
参考)https://bikeman.jp/blogs/bikeparts/motobike-68

道路運送車両法におけるバイクカスタムと構造変更検査

バイクのカスタム化は、バイク好きにとっての大きな楽しみですが、カスタム化のための交換部品や装着方法によっては違法になることがあるため注意が必要です。代表的なカスタム部品としては、マフラー、ヘッドライトなどの灯火類、ミラー、ホーン、ハンドル、ナンバープレート、スクリーンなどがあり、それぞれ保安基準で機能や装着方法が詳細に規定されています。​
保安基準に適合した純正パーツや用品を正しく装着すれば、軽微な改造として車検に通ります。しかし、通常の車検に通らないような比較的大規模な改造については、「構造変更検査」の申請が必要です。構造変更検査が必要な主な改造項目は、車検証に記載のバイクの形状変更、前述の許容範囲を超える大幅なサイズの変更、乗員定員の変更(ソロシートから2名乗車のシートに交換しパッセンジャーフットペグを装着)、サイドカーの取り付け、エンジンの換装やボアアップによる排気量の増大などです。
参考)構造変更とは?通常の車検に通らない改造に対応する制度【バイク…

構造変更の手続きとしては、運輸支局に構造変更届とともに改造バイクを持ち込み、車検と同様の検査を受けます。検査によって保安基準に適合していることが認められれば、「公認車検車」として車検証の形式欄に「改」の文字が付記されて構造変更は完了します。車検が必要でない排気量250cc以下のバイクには、構造変更と同様の「改造申請」があり、これは書類審査だけですみます。構造変更の手続きは書類の準備など煩雑なため、自信がなければ改造申請ができる専門業者に依頼することが推奨されます。​

道路運送車両法違反の取り締まりと罰則の実態

道路運送車両法に違反した不正改造車は、厳しい取り締まりの対象となります。道路運送車両法第99条の2では、保安基準に適合しない自動車の改造、装置の取り付け、取り外し等を行ってはいけないと決められており、違反した場合は6ヶ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科されます。
参考)https://www.goobike.com/magazine/maintenance/custom/54/

違法改造をしたバイクは保安基準に適合していないため、車検に合格できません。車検切れのまま公道を走行すると、違反点数6点、30日間の免許停止、6ヶ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金という罰則があります。さらに自賠責保険の有効期限が切れていると、違反点数は変わらず6点ですが、30日間の免許停止、1年6ヶ月以下の拘禁刑または80万円以下の罰金とさらに重くなります。​
認証整備工場では、不正改造車の入庫を断る方針をとっているところも多くあります。これは、不正改造に関与したとみなされることを避けるためです。カスタムによって不正改造を行ったショップなどの業者に関しても、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されるため、保安基準に適合しないカスタムを勧めたり施工したりすることはありません。バイクの楽しみ方としてカスタムは大きな魅力の一つですが、違反した場合には知らなかったでは済まされないほどの重い罰則が待ち受けているため、保安基準を遵守することが重要です。
参考)不正改造車の取り扱いについて 神戸二輪新車正規販売店 神戸カ…

道路運送車両法保安基準とミラーの取り付け要件

バイクのミラーは、安全な運転を実現するための重要な装備であり、道路運送車両法によって保安基準が定められています。ミラーが義務付けられている主な理由は、後方の状況を適切に把握するためで、後方確認が不十分だと車線変更や交差点での右左折時に危険が増えるため、事故の未然防止のために法律で義務づけられています。
参考)バイクミラーの保安基準を知ろう|安全な取り付けと車検対策ガイ…

原付を除くバイクには左右両側に1個ずつミラーが必要とされています。ミラーの位置と取り付けに関する要件として、運転者が頭を大きく動かさずに視認できる位置であること、振動によって視野がぶれないようにしっかりと固定されること、運転者の視野を妨げないように設置することが求められます。​
ミラーのサイズについても保安基準があり、ミラーが円形の場合は直径94mm以上150mm以下が保安基準に適合するサイズです。円形以外のミラーは、120mm×200mm(200mm×120mm)未満で、直径78mmの円がミラーの鏡面に内接する大きさが必要とされています。これらの基準を満たさないミラーを装着すると、車検に通らず、公道走行が違法となります。
参考)車検に通るバイク用ミラーとは?

国土交通省「道路運送車両の保安基準」最新版(2025年1月10日現在)の全条文と詳細な技術基準を確認できます
グーバイクマガジン「バイクと道路運送車両法の関係とは?道路交通法との違いも解説」でバイク初心者向けに法律の基本が分かりやすく説明されています
クリッカー「部品交換やカスタム化は保安基準に沿って行う【バイク用語辞典】」でカスタム化と保安基準の関係を詳しく解説しています