金属粉危険物指定数量とバイク整備保管時の注意点

金属粉危険物指定数量とバイク整備保管時の注意点

金属粉危険物の指定数量

金属粉危険物の基礎知識
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第二類危険物としての分類

金属粉は消防法で第二類危険物(可燃性固体)に指定され、適切な管理が必要です

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指定数量の基準

第一種可燃性固体として100kg、第二種可燃性固体として500kgが基準となります

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自然発火のリスク

金属粉は表面積が大きく酸化反応を起こしやすいため、蓄熱による自然発火の危険性があります

金属粉危険物の消防法による分類と種類


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消防法では、金属粉を第二類危険物(可燃性固体)に分類しています。具体的には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、マグネシウム以外の金属の粉がこれに該当し、アルミニウム粉や亜鉛粉などが代表的な物質です。
参考)金属粉 - Wikipedia

金属は通常、熱の良導体であり酸化が表面に留まるため火災の危険性は低いですが、粉末状になると状況が大きく変わります。粉末になることで表面積が割合が大きくなり酸化熱が増大し、見かけの熱伝導率が低下することで酸化熱が蓄積されやすくなるのです。​
消防法では目開きが150マイクロメートルの網ふるいを通過するものが50%未満のものは、金属粉から除外されます。また、銅粉とニッケル粉についても同様に除外対象となっています。
参考)http://www.khk-syoubou.or.jp/pdf/guide/magazine/glossary/13.pdf

金属粉危険物の指定数量と保管基準

金属粉の指定数量は、その性質によって区分されています。第一種可燃性固体に分類されるアルミニウム粉などは指定数量が100kgで、第二種可燃性固体に分類されるマンガン粉などは指定数量が500kgとなっています。
参考)http://www.chemeng.titech.ac.jp/private/kikenbutsu.html

指定数量以上の危険物を保管する場合、消防法で定められた基準を満たした危険物貯蔵所での保管が義務づけられます。指定数量の1/5以上、指定数量未満の場合は「少量危険物」と呼ばれ、特定の遵守事項に従う必要があります。
参考)https://www.jsac.or.jp/bunseki/pdf/bunseki2005/minifile200505.pdf

保管場所には厳格な基準が設けられており、屋根を不燃材料で作り、床面に水が浸入しない構造とすることが求められます。これは金属粉が水分と接触することで自然発火する危険性があるためです。
参考)http://www.epc.osaka-u.ac.jp/pdf/kikenbutu.pdf

金属粉危険物の自然発火メカニズムと火災リスク

金属粉の最も大きな危険性は、自然発火の可能性です。アルミニウム粉、マグネシウム粉、鉄粉などは非常に表面積が大きいため、空気中の酸素と反応しやすく、発熱・発火を引き起こす可能性があります。
参考)身近に潜む火災の危険性「自然発火」とは?自然発火のメカニズム…

ステンレス粉体のような消防法上の危険物に分類されない少量の金属粉であっても、事故の原因となる場合があります。粉体状の金属は酸化されやすく、火災・爆発の原因となることも少なくありません。
参考)https://dl.ndl.go.jp/view/prepareDownload?itemId=info%3Andljp%2Fpid%2F11615909amp;contentNo=1

特に細粉状または細片状のものが大量に堆積された場合には、塊状では自然発火の危険性が少ないものでも自然発火することがあります。金属粉は酸化物と混合した場合に加熱や衝撃、摩擦により発火するおそれがあり、水分やハロゲン元素との接触でも自然発火する恐れがあります。
参考)https://www.nitibou.co.jp/wp-content/uploads/2020/10/TK-01-06.pdf

バイク整備における金属粉の発生と危険性

バイクのエンジンオイルには、エンジン内部の摩擦により発生した金属粉が混入します。エンジン内の爆発運動や回転運動などによって摩擦が起こり、これによって金属粉が生成されるのです。
参考)https://www.goobike.com/magazine/maintenance/maintenance/423/

オイルに混ざった鉄粉をそのままにしておくと、エンジン内部を傷つけ潤滑不良を起こす可能性があります。少量であればオイルフィルターがろ過してくれますが、鉄粉の量が増えると上手くろ過されず、鉄粉がエンジン内部を巡ってしまいます。​
黒く濁っていたり、カフェオレのような色になっていたり、金属粉が混ざっているオイルは、早めの交換が必要です。鉄粉の放置はエンジン内部の損傷やピストンの焼き付きを引き起こし、結果としてバイクの寿命が縮まる原因となります。
参考)【初心者必見】バイクメンテナンス完全ガイド!基礎知識から実践…

バイクのオイル交換時には、磁石になったドレンバルブにごっそりと金属粉が吸着されていることがよくあります。定期的なオイル交換とオイルフィルターの交換、マグネット付きオイルドレンボルトへの交換などが有効な対策となります。
参考)オフロードバイクKTM450のオイル交換をした際に、非鉄の金…

金属粉危険物の適切な保管方法と取扱い注意点

金属粉を保管する際には、酸化や湿気に対する対策が重要です。金属は酸素や湿気にさらされると腐食しやすく、特に粉末状の金属は発火のリスクが高まるため、保管容器は密閉し、乾燥した環境を保つことが必要です。
参考)金属加工品に含まれる金属粉やマグネシウム粉を保管する際の注意…

具体的な保管方法として、粉末の錆や変色防止のため結露に留意する必要があります。コンクリート土間やパレット等への直置きは結露を発生させ、錆発生や変色を招くため、底部にビニールシート、ダンボール等を緩衝材として使用することが推奨されています。
参考)https://www.jpma.gr.jp/technology/material/pdf/a_24_4.pdf

開梱後はできるだけ速やかに使い切り、やむを得ず一部を保管する場合は密封容器に移し替え、乾燥剤を投入して密封保管します。保管場所は常温、常湿の屋内とし、直射日光や雨水を避けることが必要です。​
火気、水分、ハロゲン元素を避け、密栓して保存することが基本原則です。温度が安定していること、通気性が良いことも重要で、温度変化が激しい場所では金属の膨張・収縮が繰り返され、物性が劣化する可能性があります。
参考)金属粉

消火方法についても注意が必要で、金属火災には乾燥砂や金属火災用粉末消火剤による窒息消火を行います。通常の水系消火器は使用できず、専用の消火設備が必要となります。
参考)より安全な金属火災消火はこれだ!発火性金属に対する火災対策を…