キャタライザー効果とバイク性能向上の秘訣

キャタライザー効果とバイク性能向上の秘訣

キャタライザーの効果と役割

キャタライザーの3つの主要効果
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排気ガス浄化

有害な一酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物を無害な物質に変換し、環境保護に貢献します

排気効率の改善

スポーツキャタライザーへの交換で排気抵抗を減らし、エンジン性能を向上させることが可能です

車検適合

適切なキャタライザーの装着により、排気ガス規制をクリアして車検に合格できます

キャタライザーによる排気ガス浄化の仕組み

キャタライザーは排気管に設置される筒状のパーツで、内部はハチの巣状のハニカム構造になっています。この通路の壁面には白金、ロジウム、プラチナなどの貴金属がコーティングされており、排気ガスが通過する際に化学反応を起こします。
参考)https://www.goobike.com/magazine/maintenance/maintenance/40/

具体的には、エンジンの燃焼により発生した一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)といった有害物質が、触媒表面の貴金属と接触することで化学変化します。窒素酸化物から窒素と酸素が分離され、切り離された酸素が一酸化炭素と結合して二酸化炭素に、炭化水素と結合して水蒸気になることで、害の少ないガスへと変換されます。
参考)https://www.zurich.co.jp/carlife/cc-whatis-catalyzer-exhaust/

この化学反応を効果的に行うため、キャタライザーは適切な温度まで上昇する必要があります。暖気中は触媒の温度が低いため浄化効果が十分に発揮されず、生臭い匂いがすることもあります。
参考)後付け汎用キャタライザー(スポーツ触媒) : 二輪の記録と記…

キャタライザーがバイク性能に与える影響

純正キャタライザーはセル(通路)の数が多く、浄化機能に優れている反面、排気の通過速度が遅くなるという特徴があります。これにより排気効率や燃焼効率が低下し、エンジンのパワーダウンにつながる可能性があります。
参考)静かなままで速さを手に入れる! スポーツ触媒×ノーマルマフラ…

特に純正触媒の多くは400cpsi程度のセラミック製ハニカム構造を採用しており、排気抵抗が大きくなる傾向があります。セラミック製の触媒は高温になると熱膨張を起こし、さらに排気抵抗を増やしてしまいます。
参考)スーパーキャタライザー - A'PEXi

低速域では排気抵抗によってトルクが減少し、アクセルレスポンスが鈍くなることもあります。また、ターボ車においては排気抵抗が大きいとターボチャージャーに負担がかかり、ブースト圧の立ち上がりが遅くなる現象も見られます。
参考)メタルキャタライザーやスポーツ触媒を徹底解説!メリットや装着…

キャタライザー交換によるメリットとデメリット

メリット
スポーツキャタライザーやメタルキャタライザーへの交換により、大きなパフォーマンス向上が期待できます。メタル触媒は130cpsi程度の低密度セルを採用しており、純正触媒と比較して排気抵抗が大幅に減少します。
参考)メタルキャタライザー

この排気効率の向上により、以下のような効果が得られます。

  • エンジンの高出力化:馬力・トルクともに向上​
  • 吹け上がり向上:スロットルレスポンスが鋭くなる​
  • ターボ車での効果:ブースト圧の立ち上がりが早くなる​
  • 低速トルクの回復:適度な排気抵抗により乗りやすさが増す

    参考)https://www.outex.jp/commentcatalyze.htm

デメリット
スポーツ触媒への交換にはいくつかの注意点があります。排気抵抗が大幅に低くなると、エンジンECUが異常を検知してエンジンチェックランプが点灯する可能性があります。そのためECUチューンが必要になるケースがあります。
参考)メタルキャタライザーについて教えて下さい! - クルマはアル…

また、触媒を外したり性能の低い製品に交換すると、排気ガス規制をクリアできず車検に通らない可能性があります。車検対応の製品を選ぶことが重要です。
参考)触媒無し、または触媒を変更した車は車検に通るのか

音量面では、触媒交換により排気音が変化し、場合によっては騒音規制値(97dB以下)を超える可能性もあります。
参考)メタルキャタライザーへの交換はターボ車はより効く気がしますね…

キャタライザー交換の注意点と車検対応

車検に合格するためには、適切なキャタライザーの装着が必須です。道路運送車両の保安基準第31条では、一酸化炭素や炭化水素、窒素酸化物などを多量に発散してはいけないと定められています。
参考)【排ガス編】6月は不正改造マフラー取り締まり強化月間!250…

触媒が入って初めて排出ガス規制をクリアするバイクでは、触媒を外すと検査に引っかかり整備不良となります。キャタライザーレス(触媒なし)のマフラーは、現在のバイク環境的に好ましくありません。​
車検対応のスポーツキャタライザーを選ぶ際は、排出ガスの自動車試験証明書が付属している製品を選ぶことが推奨されます。これにより、自ら排ガス試験を受けることなく車検をクリアできます。​
ただし、キャタライザー交換後のチューニングの度合いによっては、車検対応製品であっても基準を満たさない場合があるため注意が必要です。経年劣化によって浄化性能が低下し、音量規制値をクリアできなくなることもあります。
参考)車検について質問です。柿本マフラーとHKSキャタライザー共に…

キャタライザーメンテナンスとバイク特有の注意事項

キャタライザーには明確な寿命はありませんが、長年の使用や極端に排気系に負担をかける乗り方をすると、触媒機能が低下する場合があります。排気ガスの臭いに違和感を覚えたり、煙が上がったりした際には、キャタライザーの点検・交換を検討すべきです。​
バイクの場合、キャタライザーはエキゾーストパイプ内やサイレンサー付近に搭載されています。交換方法は、該当箇所からキャタライザーを抜き取り、新しいものと交換するのが一般的です。車種や搭載マフラーによって適合するキャタライザーや交換手順が異なるため、不安な場合は専門店への依頼が推奨されます。​
後付け汎用キャタライザーを使用する場合、サイレンサー手前に差し込むだけのタイプもあります。300セルや150セルといったスポーツ触媒用のセル数があり、セル数が少ないほど排気抵抗が少なくなります。ただし、メタル触媒が効果を発揮するにはある程度の温度が必要なため、暖気中の浄化効果は限定的です。​
定期的な点検を販売店に依頼することで、キャタライザーの劣化状態を把握でき、適切なタイミングでのメンテナンスが可能になります。​
近年流行しているバブリング(減速時に未燃焼ガスを爆発させる音を楽しむチューニング)は、触媒に深刻なダメージを与える可能性があるため注意が必要です。触媒付近で爆発が起きるため、純正触媒でもスポーツ触媒でも破壊される可能性があり、交換が必要になるリスクがあります。
参考)パワーもレスポンスも爆上がり! プロが薦める“触媒交換”とい…

参考リンク(三元触媒の化学反応と排気ガス浄化の詳細について)。
二輪車用(バイク)触媒|キャタラー 製品
参考リンク(スポーツキャタライザーの性能比較とセル数による効果の違いについて)。
スーパーキャタライザー | A'PEXi
参考リンク(バイクマフラー交換時の触媒に関する注意事項について)。
バイクのマフラーの違いと交換時に知っておきたいこと | バイク王