ニッケル水素電池とリチウムイオン電池の違い比較特徴と寿命価格

ニッケル水素電池とリチウムイオン電池の違い比較特徴と寿命価格

ニッケル水素電池とリチウムイオン電池の違い

二次電池の主要な特徴比較
🔋
エネルギー密度

リチウムイオン電池は220~250Wh/kg、ニッケル水素電池は140~300Wh/kgで、リチウムイオンの方がコンパクトで高容量を実現できます

充電サイクル

リチウムイオン電池は約4000回、ニッケル水素電池は500~1500回の充放電サイクルが可能で、リチウムイオンが長寿命です

💰
価格差

ニッケル水素電池は約62,000円、リチウムイオン電池は約100,000円と、初期投資ではニッケル水素が経済的です

ニッケル水素電池とリチウムイオン電池の基本構造と電圧


単3形 単4形充電池充電器セット 8スロット充電器+単4電池(1100mAh*8)セット 単三 単四 ニッケル水素/リチウムイオン電池充電池に対応

 

ニッケル水素電池は正極にニッケル酸化物、負極に水素吸蔵合金を使用し、電解液にアルカリ水溶液を採用した二次電池です。公称電圧は1.2Vで、乾電池(1.5V)の代替として幅広く使用されています。一方、リチウムイオン電池は正極にリチウム複合酸化物、負極に炭素材料を使用し、非水系有機電解液を採用することで3.7Vという高い公称電圧を実現しています。この電圧差により、リチウムイオン電池は少ないセル数で必要な電圧を確保できるため、バッテリーパックの小型化に貢献します。
参考)電池の規格について

バイク用途では、従来のニッケル水素バッテリーから高性能なリチウムイオンバッテリーへの移行が進んでいます。リチウムイオン電池は1990年にビデオカメラの小型軽量化を目的として初めて採用され、その後携帯電話や電動バイク、電動自転車などの産業分野で急速に需要が拡大しました。二次電池には他にもニカド電池や鉛蓄電池などの種類がありますが、現在の主流はニッケル水素電池とリチウムイオン電池の2つです。
参考)ニッケル水素電池vsリチウムイオン電池の比較 - どっちがい…

ニッケル水素電池とリチウムイオン電池のエネルギー密度比較

エネルギー密度は電池の性能を評価する重要な指標で、単位重量あたりにどれだけの電力を蓄えられるかを示します。リチウムイオン電池のエネルギー密度は220~250Wh/kgであるのに対し、ニッケル水素電池は140~300Wh/kgとなっています。この差により、同じサイズの電池ケースでもリチウムイオン電池の方が多くの電力を蓄えることができ、ポータブル電子機器やバイク用バッテリーに適しています。
参考)ニッケル水素電池とリチウムイオン電池の比較

同じ体積で比較すると、リチウムイオン電池はニッケル水素電池よりも多くのエネルギーを蓄えられるため、バッテリーの小型化や高容量化を求める場合に有利です。バイク用途では、バッテリーの重量が走行性能に直接影響するため、高エネルギー密度のリチウムイオン電池が好まれます。ただし、ニッケル水素電池も改良が続けられており、特定の用途では依然として競争力を持っています。エネルギー密度が低いという特性は、必ずしも欠点ばかりではなく、安定した放電特性や耐久性の高さというメリットとトレードオフの関係にあります。
参考)リチウムイオン電池とニッケル水素電池の違い

ニッケル水素電池とリチウムイオン電池の充電サイクルと寿命

充電サイクルとは、電池を完全に放電してから満充電するまでの1サイクルを指し、電池の寿命を評価する重要な指標です。リチウムイオン電池の充電サイクルは材料によって異なりますが、リン酸鉄リチウムであれば約4000回と言われており、1日1回の使用で約10年間の使用期間に相当します。一方、ニッケル水素電池の充電サイクルは500~1500回とされており、使用期間に換算すると約半年~4年程度です。
参考)ニッケル水素電池の利点は何 リチウム電池より良いのか - T…

ヤマハの車椅子用バッテリーの比較データでは、ニッケル水素バッテリーが約300サイクル(通常使用で約3年)であるのに対し、リチウムイオンバッテリーは約700サイクル以上で使用開始から8年経過または積算充電容量8000Ahまで使用可能とされています。これにより、リチウムイオン電池はニッケル水素電池の最大50%の寿命という計算になります。バイク用バッテリーでは、長期間の安定した性能が求められるため、サイクル寿命の長いリチウムイオン電池が優位性を持ちます。
参考)Q&A:バッテリー比較表 - 車椅子電動化ユニット

ニッケル水素電池とリチウムイオン電池のメモリー効果の違い

メモリー効果とは、電池容量が残っている状態で継ぎ足し充電を繰り返すと、充電を開始した残量付近で電圧が降下してしまう現象です。この現象はニッケルカドミウム電池やニッケル水素電池で顕著に発生し、使用可能な容量が減少してしまいます。ニッケル水素電池はニカド電池に比べてメモリー効果が少ないものの、何度も継ぎ足し充電を繰り返すことで発生する可能性があります。
参考)メモリー効果とは?

一方、リチウムイオン電池にはメモリー効果がほぼ発生しません。そのため、リチウムイオン電池は「蓄電容量が減ってきたから少し充電しておこう」という使い方ができ、残量を気にせず継ぎ足し充電が可能です。バイク用バッテリーとして考えた場合、ツーリング先での充電や日常的な継ぎ足し充電が自由にできるリチウムイオン電池の方が使い勝手に優れています。ニッケル水素電池でメモリー効果が発生した場合は、完全放電後に満充電を行う「リフレッシュ処理」が必要ですが、この処理自体が電池の劣化につながるため望ましくありません。
参考)リチウムイオンバッテリーとニッケル水素バッテリーは何が違うの…

ニッケル水素電池とリチウムイオン電池の価格と自己放電率

初期投資の観点では、ニッケル水素電池の方が経済的です。ヤマハの製品データによると、ニッケル水素バッテリーのメーカー希望小売価格は68,200円(税込)であるのに対し、リチウムイオンバッテリーは110,000円(税込)と約1.6倍の価格差があります。電動アシスト自転車用では、8.0Ahのバッテリーが3~4万円、12.0Ahが4~5万円、16.0Ahが5~6万円程度が相場となっています。
参考)電動アシスト自転車のバッテリーについて徹底的に解説します

自己放電率については、リチウムイオン電池が月3.5%以下であるのに対し、ニッケル水素電池は月30%と大きな差があります。自己放電率が低いということは、充電した電力が長期間保持されるため、長期間使用しない場合でも電力が減りにくいという利点があります。ただし、ニッケル水素電池は充電しておいた電力が長期間保持されるという特徴もあり、一部の用途では評価されています。満充電時の電気代も、ニッケル水素が約10円、リチウムイオンが約17円とニッケル水素の方が安価です。​

ニッケル水素電池とリチウムイオン電池の安全性と環境性能

安全性の面では、両者にそれぞれ特徴があります。ニッケル水素電池は一般的に安全性が高いとされていますが、特に充電中に不適切に扱うと危険が伴う場合があります。一方、リチウムイオン電池は通常の使用では安全ですが、損傷や誤使用による過熱や発火の危険性が指摘されています。バイク用バッテリーとしては、適切な管理と保護回路の搭載により、両タイプとも十分な安全性が確保されています。​
環境への影響については、ニッケル水素電池はニッチな用途であるため環境への影響は限定的ですが、リチウムイオン電池は廃棄物の潜在的な懸念があります。ただし、リチウムイオン電池は電気自動車や大規模エネルギー貯蔵システムへの需要増加に伴い、リサイクルの取り組みが進んでおり、環境負荷の軽減が図られています。また、リチウムイオン電池に含まれるニッケル、コバルト、リチウムなどの貴重な資源を回収する技術開発も積極的に行われています。バイク用バッテリーを選択する際は、性能面だけでなく、使用後のリサイクル体制も考慮することが重要です。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11396088/

ニッケル水素電池とリチウムイオン電池のバイク用選び方

バイク用バッテリーを選ぶ際は、使用頻度や走行距離、予算を総合的に考慮する必要があります。電動バイクや電動キックボードでは、軽量でコンパクト、かつ高容量のリチウムイオンバッテリーが主流となっています。リチウムイオンバッテリーは耐久性に優れ、メモリー効果がないため、バッテリー残量を気にすることなく継ぎ足し充電できる利点があります。
参考)電動バイク・電動キックボードにはどんなバッテリーが使われてい…

一般的にニッケル水素電池とリチウムイオン電池の間には互換性がないため、交換するには別のバッテリーボックスを購入し取り換える必要があります。ただし、2006~2008年モデルのヤマハPASニッケル水素バッテリー搭載モデルでは、一部部品を交換することでリチウムイオンバッテリーを使用できるケースもあります。バイク用途では長時間の連続走行や急速充電への対応が求められるため、充電時間が短く高出力のリチウムイオン電池が適しています。一方、低コストが求められる用途や中程度の電力が必要なアプリケーションでは、ニッケル水素電池も依然として有効な選択肢となります。
参考)ニッケル水素バッテリーのモデルを使っています。リチウムイオン…

参考リンク:バッテリーの種類と特徴を詳しく知りたい方は、古河電池の公式サイトが役立ちます。

 

バッテリーの基礎知識第1回 電池の種類、特徴、性能指標
参考リンク:リチウムイオンバッテリーの特徴とよくあるトラブルについては、バイク用品店2rinkanの記事が参考になります。

 

【バイク初心者向け】リチウムイオンバッテリーでよくある5つの質問
参考リンク:電動アシスト自転車のバッテリー選びの詳細は、ヤマハ発動機の公式Q&Aページが有用です。

 

リチウムイオンバッテリーとニッケル水素バッテリーは何が違うのですか?

 

 


Amazonベーシック 12個入り充電式単三ニッケル水素大容量電池、2400 mAh、1.2V、最大400倍まで充電、プリチャージ済み