二酸化硫黄人体への影響とバイク排気ガスの健康リスク

二酸化硫黄人体への影響とバイク排気ガスの健康リスク

二酸化硫黄人体への影響

二酸化硫黄による主な健康影響
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呼吸器系への刺激

目、のど、気道を刺激し、せき、呼吸困難、ぜんそく発作を引き起こす

⚠️
ぜんそく患者への高リスク

0.2-0.5ppm程度の低濃度でも発作を誘発する可能性がある

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大気汚染の主要物質

化石燃料の燃焼により発生し、慢性気管支炎や肺気腫の原因となる

二酸化硫黄の呼吸器への影響メカニズム


ガス検知管 二酸化硫黄 103SC 10本 / 8-5352-19

 

二酸化硫黄(SO₂)は、硫黄分を含む石油や石炭などの化石燃料が燃焼することによって発生する無色の刺激臭を持つ気体です。水に非常に溶けやすい性質があり、湿った粘膜に接触すると硫酸(H₂SO₄)に変化するため、目や気道の粘膜に強い刺激作用を引き起こします。二酸化硫黄は呼吸器を刺激し、せき、呼吸困難、ぜんそく、気管支炎などを引き起こすほか、植物を枯らしたりするため、大気汚染の原因物質とされています。
参考)用語の解説|3. 用語の解説|公害健康被害補償・予防の手引|…

二酸化硫黄による健康被害の特徴は、粘膜への刺激性にあります。水に溶けやすい性質から、主に上気道で吸収され、慢性気管支炎やぜんそくを引き起こすことが知られています。二酸化硫黄は単独で吸入された場合、二酸化窒素とは異なり上気道で吸収される割合が大きく、「目がチカチカする」「のどが痛い」などの症状を起こすほか、頭痛、はきけ、息苦しいなどの症状が出るとされています。
参考)https://www.env.go.jp/earth/coop/coop/document/02-apctmj1/02-apctmj1-051.pdf

特にぜんそく患者は二酸化硫黄の影響を受けやすく、0.2-0.5ppm程度の低い濃度でも発作を起こすことがあります。健康な人でも、1-5ppmの濃度で運動や深呼吸の際に呼吸器系に影響を受ける閾値に達し、6ppmで目、鼻、のどへの瞬時の刺激が発生します。
参考)二酸化硫黄(SO2)

二酸化硫黄の濃度基準と症状の関係

二酸化硫黄の健康影響は濃度によって段階的に変化します。日本における環境基準は、1時間値の1日平均値が0.04ppm(約110μg/m³)以下、かつ1時間値が0.1ppm(約260μg/m³)以下と定められています。この基準は、人の健康を保護し生活環境を保全する上で維持されることが望ましい行政上の目標基準として設定されています。
参考)https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/h06/8721.html

濃度別の健康影響について、具体的な数値を見てみましょう。

 

濃度(ppm) 健康への影響
0.2-0.5 ぜんそく患者が発作を起こす可能性がある濃度​
1-5 健康な人が運動時に呼吸器系に影響を受ける閾値​
3-5 ガスにすぐ気づく値で、肺機能の低下と気道抵抗の増加​
6 目、鼻、のどへの瞬時の刺激​
10-15 長時間曝露に関する毒性の閾値​
20以上 継続的な曝露後の麻痺や死亡​

世界保健機構(WHO)は、10分間の曝露で0.175ppm(約500μg/m³)、24時間で0.048ppm(約125μg/m³)、1年で0.019ppm(約50μg/m³)という基準を2000年に設定しました。低濃度(1-5ppm)に長時間または繰り返しさらされることは、心臓や肺の持病がある方にとって危険なものとなりえます。​

二酸化硫黄によるぜんそくと慢性気管支炎

二酸化硫黄は、ぜんそくや慢性気管支炎といった呼吸器疾患の発症と悪化に深く関与しています。気管支ぜん息は「笛声喘鳴を伴った発作性の呼気性呼吸困難を繰り返し惹起される疾患」と定義されており、大気汚染地域においては対照地域に比して患者が多く、大気汚染が著しい時期に症状が悪化することが統計的疫学的手法によって明らかにされています。​
慢性気管支炎は、「慢性あるいは反復性の多量の痰を伴なう咳がみられ、これらの症状が年に最低3か月間のほとんど毎日、かつ少なくとも連続2年間にわたって存在するもの」と定義されます。大気汚染と慢性気管支炎との関係は広範囲に検討されており、特にイギリスでは古くから問題にされてきました。慢性気管支炎の発症率や死亡率は、大気中の亜硫酸ガス濃度、降下ばいじん量などとかなり密接な関係があることが報告されています。​
大気汚染は患者の呼吸器症状を増悪させ、曝露により慢性気管支炎を発症させることも、汚染地区の住民に慢性気管支炎を有する比率の高いことから明らかにされています。肺気腫についても、二酸化硫黄や窒素酸化物などの大気汚染性化学物質は気道を刺激し、咳を誘発し、粘液の増量を促し、慢性的な気道閉塞性の変化を起こす原因となりうると考えられています。​

二酸化硫黄とバイク排気ガスの発生源

バイクを含む車両の排気ガスは、二酸化硫黄の重要な発生源の一つです。自動車はガソリンや軽油を燃焼させて得られる熱エネルギーを動力にしており、燃料中の硫黄(S)分が燃焼により、ほとんどSO₂として排出されます。排気ガスには排気管から出る排気ガス、クランクケースから出るブローバイガス、燃料供給系統から出る蒸発ガスなどがあり、これらには一酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物、粒子状物質、硫黄酸化物などの有害な物質が含まれています。
参考)自動車の排気ガスによる環境問題とは?地球温暖化への影響も解説

二酸化硫黄の主な発生源は、石油や石炭のように硫黄分を含む化石燃料が燃える際に発生します。バイクやディーゼル車などの排気ガスには、二酸化硫黄に加えて粒子状物質(PM2.5)も含まれており、これらが大気中で相互作用してさらに有害な物質を生成することがあります。排ガス中のSO₂は気体であり、大気中で酸化されて硫酸エアロゾルや硫酸アンモニウムなどのPM2.5に変化し、これらは人間が吸い込むと呼吸器疾患、循環器疾患および肺がんを引き起こすおそれがあります。
参考)https://www.mlit.go.jp/common/001246875.pdf

窒素酸化物(NOx)と硫黄酸化物(SOx)は、主に燃料の燃焼によって発生します。NOxは燃料中の窒素分が高温で酸化されることで発生し、自動車のエンジンや工場のボイラーなど、高温で燃料を燃焼させる設備で多く発生します。SOxは燃料中の硫黄分が燃焼することで発生し、石炭や石油などの化石燃料に多く含まれる硫黄が原因となります。
参考)大気汚染の原因「NOx・SOx」とは|酸性雨・光化学スモッグ…

日本の環境省が定める大気汚染防止法に基づき、これら有害な物質について規制が行われていますが、バイクに乗っている人は特に排気ガスに晒される機会が多いため注意が必要です。
参考)【一葉的バイクの小窓】vol.11 排ガスガードで快適ツーリ…

バイク通勤者が知るべき排気ガスの健康対策

バイクで通勤・通学される方にとって、排気ガスへの長期的な曝露は無視できない健康リスクです。排気ガスの成分には一酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物、粒子状物質、二酸化炭素、硫黄酸化物が含まれており、これらの成分は多量に吸い込むと死に至る有害なものや、光化学反応を起こして光化学スモッグの原因となるもの、吸い込むことで人体に悪影響を及ぼすものがあります。
参考)NAROO MASKは排気ガスをブロックできるの? - NA…

二酸化硫黄は体内に蓄積することはなく、水に溶けて亜硫酸イオンや硫酸イオンになり、これらの物質は尿として排出されるなど代謝経路があります。しかし、長期間の曝露により、せきやたんが増えるリスクがあり、ぜんそく患者の場合は発作を誘発し症状が悪化するリスクがあります。
参考)よくあるご質問|その他|三宅村役場ホームページ

バイクライダーが排気ガスのリスクを軽減するための対策として、以下のような方法が考えられます。

 

  • 高機能な防護マスクの着用:PM2.5や有害ガスをブロックできるマスクを使用することで、呼吸器への負担を軽減できます​
  • 交通量の多い時間帯や場所を避ける:排気ガス濃度が高くなる渋滞時の走行を極力避ける
  • 定期的な健康チェック:呼吸器系の症状が出ていないか定期的に確認し、異常があれば早めに医療機関を受診する
  • 換気の良いルートの選択:トンネルや地下道など排気ガスがこもりやすい場所での長時間走行を避ける

火山ガスの事例からも分かるように、二酸化硫黄への長期間の曝露は、せきやたんの症状を引き起こす可能性がありますが、曝露源から離れれば症状は治まります。バイク通勤者は、排気ガスへの曝露時間を最小限に抑える工夫が重要です。​
環境省によるPM2.5の健康影響と対策に関する詳細な資料
この資料では、粒子状物質の健康影響について専門的な解説が記載されています。

 

大気汚染関連疾患についてのMSDマニュアル
医学的な観点から大気汚染が引き起こす呼吸器疾患について詳しく解説されています。

 

 


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