ペーパーロック ベーパーロックの違い原因と対策

ペーパーロック ベーパーロックの違い原因と対策

ペーパーロック ベーパーロックの違い原因

この記事でわかること
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正しい名称と意味

「ペーパーロック」は誤り。「ベーパーロック」が正解で、Vapor(蒸気)によるブレーキの機能不全を指す

⚠️
発生原因と症状

ブレーキフルードの沸騰で気泡が発生し、油圧が伝わらなくなりブレーキが効かなくなる危険な現象

🛡️
予防と対策方法

エンジンブレーキの活用とブレーキフルードの定期交換で事前に防ぐことが可能

ペーパーロックの正しい表記はベーパーロック


ペーパーロック CR-PR30-AL(W300MM) クラウン

 

「ペーパーロック」という表現を耳にしたことがある方も多いでしょうが、これは実は間違った呼び方です。正しくは「ベーパーロック(Vapor Lock)」と表記します。Vaporは英語で「蒸気」を意味し、蒸気によってブレーキの制動力がLock(阻害)される現象を指しています。紙(Paper)とは全く関係ないため、覚え間違いには注意が必要です。
参考)https://www.zurich.co.jp/carlife/cc-vaporlock-fade/

ベーパーロック現象とは、バイクや車のブレーキフルード(ブレーキオイル)が過熱により沸騰し、ブレーキ系統内に気泡が発生することでブレーキが効かなくなる現象です。液体は圧力をかけても体積が変わりませんが、気体(気泡)は圧力をかけると縮んでしまいます。そのためブレーキペダルを踏んでも気泡が圧力を吸収してしまい、ブレーキパッドを押す力が伝わらなくなるのです。
参考)ベーパーロック現象 - Wikipedia

バイクの場合、特に長い下り坂でリアブレーキを多用したり、スポーツ走行で激しいブレーキングを繰り返すと発生しやすくなります。ブレーキフルードの沸点は通常200℃前後ですが、フルードが水分を吸収して劣化すると沸点が低下し、200℃以下でも沸騰するようになります。ベーパーロックが起こると、ブレーキレバーを握った時の反力が弱くなり、レバーが深く入るようになります。
参考)バイクのブレーキが突然効かなくなる?!フェードとベーパーロッ…

ベーパーロック現象とフェード現象の違い

ベーパーロック現象とフェード現象は、どちらもブレーキが効かなくなる現象ですが、原因となる部位が異なります。フェード現象は、ブレーキパッドが過熱されることで摩擦材が熱分解し、発生したガスがブレーキローターとの間に挟まることで摩擦力が低下する現象です。一方、ベーパーロック現象はブレーキフルードの沸騰が原因であり、油圧が伝わらなくなることでブレーキが効かなくなります。
参考)トラックのフェード現象とは?ベーパーロック現象との違いも解説…

覚え方としては、「フェード現象は摩擦材が要因、ベーパーロック現象はブレーキフルードが要因」と整理すると分かりやすいでしょう。また、症状の違いとしては、フェード現象ではブレーキを踏んだ感触は普段と変わらないのに制動力が低下します。対してベーパーロック現象では、ブレーキペダルやレバーがフワフワとした感触になり、深く踏み込めるようになります。
参考)ペーパーロックじゃなくてベーパーロック|t.koba

バイクでは、ブレーキパッドとディスクローターの摩擦熱がパッド→キャリパー→フルードの順に伝わるため、フェード現象が先に起き、次にベーパーロック現象が起きることになります。フェード現象はブレーキパッドの種類によって発生しやすさが異なり、レジン系(オーガニック、セミメタル)パッドで起こりやすいですが、シンタード系(メタル、焼結)パッドでは起こりません。しかしベーパーロック現象は、パッドの種類に関係なく発生します。​

ベーパーロック現象が発生する原因

ベーパーロック現象が発生する主な原因は3つあります。第一に、過度なブレーキ操作です。高速走行時に急ブレーキをかけたり、長時間ブレーキを使い続けたり、短時間で繰り返しブレーキを使うと、ブレーキフルードが200℃前後にまで達する可能性があります。通常のブレーキ操作ではここまで高温になることはありませんが、峠の下り坂などでは容易に発生し得ます。
参考)ベーパーロック現象とは?原因・対策・対処法について解説|旧車…

第二の原因は、ブレーキフルードの水分吸収です。ブレーキフルードには水分を吸収しやすいという特性があり、走行時と停車時の温度差で生じた水滴がブレーキ管内に入ったり、交換時に誤って水気が混入すると、湿気を吸収して沸点が下がってしまいます。劣化したフルードは透明な飴色から茶色、こげ茶へと変色していきます。
参考)ベーパーロック現象とは?原因や予防策、発生した場合の対処法を…

第三の原因は、ブレーキ管内への空気の混入です。フルードが劣化すると耐熱性が下がり油圧が掛かりにくくなるほか、汚れがゲル状になってシールを傷めたり固着の原因となります。また、ブレーキパッドの摩材がすり減って薄くなっていると、熱がフルードに伝わりやすくなるため、ベーパーロック現象が発生しやすくなります。フロントブレーキよりも走行風が当たりにくいリアブレーキの方が、ベーパーロック現象は起こりやすい傾向があります。
参考)フェード現象とは?ベーパーロック現象の違い、原因や対処法を解…

ベーパーロック発生時の応急処置方法

ベーパーロック現象が発生した際は、まず安全を最優先に考えて行動する必要があります。ブレーキレバーを握った時の反力が弱くなり、レバーが深く入るようになったら初期症状です。この段階で気づいたら、直ちに走行を中止しましょう。初期症状から完全にブレーキが効かなくなるまでの猶予は短いため、スポーツ走行などで激しいブレーキングを行うライダーは、右手の感触に常に気を配る必要があります。​
発生してしまったら、すぐに走行を中止してバイクを日陰に停め、ブレーキシステムが冷えるのを待ちます。通常10~30分程度で回復しますが、すぐに走り出すと再発の恐れがあるため、30分から1時間ほど休ませるのが無難です。フェード現象はブレーキパッド表面で発生するのに対し、ベーパーロック現象はキャリパー内部で発生するため、回復には多少長めの時間が必要です。
参考)X

⚠️ 絶対にやってはいけないこと

  • 早く冷ましたいからと水をかける行為は厳禁です
  • 急激な温度変化でキャリパーやローターが歪む可能性があります
  • ブレーキ周りは高温になっているため、素手で触ると火傷します

ベーパーロック後にブレーキが冷めれば、走行を再開しても大丈夫です。ブレーキフルードはベーパーロック現象によって劣化が進みますが、通常は即座に使用不能とはならず、冷却後は正常に機能します。ただし、ベーパーロック発生後はなるべく早くブレーキフルードを交換することをおすすめします。
参考)【バイク】山道や下り坂でブレーキが突然効かなくなる?白煙を吹…

ベーパーロックを防ぐブレーキフルード交換時期

ブレーキフルードの適切な交換時期を守ることは、ベーパーロック現象の予防に不可欠です。一般的には2年ごと、または車検時に交換することが推奨されています。その理由は、ブレーキフルードが吸湿性を持つため、時間の経過とともに空気中の水分を吸収して劣化するからです。劣化したブレーキフルードは沸点が低下し、ベーパーロック現象が発生しやすくなります。
参考)2りんかんブレーキフルード交換キャンペーン

ブレーキフルードには規格があり、バイク用としてはDOT3、DOT4、DOT5、DOT5.1の種類があります。多くのバイクの純正フルードにはDOT4が使用されています。DOT3はドライ沸点205度以上/ウェット沸点140度以上、DOT4はドライ沸点230度以上/ウェット沸点155度以上という基準があります。DOT5.1はDOT4よりも沸点が高くベーパーロック現象が起こりにくいですが、吸湿劣化が早いため交換サイクルは短くなります。
参考)【ピットサービス紹介】ブレーキフルード交換|オートバックス公…

バイクでスポーツ走行をされる場合は、1年ごとに交換するのが良い場合もあります。意外と知られていませんが、激しい走行をするライダーは1年毎の交換がおすすめです。ブレーキフルードの色は、新品時は透明でクリアですが、劣化するにつれ飴色から黄色、茶色、最後にはこげ茶色の順で変色していきます。エンジンルームのリザーバータンクで液量と色を定期的にチェックし、変色していたら整備工場などに依頼して交換してください。
参考)ブレーキオイル(ブレーキフルード)の交換時期や費用をプロが解…

エンジンブレーキを使った予防策

ベーパーロック現象を未然に防ぐ最も効果的な方法は、エンジンブレーキを積極的に活用することです。エンジンブレーキはエンジンの回転抵抗を利用した制動方法で、摩擦熱を発生させずに速度を落とせるため、ベーパーロック現象の予防に最適です。特に長い下り坂に入る前には、ギアを落としてしっかり減速しておくことが重要です。
参考)ベーパーロック現象とは?仕組みや原因、また未然に防ぐための対…

AT車の場合、シフトレバーを使ってD(ドライブ)→2(セカンド)→L(ロー)の順に段階的にギアを落とすか、OD(オーバードライブ)ボタンをOFFにすることでエンジンブレーキが掛かりやすくなります。MT車の場合は、アクセルから足を離すだけで自然とエンジンブレーキが掛かり、MT操作で段階的にギアを落とすことでさらに効果が高まります。バイクでも同様に、下り坂ではギアを落としてエンジンブレーキを活用し、スピードを控えることが大切です。​
ただし、エンジンブレーキの使用には注意点もあります。多用するとエンジンを痛めることがあり、一気に低いギアに入れるとエンジンへのダメージが大きくなります。また変速時に「ガクン」とショックが起こるため、運転操作における危険も伴います。ギアは落ち着いて段階的に落とすことが重要です。走行中にリアブレーキを踏みっぱなしにする癖がある場合も、ベーパーロック現象が発生しやすくなるため、ブレーキペダルの位置調整を行って対策してください。​

 

 


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