ウィーリーのメカニズム解説バイク物理現象

ウィーリーのメカニズム解説バイク物理現象

ウィーリーの物理メカニズム

公道でウィーリーをすると3カ月以下の懲役または5万円の罰金が科されます。


この記事のポイント
⚖️
重心と慣性力が鍵

ウィーリーは重力と慣性力の合成ベクトルが後輪接地点を向く物理現象です

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計算式で予測可能

ウィーリー開始加速度は重心位置と重心高から数値的に算出できます

🎯
リアブレーキが制御の要

姿勢維持には後輪ブレーキによる微調整が不可欠な技術です

ウィーリー発生の力学原理

バイクが加速すると、慣性力によって荷重が前輪から後輪へと移動します。加速度を大きくしていくと前輪荷重がゼロになり、さらに加速度を上げると前輪が持ち上がります。


この現象は重力と慣性力の足し算ベクトルが後輪接地点を向いている状態です。つまり重心にかかる力の方向が変わることで、バイク全体が後輪を支点に回転しようとします。


腕力でハンドルを引き上げる必要はありません。体重移動と踏み込みだけで前輪は上がるのが基本です。


参考)【バイク】自転車でウィリーをするコツは?やり方や練習方法を紹…


ウィーリー開始加速度の計算式

ウィーリーが始まる加速度は数式で計算できます。具体的には「ウィーリー開始加速度(Gw)=重心から後輪までの水平距離(mm)÷重心高(mm)」という式で表されます。


どういうことでしょうか?
例えば重心が後輪から500mm前方にあり、重心高が700mmのバイクなら、約0.71G(重力加速度の71%)の加速で前輪が浮き始めます。重心が高く後方にあるほど、小さな加速度で簡単にウィーリーしてしまう条件が揃います。


この計算式を知っていれば、自分のバイクがどの程度の加速でウィーリーするか事前に予測できます。急加速時の挙動を理解する上で役立つ知識です。


ウィーリー維持に必要な加速度の変化

一旦前輪が持ち上がると、重心高が上がりさらに後方にも移動します。そのためウィーリーを維持するための加速度の値は開始時よりも小さくなります。


例えばある資料では0.42Gの加速度でウィーリーを続けられる状態が示されています。つまり開始時より弱い加速でバランスを保てるということです。


この加減をスロットルやブレーキでコントロールすることで、ウィーリーの姿勢を保ったまま加速できます。


維持が開始より簡単というのが原則です。



重心移動がウィーリーに与える影響

ライダーの体重移動は重心位置を大きく変化させます。バイクのウィーリーでは大きくアクセルを開けクラッチミートした瞬間、フロントが上がって後輪は前方に動き出します。


参考)https://ameblo.jp/bikers-brain/entry-12642967192.html


この時、慣性の法則でバイクの重心点とライダーの重心点は一瞬後ろに下がります。このV字バランスしている重心点が支持基底面(タイヤの接地している範囲)の上方にあれば良いのです。


後ろにさがってしまえば後方転倒(まくれる)し、前にあればフロントが下ります。


つまり重心管理が成否を分けます。



バイクの物理特性とウィーリーしやすさ

重心が高く後方にあるバイクほどウィーリーしやすい傾向があります。


これは前述の計算式からも明らかです。



スポーツバイクや大排気量バイクは高出力のため、強い加速度を発生させやすい特徴があります。ホイールベースが短いバイクも重心と後輪の距離が近くなるため、ウィーリーしやすいセッティングです。


意外ですね。


250ccや400ccクラスのバイクでもウィーリーコントロール機能が搭載される理由は、比較的容易にフロントが浮き上がる可能性があるためです。電子制御でフロントリフトを抑制し、安全性を高める技術が普及しています。


参考)バイクのソレなにがスゴイの!? Vol.52 『ウイリーコン…


公道でのウィーリーの法的リスク

公道でウィーリー走行を行うと道路交通法第70条の安全運転義務違反に該当します。違反点数は2点で、故意に行った場合は3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科されます。


参考)一般公道でのウイリー、ジャックナイフはナニ違反?|交通ルール…


前方が見えないため、右折してくる対向車線の車両や急に飛び出してきた子供、道に転がって来た物などを確認できず、大きな事故につながる可能性があります。前輪ブレーキも使用できないため危険回避能力が著しく低下します。


参考)-公道ウィリー-バイクの華麗なテクニックとして知られるウィリ…


海外の事例では、オーストラリアで22歳の男性がウィーリーとスピード違反で約30万円の罰金と6カ月間の免許停止処分を受けました。制限速度110kmのところを155kmで走行していたケースです。


参考)https://news.livedoor.com/article/detail/30043480/


公道での実施は絶対に避けるべき行為です。


リアブレーキによるウィーリー制御

ウィーリーを長く綺麗に決めるキモ的テクニックは、リアブレーキをうまく使えるようになることです。ウィーリー中にリアブレーキをコントロールできなければ、息の長いウィーリーができないだけでなく、危険回避もできません。


参考)http://www.wheelie-yuichi.com/bike/5bike/recchaer.htm


リアブレーキが使いこなせるようになるとウィーリーにも余裕が出てきます。フロントが上がっているときはどうしても足元にまで意識が及ばないため、普段の街乗りからリアブレーキを意識して使う練習が推奨されています。


参考)ウイリー練習のコツを押さえる


ブレーキをこするようにかけて減速し、まくれそうになったところでリアブレーキをかけ、前輪が上がった状態をキープします。


つまり後輪制動が姿勢維持の要です。



参考)ウイリーをカッコよくキメたい!効果的な練習方法って!?│わく…


ウィーリーとジャックナイフの対比

ウィーリーとは逆の現象がジャックナイフです。ジャックナイフは急制動時に前輪に荷重が集中し、後輪が浮き上がる現象を指します。


ジャックナイフが始まる減速度は「ジャックナイフ開始減速度(Gj)=前輪から重心までの水平距離(mm)÷重心高(mm)」で計算できます。ジャックナイフしやすい条件も重心が高いのは同じですが、前後位置は逆になります。


つまり重心が前寄りだとジャックナイフしやすく、後寄りだとウィーリーしやすいということです。


両者は同じ物理原理の表裏の関係です。


ウィーリー練習における安全な段階的アプローチ

※この情報は教育目的であり、公道での実施を推奨するものではありません。


練習する場合は、まず軽いフロントアップからリアブレーキで落とす基本動作の習得が推奨されます。最初からスタートで半クラッチを当てるよりも、ローで走り出して少し進んだところで当てる方が操作はしやすい傾向があります。


参考)http://park7.wakwak.com/~pirafu/etc/wheelie/wheelie.html


回転の目安はバイクにもよりますが3000rpm程度が一般的です。スピードが遅いとバイクも不安定になり、前輪が上がった瞬間傾きやすくなります。


ハンドルを制御しながらブレーキ操作をしなければならないので、右手は5本指で、左手は中指をレバーに乗せたまま4本指でグリップを握ると良いとされています。


適切な力加減の感覚を掴むことが条件です。



<参考リンク:ウィーリーとジャックナイフの運動学についての詳細解説>
ウィリーとジャックナイフ[モーターサイクルの運動学講座・その1] - Motor Fan
<参考リンク:公道でのウィーリーの法的扱いと罰則について>
一般公道でのウイリー、ジャックナイフはナニ違反?|交通ルールの再確認 - Motor Fan
<参考リンク:ウィーリーの危険性と安全運転義務違反の解説>
バイクのウィリーとは。公道でのウィリーは違反行為? - チューリッヒ保険