アフターファイアーとは何か|原因対策とバイク故障防止

アフターファイアーとは何か|原因対策とバイク故障防止

アフターファイアーとは

この記事で分かること
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アフターファイアーの基本

マフラーから爆発音や炎が出る現象の仕組みとバックファイヤーとの違い

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発生する主な原因

プラグ不良、混合気の濃度異常、マフラー交換など複数の要因を詳しく解説

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効果的な対策方法

自分でできる調整からショップに依頼すべき修理まで具体的に紹介

アフターファイアーとは何かマフラーから爆発音が発生

アフターファイヤーとは、本来エンジンのシリンダー内で燃焼すべき燃料ガスが、何らかの理由で燃焼しきれずにマフラー付近で燃焼する現象です。「ミスファイヤー」や「アフターバーン」とも呼ばれ、マフラーから「パン」「バン」といった軽い爆発音が聞こえるほか、炎が出ることもあります。
参考)https://www.goobike.com/magazine/maintenance/repair/181/

この現象は主に減速時やエンジンブレーキを使用するときに発生しやすいという特徴があります。炎が出るか出ないかの違いは、不完全燃焼の燃料ガスの量によって決まります。燃料ガスの量が少なければ音だけが鳴り、量が多ければ音とともにマフラーの外まで炎が届きます。
参考)バイクのアフターファイヤーは異常の知らせ?症状が起こる仕組み…

レーシングマシンなどでは、コーナーの進入時にマフラーから激しく火を噴く光景が見られますが、これはパワー重視のために濃いガソリンと酸素を用いて馬力を出すため、燃焼サイクルの過程で燃え切らなかった混合気が火を付けてマフラーから噴出するからです。一般車両でアフターファイヤーが発生する場合は、何らかのトラブルが起きている可能性が高いといえます。
参考)あなたはどっち?アフターファイヤーを自由に出したいor早く直…

アフターファイアーとバックファイヤーの違い

アフターファイヤーとバックファイヤーは混同されることが多いですが、まったく別の現象です。
参考)アフターファイヤー、バックファイヤーって何 - 村上モーター…

バックファイヤーは、燃料ガスがシリンダーからキャブレターへ逆流し、キャブレター内で燃焼が起きてしまう現象を指します。この場合の「バック」は「後ろ」ではなく、「逆流」「戻る」という意味です。バックファイヤーは火災の可能性が高く、エンストの原因となることもあるため、かなり危険といえます。​
発生するタイミングにも違いがあります。バックファイヤーはアクセルを開いたとき、つまりアクセルを回すときに起きることが多いのに対し、アフターファイヤーはアクセルを閉じたときに発生しやすいという特徴があります。マフラー内での生ガスの不整燃焼をバックファイヤーと思っている人は多いのですが、その大半はアフターファイヤーであって、そこまで危険なものでもありません。​

アフターファイアーが発生する主な原因

アフターファイヤーが起きる原因は主に4つ挙げられます。
参考)アフターファイヤーの直し方|その原因と効果的な対策方法を徹底…

まず、プラグの点火が悪いことです。カーボンなどがプラグに付着して火花がきちんと飛ばない「プラグかぶり」が起きると、点火状態が悪化し、燃え残りの燃料ガスが発生します。この未燃焼ガスがマフラー内に溜まり、マフラー内の温度で自然発火してアフターファイヤーを引き起こします。
参考)バイクで起こる〇〇現象~アフターファイヤー|ハーレーライフを…

次に、混合気が濃すぎる場合です。燃料ガスが濃いと、シリンダー内で燃料が燃え切らず、燃え残った燃料ガスがマフラーへ排気され、マフラーなどの熱で発火してしまいます。混合気が濃くなる原因としては、コンピューターやセンサー異常、プラグのかぶりなどが挙げられます。​
逆に、混合気が薄すぎてもアフターファイヤーが起きます。燃料ガスが発火の条件を下回るほど薄くなると、シリンダー内で発火した際にすみずみまで燃焼が行き渡らず、不完全燃焼が起きるからです。混合気が薄くなる原因としては、マフラーやエアクリーナーの交換により空気抵抗が小さくなったこと、キャブレターとエンジンをつなぐインテークマニホールドからの空気の混入などがあります。​
さらに、コンピューター制御に不具合がある場合も原因となります。最近のバイクはフューエルインジェクションを搭載しているものも多いため、アフターファイヤーはそれほど多く発生していませんが、コンピューターやセンサーの不具合で燃料ガスのバランスが狂ってしまうことがあります。​

アフターファイアーを放置すると発生するエンジンへの影響

アフターファイヤーは軽度であればバイクにダメージはほとんどありませんが、頻発していて修理もせずに放置して走っていればダメージも出てきます。​
混合気が薄すぎる場合、燃焼温度が高くなるため、エンジンが焼き付きを起こしたり、エンジンのオーバーヒートにつながることもあります。最悪の場合、燃焼しなかった燃料ガスの量が多ければ、マフラーから出る音や炎の量も多くなり、車体に引火する可能性も捨てきれません。​
混合気が濃すぎる場合は、プラグがかぶりを起こしてエンジンが始動しなくなったり、シリンダー内にカーボン(ゴミ)がたまって圧縮漏れを起こしたりする可能性があります。放置していても自然に収まるものではなく、マフラーやエンジンにダメージが蓄積するため、早めに修理しておく必要があります。​
アフターファイヤーは、単なる音やエフェクトとして見過ごされがちですが、実際にはエンジンの不調や故障を示す重要な警告です。未燃焼の燃料が原因で生じる場合、高熱がエキゾーストシステムにダメージを与えかねず、エンジンの他の重要な部品にもストレスを与え、長期的には車両全体の寿命を縮める可能性があります。​

アフターファイアーを意図的に発生させる危険性

レースなどで派手にマフラーから炎を出しているのを見ると、真似したくなる人もいるかもしれません。しかし、レースでアフターファイヤーがよく見られるのは、パフォーマンスを引き出すために、あえてそのようなセッティングにしているからです。​
一般車では、そうしたセッティングにすることは現実的ではありません。なお、アフターファイヤーを発生させてみたい人向けに、アフターファイヤーを起こす装置が販売されていますが、これらの装置はあくまでパフォーマンスとして発生させるもので、公道で使うべきではありません。
参考)車やバイクのマフラーから炎を自由自在に!|AxxL

アフターファイヤーが故意に出るように改造した場合、違法改造車とみなされる可能性があります。車検に通らない可能性も高いため、このような改造をするメリットはないといえるでしょう。​

アフターファイアーの直し方と対策方法

自分のバイクで突然アフターファイヤーが起きるようになった場合、マフラーやエアクリーナーのほか、点火プラグ・センサー・制御コンピューターなどを疑ってみてください。​
まず確認すべきはマフラーやエアクリーナーです。マフラーやエアクリーナーを社外品に交換したあとで、アフターファイヤーが起きるようになった場合は、元の純正品に戻してみましょう。社外品に交換したことで空気抵抗が減り、混合気が薄くなってしまうことがあります。​
次に確認するのはプラグです。プラグの先端が黒くなっていれば混合気が濃すぎる可能性が、逆に白くなっていれば混合気が薄すぎる可能性があります。プラグに異常がある場合は交換しましょう。併せて、プラグコードやプラグキャップの劣化も確認することをお勧めします。​
その次に、2次エアを確認します。2次エアとは、キャブレターとエンジンをつなぐインテークマニホールドなどから空気が混入する現象で、接合部のシール劣化やトルク不足などが原因です。インマニにひび割れがあると二次エアを吸い込み、空燃比が乱れて異常燃焼の原因となることがあります。エンジンをかけた状態で、パーツクリーナーを接合部に吹きかければ、簡易的に確認できます。​
プラグも2次エアも問題がない場合は、キャブレター調整が必要です。パイロットスクリューを少しずつ回して、アフターファイヤーが起きない状態に調整します。調整はネジを締めると混合気流量は少なく、緩めると多くなります。ネジは2分の1回転ずつ調整して様子を見ると良いでしょう。
参考)アフターファイヤーの改善(キャブパイロットスクリューの調整)…

バイクがキャブレター式ではなく、フューエルインジェクション搭載の場合は、バイクショップに任せたほうが無難です。​

プロに依頼する場合の修理費用目安

アフターファイヤーの修理は、ある程度は自分でも可能ですが、相応の手間や時間がかかってしまいます。また、バイクのメンテナンスに慣れていない場合は、難しい作業になるでしょう。メンテナンスの信頼性や安心を求めるのであれば、バイクショップに任せたほうが無難です。​
定期的な点検を受けることも、トラブルを未然に防ぐために効果的です。プロのメカニックは、さまざまな診断ツールを用いて正確な原因を突き止めることができます。さらに、適切な修理を施すことで、車両のパフォーマンスを最適化し、安心してドライブできるようにします。​
バイクショップに任せた場合の工賃の目安は、キャブレターのオーバーホールを含めて、シングルキャブだと8,400円~、ツインキャブだと1万5,750円~、マルチキャブだと2万1,000円~です。カウル脱着などが必要であれば、さらに工賃が高くなることもあります。また、インテークマニホールドの交換は工賃・部品代で1万円前後が目安となります。​
アフターファイヤーの原因が特定できない場合や、修理が困難な場合は、専門家に相談することをおすすめします。各部品の状態を点検し、適切な整備を行うことが、問題解決への第一歩です。​