ドライブチェーン駆動力がバイクの物理現象に与える影響とメカニズム

ドライブチェーン駆動力がバイクの物理現象に与える影響とメカニズム

ドライブチェーン駆動力とバイクの物理現象

あなたが普段見ているチェーン、実は加速中は下側がたるんで上側だけで全駆動力を支えています。


この記事で分かる3つのポイント
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加速時のチェーン張力の仕組み

上側チェーンだけが駆動力を伝え、下側はたるむ独特なメカニズムを解説

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リアサスペンションの挙動変化

スイングアームとチェーンラインが作る瞬間中心が車体姿勢を決定する理由

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チェーンメンテナンスの重要性

500km走行ごとの点検が推奨される具体的な根拠と交換時期の目安

ドライブチェーンの駆動力伝達メカニズム


バイクのドライブチェーンは、エンジンの出力をリアタイヤへ伝える重要な役割を担っています。この駆動システムでは、エンジン側のドライブスプロケットから後輪のドリブンスプロケットへ、チェーンを介して回転力が伝わります。


参考)ドライブチェーンの基礎知識


加速時には上側のチェーンがピンと張って力を伝え、下側のチェーンはたるんで力を伝えません。


これは物理的に当然の現象です。



この仕組みを理解すると、エンジンからの駆動力がチェーンを引っ張る際、地球と一体化したリアタイヤに繋がったチェーンを引くことと同じになります。結果として、圧倒的に軽いエンジン側が上方へと回転させる力を受けるわけですね。


参考)https://gra-npo.org/lecture/bike/Qamp;A_reaction_driving_force/drive_reaction_2.html


チェーンの構造は、ピン・ブッシュ・ローラー・内外プレートから構成されており、シールチェーンではピンとブッシュの間にグリースを封入してシールリングで密封しています。このグリースが駆動力伝達時の摩擦を減らし、効率的な動力伝達を実現しているということですね。


バイク用チェーンの種類には、シールチェーン(Oリング・Xリング)とノンシールチェーンがあり、シールチェーンは可動部分の潤滑を長時間保つことができるため、摩耗に対して強く駆動力の伝達効率の変化も少ないです。Xリングはプレートと接するシールポイントが4箇所で、フリクションロスはOリングチェーンの約45%に抑えられています。


バイクの加速時におけるリアサスペンションの挙動

加速時のバイクの姿勢変化は、フロントが持ち上がる一方で、リアはあまり沈み込みません。どういうことでしょうか?
参考)加速時の姿勢変化[モーターサイクルの運動学講座・その5]|J…


これはスイングアームと上側チェーンが作り出す「瞬間中心」によって決まります。加速時の瞬間中心は、スイングアームと張っている上側チェーンの延長線の交点で決定されるのです。


リアサスペンションの接地点の動きと力の釣り合いは、スイングアームと上側チェーンで規制されて動きます。この動きは自動車のダブルウィッシュボーン式サスペンションと似た機構になっているんです。


加速時にはチェーンで駆動されるリアタイヤがスイングアームピボットを通じて車体を押し出しており、その上でサスペンションがストロークすればスイングアームピボットのスペーサーとブッシュには強い力が加わります。この力の向きと大きさが、リアの沈み込み量を決定するわけですね。


参考)リアサスペンションの動きの善し悪しを決める重要部品、スイング…


一方、エンジンブレーキ時には下側チェーンが張るため、スイングアームと張っている下側チェーンの延長線の交点で瞬間中心が決まります。つまり加速とエンブレで車体の挙動が変わるということです。


シャフトドライブ車とチェーンドライブ車では、駆動方式の違いによってアクセルを捻った時のスイングアーム、リアサスペンション、後輪の動きが変わります。チェーンドライブの場合、チェーンラインの角度が車体姿勢に直接影響を与えるため、より複雑な挙動を示すんです。


ドライブチェーンのピッチエラーと車体への影響

チェーンの伸びやスプロケットの摩耗による噛み合わせ不良の状態を「ピッチエラー」と呼び、チェーン駆動では大きなトラブルの主な原因です。


ピッチエラーが原因です。



参考)チェーンのメカニズム


チェーンが伸びることにより、本来歯底で噛み合うチェーンのローラーが歯先に当たりながら回転してしまいます。この状態が続くとスプロケットは加速度的に減り、伸びすぎたチェーンはスプロケットの歯先に乗り上げて外れてしまうのです。


最悪の場合は歯先への乗り上げと同時にチェーン切断に至ります。走行中にチェーンが切断すれば、後輪のロックや車体への巻き込みなど重大な事故につながるリスクがあります。


ピン・ブッシュ間のグリースがなくなると、ピンとブッシュが直接摩擦して焼き付きが起きる現象も発生します。局部的ですが焼き色がつくほど高温になります。


固着やピン回りが起きると極めて危ない状態になるため、走行を直ちにやめてチェーン交換が必要です。またプレート外周部からピンに向けてクラック(割れ)が発生するヒートクラックは、チェーンスライダーの摩耗でスイングアームとドライブチェーンが直接接触することが原因になります。


こうしたトラブルを防ぐには、定期的な点検と適切なメンテナンスが欠かせません。操作性・乗り心地の悪化も、チェーンの伸びによって引き起こされるんです。


参考)メンテナンス


ドライブチェーンの張り調整と適正値

チェーンの張り調整は、バイクメンテナンスの中でも特に重要な作業です。指でチェーンのたるみを確認しながら調整し、25~35mmほどが適正値となります(オフロード車を除く)。


参考)15分あればOK!チェーン調整のやり方をご紹介。調整の目安っ…


調整時には左右の目盛りの位置を合わせることが必須です。ここが合っていないとタイヤがまっすぐになりません。


実は多くのライダーが経験するのが、適正値に調整したはずなのに最後まで締め付けるとチェーンがパッツンパッツンに張ってしまう現象です。これは整備のやり方が間違っているわけではなく、締め付け時にチェーンが前方へ引っ張られるためなんです。


参考)張り過ぎとおさらば! バイク初心者でもチェーン調整が抜群に上…


対策として手でチェーンをぐっと握ることで、伸び方向に動かないように固定する方法があります。人間の力だけですが、実際にこれをやっておくだけでほとんどが大丈夫です。


調整用ボルトを緩める方向に回せばチェーンは張り、締める方向に回すとたるみます。適正のたるみになったら、ボルトを回転しないように押さえながらナットを締めて固定するのが基本です。


穴の位置が一致しない場合は締め付ける方向(時計回り)に回し調整しますが、締め付ける角度は30°以内にしてください。近い穴が過ぎた場合は一度緩めてから締めつけ直し調整しましょう。チェーンの張りすぎは駆動系に余計な負荷をかけ、チェーンやスプロケットの寿命を縮める原因になるため、適正値を守ることが重要ということですね。


ドライブチェーンの交換時期とメンテナンス頻度

チェーンの交換目安は、シールチェーンで約15,000km~30,000km、ノンシールチェーンで約5,000kmとなっています。RKが推奨する目安の距離は1万5000km~2万kmです。


参考)この症状が出たらバイク用チェーンは寿命!プロが解説する「要交…


しかし走り方やメンテナンス状況によって大きく変わるため、一概には言えない部分もあります。一般的な目安として1万km~3万km前後がチェーンの交換時期といわれていますが、これよりも早く交換時期が来たり、これ以上に交換せずにしっかり走れることもあるわけですね。


参考)バイクのチェーンはいつ交換する?自分でも交換は可能? CHA…


メンテナンスの目安は長くても約500km走行ごとで、雨天走行後はチェーンルーブが流失するため走行後は必ずメンテナンスを行いましょう。


雨天時の走行後は必須です。



参考)バイクチェーンの種類とメンテナンス方法 【通販モノタロウ】


紫外線や雨・道路の埃、時期により凍結防止剤などが付着し、チェーンの寿命を短くする事があるため定期的に洗浄と注油を行う必要があります。これらの外的要因がチェーンに悪影響を与えるんです。


チェーンメンテナンスを怠ると、駆動力の伝達効率が低下するだけでなく、チェーン切断のリスクも高まります。適切なメンテナンスを行っていれば、新車から6年経過・4万km走行しても問題なく使用できるケースもありますが、多くのライダーは2万km前後でチェーンを交換しています。


参考)チェーンの寿命について - 現在私は新車から6年経過、4万キ…


チェーンの寿命を判断する際には、伸び具合・プレートのクラック・ローラーの摩耗・シールリングの劣化などを総合的にチェックすることが大切です。特に高性能なスポーツバイクでは、エンジン寿命の目安が10万kmとされるため、5万kmでチェーンと前後スプロケットを交換するライダーもいます。


参考)GSX-R1000Rチェーン交換約5万キロ - くうのバイク…


定期的な点検とメンテナンスを行うことで、安全で快適なバイクライフを送ることができるということですね。




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