エンジンの熱発生と物理現象、バイクで知るべき冷却の仕組み

エンジンの熱発生と物理現象、バイクで知るべき冷却の仕組み

エンジンの熱発生と物理現象

燃料を無駄にしていると思いませんか?

この記事の3つのポイント
🔥
エンジンの熱効率は30%程度

燃料のエネルギーの7割は熱として排出され、動力に変換されるのはわずか3割ほど

💧
水冷と空冷で冷却方法が異なる

水冷はラジエターで冷却水を冷やし、空冷は走行風を直接エンジンに当てて冷却する

⚠️
渋滞や信号待ちが最も危険

走行風が当たらず熱がこもりやすく、オーバーヒートや熱ダレを引き起こす原因に

エンジンの熱効率と無駄になるエネルギー


バイクのエンジンはガソリンを燃焼させて動力を得ていますが、実はその効率は驚くほど低いです。一般的なガソリンエンジンの熱効率は低い車種で18%、高い車種でも30%程度にすぎません。つまり、ガソリンスタンドで入れた燃料のうち、実際に動力として使われるのは3割ほどで、残りの7割は熱や排気ガスとして捨てられているということです。


例えば170円分のガソリンを入れたとして、実際にタイヤを回すために使われるのはたった30円分程度なんですね。残りの140円分は冷却システムや排気管から熱として逃げていきます。これは物理法則上、内燃機関の宿命とも言える現象です。


熱効率を高めるためには、燃焼室の表面積を小さくする、吸排気弁を大きくする、ノッキングを防ぐために冷却性を確保するなどの工夫が必要です。バイクメーカー各社はこの数%の改善のために日々研究を重ねており、ホンダやトヨタなどは40%を超える熱効率のエンジンも開発しています。ただし、一般的なバイクのエンジンでは、まだ30%前後が現実的な数値です。


エンジンの燃焼で発生する熱のメカニズム

バイクのエンジンは稼働中、燃焼室で約800度という高温に達します。この熱は、ガソリンと空気の混合気をピストンで圧縮し、スパークプラグで点火して爆発的に燃焼させることで発生します。燃焼によって発生したエネルギーの一部がピストンを押し下げ、クランクシャフトを回転させて動力に変換されますが、大部分は熱として残ります。


参考)バイクにまつわる『熱』を学ぼう!


エンジン回転数が上がるほど燃焼の回数も増えるため、熱量も比例して増加します。高速走行や登坂走行など負荷の高い状況では、エンジンに大きな熱が発生し続けるため、冷却システムが追いつかなくなるリスクが高まります。つまり、熱の発生自体は避けられないということですね。


参考)バイクのエンジンが熱ダレ!その症状と対策法


この熱を放置すると、シリンダーとピストンが焼き付いたり、混合気が異常燃焼を起こしたりして、エンジンに深刻なダメージを与える可能性があります。そのため、エンジンには必ず冷却システムが備わっており、常に適正温度に保つ仕組みが必要なのです。


参考)https://www.goobike.com/magazine/maintenance/maintenance/57/


バイクの水冷エンジンと空冷エンジンの違い

バイクのエンジン冷却方式には大きく分けて水冷と空冷の2種類があります。水冷エンジンは、エンジンのシリンダー周りに設けられたウォータージャケットに冷却水を循環させて熱を吸収し、ラジエターで外気に放熱する仕組みです。冷却水はエンジンからの熱を奪い、温まった冷却水はラジエターで冷やされて再びエンジンに戻るサイクルを繰り返します。


一方、空冷エンジンは冷却水を使わず、走行風を直接エンジンに当てて冷却する方式です。燃焼室で発生した熱はシリンダーヘッドやフィンから大気に直接放出されます。構造がシンプルで軽量というメリットがありますが、走行風が当たらない渋滞時や低速走行時には冷却効果が低下しやすいです。


参考)https://www.goobike.com/magazine/knowledge/beginner/18/


現在の4気筒エンジン搭載バイクのほとんどが水冷式を採用しています。水冷式は冷却効果が安定しており、エンジンを適正温度に保ちやすいからです。空冷エンジンは電動ファンがないモデルが多く、酷暑や渋滞中には特にオーバーヒートしやすくなります。冷却方式の違いを知ることは、トラブル予防の第一歩です。


参考)冷却システムの概説:エンジンを冷却水や走行風で冷やす仕組み【…


ラジエターと冷却水の役割

水冷エンジンにおいて、ラジエターは冷却システムの要です。ラジエターは、エンジンから送られてきた高温の冷却水を、走行風や電動ファンによって冷やす装置です。細かいフィン構造によって表面積を増やし、効率的に熱を外気に放出します。


参考)https://global.yamaha-motor.com/jp/design_technology/technical/feature/pdf/print/34ct-10.pdf


冷却水(クーラント、LLC)は、ただの水ではなく、不凍液と防錆剤が添加された特殊な液体です。沸点が高く凍りにくいため、夏の高温でも冬の低温でも安定して機能します。


また、金属部品の腐食を防ぐ役割もあります。



参考)https://www.goobike.com/magazine/maintenance/maintenance/555/


冷却水の交換時期は一般的に2~3年に一度、車種によっては3~5年とされています。劣化した冷却水は冷却効果が低下し、オーバーヒートの原因になります。冷却水が変色していたり、水温計の針が異常に高い位置を示す場合は、交換時期より前でも点検が必要です。


5年に1度は全交換するのが原則です。



参考)https://www.goobike.com/magazine/maintenance/cost/80/


オーバーヒートと熱ダレのリスク

オーバーヒートとは、エンジンの発生熱量が冷却性能を上回り、冷却水温度が設定温度を超えて沸騰する状態です。水温警告灯が点灯した場合は、すぐに安全な場所に停車してエンジンを切り、温度が下がるのを待つ必要があります。急にエンジンを止めると局所的に熱が溜まるという説もありますが、それは冷却系が正常な場合の話で、オーバーヒート時は即座にエンジンを停止するのが最優先です。


参考)バイクがオーバーヒートした際の直し方は?原因や対策方法も解説…


熱ダレは、オーバーヒートほど深刻ではないものの、エンジンが長時間稼働して内部温度が上昇し、本来の性能を発揮できなくなる現象です。エンジンの回転数が上がらない、パワーが出ない、アイドリングが不安定になるなどの症状が現れます。


これは熱ダレが基本です。



参考)バイクの熱ダレ対策!夏ツーリングするなら対策必須です!


オーバーヒートを放置すると、エンジン部品が膨張してクリアランス(隙間)が狂い、最悪の場合はシリンダーとピストンが焼き付いてエンジンが破損します。また、点火コイルが熱パンクや熱ボケを起こして失火が頻発し、エンジンが停止することもあります。渋滞や信号待ちの多い夏場のツーリングでは、常に水温計をチェックする習慣をつけましょう。


参考)【バイクの熱対策】熱ダレやエンストの対処修理方法


信号待ちや渋滞時の熱対策テクニック

渋滞や信号待ちでの停車中は、走行風が当たらずエンジンの熱がこもりやすい最も危険な状況です。この場面でのリスクを減らすため、手動でアイドリングストップを行うのが効果的な対策です。信号待ちでエンジンを切ることで、体感的にかなり熱を緩和でき、燃費も向上します。


参考)バイクのオーバーヒートってどんな時?症状や原因、対策を紹介!…


ただし、エンジンを切っても電源はオンにしておくことがポイントです。電源オンの状態なら冷却ファンが回り続けるため、停車中でも冷却効果が期待できます。バッテリーが弱っている場合は電圧計で11V以上あることを確認しておくと安心です。


頻繁なエンジンのオンオフはバッテリーに負担をかけるため、まずは自宅付近で5分ほど試してバッテリーの状態を確認しておくのがおすすめです。また、夏場のツーリング前にはエンジンオイルを粘度の高いものに交換する、冷却水の状態を点検するなどの準備も重要です。こまめに休憩を取りながら走行することも、熱対策の基本ですね。


参考)夏のバイクは低温やけどに注意!バイクの低温やけど対策をご紹介…


バイクのオーバーヒート対策について詳しく解説された参考リンク
冷却水(クーラント)の交換方法と時期について詳しい情報




移動都市/モータル・エンジン (字幕版)